第2章:命の価値
第1話:七大悪魔の置き土産
(七大悪魔!? 嘘でしょ!? ジ・アース自体に張られている
ベル=ラプソティは七大悪魔と称する巨人たちがその口から吐く言葉を耳に入れ、そのような感想を抱く。ソロモン88柱と呼ばれる悪魔のひとり、
それゆえにベル=ラプソティは雲にまで頭が届きそうな巨人たちが物体として、地上界に降り立っているわけではないと断言するに至る。そして、口から泡を飛ばすが如くに皆に激を飛ばす。
「あらら? ワタクシたちが写し身であることがあっさりばれましたことヨ」
「なかなかに聡い逸材がジ・アースには居るっ!
「いやあ、こんなにあっさりばれるとは思わなったなあ。脅しだけで絶命させようとしたのだけどなあ?」
悪魔はヒトに囁き戦術を取ってくるのは周知の事実であった。それゆえにベル=ラプソティは皆に気を確かに持つようにと声を張り上げたのである。そして、企みを看破された巨人たちは満足気な笑みを浮かべながら、その存在感を希薄にさせていく。
しかしながら、7人の巨人たちは置き土産を置いていくという不気味な台詞を残す。7人の巨人が完全に消え去ると同時に、分厚くて真っ黒な雲が聖地全体に影を落とす。それと同時に地中からボコッボコッ! という音が鳴り響き、その地中から何かが出てくるのをベル=ラプソティたちに容易に想像させるのであった。
「なんじゃ? なんじゃ? 何かが地中から出てくるぞぉぉぉ!? 皆、下馬せよっ! 馬ごと持っていかれるでないぞぉぉぉ!!」
凱旋王ことディート=コンチェルト国主は皆にそう告げながらも、自分は蒼いタテガミが象徴の馬を巧みに操り、決して、馬から振り落とされることはなかった。そして、地中から這い出てきた怪物に対して、一番槍はもらったとばかりに馬を走らせる。
「見た目は
「あれは
カナリア=ソナタはベル様に凱旋王へ助成するように促す。しかしながら、空中から見る限り、凱旋王は馬を巧みに操り、
しかし、ベル=ラプソティは失念していた。地獄の番人は2人と1匹いることを。
カナリア=ソナタの忠言を受けて、考えを改め直したベル=ラプソティはコッシロー=ネヅに騎乗したまま、地上をじっくりと観察する。馬の頭を持つ悪魔。『
「そこよっ!」
ベル=ラプソティは空中から
「ちっ! もう一体居やがったってかっ! 牛頭のほうは親父に任せときゃ良い! 俺たちはこっちの馬頭の方に対処するぞっ! 決して教皇様に指一本触れさせるんじゃねえっ!」
凱旋王の息子であるクォール=コンチェルト第1王子は下馬して、教皇が乗る幌付き荷馬車を護衛していた。そして、
彼女はコッシロー=ネヅに騎乗したまま、空中から教皇が乗る幌付き荷馬車を安全な位置に移動させるための案内役を買って出る。ベル=ラプソティの後ろ側に乗っているカナリア=ソナタが戦場をくまなく目配りし、比較的安全であろう場所をベル様に指し示す。
ベル=ラプソティはコクリと頷き、空中から幌付き馬車の
「ここから南東に向かってっ!」
「合点承知の介っ! 教皇様、しっかりと掴まっていてくだせぇっ!」
ベル=ラプソティはカナリア=ソナタと共にその1匹の所在を明らかにしようと、空中から地上を睨み続けていた。そんな彼女らの不意を衝くように、残りの一匹が姿を現す。最後の一匹はニヤリと口の端を歪ませて、鋭い歯をその口の隙間からうかがわせていた。そして、大きく顎を開き、ベル=ラプソティたちをひと飲みにしてしまおうと襲い掛かる。
しかし、地獄の番犬の企みを阻止しようとする存在が居た。彼女は真っ直ぐに分厚くて黒い雲のとある一点をオープン型フルフェイス・ヘルメット越しに凝視していたのである。
「エールストライク・エンジェルモード発動デス。ベル様には指一本、触れさせまセン」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます