第14話 学校内のベテラン勢
ネタバレは禁止だと言い渡していたので、ピンポイントで果実の場所やモンスター配布図などは口にしない配慮をしてくれたっぽい。やれば出来る娘なのだ、琴音は。
こちらのヤル気を削がれなくて、まずは一安心である。
こちらの経緯を訊かれたので、俺は昨日の顛末を皆に面白おかしく話す事に。ゲームをしていない女性陣2人も楽しく聞いてくれたようで、その点は満足である。
称号なるモノを2つも手に入れた事実は、琴音と
確かにこちらはゲーム初心者、別の何かと取り違える事もあるだろう。
そこら辺は、事前に聞いていた『ステータスのスクショを撮って送る』方法で、無事解決してくれた。それによって、どうしてこうなったのと言う新たな問題が勃発したけど。
実際、1日でNMを3匹も倒した話は
しかしそれも、大量の報酬を見せつけて納得して貰えた様子。
この話をまともに聞いてくれたのは、ゲームをしていない
どうやらベテラン勢は、エリア探索はそこまで懸命にしない傾向にあるようだ。最初の職業の『初心者』の響きを嫌い、何よりお店が一つも無い森の状況に不安を感じるらしく。
そこから一刻も早く脱出するために、『始まりの森』を最短で駆け抜けてるっぽい。
こちらにしてみれば、どれが正常かなど分からない訳で。お喋りするNPCがいないのもお店が無いのも、そんなモノなのかと片付けてしまっていて。
不便ではあるが別段と文句を並べるでもなく、これがこのゲームのシステムなのだと勝手に解釈しちゃっていたり。そんな二極化が、初心者の俺とベテラン勢では起きている様子。
誠也の掲示板調べによると、ベテラン勢は5日でクリアが定番らしい。
「それで超混んでるスタートの街に着いて、後悔しちゃうみたいだねぇ……でもお店もNPCも仲間もいるし、クエは潤沢に受けれるし行動範囲は跳ね上がるし。
総合すると、やっぱり最短で街に辿り着く方が得じゃないのかな? 僕も姉ちゃんに最短で合流するよって通達受けて、森ではあんまり自由に動き回れなかった覚えが」
「大変だな、色々と……俺は割と好き勝手に、森の中を動き回ってるぞ? でも目的の果実は、琴音より多い3個集まってるし。
今更改まって、方針を変えるつもりもないけどな」
「恭ちゃんは、それでいいと思うけど……うわぁ、本当にたった3日じゃ考えられない位に、鞄から溢れる程の戦利品集めてる……。
魔法付きの良装備とか、宝珠や皆伝の書とか色々……うわぁ、やっぱり恭ちゃん、冒険者の適性があったんだねぇ!
こんなの絶対、普通じゃ考えられないよ……!!」
なんだよ、冒険者の適性って? いつものお昼時間、校舎の隅のお気に入りのランチ場所で、俺達はいつもの様に昼食をとっているんだけど。
いつもの会話では飛び出さない、冒険者の適正と言う変テコリンなキーワードが。ゲーム脳の琴音らしい言葉のチョイス、それを笑って聞いている幼馴染たち。
指摘された俺だけが、笑うに笑えないと言うね。
そんな事を言い合いながら開けたお弁当箱には、
友達には絶対に見せられないな、特に琴音に知れたら
女の神経は……もとい、琴音の思考回路は本当に意味不明だ。
「スタートの街の混雑具合は、本当に酷くてさ。初心者の講習クエとか冒険者ギルドで出来ないから、とうとうアップデートで街の広場に受け付けが建っちゃったんだ。
それでもクエ一つ受けるのも、割と時間が掛かっちゃって大変なんだよ。今スタートの街の冒険者達の指針は、さっさと条件満たして次の街に進むか、クエ以外でレベル上げるかどっちかみたいだね。
僕と姉ちゃんは、もう次の街に進む算段になってるよ」
「次の街って、確か全く新しく創られた限定サーバオリジナルでしょ? そっちも色々大変そう、街の地形覚えたりNPCに話聞いて回ったり。
4時間しか活動出来ないのに、レベル上げしてる暇が無いんじゃない?」
そうらしい、何かよく分からないけど次に進んでも色々と大変みたいだな。全く知らない街中の情景を想像しつつ、俺は適当に相槌を打ちながら2人の話を聞き流す。
先行したベテラン陣勢は、一定の経験を備えているのは確かなんだけど。それを発揮しようにも、未だにこの限定イベントの“クリア条件”が言い渡されていないと言う。
それを不安と感じている冒険者も、少なからずいるそうだ。
こっちは必死に、その日の冒険を生き延びてるだけの有り様。その中で自信もついて行くし、もちろん反省材料も多々ある訳だし。こちらの生活と一緒、学校の勉強なども特にそう。
予習はともかく、復習はとても大事なのだ。
「せめて限定サーバ内の限定イベントとか、積極的に開催して欲しいよねぇ……
「なんだ、そうだったのか……やけに気前がいいなとは思ってたけど。ってか、それって始まりの森にも適用されてんの?
