劉裕91 韓延之勧誘   

司馬休之しばきゅうし征討前、劉裕りゅうゆう

司馬休止の部下である韓延之かんえんしに宛て、

内密に投降するよう誘いをかけています。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888050025/episodes/1177354054888846780

では省略をしたので、

こちらでは宋書に残る全文を。



文思事源 遠近所知

去秋遣康之送還司馬君者

推至公之極也

 司馬文思しばぶんしの無法は

 だれもが知っている事である。

 昨秋にかの者を

 司馬休之へと送り付けたのは、

 処刑せよ、という事であった。


而了不遜愧 又無表疏

文思經正不反 此是天地之不容

 しかるに司馬休之の処置は

 極めて生ぬるいものであった。

 そのような軽微な処罰では

 世に示しがつかぬ。


吾受命西討 止其父子而已

彼土僑舊 為所驅逼 一無所問

 これより我らは陛下よりの命を賜り、

 司馬休之、文思らに

 厳正な処罰を下さねばならぬ。

 荊州けいしゅうにもともと住まう者らにも

 迫りゆく結果となっておるが、

 かの者らを罪に問うつもりはない。


往年郗僧施 謝邵 任集之等

交構積歲 專為劉毅謀主 所以至此

 往年の郗僧施ちそうし謝邵しゃしょう任集之じんしゅうしらへの

 処罰については、

 劉毅りゅうきを謀主に担ぎ上げ、

 謀反を起こそうとしたからに他ならぬ。


卿等諸人 一時逼迫 本無纖釁

吾處懷期物 自有由來

 そなたらにも軍を

 差し向けるような形に

 なってしまってはいるが、

 そなたらには何の落ち度もない。

 我は分け隔てなく、

 多くの者を迎え入れたいと思っている。


今在近路 正是諸人歸身之日

若大軍登道 交鋒接刃

蘭艾吾誠不分

 此度は正しき主に仕える好機である。

 干戈を交えるようなことにでもなれば、

 令才凡才別け隔てなく、

 我は刈り取ることとなろう。


故具示意 并示同懷諸人

 故にここに、我が意志を示す。

 我が思い、あわせて同胞らにも

 示していただきたく思う。




「文思事源,遠近所知,去秋遣康之送還司馬君者,推至公之極也。而了不遜愧,又無表疏。文思經正不反,此是天地之不容。吾受命西討,止其父子而已。彼土僑舊,為所驅逼,一無所問。往年郗僧施、謝邵、任集之等,交構積歲,專為劉毅謀主,所以至此。卿等諸人,一時逼迫,本無纖釁。吾處懷期物,自有由來。今在近路,正是諸人歸身之日。若大軍登道,交鋒接刃,蘭艾吾誠不分。故具示意,并示同懷諸人。」


(宋書2-24_言語)




うーん、この辺初めから抄訳しなきゃよかったな……と言って劉裕と韓延之の応答はひとところにまとまってたほうが面白かったのも事実だしなぁ。


そしてこの応答で、劉裕の


若大軍登道,交鋒接刃,蘭艾吾誠不分。


ってセリフがあまりにもかっこよすぎる。これ、いまふうに言うと「俺がいったん“地ならし”し始めたら、止まらねえからな」みたいな感じになるんですよね。いや、やや厨二くさいのは否めないですがw

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