いつもの絵日記

みけねこ

入学式の日 ~前編~

 これは、私が小学校に入学した時の話だ。

 私が小学校の入学式に行った時は、いつもと違ってすごく無口でおとなしかったそうだ。いつもなら車に乗っている時も母さんとお喋りしたりするのに、その日に限って話しかけるまで一言も喋らなかったらしい。

 と、言っても私は父さんに「おお、今日は麻結は全然喋んねえじゃねえか」と言われるまで全くそのことに気が付いていなかった。「え、そう?いつもと変わんなくない?」と答えたのだが、「いつもは母さんとしゃべってんじゃんか」「麻結は今日は静かだねぇ」と立て続けに言われてしまった。

 学校に着くと、昇降口にクラス分けの紙が貼ってあった。私のクラスが何組か確かめに行くと、私の名前は2組の所に書いてあった。「お、麻結は2組だぞ」と何故か父さんの方が嬉しそうにしていた。2組だからってめでたい訳でもないし、何で嬉しそうにしているんだよと私は思っていた。

 教室に入る前に、廊下に並んで緑色の縁取りがある名札を貰った。下駄箱に貼ってあったビニールテープも緑色だったので、2組のイメージカラーは緑色なのかなと思った。前に並んでいた男の子が「おおつ ゆうき」と書いてある名札を貰っているのを見て、ああ、この子はゆうき君て言うんだ、なんか優しそうと思った。

 私も名札をもらい、教室に入って自分の席に座った。隣に座っていた女の子の机の名札には、「いしはら まい」と書かれていた。 

 まいちゃんて言うんだ、どんな子何だろう、可愛いなあ、仲良くなれるかな、などと私は隣のまいちゃんの事ばかり考えていた。

                              (後編に続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る