そもそも、俺は元のドロップ率とか知らないし」
「恭ちゃんはそうだよねぇ……ドロップ率はともかく、レア種に遭遇する確率が酷いもん! そのレベルで従者に妖精連れてる時点で、何か変だし!」
変って何だ、ファーは俺の陽気な相棒だぞ! ベテラン陣の話を総合すると、俺のプレイは破天荒で他に類を見ない進行振りらしい。
そう言われれば照れるけど、定型を知らないから我が身を省みる事も不可能だ。自分的には虹色の果実の集まりも上々だし、ベテラン陣の不安など関係ないし。
自分なりの流儀で、冒険者稼業を楽しむのみ。
皆でのランチを終えて、俺は独り少々早めに教室へと戻った。次の授業が移動教室なのと、その次の授業でレポートの提出もあったりしたので。
色々と準備の時間が必要で、抜かりないのは自分の性格上当然と言うか。そのため時間が余ってしまったので、移動先の教室でさっきの話題のスマホの自分のアバター画面を眺めつつ。
今日のインでの、計画などを練って楽しんでいたら。
「あっ、
「ってか、例の君の幼馴染が喋ってたのを偶然小耳に挟んだんだけど。何か、絶対勝利宣言まで口にしてるみたいだし、凄い熱の入れようらしいね?」
「あれっ、これって八崎君のアバター情報……? こっちも知りたい情報出すから、ちょっとだけ見せてくれないかな?」
自分の世界に浸っていたら、辛うじて顔見知りの隣のクラスの4人組に話し掛けられた。移動教室は一緒だけど、クラスは違うし普段は話とかしないのだけど。
ちょっと話してみたら、どうやら彼らも『ミクブラ』のベテラン勢っぽい事が判明して。琴音はゲームの世界では割と有名らしいが、同学年の間でも結構
その彼女が打ち出した、勝利の方程式が気になって仕方無いらしい。
「あぁ、あいつは妄想
一週間遅れの参加だし、賞金を本気で取れると盲信してるのは琴音だけだから」
「いやいや、八崎君の武勇伝は色々と聞き
ここでも適正か! どんな理屈だと
その原因は主に、感情が過敏な幼馴染の琴音に起因するけど。とにかくそんな思惑で、心の中の不機嫌を表に出さず。適当に相槌を打ってると、いきなり1人が絶叫した。
どうやら俺のスマホを受け取った人が、そのステータスを見て驚いたらしい。
ちなみに、琴音がこの学校で有名な理由だけど、それはひとえにその目立つ容貌にある。性格的な問題は置いといて、美人だとの評判は上級生にも下級生にも知れ渡っていて。
何と言うか、それに付随して俺の名前も何故か学校中に広まっているらしく。自分や俺に対する余計な吹聴は、琴音の十八番でもあったりして。
そんな訳で、俺達2人は
これは俺に、余計な虫がつかない様にとの琴音なりの作戦らしいのだけど。それが俺に筒抜けなのは、幼馴染の単純な思考
お陰で学校生活が妙に堅苦しくなったのは否めない、苦情を並べ立てる程では無いけれど。どうせクラブ活動もしないと決めてたし、誠也たち昔馴染みの友達もいるし。
だからこんな感じの、同級生との距離間は珍しかったりして。
「八崎君、このたくさんのアイテム……どこでゲットしたの!? 君って確か、まだ『始まりの森』から抜けだしてないんだよねっ!?
