第39話マユからの恥ずかしい提案

 とりあえず優先すべきはマユの誤解を解くことからだな。

 そう思った俺はフレンドと同じサーバーに参加できる機能を使って、マユと同じサーバーに来た。そして、いつもの集合場所の広場にやってくると、案の定マユがいた。…ユリはいないみたいだ。マユとユリはフレンドじゃないから同じサーバーには来られないのか…


「わ、悪い、マユ、待たせた」


「…ううん、待ってないよ」


 こんな状況下でもいつものように言ってくれるマユ。


「で、あの女の人は誰なの?強かったね」


「あ、あの人は…よくわからないんだけど、俺を助けてくれたんだ、それ以上の関係は本当に無い、信じて欲しい」


「そっか…わかった、マトくんを信じるよ」


 マユは思ったよりも簡単に信じてくれた。


「ねえ、マトくん、一瞬いなくなるけど招待するから来てね?」


「え、あ、ああ…」


 そう言うとマユは姿を消し、本当にものの数秒で招待が来た。

 …個人ルームへの招待?このゲームにはかくプレイヤーに一つ、課金すれば数が増える個人の部屋みたいなものがあり、言ってしまえば家のようなものだ。

 内装は自分で自由に決められる、本当に自分だけの空間だ。今マユがそうしたように、フレンドを招待することもできる。

 俺はそのマユからの招待を承諾し、その個人ルームに入った。


「あっ、来たね」


 マユの部屋は何度かきたことがあるけどピンクがベースのぬいぐるみとかも置いてある女の子らしい部屋だ。


「マ、マトくん…」


「…ん?」


 なんだ?マユの雰囲気がいつもとは別の意味で違う。怒ってるとか、そう言う感じじゃなくて、もっと別の意味だ。…なんだ?


「このゲームって五感がびっくりするぐらい現実と同じだよね」


「そうだな、おかげでさっきも本当にキルされそうになって痛い目にあったし…」


「…え!?痛み!?な、何があったの!?大丈夫!?」


 マユは焦ったような心配したような様子で言った。


「だ、大丈夫だ、ちょっと肩をやられただけだ」


「…殺す」


 マユは何かを小さい声でボソッと漏らすと、話を戻した。


「で、でね?五感が共有されてるってことは、性感とかはどうなってるのかなぁって思ったの」


「性感…?性感!?」


「う、うん…」


 マユは頬を赤らめながら言った。た、確かに正直に言うと俺だって考えたことがないわけじゃない、ゲーム世界で性行為をしたら現実と同じぐらいの快楽を得られるのか、とか…


「で、でね?そ、その…よ、よかったらなんだけど…わ、私と…その…し、シテみない?」


「シテみないって…ま、まさか…」


「う、うん、マトくんが想像してるものだよ」


 まじか…!え、い、いや、ゲームで、そ、そう言うことを…?


「も、もちろん今すぐしたいって言ってるわけじゃないよ?た、ただ、頭の隅で考えておいてくれないかな?」


「…わ、わかった」


「…じゃあ、今日はもう寝よっか」


「あ、ああ…」


 そして俺とマユは同時にログアウトした。…性行為、か。確かに1年も付き合ってるんだ、そろそろ真剣に考えないとな…

 俺はログアウトするなり、すぐにスマホのメッセージアプリのトーク画面を開いて、あの人からのメッセージが届いているかを確認すると、本当にメッセージが届いていた。

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