第15話 ログイン4日目




 冒険4日目のインとなると、色々と慣れて来……って、ここはどこだっ!? いつもの安全地帯じゃな……おおっと、そうだった。

 森の精霊に、簡易結界張って貰ってたんだっけ。


 昨日は東の森でNM2連戦の後、海辺の隠された洞窟のよどみの駆除を依頼されて。それに手こずってしまったせいで、イン制限時間ぎりぎりになってそこを脱出。

 お陰で、安全地帯に戻る時間が無かったと言う。


 とんだ失態で危険区域でログアウトする所だったが、精霊ラマウカーンもそれを申し訳なく思ったのだろう。安全な場所を提供してくれて、有り難く昨日はそれに乗っかった訳だ。

 お陰でインした瞬間、プチ混乱状態に見舞われたけど。いきなり無防備な状態で、モンスターに襲われるような事態は防げたみたいで何より。

 素直に感謝、ってラマウカーンはどこだ?


 ファーはいつもの様に、上機嫌で飛びついて来た。挨拶を交わしながら、俺は精霊の所在を尋ねてみる。結界は作動しているっぽいので、いるとは思うんだけど。

 ファーはアッチだよと、深い茂みを指差した。どれどれと覗いてみると、何だか大きな存在を確認……ってか大き過ぎるだろ、とてもあのカラスモドキには見えないんですけど。

 それは真っ白な羽根の、人より大きな白フクロウだった。


「おお、戻られたようだな、若き冒険者よ……これは失敬、しばし微睡まどろんでおったがゆえ……」


 そう言うと白いフクロウは、ポンッと鴉モドキにチェンジ。どうやら彼の本当の姿は、白くて立派なフクロウらしい。どうして見栄えの悪いその姿になるのかと訊ねてみると。

 キョトンとされて、もっともな返事が戻って来た。


「お主らも修行中には、別の動き易い衣類に着替えるだろう……フム、澱みが消えたお蔭で羽根のつやも少しだけ良くなった様だな……」

「それは良かった、お役に立てて何より……それより、昨日の冒険で主要武器が2つも壊れちゃって。少しばかり工作をしたいんだけど、そこら辺に落ちてる木切れを拾って使っても平気かなぁ?」


 一応念の為、森の精霊に材料を拝借するお伺いを立ててみる。何しろ彼は、この森のあるじであるらしいので。別に構わんよと、それが生物の営みの内であるならばとの返答を貰い。

 なるほどもっともだ……小鳥が木の実を啄ばむのも、狼がウサギを狩るのも生物の営みの内での事。それが森から物を盗った事にはならないとの解釈らしい。


 鴉モドキへのサイズチェンジも同じ事、人間だって運動する時は体操着に着替えるじゃないか。精霊の“常識”はこちらと違うようで、実はそんなに差異は無いみたいだ。

 それより彼ほどの偉大な存在でさえ、更なる高みを目指して修行しているみたいだ。目指すべき場所がどこかは知らないが、こちらも頑張らねばと身の引き締まる思い。

 とは言え、まずは装備の作り直しからなんだけどね。


 そんな訳でファーにも協力して貰って、手頃なサイズの木切れを2本回収して。精霊が好意で張ってくれている安全地帯で、いそいそと修繕の準備を始める。

 おっと、その前に材料チェックしなきゃね。


 鞄の中を調べると、まぁ見事にパンパンで驚いた。昨日のモンスターやNMとの連戦の結果もさることながら、最後に発見した宝箱の中身もビックリする程多かった。

 ってか、一部は鞄に収まり切らなかったので、仕方なく船長NMの落としたマントに包んで運び出した次第……マントもまさか、自分が風呂敷代わりにされるとは思わなかっただろう。

 性能は素晴らしいけど、暫くはこのまま風呂敷代わりに甘んじて貰って。


 まぁ、それ程に昨日の最終戦と宝箱の中身からの報償が多かったって見方もある。量もそうだけど、質も恐らく凄いんだろう……時間に追われたせいで、確かめる術も無かったけど。