魔法付きの装備とか宝珠とか、皆伝の書とか……冒険スキルの書まで持ってるじゃん! えっ、ステータス画面じゃまだレベル8なのに、何でっ!?」
「本当だ、うわっ……お金も凄い持ってる、俺よりリッチじゃん! どこで何したらこうなったの、八崎君っ!?」
「えっ、それは海岸の洞窟で宝箱を発見した時の証拠映像的な……いや、幼馴染が『称号』を2つも同時に取れたのが信じられないって言ったから、その証明映像?」
「……うわっ、本当に『称号』2つも持ってるよ、このアバター! それって普通じゃ、絶対にありえないよっ!?」
そんな事言われても、貰ったのは事実なのだから仕方が無い。それよりもっと、建設な話がしたいんだけどな……他プレーヤの武器や魔法の構成とか、アイテム情報とか。
しかしアレだな、バーチャゲームを始めただけで会話のネタに困らないって凄い事だな。琴音の話だと、ゲーム内で知り合って友達が出来ちゃうなんてザラらしいし。
小説を読むのは趣味で今でも好きだけど、ゲームはまた別モノだな。
あるTVのコメンテーターが、ゲームなんか幾ら遣り込んでも現実に持って帰れるモノが無いから無駄だと言ってたけど。そんな事は無いと思う、だってこんなに熱中するたくさんの人達がいるのだから。
それはともかく、連中からの質問が凄いと言うか熱い。称号を取得した経緯とか、洞窟を探索した顛末とか色々。隠し立てする程でも無いが、長々と説明する時間も無いし。
簡略的に答えつつ、そっちが騒いでる理由も説明して貰う事に。
それによると、どうやら現役サーバでは『称号』なるモノは取得がとっても大変らしく。ほぼ運による獲得が大半で、例えば中級の冒険者でも2つ持っていれば良い方なのだとか。
ちなみに等級の変化だが、初心者⇒初級⇒中級⇒上級って感じに上がって行くらしい。そこら辺の説明でお昼休み終了のチャイムが鳴ったが、話はこれで終わらなかった。
次の移動授業が、先生の都合で急きょ自習になったのだ。
ウチの学校、進学校なのに結構こんな事態が多く存在する。講師に有名な先生が多いので、どこかに講義に出張とか雑誌の締め切りがどうのとか、割とそんな言い訳がまかり通るのだ。
何だそれはとこっちは思うけど、授業自体は面白いのでそんな先生に限って人気はある。この選択授業もそうで、自分的には割と残念ではあるけれど。
話し掛けた4人組は違った様子、これ幸いとゲームの話を続ける模様。
ってか、いつの間にか話に加わる生徒が増えてるんですけど。『ミクブラ』って、プレイしてる人口多いって、本当だったのかね……何の話だっけ、そうそう称号だ。
例えば取れる条件が分かっている称号もあるけど、それだって物凄く高いハードルがあって。フィールド探検総時間を一定以上、ずっと死なずにプレイするとか。
これが意外と大変らしい、他の既に条件が判明してる奴も似たような難易度らしく。
後はエリアボスやそれ以上強いレア種を、ソロで撃破したら貰えたって奇特な冒険者の報告も上がっているらしいんだけど。まぁまず無理、常識を疑う強者以外には。
俺の場合、NM2匹との同時戦闘がトリガーじゃないかと、皆が額を付き合せて推測合戦が始まっていて。秀才が多いからな、この学校……それだと俺の無駄に高い幸運値のお陰って事になるのかな?
