9-7 汚名返上の行路 (4) - ペチュニアの泉


 子供たちのおかげで貧民街にいることを半ば忘れながら雑談をしていると、やがて曲がり角に差し掛かり、アパートのような作りのなかなか大きな建物が見えてきた。


「あそこだよ。<ペチュニアの泉>」


 髪の長い少年が指差したのは俺が今まさに見ていた建物だった。


 建物は2階建てで、等間隔で置かれた8つのドアの前にはアーチと手すりがある。アーチと手すりは宮殿風で乳白色をしていて、小規模ながらオシャレだ。

 そんな建物の周りには手狭だが花壇があり、赤やピンクの花が咲き、彩りを添えている。


 娼館に来るのは初めてだが……個室があるってことはラブホテルみたいなものか?

 見ていてなるほど確かに娼館っていうのは宿と同じく個室が必要で、こういうアパートめいた作りにもなるかと一人で納得した。


「ペチュニアって何?」

「花の名前だよ」


 後ろから少女が簡潔に答えた。見れば彼女は退屈そうに周囲に視線をやっていた。

 自分の母親が娼婦である話題に対するふてくされはなくなったようだけども。案内に熱心なのは男の子2人らしい。娼婦の母親に不満があるなら、娼館は好きじゃないかもなと思う。


 なんにせよ花か。娼館名らしいチョイスかもしれない。


 ふと、馥郁たる香りがほのかに香ってくる。フローラルな香りだ。ちょうど花のことが話題に出たので、ペチュニアの香りだろうかと勘繰る。

 娼館に近づくにつれて香りは強まっていく。いい香りではあった。アロマオイルのような、様々な香りをブレンドし、洗練させたと思しき香りだ。明らかに娼館が香りの発信源だった。


 そんな娼館の1階の真ん中左の部屋は扉や壁の一部が白い格子状の柱で覆われていて、エントランスになっていた。

 ネグリジェっぽい薄い着物と赤いショールを羽織った女性が肘掛椅子に座って本を読んでいるのが見える。


 彼女は長い髪をハーフアップにしていて、口には赤みがさしている。さすが娼婦、色っぽい。

 でもエリゼオが連れていた娼婦や、街中で見かける娼婦疑いのある女性たちはたいてい白い頭巾を被っていたものだった。外に出る時は頭巾を着用するんだろうか?


 座っていた女性が立ち上がった。俺たちに気付いたようだ。


「なにか用かしら?」


 やってきた彼女は外から見えていた雰囲気のままに顔立ちの整った女性だった。

 上げた前髪からは巻いた産毛が数房落ち、整えられた眉毛の下にはお互いほどよく距離を保った眉目があり。綺麗な稜線を描いている歪みのない細めの鼻に、艶やかなピンク味のある口紅で彩られた大きめの赤い唇に。


 ネグリジェかと思っていたが、彼女の腰はしっかり絞られていた。一応娼館内で、言わば職場だし、色気の抑えられる衣類はタブーなのかもしれない。

 におい立つ美女の言葉の通り、近づいてきた彼女からは風呂上りのような――もちろん転生前でいうところの風呂上りだ――甘い石鹸のような香りがした。しかし娼館の香りが強く、割と注意深く嗅ぎとらなければ分からない。


