第16話 ほくほく戦利品
戦闘傀儡のライフルは、敵が奪っても撃てない様に対策されたスマートライフルだった。少年と同じモデル。使う人を限定するこの技術は、民間でも普及していてアメリカでは銃犯罪が激減したらしい。
ライフルから弾丸が入ってる筈のマガジンを抜き出すととても軽かった。ライフルの弾はだいたい一発で10グラムくらいある。それでマガジンには30発まで入る。だからライフルのマガジンは、持てばそれなりに重い。だけど戦闘傀儡が持っていたのは、ただの箱みたいに軽い。一発も入ってなかった。
「戦えもしないのに僕達を追いかけてきたのか?意味が分からない。とりあえずマガジンと取り外せる部品は貰っちゃお」
同じスマートライフルだから使い様がある。因みに少年がライフルを買った時もオンラインで講習は受けた。補給船で厳重な箱に入ってライフルが届いた時はとてもはしゃいだ。武器が嫌いな男の子はいない。配信でレビュー動画を出したけど女性リスナーからは受けが良くなかった。
「んな〜ばぶ」
「ああ、ごめんごめん。船酔いした?帰ろうか」
二つのボートをロープで繋いで海岸を目指す。敵のボートのモーターをつけてみたら動いた。
「やばい!すごいや。僕達のよりずっと速いよ!あのさこれ貰っちゃおうかな」
ゴムボートは軽快に波を切り裂きながら進む。モーターの性能が良いみたいだ。海賊の強奪品じゃなければSNSに投稿したかった。
「ブーーー!」
「ふひょおおお〜気持ちいい!」
あっという間に車の停めてある海岸についてしまった。汎用傀儡に手伝わしてゴムボート2隻を砂浜までロープで引きずる。その次は車を動かして食糧を詰めんでいく。倒した戦闘傀儡はその辺に放り出した。もう大丈夫だろうし。
「これで当面は大丈夫だ。落ち着いたらバイクを印刷するぞ〜。それでさ、あのゴムボート調べたんだけど、空気を抜いたら車に詰めそうなんだよね。貰っちゃう事にした」
「バーブ!んな〜」
「いや襲ってきた方が悪いよ。戦利品って事で!」
物資ををどんどん車に乗せていく。
赤ちゃんのベビーカーからも荷物を外して車の助手席に乗せる。少年はこの動作が好きだったりする。赤ちゃんを乗せながら、今は自分の隣に誰かいるんだと実感するから。
「あうあう〜」
「いいねぇ、車にも慣れてきたねぇ」
ベビーカーをしっかり固定して、ドアを閉めた。車をぐるっと回って運転席側に向かおうとした、その時!背後に気配を感じた。何かが歩いてくる。振り向こうとしたその瞬間
倒したはずの戦闘傀儡が起き上がって殴りかかってくる!!
「自動運転開始!可能な限り遠くに行け!」
「んぎゃああああ〜!」
少年は車に向かって叫ぶ。命令を聞いた車は赤ちゃんだけを乗せて走り出す!
少年はコンバットナイフを構えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます