第1話〈合流〉

じゃらじゃらとした音の方へと走り出す。

通路を抜けると広間が見えた。其処には長峡仁衛が戦っていた残滓が複数存在する。

が、それら残滓は黄金の軌跡によって核を傷つけられて消滅した。

黄金ヶ丘クインだ。萌え袖の奥から伸び出す鏃の付いた黄金の鎖を磁力操作によって射出して自在に軌道を変えながら攻撃をしていた。

じゃらじゃらとした音は、黄金ヶ丘クインが射出した鎖の音であるらしい。


黄金ヶ丘クインの後ろから、ぐじゅぐじゅと肉体を変形させて残滓が出現する。

背後を取った残滓は、黄金ヶ丘クインに向けて腕を振り下ろす。

尖った骨が多く生えた釘バットの様な腕を、だ。


「っし」


クナイを放つ。

黒刀に神胤を流し込んで磁力を生成。白クナイを操作して黄金ヶ丘クインの背後に立つ残滓を貫いた。

ぶしゅう、と黒い血が噴出してぼたぼたと地面に落ちる。その音で黄金ヶ丘クインが背後に残滓が居ると想定すると振り向くと同時に萌え袖の奥から黄金の鎖を射出して鎖の腹で残滓を横薙した。


「っ、ぷ、ふぅ……」


張り詰めた緊張を解く様に息を吐く。

先程の一撃で残滓は核を傷つけられて消滅した。

残るのは長峡仁衛と黄金ヶ丘クインだけだった。


「大丈夫か?黄金ヶ丘」


「えぇ、私の大丈夫です……それよりも、九重花さんと合流は?」


長峡仁衛は首を横に振るった。

黄金ヶ丘クインも首を横に振って、二人ともまだ九重花志鶴と出会ってない事を表す。


「姉弟子、どこ行ったんだよ……」


長峡仁衛は周囲を見渡す。通路は二つ、長峡仁衛が通った道と、黄金ヶ丘クインが通った通路。


「此処に来るまでは一本道でした」


「そうか、此処には二つの通路があった。その内の一つを通ったら、お前に出会った」


と言うことは、長峡仁衛は来た道を引き返す事にする。

黄金ヶ丘クインは萌え袖の中に黄金の鎖を収納すると、長峡仁衛の後ろを付いていく。

元の通路まで戻り、長峡仁衛が選ばなかった右の通路へと走り出す。


(姉弟子、生きててくれよ)


(先程で鎖を二本ダメにしてしまいましたわ……幽世内では術式を使役して金属を作る事も出来ませんし……早急に対処をしなくては)


右手に一本。左手に三本。残る四本の鎖でどうにかしなければならない。

そうして長い長い通路を抜けた先は、大広間だった。

壁一面には腸が這いずり回った様な蠢きを見せる気味の悪い部屋。

何処からともなく、膨張した皮膚が破裂して、ぷしゅうと腐臭の煙を吐き出している。

嗚咽が喉元に出かかる空間内で、長峡仁衛は、その敵の姿を目視した。

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