第13話真冬の不安

 私はログアウトして直後、ベッドにダイブした。


「ようやく、ようやくここまで来たけど…」


 もし明日、誠くんに拒絶されたら…いや、関係ない。誠くんだって「マユはマユだ」って言ってくれたんだし。例え私が`真冬`だったとしても拒絶したりしないはず。


「でも、でも…」


 不安になる。多分この不安はどんな言葉でもどんな思考でもなくすことはできない。そう、実際に明日誠くんと会うまでは…

 そして私は明日のシチュエーションを大体18通りに分けて脳内シミュレーションをすることにした。


「もし誠くんが──」


「もし誠くんが──」


「もし誠くんが──」


「もし誠くんが誠くんが誠くんが誠くんが誠くんが誠くんが誠くんが──」


 そう、もう私には誠くんしかない。表面上は取り繕えても内面はボロボロだ。誠くんとゲームで会うまでの別れてからの1週間、その間に私が自殺を図ろうとした回数は22回。その全てがなんとか誠くんを思うことで繋ぎ止められていたけどもし明日誠くんに拒絶されるようなことがあれば、私は────


「いや、やめよ…」


 そんなマイナスなことばっかり考えてても仕方ない。とにかく明日が来ないと何も始まらないんだから……

 私は目を瞑っててもできそうな高校卒業過程の勉強を…いや、`作業`をただただひたすら書いて精神統一をすることにした。


 そして、翌日の朝、誠くんとの約束の時間から2時間前になった。私はすぐに着替えを済まし、顔や髪の毛、その他諸々の準備も終わらせ、待ち合わせ場所に向かった。2時間前だとさすがに早すぎるかもだけどそれでも私が誠くんより先に行かないと…そして私は待ち合わせ場所に着いた。


「よかった…」


 誠くんはいない。私の方が先に着けた…そして約束の時間のちょうど10分前の時、いきなりがたいのいい男に話しかけられた。


「姉ちゃん、ずっと1人でいるけどもしかして誘ってんのか?」


「…は?」


 誰がこんな奴なんか誘うか、身の程を弁えてほしい。って言うかもしこんなところを誠くんに見られて浮気してるなんて思われたらこいつどうしてくれるんだろう。八つ裂きじゃ済まないけど…


「ああ、そうツンツンすんなって、まあそう言うのも悪くな──」


 と、この男の口を黙らせるために私は左手で軽くデコピンをした。男の体の急所を…すると男は片膝を地面について悶え苦しみ始めた。こんな軽くでこんなに痛がるんだから本気でやったらこんなやつ、っていうか…


「ちょっとうるさいよ、もうちょっと静かに、あ、あと遠くに行ってもらえる?」


「こ、このアマ!」


「何?」


「…っ、あっ、いや、その…」


 と、男はどこかに走り去った。最初からそうしとけばいいのに…まあ誠くんには見られずに済んだし、よかった。

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