吐谷渾3 魏:二十本の矢
その長男が
病床の吐谷渾阿豺は言う。
「お前たち、一本ずつの矢を持ち寄れ。
それを死後の慰みとしよう」
続いて同母弟の
「お前にも一本を与える。
折ってみせよ」
言われたとおりに、吐谷渾慕利延は折る。
続いて吐谷渾阿豺は言う。
「では、今度は十九本の矢だ」
吐谷渾慕利延、折れない。そりゃそうだ。
吐谷渾阿豺は言う。
「お前たち、理解したか?
単体であれば折るのは容易く、
集まれば破砕は難しい。
力を尽して一致団結が叶えば、
この国は堅固なものとなろう」
そう伝えると、吐谷渾阿豺は死んだ。
その後は、
吐谷渾阿豺健在の頃、
国公任命の命が送られてきていたが、
結局吐谷渾阿豺はそれを拝受する前に
死亡してしまった。
そのため吐谷渾慕璝は改めて使者を立て、
劉義隆に就任の旨を伝える。
そのため劉義隆も改めて
吐谷渾慕璝は
また散在する諸部族の吸収をなし、
五~六百世帯の勢力となった。
南に
北に涼州や
その勢力は盛んとなった。
阿豺有子二十人,緯代,長子也。阿豺又謂曰:「汝等各奉吾一隻箭,折之地下。」俄而命母弟慕利延曰:「汝取一隻箭折之。」慕利延折之。又曰:「汝取十九隻箭折之。」延不能折。阿豺曰:「汝曹知否?單者易折,眾則難摧,戮力一心,然後社稷可固。」言終而死。兄子慕璝立。先是阿豺時,劉義隆命竟未至而死,慕璝又奉表通義隆,義隆又授隴西公。慕璝招集秦涼亡業之人及羌戎雜夷眾至五六百落,南通蜀漢,北交涼州、赫連,部眾轉盛。
阿豺に子二十人有り、緯代は長子なり。阿豺は又た謂いて曰く:「汝ら各おの吾に一なる隻箭を奉ずべし、地下にて之を折せん」と。俄に母が弟の慕利延に命じて曰く:「汝、一なる隻箭を取りて之を折るべし」と。慕利延は之を折る。又た曰く:「汝は十九なる隻箭を取りて之を折るべし」と。延は折る能わず。阿豺は曰く:「汝曹は知るや否や? 單なる者は折るに易く、眾かば則ち摧すに難し、力を戮し心を一とせば、然る後に社稷は固むるべし」と。言い終うるに死す。兄が子の慕璝が立つ。是の先、阿豺が時、劉義隆は命ぜど竟に未だ至らざるに死さば、慕璝は又た表を奉じ義隆に通じ、義隆は又た隴西公を授く。慕璝は秦涼の亡業の人、及び羌戎雜夷の眾を招集し五六百落に至り、南に蜀・漢に通じ、北に涼州・赫連と交わり、部眾は轉た盛んたり。
(魏書101-7_政事)
毛利元就のおはなしパクってるー! 矢の数増やすとか芸がなーい! やーだもー!
ていうかこれってもうちょっと前に元ネタがあった気がするんですけど、毛利元就調べれば出てくるんでしょうかね?
うーん、ロスチャイルドがスキタイの王のたとえを持ち出したって話は見掛けたけど、吐谷渾は鮮卑出身だから、実に雑にまとめればスキタイのお仲間と取れなくもないし、その辺なのかなあ。騎馬民族的なミームだったのかもしれませんわね。
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