第3話 忠臣ネイディア・ネイデューク



 もともと国の力が乏しかったのだから、結果は火を見るより明らか。


 私達の国はみるみる焼け野原になっていった。


 王族である私と父は最後まで残って、足掻いた。


 無条件降伏するという手もあったが、相手にする国がいくつもあったのがまずかった。


 一つの国に降伏しても、他の国が攻めてくる。


 降伏の意を示した相手国は、私達を守ってはくれなかったから、結局は戦うしかなかった。


 国民がいない方が征服した後、都合が良いのだろう。


 どこにも、頼れなかった。


 そんな国の中で私は、王族として最後まで務めを果たそうと思った。


 けれど、王が私を逃がす事にしたようだ。


 国が亡びる最後の日の夜、ネネと共に父から遺言を聞かされた。


「どうか心して聞いてほしい」


 そうして始まったのは、国の王としての言葉と、父としての言葉。


 この国の復興を目指してほしい。


 それが無理なら、争いの火が及ばない場所で幸せに暮らしてほしい。


 



 全てを聞き終えた私達は、国を脱出することになった。


 隠し通路を使って逃げる。


 けれど、他国から攻め入った兵士達がどこからか侵入してきて、先頭になった。


 それで、ネネは私を守って、戦った。


 彼はただの機械人形だ。


 おしゃれに得意なだけの。


 兵士の様に戦う事などできやしない。


 それでも、私を守る盾となって、その身を酷使し続けた。


 壊れ、焼けて、欠け。


 最終的には、彼は半分になってしまった。


 半分だけの体を引きずって歩くネネは、乱れた私の髪をなでて、自分を置いていってほしいといった。


 私は、ずっと見守っていてくれた彼を置き去りにして、泣く泣くその場を去った。


 一つの国は滅びた。


 残ったのは一人だけ。


 残ったのは自分だけ。


 綺麗な服と、換金できる小さな宝石、ネネがいつも褒めてくれた髪だけ。


 そういえば、私の青春で確かな輝きを放っていたものは、いつもこの美だけだった。


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