「あんたたち」


 色々と気を取られていたため言葉を返すのを忘れていたが、彼女はついてきていた子供たちに声をかけた。知り合いのようだ。


「メリー。この人、薬とか化粧品見たいって」

「薬? 薬で売れるものと言ったら着付け薬と避妊薬くらいしかないけど……化粧品って女装でもするの??」


 訊ねてくる彼女はまったく自然な素振りに見えた。

 メリーと言うらしいが、インと言い、この人と言い……“化粧”品っていうのがダメなんだろうな。


 避妊薬はあるらしいがあとにしよう。ネリーミアの時みたいに3人には離れて待っててもらって。……というか女装ってすんなり出てきたな。


「女装はしませんよ。整髪料を買いにきたんですが……」

「それならあるわよ。けど、わざわざここで買わなくても床屋でも買えるわよ?」


 床屋。美容院ばかりに気がいって存在を失念していた。順序的にあるなら確かに床屋だろう。


「ええと……他にも買いたいものはあって」


 メリーさんが小首を傾げて、他って? と聞き返してくる。

 あまりまごいついてても仕方ないかと思い、「ちょっと耳を」と言って彼女に耳を貸してもらう。


 そうして到来してくるバラ由来っぽい優雅な香り。

 くわえて強まった甘い香りに俺の精神はぼうっとし始める。


 あ、っと思った時には既に遅く、やすやすと官能を刺激された俺は蜜にたかる虫よろしく男児としてのたかぶりを覚え始めていた。

 つい美女見たさというか娼館見たさというかそういった軽い心持で来てしまったが、この展開は予想すべきだったと内心で後悔した。俺はアレクサンドラとの前半戦はがっついてばかりいたものだった。


 とはいえ、俺の不安とは裏腹に動悸や性欲は強まりこそすれ“例の衝動”ほどのものが湧くことはなかった。

 興奮を覚えつつも安堵するという妙な心境に至る。ともあれどうやらしっかりと抑え込められるらしい。30歳の俺の精神が。というか、童貞を捨てることにより免疫がついたとでも言うべきかもしれない。


 あと俺には今ミリュスベの腕輪がある。ということは精神抵抗はこの手の誘惑、性的興奮の類は軽減しないと見たほうがいいか。


 ともかく失礼なことにならないよう、呼吸を落ち着かせて我慢する。


「……避妊薬です。どんなものがあるのかなと……」


 そう改めて俺が囁くと彼女は顔を離し、大きめのアーモンド型の瞳をさらに大きくして見てきた。結構表情が豊からしいが……そんなに変な質問か?

 が、彼女はすぐに小さく頷いたかと思うと、なるほどね、と笑みをつくってくる。笑みは、さっきまであった色気が鳴りを潜め、このいかがわしい場に相応しくないと思えてしまうほどのずいぶん快活なものだった。


「ちょっと待ってて。売れるものを持ってくるわ」


 メリーさんが背中を向けるや否や、俺は呼吸を深くした。何がなるほどなんだろう。

 とりあえず例の衝動が起きそうにないのは安心だが、獰猛な番犬でも飼ってる気分だ。


 ……思えばあの衝動はプルシストや人を斬ったあとだった。精神的に正常じゃなかったのかもしれない。

 インやジルは女性陣でちょっと相談しづらいし――ジルに至ってはからかいの種になるので絶対に嫌だ――今度ルオ辺りに相談してみようか? 子供作ったらしいしな。


『好みの女だったか? そんなに緊張しおって』


 インが意地の悪い顔を見せてくる。俺は相変わらずめざとい母親に今度はため息をついた。

 俺の気苦労も知らないで……だいたいアレクサンドラがいるってのに。


 ――いや、香水がきついというか……娼館の香りに慣れなくて。緊張しているように見えるのは息を軽く止めてたからだよ。


 半分は嘘だ。


『そこまでか? ふむ……まあ、確かに少々きついからの』


 インは問題ないらしい。


 ――インは大丈夫なんだね。ウーリさんの店では鼻つまんでたのに。


 ウーリが誰か訊ねてきたので、メイホーの魔法道具屋の女主人であることを伝える。


『あの店か……。ヤマディのにおいがちと好かんのでな』


 ――ヤマディ?


『古来からある古い薬草でな。今のようにエーテルが作られるようになる以前、魔力の回復を早めるため煎じ薬として飲まれておった。今は体の調子が悪い時に飲む程度らしいがの』


 ほ~。


 そんな話をしつつ、娼館の宮殿風でオシャレだが、白一色で彫刻も凝っていなくて実のところそれほど金はかかっていなさそうな外観を眺めながら待っていると、メリーさんが戻ってきた。彼女の手には宝石箱のような立派な木箱がある。


「お待たせ。……ああ、ごめんなさいね。中に入ってきて」


 え、娼館に入るのか? ……このにおいの中に?


