twenty one bullets 復活の朝
翌日。俺達は遅めの朝食を食べていた。
「う~……気持ち悪い」
児島は美味しいそうな朝食を見ながら失礼なことを言っている。
「頭痛ぇ……」
梁間も二日酔いらしい。
「2人ともダメですよ。今日は合宿最終日なんですから、気合入れていかないと」
2人とは対照的に、一条は朝食を普段通りに食べていた。
「なんでお前は平気なんだよ」
梁間は同じ苦しみを味わっていない一条を恨めしそうに見つめながら尋ねる。
「僕は二日酔い対策してましたから」
「裏切り者め……」
児島は理不尽なことを言い出す。
「裏切り者呼ばわりされる理由が思い当たらないんですが……。なんで3人一緒に二日酔いにならないといけないんですか」
一条は呆れた様子で答える。
「俺達が言ってんのは、なんで俺達に二日酔い対策を教えなかったんだって言ってんだよ」
梁間はだるそうに訴える。
「てっきりやっているものだと思ってました」
「僕達がやってるような人間に見えますかぁ?」
妙な間ができる。
「……そうですね。すみません、買い被り過ぎました」
「おう。今度からはよろしくな」
清々しい朝に何を話してるんだか。
「みんな食べてる~!?」
少し大きな荷物を持った臼井が快活な声で俺達に近づいてきた。
「臼井さん、退院おめでとうございます」
滝本さんがお祝いを言いながら小さく拍手する。
「まあただの検査待ちだったけどねー」
「何事もなくて良かったです。今日のキツネ狩りには出られそうですか?」
一条は微笑を浮かべて問う。
「いや、今日は無理だな。念のため、激しい運動は控えるように言われた」
臼井を迎えに行っていた北原が代わりに答えた。
「そうなんですか」
滝本さんは少し心配そうに呟く。
「うん、残念だけど私は参加できないんだよね」
しょぼんとする臼井。
「それなら仕方ありませんね。じゃあ参加は6人ですね」
新内は俺達を見回してそう言った。
「あれ、児島君と梁間君全然進んでないよ?」
臼井は児島と梁間の前に置かれた朝食に目を移し、
「ああ、ちょっと食欲が……」
「食べなきゃ一日が始まらないよ。食べるのも練習のうちです!」
早速回復したチームリーダーが張り切っている。
「そんなこと言われても……」
「リーダー命令です!」
臼井は朝食に指を差して言い放った。
2人とも箸を持って、ゆっくり手を動かし始める。
「……吐くなよ?」
俺は不安をそのままに声をかけて暗に励ます。
「誰も優しくしてくれないな」
「そうですね」
顔色の悪い2人は愚痴を零しながらもぐもぐと朝食を取る。
臼井は児島と梁間の行動を見て満足そうに何度も頷いた。
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