 うん、良く分からないモノも幾つか混ざってるなぁ。琴音ことねやベテラン勢にその性能は訊き出せたけど、その使い心地や自分との相性は依然として不明なまま。

 取り敢えず、昨日の冒険の主要な取得アイテム及び装備品はこんな感じ。


 大蛾と大猪NM――大猪の牙と皮、雷の術書、

 海辺の洞窟(未踏破ボーナス)――水魔法《水中呼吸》、冒険スキル《地図形成》

 海賊船長NM――革の幅広ベルト、海賊のマント、闇の術書、闇の水晶玉×4

 土地と手下――虹色の果実、海賊の大斧、海賊の長槍、海賊のサーベル

 最後の宝箱――各種インゴット、各種薬品、各種宝石、お金、闇の眼帯

      ――緋色の頭巾、海月の呼び水、海豚の呼び鈴、宝珠《清き水》

      ――皆伝の書:武器、金のメダル×3、初級職『初級海賊』、魔石(中)



 この中ですぐに使えそうなのは、やはり海賊ゾンビの落としたサーベルと、両手武器の大斧と長槍だろう。武器スキルはどれも皆無なので、スキル無しで使う前提だけど。

 攻撃力はどれも10前後と高いので、普通に使っても問題の無いレベルではある。耐久値も高いしね、片手剣や大斧がメイン武器の人は貰って嬉しいには違いないんだけど。

 生憎こちらは、短槍と両手棍が主力武器な訳で……。


 まぁ、あちらもコッチの都合で、ドロップや宝箱の中身を変えてくれる訳も無いし。致し方の無い事ではある、武器が全て壊れたのが計算外だっただけで。

 その点、装備品のドロップは有り難くてすぐに使う事に。と言っても、マントは風呂敷にしているので使用不能。必然的に、新装備はベルトのみとなってしまった。

 それでも心はウッキウキ、何故ならポーチ数が増大したからだ。


 これでパウダーも水晶玉も、仕分けて収納出来て使い放題である。戦闘中での鞄からの使用は、前にも言った通り自殺行為なので、このポーチ付きベルトは防御値の上昇以上に有り難い。

 魔法付きの装備類は、普通に考えて良装備である。ただし、付属の魔法の使用に色々と制限があると聞いて……ってか、防御値も無い便利装備なので、普段使うメリットは余り無い。

 せいぜいが、お洒落装備扱いである……まぁ、見せびらかす人はいないんだけどね。それでもいざと言う時にすぐ使えるように、鞄に仕舞っておく事にした次第である。

 そんな訳で、実は装備に大まかな変更は無いと言う。


 ――闇の眼帯 耐久-、防-、闇魔法《Dビジョン》使用可能

 ――緋色の頭巾 耐久-、防-、炎魔法《炎テンション》使用可能


 魔法の防具は、こんな感じで耐久値が無い代わりに防御力も存在しないと言う。その代わりに付加されている魔法が使えるのだが、これにも使用条件が。

 例えば『闇の眼帯』なら、装備した人が闇魔法を一つでも覚えていないと発動しないらしい。そんな訳で、俺は闇の眼帯は使えるけど緋色の頭巾は使用不可。

 ちなみに《ダークビジョン》は暗視魔法で、《炎テンション》は攻撃アップの強化魔法らしい。


 換金性の高い宝物類や素材は、これも取り敢えずは放置の格好で。鞄の中に放り込んで、無くさない様に。逆にすぐ食べる保存食や簡単に取れる素材系は、風呂敷マントの中へ。 

 すぐ使えるモノ……そう、魔法が使える様になったんだ!!


 再び魔法戦士を目指せる嬉しさの根源は、ラマウカーンから貰った報酬の『契約の指輪』である。これによって、妖精が装備欄の主から従者へと格上げになった模様。

 良く分からないが、精霊の説明によるとファーのスキルに《幸運付与》と《魔法阻害》ってのがあって、晴れて従者になる事で悪い方の性質が表に出なくなったらしい。

 良い性質の《幸運付与》の方は、残してくれるとの事で。


 嬉しい計らいのせいで、俺の運値は相変わらず余裕の20超えをキープしている。ちなみにファーも、どさまぎで精霊から何やらアイテムを貰っていた。

 他にも特別に、『魔除けの香炉』と言うアイテムを譲って貰えて大喜び。これはフィールドで使用すると、モンスターが入って来れない結界を作り出してくれるらしい。

 ちょっとした休憩とかに、とても重宝しそうである。


 丁寧にお礼を言って、もう少しこの安全地帯に居座る許可を得て。新しく魔法を覚えたり、昨日再び貯め込んだスキルPの振り分けをしたい思いはもちろんあるけど。

 まずは失ってしまった武器の製作が先、それを失敗したら最悪サーベルか斧デビューするしか手が無い。取り敢えずアイテム整理を終え、新しい武器のレシピを脳内で紡ぎ上げて。