 メリーさんは俺の心境なんて知る由もなく、スタスタと娼館に入っていってしまう。インが「どうするんだ?」とでも言いたげに見てくる。姉妹はいくらか不思議がって俺が動くのを待っている。

 だいぶ抵抗感があったが、意を決して促されるままに娼館に入った。


 間もなく到来してくる強いフレグランス。外にいる分には割と自然味ある感じの香りだったのだが、館内はハーブの香りとバニラのような香りが強めのようだ。

 色々と混ざってるようだが、しかし濃度がきつい。服ににおいがつきそうだ……。このにおいの中では和食は絶対食べれないだろう。


>称号「娼館に興味があるお年頃」を獲得しました。


 否定はしないけど年齢的にはどうなんだろうな。というよりは金があればって感じだろうな。

 どうであれこの世界の方が初体験は総じて早そうではある。勉強が義務化してないならやることは早いだろう。


 座ってと言われ、俺とインは中央に設置された花柄の白いアンティークソファに座った。姉妹は立っておくらしい。

 ことりとテーブルに置かれる木箱。フタにはなかなか精緻な傘型の大樹の彫り物がある。


 子供たち3人も入ってきた。どうやら終わるまで待つらしい。

 3人を見ていたメリーさんがこれみよがしにため息をついた。


「あの子たち邪魔じゃない?」


 あまり歓迎されないらしい。

 格好が気になる感じだろうか? 3人の服は布切れ同然である上、薄汚れた格好だ。でもわざわざ外で待たせておくのもなぁ……。


「俺は別に気にしませんよ。買いに来ただけですし。彼らはここまで案内してくれたんです」


 メリーさんは意味ありげに視線を送ってきたが、やがて眉をあげて気さくな表情を見せた。


「気にならないならいいわ。静かにしててね、あんたたち」

「へーい。分かってるよ」


 と、わんぱく少年。髪の長い少年と少女は無言で頷いた。

 邪険にはしたが、メリーさんは別に子供たちを嫌ってるわけではなさそうだ。意外と快活な女性の印象通り、いい人そうだ。


 そうしてメリーさんは木箱を開けてみせた。


 中には大別して香炉のような形をした平べったい容器と、瓶を含む筒形の容器が入っていた。

 瓶は丸薬が入っているものと液体が入っているものがある。香炉の方は鈍い金色の金属製のものや陶器製のものがある。後者は意匠がどことなくエジプシャンで、あまり見たことのない様式だ。中身が整髪料とはいえども興味をそそられる。


 メリーさんはまずチャコール色の香炉風の容器を取り出して、フタを取った。

 すずりっぽい質感の音が鳴る。中には薄茶色の粒子が入っていた。ザラメのような。


「これはクローブやバラから作られたヘアパウダーね。水につけたあと髪に軽く塗り込むの」


 ヘアパウダー。……ヘアパウダー?


