いざ、幽霊公園へ!
「それじゃ、今日の活動内容だけど公園の幽霊を調査するってことでいいわね? 昨晩も結愛ちゃんが犠牲になったらしいわ」
「死んでは無いけどな」
俺のツッコミはスルーされ、部長の八塚が続ける。
「今朝、修君にその話を聞いてから私と真理愛で校内の聞き込みをしてみたんだけど、結構な頻度で出るみたいね。夕暮れ時から深夜にかけて、女性一人が歩いていると『置いてけ』って声と共に現れるみたい」
「私が聞いた話だと、気づいたら夕ご飯に買ったサンドイッチやコーヒー、お菓子とかジュースが無くなっているみたい」
「そういや結愛もピザポテトといちじくジュースをかっさらわれてたな」
「マジか!? ピザポテトを持っていくなんて許せないな……」
霧夜、お前はいったいピザポテトとなにがあったんだ? まあ、それはいいとして共通点は食い物が無くなるってことらしい。
「交番にも数人、夕食が無くなったという報告があったから幽霊は食べ物に執着するのかな?」
「若杉さんは幽霊、居ると思うか?」
「僕は職業柄オカルトは信じないことにしているんだ。さて、女性が食べ物を持って一人公園で歩いていると出てくるというのは共通項だ。そして放課後は絶好の時間」
「行きますか? 囮は私でいいですよ」
そこでスメラギを膝に乗せてモフモフしていたフィオがキリっとした顔で手を上げそんなことを言う。
「確かにフィオなら荒事に強いし、モップでも持たせておけば痴漢くらいなら余裕で撃退できるな」
「八塚と興津より安全だな。俺と修じゃ出てこない可能性が高いし」
霧夜がうんうんと頷いていると、本庄先生が机を叩いて口を開く。
「ダメだ。生徒を危険に合わせるわけにはいかない。女性一人ならOLでも襲われるらしいし、私がやればいい!」
「先生、大丈夫か? 後フィオは生徒じゃないし、多分先生より強いぞ」
「にゃーん」
「ほら、スメラギさんもそう言っているよー」
「い、いいんだ! 子供は守るのは先生の仕事だ!!」
「フフ、麗香はOLみたいに扱ってもらえるか気にしているぅぅぅう!?」
「おお、若杉警部のこんな姿中々見れないぞ……」
若杉さんが余計なことを言って本庄先生を怒らせ締められる中、本庄先生を囮とした幽霊調査に乗り出すことに決定。
「あ、新作のお菓子!」
「コンビニってこんな感じなんだ。チョコレート美味しそうね」
「レンさん、来たことないんですか? 私も最近ですけど、いいですよね色々あって。私はこれが好きです」
「……青いきつね」
「俺はこっちが好きなんだ」
「紫のたぬきは美味いな」
「だろ? 霧夜は分かってるなやっぱ」
とりあえずエリクとフィオの食事事情は今後の課題として、本庄先生はジャージ姿でかつ丼とビール、それとホットスナックの焼き鳥とジャンボフランクを買って外へ出る。
「おい、行くぞ」
「あ、ちょっと待って買ってくるから!」
真理愛達が慌ててお菓子とジュースを買い、コンビニを出るとくだんの公園へと向かい、程なくして到着する。
「……それじゃ、行ってくる。危ないと思ったら逃げるんだぞ? 圭、子供達を頼んだぞ」
「任せとけって。僕達もついていくけど、そっちこそ気をつけろよ?」
「ああ」
そう言って本庄先生は公園に入り、俺達も少し離れて道の横にある草むらに隠れつつ背中を追う。
「もぐもぐ……出るかな……?」
「どうかな、もう少し日が暮れた方がいいような気もするけどな」
「宇田川さんこれ食べる?」
「お、懐かしいな、もらうぜ」
「こっちも美味いぞ。エリク食えよ」
「サンキュー」
と、緊張感のない会話をしながら少しずつ歩いていくと、問題の堀がある辺りに差し掛かった。
「しっ、昨日結愛が襲われたあたりだ。来るとしたらそろそろだぞ」
「よし、本庄先生は俺が守る!」
「お前は胸だけだろ?」
「……ふうん?」
「あ、若杉さんが怖い顔しているー」
真理愛が不思議そうに口を開いた瞬間、本庄先生の方に動きがあった。
「ひゃぁぁぁん!」
「先生!」
「にゃーん!」
「あ、スメラギ!」
「行くぞ!」
本庄先生の聞いたことが無い悲鳴を聞き、俺達は本庄先生を中心に取り囲むように駆け出した。
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