それもかなり話題に上がった、とにかくNMとの遭遇も抽選だから、レア種かち合わせも酷い偶然の為せる業になる。俺のアバター、人間ベースなのでステ数値は平均寄りである。
やたら浮いてる幸運値は、つまり相棒の妖精のお陰って事で落ち着いて。
「しかし、初心者レベルなのに従者持ちって……でも魅力値は低いんだね、八崎君のアバターって。街に出たら苦労するかもね、割とこのゲームはステ数値が反映されやすいから」
「それにしても既に成功冒険者って凄いね、八崎君……スタートの街に出たら、誰と組むかとかもう決まってるの?」
「まぁ……取り敢えずは幼馴染の琴音かな、一応スポンサーでもあるし」
それを聞いた途端、その場にいるほぼ全員が「あぁ……」ってな同情に似たため息を発した。大変だねぇみたいな心情が込められている気がして、ちょっと心が痛む。
琴音は確かに美人だが、猛獣認定されている部分も確かにあって。俺に対しては、猛獣使い的な立場で秘かに知れ渡っているらしくって。
カップルで幸せそうと羨ましがられるより、こんな感じで同情されていると言う事実。
古くからの知り合いの、誠也や環にしてもそうだもんなぁ。どうもこの学校内でも、そんな風評が定着してしまっている感じで羨む視線はほぼゼロと言うね。
まぁこっちも、妬まれたり疎外されるよりは同情される方がマシである。余り考え込むと自分が情けなくなるので、そう思う事にしている訳だ。
……琴音だって、付き合えばそんな悪い奴じゃないんだ!
そんな最初に話し掛けて来た同級生達は、皆が魔族ベースの冒険者で統一しているっぽい。確かステでは筋力と精神力が高かったんだっけ?
つまりは割と前衛寄りのキャラになるのかな、取り敢えず合流するまでは順調に進んだとの話だったけど。街の大混雑と、PKの多さで思わぬ停滞を味わってるらしい。
脱落者を出さずに、今は何とか次の街に辿り着こうと画策しているとの事。
他人の動向を訊くのも、結構面白いな……4人は同じ塾通いの縁のメンバーで、がっつり3年以上『ミクブラ』の4倍速の世界を堪能しているそうだ。
さすがに秀才揃いで、こちらの質問にも明確に答えてくれる。琴音や誠也とは全く違った切り口で、彼らはこの限定賞金サーバ事情を分析しているみたいで。
傾向と対策を盛り込んだ分析力は、正直こちらも舌を巻く程。
その彼らなりの分析結果は後回し、先に宝箱からゲットしたアイテムの用途を説明して貰ったので。それを聞いて思ったのは、すぐに使えそうな物はあんまり無いなって事。
その筆頭は、冒険スキルの《地図形成》だろうか。これはいわゆる、冒険に役立つ“便利スキル”なのだそうで。武器や補正スキルみたいに自在にセット可能らしく。
一緒に活動するメンバーと手分けして、色々と覚える類いのモノみたい。
ふむふむ、なるほど……例えばこの《地図形成》があれば、パーティでの野外活動がマップ自在で楽になるとか? 彼らの説明だと、本当に色々と種類があるらしい。
それこそ無いと困る系のスキルから、こんなの役に立つのかって類いのスキルまで。
ただしこの冒険スキル、指導者がいないと覚えられないらしい。要するに、そのスキルの詳しい人に教えを乞うて取得する流れみたいで。
つまり冒険スキルとその教え手、この2つが揃ってないと覚えられないみたい。その代わり、一度覚えたら好きにスキルスロットに入れ外しが可能との事で。
なるほどなぁ、これはなかなか取得は大変そう。
「そうでもないよ、街に来れば冒険者ギルドで指導者を紹介して貰えるし。逆にスキル書を集める方が、クエストこなしたりお金が掛かったりで大変かな。
だから『始まりの森』でゲット出来たのは、超ラッキーじゃないかな?」
「それを言ったら、宝珠もなかなかの出物だねぇ……普通に冒険してても、なかなか巡り合えないから。パーティで頑張ってダンジョン制覇して、ようやく報酬に入っててもさ、挙げ句はパーティ内で取り合いだからねぇ……?」
「でもこの宝珠っての、水魔法の《清き水》だっけ……? 多分だけど、これって便利系の魔法だよな……いまいち、覚えようって食指が湧かないんだけどさ」
俺の返しに、同意が2人……残りの2人は物は考えようって意見だった。現実世界に置き換えてみれば、水を好きに出現させる魔法って超便利じゃないかとの弁舌で。