 次いで彼女は手慣れたきびきびとした手つきで、調味料入れよりちょっと大きいくらいのガラス製の小瓶を取り出した。

 小瓶はコルクでフタがしてあり、薄いピンク色の液体が入っている。


「これはムスク入りのローズウォーター。値段も手頃だし、普段使いに使うといいわ」


 ローズウォーター。バラだろうけど。

 ……って、なんか予想とは違うものが出てきてるな。俺が考えてたのはヘアワックスとかヘアオイルだ。


 とりあえずあらかた紹介するのか、今度は彼女はさらに大きい瓶を取り出した。

 瓶は花瓶のような形をしているが、ちょっとシャレていて、リリスウォーターという文字と花の絵の刺繍が入ったラベルが巻かれてある。


「これは特別製ね。リリスウォーターと言って、高いけど一番いい香りがするの。ローズはもちろん、ラベンダーにレモン、マジョラムやセージ、ネロリなんかを混ぜたものね」


 説明するネリーさんはちょっと誇らしげだった。

 ネロリ? セロリの親戚? なわけないよな……。


 ネリーさんはリリスウォーターのコルクを取ってみせた。途端にふわりと香る、香しいハーブの香り。

 結構強めの爽やかな香りで意外に思ったが、次いで柑橘系の香りが漂ってくる。かと思えば、今度はバラっぽいフローラルな香りもしてきて香りの層に驚かされる。


 それにしても、いい香りだ。なんていうのか……自然を感じられる香りで悪くない。気分も安らぐ上にすっきりするし。

 植物園にあるオシャレなカフェとか行ったらこういう香りがしてきそうな気がする。


「ほぉ。いい香りだのう」

「うん……いい香りだね」

「でしょう? この香りは男の人も結構好きなのよね」

「分かります」


 結構高級感もある感じだ。さすがにリビングやダイニングは少し考えてしまうが、玄関やトイレでこんな香りがするならちょっと乙かもしれない。


 メリーさんは今度は姉妹にも「あなたたちはどう?」と訊ねた。


「とてもいい香りです。里を、母をちょっと思い出しました」


 ヘルミラは穏やかな表情でそう答えた。マジで?


「お母さんがこの香りを?」


 メリーさんも少し驚いた風だ。


「いえ。私たちダークエルフは香水はとくにつけないのですが……なぜかこの香りを嗅いでいると母を思い出しました。不思議です」

「ふうん? ……そういえばダークエルフの里はどこも薬草や香草がよく取れる場所の近くって聞くわ。リリスウォーターはマジョラムやセージなんかのハーブも入ってるし、ハーブでなくとも使っている素材はどれも新鮮なものを使ってるらしいから。里の空気を思い出したりするのかもしれないわね」

「マジョラムやセージはよく摘んでました。あまり持ち出してはいけませんでしたが、香草やポマンダーは里の収入源の一つでした」

「そう。ダークエルフの里のハーブは育ちがいいらしいわね」


 メリーさんは分かった風にヘルミラに朗らかに微笑み、ヘルミラもそうみたいですと微笑み返した。

 どうやらメリーさんはダークエルフの里を知っているようだが、――そんなところに隣の部屋のドアが開けられ、男女の楽し気なはしゃぐ声。


 楽しんでるなぁ。


 ドタドタと軽い物音があったあと、


「ええい、このアマ! このワシから逃げるか! お前の生活を潤すこのワシから!」

「蝶々は飛んでいくものですから」


 というやり取り。男性の方は結構歳がいっている風でちょっと荒っぽいが、女性の方はいたって楽しんでいる感じだ。蝶々?


