第72話4人で討伐クエスト
…場を収めることができたのは良いとして、複数人でできるクエストって…色々ありすぎて逆に何が楽しそうなのか全くわからない。
「な、なぁ、何かこのメンバーでしたいこととかないか?」
俺がとうとう何も思い浮かばなかったのでそう聞くと、3人は同時に答えた。
「「「殺し合い」」」
「悪い、やっぱり俺が考えることにする…」
女子3人に何がしたいのかと聞いて「お服見たい」とか「可愛いモンスター見にいきたい」とかちょっと可愛さとは離れてるけど純粋に「装備を見たい」とかっていう返答が来ると思ってたら「殺し合い」なんて言われることになるとは…
いくらなんでも異常すぎる。
「そ、そうだな…よ、4人で一緒にと、討伐クエストとか…?」
女子3人と一緒に遊ぶのに討伐クエストなんてちょっと華がないかもしれないけど、みんな殺し合いって言ってるぐらいだからきっと何かと戦いたい気分なんだろう。
「マトくんがそういうなら…」
「いいよー」
「マトが、そう、言う、なら…」
なんかそんなに言われるともしこれでこの討伐クエストが全然面白くなかったら俺に責任がのしかかって来そうだから怖いな…
そして俺たちはとりあえずRPGとかにありそうな村を襲ってきたゴーレムを倒すみたいなクエストをやってみることした、が……
「マトくんに触るなっ!このっ!」
『グシャッ!ブシャッ!』
「……」
「こいつらうざっ!」
『ガシャッ!ガンッ!』
「……」
「マト、傷つける、なら、消え、て…!」
『バンッ!ドンッ!ヒューンッババババッ!」
「……」
ただの村防衛クエストとは思えないぐらいにグロい。
というか村を襲ってるはずのゴーレムたちが逆に可哀想に見えてどっちがモンスターなのかわからなくなってきてしまった…
「…ん?」
なんだ、ゴーレムみたいなやつだけじゃなくて弱そうなゴブリンみたいなのもいる。これなら俺でも倒せそうだ。
「はっ…!」
俺は長剣でゴブリンを斜め斬りし、ゴブリンを一体倒した。
「よし…!」
やっぱり実際に戦ってる感じがあるっていうのがVRMMOの肝だな。
戦闘狂ってわけじゃないけどハマる人はかなりハマりそうだ。
「グガアァァァァァァッ!」
「うわぁっ!」
『シュッ!』
「あっぶな…」
危なって言っても当たってるんだけど…
まさかの後ろにもう一体のゴブリンがいて木の太い棒で俺のことを殴ろうとして来たのでギリギリ躱そうとするも背中に若干ダメージを受けてしまう。
「まぁでも、痛覚設定を今はちゃんとオフにしてるから別に痛くな─────」
俺が独り言を言おうとした時、後ろから来た人影がゴブリンに襲いかかった。
「マトくんに何するのっ!ただ殺すだけじゃ終わらせないっ!」
そう言ってマユがゴブリンの足を─────
「グギィィィィィィィ!!」
「マトくんの痛みに比べればっ…!」
そう言って次々にゴブリンに酷いことをしようとするマユの肩に手を置いて言う。
「ま、待て待て、別に今は痛みも何もないからそんなことしなくても…」
別にNPCだから何か思う必要はないのかもしれないけどなんかな…
「何言ってるの?マトくんのことを傷つけただよ?敵意を向けて」
「そ、それはそういうプログラム────」
「だからって許せることじゃないよ」
マユはそういうと俺への配慮なのかそのゴブリンを引きずって村の裏に回った。…そこで何がされているかは考えないようにしよう。
「マト…大丈、夫…?」
「あ、あぁ、大丈夫だ」
「…私、から、離れ、ないで」
「え、あ、ああいうでかいゴーレムとか以外なら俺でもなんとかなるから大丈夫だ」
「…ダメ、マトは、私に、守られてる、の…」
それは男としてというかなんというかで恥ずかしいから嫌だな…
「それはちょっとな…」
「っていうか…」
ユリがただひたすらにゴーレムを倒し続けてる…これで少しでもみんなが仲良くなってくれたら良いんだけど…これは完全にクエスト選択を間違えたな。
これからはこのメンバーで討伐クエストになんて行かないようにしよう…
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