第21話 義経VS頼朝!? 奥州合戦
平家を倒し、ついに源氏が天下を取りました。しかし……
頼朝「義経の奴、ムカつくなぁ!」
頼朝は弟の義経に、不満を抱いているようです。
幼い時に生き別れ、源平合戦の最中、感動の再会を果たしたのに、どういう心境の変化でしょうか?
頼朝「あいつ作戦は奇襲ばかりで、卑怯だよね! しかも俺に黙って勝手に出世するしさ! 安徳天皇と草薙の剣も取り返せなかったし!」
このように色々理由をつけていますが、実際には……
頼朝「俺が源氏のトップに立ちたい! しかし平家を倒したのは義経。俺の地位を奪われるかもしれない」
支配者の座を弟に奪われるのを、恐れたのかもしれません。
また部下にも「我々源氏にとって、最後の敵は義経ですよ」と、そそのかされ『打倒、義経』をかかげ頼朝は動き出すのです。
頼朝「義経! お前は追放だ!」
義経「そ、そんなぁ。俺、平家を倒すために頑張ったのに」
頼朝「うるさい! お前奇襲ばかりして強引なやり方で、部下の不満をかってるんだよ!」
義経「そんな事言わないで、兄弟仲良くしようよ」
頼朝「いやだね! 鎌倉にも入れてやらねぇからな!」
最初は兄弟仲良く『打倒、平家』を目指して進んでいたのに、頼朝は義経の鎌倉入りを拒むほど、仲は険悪なものになっていました。
そして身の危険を感じ取った義経は、兄の前から姿を消しました。
【豪華絢爛! 平泉文化】
わたしたちはコッソリ、義経についてきた訳ですが、たどり着いたのは
おや? 金色のお寺がありますね! これは『
京都の都から遠く離れた岩手県ですが、文化レベルはかなり高いです。
というのも、この岩手県は国内有数の金の産出地でした。
それだけでなく馬の産地でもあり、数々の名馬を貴族に献上していたので、お金を持っていたのです。
この豊かな資金を使い、東北を支配していた
彼が中尊寺金色堂などキラキラした建物を造った人物で、平安時代の東北で生まれた豪華な文化を『平泉文化』といいます。
なんだか石油でお金を儲けているドバイに似ているかもしれませんね。
『平泉文化=平安のドバイ』と思うと、覚えやすいかもしれません。
義経「おじさん、久しぶり!」
???「牛若丸、立派になったのぉ」
おや? 義経が仲良さげに誰かと話していますね。何者でしょうか?
義経「子供の頃の名前はよしてくれよ。
義経と話している藤原秀衡という人物は、平泉文化を開いた清衡の孫にあたる人物です。
また義経にとって育ての父でもあります。
義経と秀衡の出会いを探るため、少し時間を遡ってみましょう。
【義経と秀衡】
頼朝と義経の父、源義朝が平家に反乱を起こし、敗北します。
これによって多くの源氏一族が戦死、もしくは処刑されてしまいました。
まだ幼いからという理由で義経は、京都のお寺に預けられました。
勿論、平家に反旗をひるがさせないためにも、源氏の血を引いていることは秘密です。
義経はお寺でお坊さんになるために勉強していたのですが、15歳の時に「自分は源氏の血を引いている」という事を知ります。
義経「俺は源氏の一族だったのか! という事は俺のお父さんを殺したのは平清盛! おのれ平家め。俺が父の仇をとってやる!」
こうして『打倒、平家』の野心を抱いた義経は、お寺をこっそり抜け出して、各地を点々としていました。
そんなある日、「平泉の文化がすごい」という話を聞いて、興味を持った義経は岩手県へと向かいました。
そして、東北を支配していた藤原秀衡と出会うのです。
義経は秀衡に育ててもらっただけでなく、戦い方を教えてもらったので、師匠のような存在といえるでしょう。
例えるならルー○・スカイウォーカーとオビワ○・ケノービー。
もしくわ浦飯幽○と幻○師範みたいな関係ですね。
こうして平泉で成長し強くなった義経は、頼朝の挙兵を聞いて駆けつけ、兄と感動の再会を果たすのですが、今はその兄に追われる身となってしまいました。
義経「こうこう、こういう訳で兄に追われてるんだ。かくまってよ」
秀衡「わかった。お前はこの秀衡が守ってやる。安心しろ」
こうして義経は平泉に滞在する事になりました。
【義経の最後】
莫大な資金を持つ平泉は、潤沢なお金を軍事にも注いでいました。
なので強力な軍隊を持っていました。
しかも義経に戦い方を教えた秀衡も、かなり強くて統率力がある、名君中の名君です。
頼朝は全国制覇のため東北も狙っていたのですが、平泉に強力な秀衡軍がいるので、なかなか手を出すことができなかったのです。
このまま、何事もなく平和な時期が過ぎていくと思いきや……
秀衡「ゴホゴホ、ワシはもうだめだ……」
流石の秀衡も歳には勝てず、病気になって
しまいました。
そして死の間際、秀衡は義経と、2人の息子の
秀衡「ゴホゴホ、平家が滅んだ今、これからの時代は源氏のものになる。おそらく頼朝が、この土地に攻め込んで来るだろう……その時、平泉を守れるのは我々、藤原ではない。義経だ! いいか……泰衡、義経を将軍にして、3人手を合わせて頼朝と戦うんだ!」
泰衡「わかったよ! 父さん!」
秀衡「義経、平泉を、たのんだ……ぞ ガク」
義経「お、おじさあああああああああああああん!」
こうして東北の名君、秀衡が亡くなり、泰衡があとを継ぎました。
義経、泰衡、国衡が一丸となって戦えば、頼朝に勝てるかもしれません! しかも、平泉には強力な軍隊もいます。
しかし、東北を統一していた名君、秀衡の死んだことは、頼朝の耳にも入ります。
頼朝「くっくっく、秀衡の奴ついに死んだな。残ってるのは、どら息子と義経だけだ」
そして頼朝は泰衡に圧力をかけます。
頼朝「おい! 泰衡、なんか俺の弟をかくまてるらしいじゃないか! こいつは俺の敵なんだよねぇ。始末しないと、平泉に攻め込むぞ!」
泰衡「ひ、ひいいい! 頼朝さん怖いよぉ。わかりました。義経はこっちで始末します」
なんと、泰衡は父との約束を破り、あっさり頼朝の圧力に屈してしまうのです。そして……
泰衡「オラオラ! 義経、お前をやっつけてやる」
泰衡は義経を裏切り、殺害しようとしたのです。
???「ここは俺に任せてください! 義経様!」
義経を討ちとろうとする、泰衡軍の前に立ちはだかる男が現れました!