「ワシは蝶などいらん! 興味あるのは女だけだ!」


 ギラッギラやな、おっさん。


「女なら誰でもいいの?」

「ふん。嬉々としてケツの穴まで見せる奴が何を言うか」


 ドアが閉められる。

 俺は娼館に来たのを今一番後悔した。聞いてるこっちが恥ずかしいのはもちろん、姉妹の情操教育に悪いからだ。1人でくるべきだった。


 メリーさんは「どう? 買う?」と改めて俺に聞いてくる。多少口を突き出してるが、商魂は強いらしい。まあ、聞き慣れてるんだろう、さすがに。

 ちらりと姉妹を見ると、目線が別にあり、どことなく落ち着きのない表情をしていた。ああ……穢れていく。


 まあ……目的のものではないけど買ってもいいだろう。姉妹がつけるもよし、アレクサンドラにあげるもよし。

 いや、アレクサンドラは香水の類はつけてなかったし、とくに欲しがりそうもないか。でも里のことを思い出せるなら持ってるだけでもよさそうだ。


「ええ。買わせていただきます。いくらですか?」

「ローズウォーターが5千ゴールド、ヘアパウダーが……1万ゴールドでいいわ」


 結構するな。


「リリスウォーターは3万ゴールドでどう?」


 特別製と言ってたし、完成度の高い香りだったから高いだろうとは思ってたが、警備兵の月給分か。今日は金が飛ぶ日だ。

 俺は分かりました、と値段に同意して、鞄から4万5千ゴールド分の硬貨を取り出していく。


「結構お金あるのねぇ」


 と、にっこりとしてご機嫌な様子で俺を見てくるメリーさん。そんなにありませんよ、と苦笑しておく。


「ところで男性向けの整髪料もあるのだけど、欲しい?」


 お。待ってました。


「どんなものですか?」


 これよ、と言って木箱から取り出したのはクリーム色をした長方形の陶器製の容器だ。

 フタがぱかりと開けられる。コクのある油っぽい香りに続く柑橘系の香り。中にはバターのような固形物が入っていた。使った形跡が少しあり、表面が少し削れている。


「ポマードっていうの。指にとって伸ばしたら、髪につけるの。しばらく待つか、《微風ソフトブリーズ》なんかで乾かせば髪が固まるわ」


 おお、ポマードか。ろくに使ったことないけど、こういうものなのか。いや、この世界の文明的にこれが転生前の現代社会でそのまま使われてることはなさそうだけども。

 あ、と思う。そういえば、アバンストさんも似た柑橘系の香りがほのかにしていた。これか?


「これ、何で出来てるんです?」

「ひまし油に木蝋にベルガモットね」


 木蝋……木の蝋? ワックスにも植物製の天然ロウが入ってるし、似たようなものだよな?


「物によっては香り付けに使われる植物が違ったりするわね」

「お主が欲しかったのはこういうのか?」


 と、インが見てくる。


「じゃっかん違うけど、たぶん似たようなものかな」


 とりあえず使っていて臭くなければと思う。この香りのままなら及第点かな。


「このポマードはいくらですか?」

「9千ゴールド。……と言いたいところだけど、ちょっとうちの客たちが使ってるから7千でいいわ」


 整髪料の中古とかまずないな。まあ、別にいいか。


「分かりました」


 鞄から代金を出しているところに、奥の扉から男性が顔を出してきた。

 そこそこ裕福そうなフォーマルめな格好をしているが、首元の紐が伸び、胸元がだらしなく開いていて茶色い胸毛が覗いている。中肉中背のしゅっとした人でヒゲは薄く、穏やかめの顔立ちのなかなかハンサムなおじさんだ。


「おや、シルメリア。ここはいつから託児所になったんだ?」


 託児所。分からなくもないけど。


「なってませんよ、ザランさん。ここはいつでもあなたの“いい人”がいる貧乏娼館です。ときどきは商人たちがくるけれど」


 メリーさんにはとくに皮肉を言った風ではない。ザランさんもふっと口元を緩めた。

 メリーさんはシルメリアっていうのか。てか、貧乏娼館なんだな。確かに貧民区の近くにあるけど。


「ミラは?」


 ザランさんは肩をすくめて、<竜の去った地>のお花畑さ、前半は彼女のテクに参ってたんだがね、とフランクに軽口を言った。

 テクね。アレクサンドラはほとんど何も知らなかったから参考にならないけど、この世界の性技のレベルはどのくらいなんだろうな。


 メリーさんが「それはどうもお世話になりまして」と、少し皮肉っぽいが艶のある微笑をつくる。


「彼女のテクのレベルが上がってたんだが、誰かなにか教えたのかね?」

「さあ? でも最近は熱心に勉強してたわね。そんなに好きじゃない豚のソーセージばっかり買って」

「ほぉ」


 子供たちがいるんですよ。やめてください?


「それよりも気絶癖どうにかしてほしいけど」

「好みの男でも見つけたかな?」

「さあ、どうでしょう」


 再びちらりと姉妹を見てしまったが、今回は2人の表情にはとくにこれと言った変化はなかった。さすがにここまでは進んでないらしい。

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