 いつもの、なんちゃって合成で作り上げる流れに。


 この中で、短槍の作成に使えそうなのは……やっぱり、尖っていると言えば『大猪の牙』かなぁ? 以前の女王蜂の針に比べるとかなり太いが、まぁ何とかなるだろう。

 棍棒はどうしよう、取り敢えずは前の形状で1本作っておこうか。先端に重い石を括り付けるとか、変えようと思えば色々と手は加えられるとは思うけど。

 下手に弄って、操作性が失われると慣れるまで大変そうなので今はパス。


 そんな訳で製作開始、そんな俺の手元を鴉モドキが興味深げに覗いて来ている。どうやら人間の器用な手先に感心している様子、そりゃあ彼は元の型からして鳥類タイプだしねぇ。

 妖精のファーも、彼女にしては大人しく見学を決め込んでいた。ちょっと緊張するが、幸い素材は全て揃っているので問題無い。まずは手軽な棍棒かな、木材を黙々と削って行って。

 ナイフも意外と便利だ、戦闘には全く使ってないけど。


「人間とは器用なモノだな、その器用さを見込んで少々頼みがあるのだが……。実は我らは、信仰される事でより多大な力を得る事が可能なのだ。

 つまりそのぅ……我の為に、ほこらを作って貰えないだろうか……? 小さいモノで良いのだ、勿論しっかりと報酬は支払う。

 どうだろう、この条件で頼まれてはくれまいか?」

「へえっ、それは……別に良いケド、期限とか最低限の大きさとかもう少し詳しく教えてよ。こっちも色々とお世話になってるし、依頼を受けるのにやぶさかではないよ?」

「おおっ、頼まれてくれるか! 別に急ぐでも無いし、材料もそちらで集めて貰わないといけないし。長く掛かりそうなら、途中経過の報告にこの東の森に寄ってくれればいい。

 我は大抵、この近くにおるから」


 何と、クラフト系の依頼をひょんな事から受けてしまった。さて、どうしたモノか……材料の当てと言えば、あの落下した馬車くらいしか今の所思い付かない。

 今からそちらに向かうなら、途中で安全地帯に寄ってみるのが良いだろう。今日の分のクエ依頼書をチェックしたり、薬品や修繕交換券も新しく貰える気がする。

 ただし、前もっての計画だと今日は北の森でポーション集めだったり。




 さて、森の精霊からの依頼は受けれたけど、安全地帯に寄れていないのが少し不安。恐らく今日も、何かしらのクエ依頼が貼り出されている筈なんだけど。

 ちなみに今日の分のログインボーナスもあるみたいだけど、実は実体化させていない。スタミナポーションと闇の秘酒と言う、どちらも初見の薬品らしいんだけど。

 鞄を圧迫するのは必至なので、取り出すのを諦めた次第。


 スタミナポーションはその名の通り、簡易スタミナ回復薬みたい。食べる物や時間が無い時は、まぁ重宝するとは思う。闇の秘酒はSPが溜まり易くなるらしく、ボス戦とかの前に使えば有利かも。

 今日のログインボーナスを見た幼馴染ことねが、親切にもメールで知らせてくれて判明した効能である。せっかく手間を掛けてくれたのに、まるっと無駄は少し悲しいけど。

 今は本当に、鞄に余裕が無いのだから仕方が無い。


 色々と迷ったけど、今日は最初の計画通りこの海岸沿いをそのまま北上する事に。安全地帯にはどうせログアウト時に寄るのだし、時間の節約と割り切って。

 何しろ既に、工作で時間を結構費やしてしまっているのだ。寄り道せずに、さっさと北の森探索を進めてしまおう。目的はポーション集めと、出来たら北の森の虹色の果実ゲットだ。

