fifteen bullets 予定

 その後、臼井は近くの大きな病院に運ばれた。

 年末であることや夜であることもあって、そこしか受け入れてくれなかったらしい。俺達は不安の残りを片隅に感じつつ年を越した。



 朝一番に、俺達は臼井が入院した病院を訪れた。

「臼井さん、お見舞いに来ましたよー」

 たまたま先頭だった滝本さんは病室の左側奥の窓のそばのベッドへ笑顔を向ける。

「あ、みんな~~! 明けましておめでとうー!!」

 ベッドに上体を起こしていた病衣姿の臼井は変わらぬ笑顔で両手を前に出し、掌を見せて細かく手を振る。

 臼井は頭を打ち、脳しんとうを起こして気絶しただけだった。

「明けましておめでとうじゃねぇよ。心配させやがって」

 隣にいた北原は腕組みをしながら眉をひそめる。

「ごめんごめん」

 臼井はぎこちなく笑い、背中を丸くする。

 北原は1人病院に泊まった。病院の先生から説明を受け、そのまま泊まることにしたらしい。

「臼井さん。着替え、ここに置いときます」

「ありがとう。滝本さん」

「携帯も」

 滝本さんが携帯を差し出す。

「お、ありがとう」


「ターコイズの連中には帰ってもらった」

「ああ、悪いな。任せて」

 北原は神妙な顔で謝る。

「仕方ないだろ。こうなった以上、俺がやるべきだと分かっていた」

 俺は臼井が救急者で運ばれた後、ターコイズの連中と話し合い、帰ってもらった。

 あのチャラい男はかなり動揺していたが、モニターで見ていた限り、あの男のせいでないことは分かる。俺は連絡先だけ聞いておいて、無事であることを伝えた。

「臼井、あの時足を滑らしたんだよな?」

 俺は臼井に確認する。

「うん、思ったより段の幅が狭かったみたい」

「自重しろお転婆娘」

 北原は心配した分、あっさりと元気になった臼井の調子にイラついているようで毒づく。


「で、これからどうする?」

 梁間は壁にもたれながらみんなに問う。

「明日まで合宿の予定組んでるんだろ? 臼井さんが抜けた状況で合宿を続けるのか?」

 梁間の言うように、合宿を中止するという選択肢は考えられた。微妙な空気が無音を誘う。

「続けて」

 臼井はそう言った。

「今回は私の不注意だし、せっかく合宿してるんだからこの機会に強くならないとね」

「ということだ。合宿は予定通り続ける」

 北原は臼井の発言に続けて話す。

「臼井さんはどうするんですか?」

 児島は眉尻を下げて問う。

「私は今日様子見て、何にもなかったら明日退院だから、合宿中に合流できるよ」

「そうですか?」

 みんなの心配は幾分か晴れたようだ。

「じゃ、そういう予定で進めよう」

 後味が悪い部分はあるものの、北原は指針を示すようにそう言った。

 新内が素早く頷き、それに続けとばかりにみんなが首を縦に振る。そんな光景をはたから見ていると、なんだかんだでいいチームになってきているような気がした。

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