第370話 新たな問題発生?

 クラウディアさんはブラファー家に帰ってきた。


 当主であるゼノン様は無言で彼女を迎え入れ、その寛大な処置にクラウディアさんも涙を流しながら感謝した。


 シャーロットもローレンスさんもひと安心したようだが……やはり【漆黒の矢】の存在は気になるようだ。

 何せあの霧の魔女が在籍していたという組織だからな。

 今はかなり弱体化して見る影もないとミレーヌさんは語っていたけど……実態が掴めていないというのはどことなく不気味な感じがする。


 もちろん、そんな組織を騎士団のローレンスさんが放っておくわけもなく、早速この案件をレジナルド騎士団長へ持っていくという。


 きっと魔法兵団にも協力を要請するだろうから、組織が本当の意味で壊滅するまでそう時間はかからないだろう。


 というわけで、一連の騒動はこれにて終了。


 クラウディアさんは無事にツリーハウスへと戻ってきた。


「このたびはお騒がせして申し訳ありませんでした」

「そんな、戻ってきてくれただけで十分ですよ」


 何か被害が出ているわけでもないし、解決したならそれでヨシ!

 むしろ【漆黒の矢】なんて危なっかしい組織が動き出していることを知れてよかった。


 騎士団や魔法兵団が動いてくれるならそちらの解決も時間の問題だろう。


「まったく……このわたくしの許可もなく勝手にいなくなるなんてあり得ませんわ!」

「深く反省しております。今後は何事もシャーロット様を通して判断しますので」

「それでいいですわ」

「では早速ご相談がありまして」

「なんですの?」

「近々ローレンス様と結婚しようと思っています」

「そういうことでしたの――はあっ!?」


 シャーロットはサラッと流そうとしたけど、これには俺たちも驚いた。

 いやまあ、今回の件であのふたりがそういう間柄っていうのは察せられたけど……まさかそこまで話が進んでいるとは。


「すでに旦那様には報告済みなのですが……義理の妹となるシャーロット様になんと呼ばれたらよいか悩んでいるのです」

「よ、呼び方?」

「私は『お姉ちゃん』を推奨しますが」

「絶対に呼びませんわ!」


 断固拒否するシャーロット。

 主従関係が崩壊しているもんなぁ。


「恥ずかしいのはきっと最初だけです。さあ、勇気をもって『お姉ちゃん』と」

「くっ……お、お姉ちゃん」


 あまりにも凄い圧で迫ってくるものだから思わず屈して「お姉ちゃん」と呼んでしまったシャーロット。


 ――って、あれ?

 クラウディアさんの反応がない?


 と、思っていたら、


「た、立ったまま気絶している……」


 どうやら、クラウディアさんの方が耐えきれなかったようだ。




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「黒歴史転生 ~全ルートでもれなく殺される【闇属性】と【魔法創造】持ちのクズ貴族に転生した俺、ここが自作ゲームの世界だと気づいたので死亡&没落フラグを回避して堅実に生きようと思います~」


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