第3話〈お人形遊びとかどうでしょうか〉

休憩室で繰り広げられる、彼女のポシェットの中身。

出てくるのは人形だった。


「これ、は……サンゴロー、さん、強い、人形、です」


紫色で歯茎がむき出しになった人形を見せつけてくる。

長峡仁衛はそれを苦笑いで見ている。

かれこれ、彼女の人形たちを見せられて数十体目だった。

彼女のポシェットはまるで四次元ポケットの様に、明らかにポシェットの容量以上の人形が出てくる。


「へえ、凄いなぁ……あ、これてにとって見ても良いか?」


長峡仁衛は人形の内、その一つを触れようとして確認をする。

鬼童五十鈴はもちろん良いと頷いて、長峡仁衛は人形を一つ触れた。

それは猫耳が生えた黒髪の少女人形だった。ぬいぐるみでもあるそれの触り心地は柔らかな布の様だった。


「………先輩、その子、気に入った?、欲しい?」


「ん?あぁ、いや。可愛らしいなとは思うけど、欲しいとは思わないよ」


そういうと、鬼童は寂しそうな笑みを浮かべた。

長峡仁衛は何故欲しいとは思わないのか、彼女に告げる。


「これはお前の家族だろう?くれると言っても、この人形にも家族が居るだろう。俺の欲だけで、人形たちから引き剥がすのは可哀そうだからな」


長峡仁衛の説明に、鬼童五十鈴は嬉しそうな表情を浮かべた。


「そ、そっか、うん、そう、そうだね、人形にも、家族が居る……」


長峡仁衛の言葉に何かを気づかされた様子だ。


「じゃあ、先輩、これ、あげる」


再びポシェットの中から、鬼童五十鈴は長峡仁衛の為にある人形を取り出した。

それは、可愛らしい人形たちとは違った、歪で、禍々しい、白い糸で肉体を構築させた包帯の様な人形だった。


「なにこれ」


長峡仁衛は鬼童五十鈴に向けて言うと、鬼童五十鈴は頷いて言った。


「お守り人形、物理的攻撃、それ以外から、身を守ってくれる、精神攻撃、能力制限、それらの攻撃を、代弁してくれる、から……先輩に、あげる」


そう言った。

鬼童五十鈴は人形遣いであり、彼女が作る人形には様々な能力を持つ。

長峡仁衛は彼女の人形を受け取って頷いた。


「そうか、ありがとな、これ、肌身離さず持ってた方が良いか?」


「うん、これ、とても強い、から……先輩、きっと守って、くれる」


彼女の説明を聞いた長峡仁衛は頷くと、それを懐に入れる。

何故か、人形を入れた懐が暖かく感じた。


「これ、ちなみにどうやって作ったんだ?」


長峡仁衛は彼女に聞いてみる。

鬼童五十鈴は薄ら笑みを浮かべて。


「材料、生きてるモノ」


そう言った。長峡仁衛は、何故かその言葉が頭からこびりついて離れなかった。


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