 そんな訳で、森の精霊にお別れを述べて探索スタート。


 歩き出して数分も経たない内に、昨日見た感じの大蛾の集会に出くわしてしまった。これを見逃す手は無い、経験値稼ぎにと早速新調した棍棒を手に戦闘準備。

 しかしコイツ等って、無駄に集まる習性でもあるのかねぇ? まぁ、昨日の密集度よりは数段落ちるけど。昨日入手した闇の水晶玉も戦闘開始時に使用して、景気よく行こうかな。

 そんな感じで、今日最初の闘いを始めて。


 もちろん快勝、昨日の開始時より格段に強くなった感覚をしっかりと味わいつつ。そしてスッポリと失念していた事態を、戦闘後に思い出すと言う。

 魔法を覚えるのを忘れていた、あんなに感動してたのに!!


 そんな訳で、休憩しつつ自分のステータスを見ながらスキルP振りなど。術書で魔法スキルが伸びるそうだから、今回は風魔法を4まで伸ばそうと思う。

 ついでに《風の茨》のカードも使用、振り込んで覚えたのが《風属性付与》と言う強化系の魔法だったのだけど。悩んだ末に、今回は攻撃&捕縛ほばく系の魔法を覚える事に。

 “捕縛”ってのが、多数を相手にするのに便利そうだったので。


 他の魔法も覚えようと思えば可能だったんだけど、今回は見送る事に。一度に複数個覚えても混乱の元だし、水系の魔法は宝珠があるのでスキルP無しで獲得出来たんだけど。

 取り敢えずは保留で、水魔法はあんまり食指が湧かないってのもあるけど。自分で使わなかったら、琴音に融通する手もある訳で。

 あんまりたくさん覚え過ぎても、逆に使い辛いだけだよと忠告もされていたし。


 何しろ魔法は、スロット要らずで幾つでも覚えられるのだ。だから別に必要な数だけ覚えれば、後は伸ばさず放置……って感じの冒険者も、割と多数を占めるらしい。

 特に魔法剣士は、スキルPを武器にも振り込まないといけない訳だし。ただし魔法の威力や効果時間は、振り込んだスキルPが多い方がもちろん高くなって来る。

 あれこれ伸ばすと、器用貧乏になるのは当然ではあるんだけどね。


 とにかく、それでもまた魔法戦士を目指せるのは嬉しい事だ。昨日の海賊ゾンビや他NMのお陰で、また無駄にスキルPが増えてくれたし。

 新しく覚えた風魔法に慣れたら、またどれかスキルを覚えてみようかな? とにかく昨日のゾンビ軍団は強かった、今後も強い敵はどんどん出て来るのだろう。

 こっちも負けない様に、強くならないと。


 いやでも、棍棒が壊れた時は本当に焦ったよ。予備の武器があって本当に良かった、今回も一応予備の武器はすぐに使える様に鞄からは出しておこう。

 そんな訳で、レベル8に成長した現在のステータス。



 名前:ヤスケ   初心者Lv8   種族:ミックスB


筋力 18     体力 20     HP 62(+6)

器用 19     敏捷 18(+2) MP 48

知力 15     精神 15(-4) SP 45

幸運 14(+8) 魅力 6(+3)  スタミナ**


職業(1):『新米冒険者』Lv8

武器(4):《ブン回し》《落とし突き》《撃ち上げ花火》《》

補正(3):《投擲威力20%up》《》《》

武器:弓矢1P

  :短剣1P

  :短槍4P《落とし突き》

  :両手棍8P《ブン回し》《撃ち上げ花火》

  :投擲4P《投擲威力20%up》

魔法:『闇』(4)《Dタッチ》

  :『風』(4)《風の茨》

種族:『ミックスB』(幸運+2、魅力-1)

称号:『蝶舞』『猪突』

モネー:21、500

スキルP:6



 ***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***


武器 :大猪の牙の木槍(4)  攻+5

武器2:粗末な木の棍棒(4)  攻+4(両手時+6)