バーチャ世界も似た部分は確実にあるんだから、それほど
柔軟な発想で、何事も角度を変えて見るのは大事な事だ。
『呼び水』と『呼び鈴』に関しては、琴音の簡単な説明よりは詳しい情報を得られた。呼び水は特定の場所で好きな時に、NMと対戦出来るトリガーアイテムで、5万~20万モネーで通常サーバでは取り引きされるそうだ。
もっとも、トリガー投入ポイントはエリア毎に一定数しか存在しない。そこ以外では湧かせられないので、注意が必要との事。
呼び出される敵の強さやドロップは様々、そこはトリガーの名前や説明文で推測するっぽい。一方の呼び鈴は、お助けモンスター召喚用のアイテム。
これも強さや呼び出し時間は様々、説明文で確認との事。
これで昨日得たアイテムで用途不明なのは『皆伝の書』と『初級海賊』のカードくらいか。いや、さっきの昼休みにも琴音と誠也に簡単に説明を受けたんだけどね。
ゲームしていない組の環と奈美のいる手前、突っ込んで詳細を聞き出す時間も取れず。後でいいやと、割と放っておかれた事柄だったり。
ここにはゲーマーしかいない訳だし、これ幸いとがっつり質問する。
「皆伝の書は凄くラッキーだね、価値は高いよ……ウチのサーバでは30万前後かな? これはスロット増やすアイテムだね、武器と補正と冒険スキルを増やす3種類があって、これは武器スキルをプラス1出来ちゃう」
「最初のスロット数は、種族や混血具合で各々違ってるけど、まぁぶっちゃけ多くて4程度だね。平均取ると3くらいでしょ……スロット数が2ってのは、割とキツイ」
「俺は冒険スキルのスロット2しかないけど、その分武器スロットが4あるから……最初はそっちのが有利なんだ、後は本当に八崎君の持ってる『皆伝の書』とかクエやドロップ報酬で増やして行く感じ。
あっ、上級職にチェンジしても、スロット数とか色々上がるから!」
なるほど、割と良品が混じってたようだな……これはインしたら、自分で使う事にして。海賊のジョブカードは、あまり触れられなかったけど価値は低いらしい。
つまりはどうしても海賊プレイを楽しむんだ! ってテンションで無ければ、売ってお金にする程度でしかないカードのよう。職選びは慎重にとは、助言を貰ったけど。
職によって、色々と補正が付いたりとかするらしいし。
自分のこだわりを、一番主張出来るのもこの『職業』選択らしいんだけどね。ただしノリだけで選ぶと、さっきも言った補正とかで台無しになってしまうので。
例えば『初級海賊』になったとすると、海での行動やサーベルの扱いが上手になるっぽい。『狩人』とかだと、森での行動や弓矢スキルに恩恵が付くとかそんな感じ。
なるほどね、確かに慎重に選ばないと損をしそう。
この“職カード”だけど、初心者レベルが15に達すると、自動で色々と貰えるらしい。例えば主に剣を使って戦闘してたら『剣士』のカードが、魔法と剣だと『魔法剣士』とか。
職の指針がその時に決まるらしいけど、どうしても全く別の職に就きたいと思ったら。普通に街のお店でも売ってるらしいので、そちらを活用する人も多いらしい。
後は、物凄く変なプレイをしてレア職を出す冒険者も稀にいるのだとか。
「……出しそうだよね、八崎君とか」
「失礼な、俺はごく普通に、真っ当に冒険してるぞ!」
俺の精一杯の反論は、しかし同級生には賛同を得られなかった模様。甚だ残念だが、これは今後のプレイで納得させて行くしか無いようである。
そして最後に、彼らが『ミクブラ』の限定サーバで得た感触からの推論を語っておこう。まだ10日間程度だけど、今までの変化と言えば“ドロップ率アップ期間”のみ。
温すぎるスタートダッシュに、周囲も不審感を募らせて。
出遅れは致命的だと感じていた面々も、このゴールが未だ明確に示されていない現状に。これは長丁場になるのかなと、次第に予想がなされて行って。
それが“中間の街”の発見に至ると、これは相当に手が込んでいるなとの確信に変わって。始まりの森もそうだったけど、前準備にかなりの手間を掛けているのが知れ渡り。
何しろ全て現在サーバに無い特別性である、1か月程度では終わらないとの推理。
「まぁ、その内に動きがある筈だよ……僕らはただそれを、楽しみに待つだけだね」
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