第六章の⑧:新聞屋時代の思い出(集金編4)
*今回、現在であればコンプラ違反どころか逮捕物の行動してます。20年前で時効という事でご容赦を・・・
見事にやられた、その後しばらく通い詰めるも居留守か不在か。
どうやら昼の仕事と夜の仕事を掛け持ちしているような状態で、在宅も不規則。
こちらとしては最初に出会ったときになぜなにがなんでも回収しなかったのかと激しく後悔。
しかし、悔やんでいてもどうにもならないので会いに行くべく何度も訪問する。
当然会えない。在宅してあるであろう状況でも居留守をつかわれる。
電気メーターはクルクル回っているので、間違いなく在宅だが出てこない。
その内、遠方からバイクの音がすると電気が消えるという状況にも遭遇した(笑)
明らかに払う意思が無い。
さて、どうするか?
いくら契約がめちゃくちゃとは言え、契約は契約。支払うものは支払ってもらわねばならない、別に違法な金利で金を貸して取り立てているわけではないのだから支払ってもらわねば。
当然、店長からは集金率について突っ込みは入るし、パートは立て替え払いの分を取り戻したくてせっついてくる。(私が立て替えるのでなくてよかった)
思案した挙句、私はある手段に出た。
私の所属している会社をA社としよう。当然ライバルの新聞社であるB社も販売店網を持っていて、私たちと同じような販売店がある。
当然ながら、その販売店にも営業・集金を行う従業員がいる。
普段はすれ違えば会釈をするぐらいで基本は敵であるので会話もしない、仲良くもならない、相手の事も知らない、でも顔だけはお互い見知っている・・・程度の関係だが、とある日にその従業員が外回りをしている時間帯を狙って敢えて声をかける。
当然ガチガチのライバルから声をかけられることなど普段は無いので怪訝な顔で不審そうな対応をされる。
普通であればこんな事を外部に話すのは大問題であろうが、当時の私はそんなに問題とも思わず、その従業員に事情を説明する。
ビンゴである。
その従業員も例の顧客は回収にてこずる顧客であった事、連絡してもアポイントも取れないという事で悩んでいるとの事。
となると私の目論見通りで話が早い。共闘である。
無論店にバレると面倒なので二人で黙って実行したのだが、二人がかりで行動パターンを追跡し、帰宅時間やどのルートを通って通勤、帰宅するのかまで確認。他業務の比重を軽くしてまで、徹底して追跡した。
無論ばれないように徒歩とバイクを駆使して気づかれないように暫くリサーチを行って顧客の行動パターンをかなりの制度で把握するところまで行くと、ここからライバルとの打ち合わせ。この日のこの場所で両面から挟み撃ちし、二人掛かりで囲む。確か銀行に行けるように昼間にしたと思う。
今思えば、殆ど闇金の取り立ててである。ただ、当時は回収困難な顧客にはこういった手段も用いられていた事だけは言い訳をしておく。
結構日、ライバルと二人でルートを確認し顧客を見つけると、バイクで前後から挟み込み声をかける。当然客の方はしまった!と言う顔をしたが、私たちとしてはこれ以上回収を遅らせるわけにはいかないのでA社B社両方分を一挙に回収。
お客さんはしょんぼりしていたが、こちらとしては未回収の売り掛けを回収しただけであるので、当然として認識。
ちょいと話を聞くと、やはり新聞はロクに読んでおらず景品につられて契約しただけであったという事なので、私はその場で月末での契約終了を持ち掛け解約してもらう。その時当然、月末までの集金も行い、手書きで領収書を発行する。
ライバル社がどうしたかは確認しなかったが、多分解約したのではないだろうか?
まぁ、今思えばほとんどカツアゲみたいな集金だが、こうでもしないと回収できないお客さんも当時の新聞業界では全国に山ほどいたのが現実。
それだけ、当時から新聞業界も部数の維持に必死であったという事は言えるだろう。
私も、当時はこれが法に触れるか触れないかわからない回収方法であったという認識もなく、何が何でも回収するという考えしかなかったのが今思えばぞっとする。
このお客さんに限れば、会えなくなった時に何とかして会おうと夜電気がついていると、アパートの塀と壁をよじ登って窓をドンドン叩いて呼び出したりもした。出てきてはくれなかったが・・・今なら間違いなく逮捕案件である。
よくよく考えれば、こんなことを問題視していなかった店もおかしいとは思うし、むしろ回収率100%で褒められたのも、明らかにおかしい業界だったのかなぁ・・・と今では思う。
赤面どころかもしあの時逮捕されていればと青ざめるような話である。
まぁ、今は勿論そんなことをしてないし、新聞屋以降の仕事はこんな事をしなくてもよい業界への転職を果たしているので、良かったというべきなのだろうか。
さて、集金編はこれで終わり。次は営業編です。
多分皆さんが一番聞きたい話かもしれません。
それでは。
とっぴんぱらりのぷう
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