予備 :研ぎ直した粗末な石斧 耐久3、攻+4(投擲可)

盾  :粗末な木の盾(3)  防+2

頭  :犬獣人の兜(4)  防+3

上着 :質素な狼皮ベスト(5)  防+5

指輪1:耐魔の指輪(2)  耐魔20%

指輪2:契約の指輪(-)  従者+3

腕  :粗末な革の腕輪(2)  防+1

ベルト:革の幅広ベルト(7)  防+5、ポーチ×4

下肢 :疾風のズボン(8)  防+7、敏捷+2

靴  :粗末な革の靴(2)  防+1

従者:妖精Lv1  幸運+6、魅力+4、精神-4

鞄:魔法の鞄(初心者用)

アイテム:ポーション(大)、ポーション(小)×1、毒消し×2、マナポ×3

    :雷の術書、闇の術書、潤いの蜂蜜×3、魔石(小)×4、魔石(中)

    :蛇の皮、蛇の牙、大猪の毛皮、虹色の果実×3、闇の水晶玉×4

    :水の術書、料理キット、冒険者セット《地図形成》《水中呼吸》

    :宝珠《清き水》、緋色の頭巾、闇の眼帯、海賊の大斧、海賊の長槍

    :魔除けの香炉、金のメダル×3『初級海賊』海賊のサーベル、薬品箱



 うん、お金が無駄に増えてしまった……鞄を圧迫しないので、別に幾らあっても良いんだけど。海賊ゾンビとその手下のドロップ、さらに宝箱の中にもいっぱい入っていたし。

 宝箱と言えば、中に入っていた魔法付きの装備なんだけど。闇の眼帯《Dビジョン》は夜と暗い洞窟とか限定で使えるとして、緋色の頭巾《炎テンション》は炎魔法スキルが無い自分では使えないみたい。

 ちょっと残念、でも防御力の無い装備だから使うにしても微妙かも。


 何よりの注目ポイントは、さっき作り直した木の棍棒と大猪の牙の木槍である。棍棒の方は前回のと性能は一緒、牙の木槍は我ながらなかなかの逸品である。

 製作に時間を掛けた甲斐があった、これで不慣れなサーベルや斧を使わずに済むと言うモノだ。これら予備武器は重いので、否応無く鞄行きとなっている。

 性能は良いのに、誠に残念な結果なのは否めない。


 使えないと言えば、残念なのが海賊のマントである。しかも使えない理由が、風呂敷包み替わりに物を包んでしまっているからと言うね。

 雑魚モンスターの落とした良く分からない素材とか、ファーが採集して来た森の実りはすべてこの中行きだ。少々邪魔だが、それを背負って行動している。

 そして安全地帯にも、剥き出しのアイテムを置いていると言うカオス状態。


 あっちはコボルトの落とした微妙に使えない装備とか、やっぱり木の実や森の収集物ばかりだけど。戻ってみて消えて無かったら、もう少し置くモノを増やしてみようか。

 幸い背負った包みは、戦闘の妨げにはなっていないので。暫くこのまま活動する予定、少なくとも今日の北の森の探索に関しても同様に。

 現状の最大の悩みだなぁ、アイテム問題は。


 増えると言えば、武器スキルも魔法も以前より増えて来て嬉しい限り。宝箱に入っていた『皆伝の書:武器』を使用した結果、武器スロットが3⇒4へと増えてくれて。

 同級生の話によれば、これは競売に出せば軽く30万モネー以上する結構なお宝だったらしい。宝珠も付いている魔法にもよるけど、相場は20万~100万モネーとの事で。

 うわぁ、海賊達ったらどんだけ貯め込んでたんだ?



 戦闘の幅も出て来たけど、逆に言えばどの手で攻撃しようか迷う場面に遭遇する可能性も。敵の弱点を華麗に突ければ良いのだけれど、毎回そんなに上手く行く訳も無い。

 それでも攻撃に選択の幅が増えたのは、単純に嬉しかったり。何しろ魔法戦士を目指しているんだし、自身ではそこそこ器用だと思ってるからね。

 さてさて、出来る事も増えたのは確認したし。





 ――それじゃあ、今日の探索を続けますかね? 







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