引き取り手のいない○○

作者 いそね

50

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★★★ Excellent!!!

この小説には、一つだけ嘘がある。
それは、キャッチコピーである「こんな小説はウケないと分かっているが、」の部分。めっちゃウケました。クリーンヒットです。
他はまさにその通り、「クソ人間」の物語。

読みやすい文章でサクサク読み進めているうちに、いつの間にか作者の術中にハマり、気がつけば「あああ!!」と叫んで星を投げていることでしょう。
見事な技巧、見事なラスト。タイトルをもう一度目でなぞり、二巡目を読んでもやはり、「ああ、やっぱりすごい」という感想が出てきます。
まさにお見事!

クソ人間の末路をぜひその目で確かめてください。

★★★ Excellent!!!

小説を読みながら、登場人物の容姿を想像することがある。
この作品もそうだった。

主人公の男性が、『阿村』という男について語る。

『阿村』は上司で、ネチネチと小言が多い。
部下である主人公を恫喝したり、馬鹿にする。
挙句の果てに、主人公の恋人を――。

ここまで読むと、私の想像の中での『阿村』は醜く太った中年男の姿をしていた。
だが、話が進むにつれ、その姿が少しずつぼやけてゆく。
そして、読み終えたときには『阿村』の姿は最初に思い浮かべたものとまるで正反対に変わっていた。

作者であるいそねさんの作品には、先の展開が読めないものが多い。
「一見するとどこにでもある日常」から話がスタートするのに、気付けば「他からは見えないように隠されている部分」を覗いているような気持ちになる。
また、ある種の実験のような印象を受ける作品もあり、純粋に「小説を読む」以上の楽しみを与えてくれる。

あまり多くを語るとネタバレになりそうなので控えるが、実に巧妙なミスリードが仕掛けられている作品だ。
途中から「なにか妙だな」と引っかかりを覚え始め、その引っかかりはやがて確信に変わってゆく。
そして、タイトルの意味がわかったとき、「ああ、そういうことか」とぞっとさせられる。

この不思議な感覚を、ぜひ他の方にも味わってほしい。

★★★ Excellent!!!

一人称視点がとてもよく活かされたお話です。
主人公の上司が急死したことで、これまでの恨み辛みがつらつらと語られていくのですが……
それが彼の信じる真実であることに間違いはないのです。
ぜひラストまで読んで、タイトルを見返してください。「うわぁ……」ってなります。
さすが、お見事でした!