義経「べ、弁慶!」
そう、京都の五条橋の上で義経に忠誠を誓った男、武蔵坊弁慶が現れたのです。
弁慶「俺はどうなってもいい! 逃げてください! 義経さまああああああああ!」
弁慶は敵に果敢に立ち向かいます。
弁慶「ここを通りたかったら、この弁慶様を倒してからにしろおおおお! うおおおおおお!」
弁慶は義経を守るために戦いますが、多勢に無勢、無数の矢が、彼に降り注ぎます!
しかし、弁慶は倒れません!
泰衡「あんなに矢が当たってるのに、なんでアイツ死なないんだ! いや、待て……こいつ、死んでる!?」
そう弁慶は主君である義経を守るために戦い、立ったまま息を引きとったのです。
この弁慶の死に様が、有名な『弁慶の立ち往生』です。
さて、敵から逃げた義経ですが、辺りは敵に囲まれ、逃げ場はありませんでした。
義経「もはや、これまで……」
数々の戦で勝利をおさめてきた義経も、最期を悟り、妻と娘を自らの手で殺め、最期は切腹して31年という生涯に幕を閉じました。
【頼朝の天下統一】
泰衡「義経も切腹したし、頼朝さんも満足するよね♪ これで平泉の平和は保たれる。やったね!」
義経を倒し泰衡は、ルンルン気分でした。
ちょっとエグいお話になりますが、義経の首を切り取り、鎌倉にいる頼朝のところに送りました。
しかし、義経の首をみた頼朝は、不敵に笑いました。そして泰衡の思いとは裏腹に……
頼朝「くっくっく、義経め! ついに死んだな。義経も秀衡もいない平泉なんて、ザコ同然よ! フハハハ! ついに東北を攻める時がきたぞ!」
そう、頼朝の本当の狙いは、東北を手中に治める事だったのです。
そして頼朝は挙兵し、義経と秀衡という、強い師弟がいなくなった東北に攻め込みました。
泰衡「頼朝さんの嘘つき! 義経を倒したら平泉は攻めないって、約束したのに!」
頼朝「フハハハハ! これは弟のかたき討ちだ!」
泰衡「ひ、ひいいい! メチャクチャだあ!」
頼朝の言葉通り、義経のいない平泉はザコ同然でした。
泰衡たちは、攻めてきた頼朝に抵抗するも、敗れてしまいました。
もし、泰衡が父の言葉に従い、義経と一緒に戦っていれば、歴史は違うものになっていたのかもしれませんね。
岩手県平泉で起きた“義経が自害し、頼朝によって攻め落とされた”一連の戦いを『奥州合戦』と呼びます。
こうして、平安時代に長く続いた戦乱の世は終わりました。ここで、今までの戦を振りかえってみましょう
・祟徳天皇VS後白河天皇による保元の乱が起きた後、源義朝VS平清盛による平治の乱が発生しました。
・保元、平治の乱によって武士が力をつけ、平清盛が朝廷内で覇権を握るようになります。
・『打倒平家』をスローガンにかかげ、以仁王と源頼政が挙兵するも、清盛に行動を読まれていてあっさり敗北。
・以仁王に触発された源氏一族の頼朝、義経、義仲が打倒平家のために動きだし、源平合戦と呼ばれる『治承、寿永の乱』が起きます。
・壇之浦の戦いにて、義経率いる源氏軍が勝利し、平家一族は滅びましたが、今度は頼朝と義経の関係が悪化し、今まで“源氏VS平家”による争いの構図は、“源氏VS源氏”へと変わりました。
・義経は育ての親である藤原秀衡をたより、岩手県平泉に逃げます。しかし、義経を守っていた秀衡の死後、泰衡は義経を裏切り討ち取りました。
・頼朝にとって脅威である義経と秀衡がいなくなった平泉に攻め込みました。この『奥州合戦』によって平泉は陥落し、頼朝は全国制覇を果たすのです。
こうしてみると、めっちゃ戦争していますね……
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