第9話 配置は
「父上はまだ若いし、庭園内をまわることはそう負担ではないとは言え、殆どの貴族と昨年の功労者や有識者全員はさすがに数が多すぎる」
「晩餐に突入しちゃうよね」
「だから下位~中位貴族達の半数は、僕とフレックで手分けして労ってまわることにするから、テーブルの配置を放射状に⋯⋯」
「派閥で睨み合いが起こらないように、組み合わせも気をつけないといけないから、ここは、少し動かした方がいいと思うの」
園遊会の出席者の返信の山を横手に、再確認していくユーフェミアとフレック。
「やっぱり、アレの席もいるかなぁ?」
「オルギュストは昨年は武勲もないしほぼ廃嫡状態だから、セルディオとファヴィアンだけでいいんじゃないか?」
「誰が
「ああ。参加したそうだよね、
「まさか、園内をまわる兄上について歩くことはしないよな?」
フレックの不安は、皆に伝播していく。
「そんな事されたら、王太子妃に内定してると公表してまわってると思われそうでヤダナー。早く追い返したい」
「お前の従姉だろう? なんとか出来ないのか?」
「出来ないから、ユンフェ
「何でもいいから、早く連れ帰って、軟禁でもしてくれないかな」
一国の王女にえらい言いようである。が、本音なのだろう。
「可哀想なのよ? マリアンナ殿下が来てから、メルティが3㎏も痩せてしまって⋯⋯」
「育ち盛りの少女が、急激に体重を落とすのはよくないな。ミア、世話係を代わってやればどうだ?」
「やぁよ。私の公務に差し障るわ。一応、正妃の生んだ王女だと言う事で、丁寧な対応はしてくれるけど、我が儘を言わないわけじゃないのよ」
「まあその内、相応の対価を支払ってもらおうかな」
一見爽やかなのに昏い笑みを浮かべるフレック。
「それでも、同友国の王族なのだから、それなりの席順でテーブルをセッティングしない訳にはいかないでしょう」
システィアーナの言葉にとりあえず賓客席を設け、マリアンナとユーンフェルトの席に決める。
「何かあった時のために、隣のテーブルをわたくしとエル
「それなら、ユーヴェルフィオとファヴィアンもそこにして纏めておこう。二人とも、パートナーはまだ決まってなかったかな?」
「ファヴィアンは訊いてないけど、兄さんは母方の親族の令嬢を連れてくるって言ってたかな。
ああ、残念ながら婚約者とかじゃなくて、彼女もお相手がいなくて、園遊会に出てみたいってだけだから」
「なら、テーブルは
だいたいの配置は決まった所で、アレクサンドルとフレックは、朝議の後に開かれる貴族院議員の茶会という名の情報交換会に出席するため退出した。
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