第8章 - 2 新事実(2)
2 新事実(2)
「本間さんが言いたいことは分かるよ。でもさ、誕生日だって一日違うし、そもそも血液型が違うじゃないか……そうだろ? それにさ……」
そう告げてから、達哉がさらに何かを言いかけた時、
「ちょっと待ってよ。話がぜんぜん見えないんだけど!」
そこでいきなり翔太が割って入り、達哉の言葉を遮った。
それから達哉と千尋が交互に話して聞かせ、山代とのことを翔太に説明していった。
「それで、あいつが誘拐したのが、この俺だったんじゃないかって、千尋ちゃんが思ったっていうことなんだね」
「そうなの。でも、それだけじゃないんだ。実はさ、わたしが初めて翔太さんが働いていたお店に行った時、一緒だった男の人がいたでしょ?」
千尋を連れて〝DEZOLVE〟に現れ、山代と翔太に追い出されてしまった男。
「あの人、実は、医学部の大学院生だったのね。それでもって、確か血液内科ってのを専攻していて、血液のことばっかり、やたらと教えてくれたのよ……」
だから、浮かび上がった疑念を振り払おうと大山に行って、残っていた履歴書で連絡先を調べる。
「バイトの休憩時間にね、彼から聞いたことがあったの。血液型って、ホント、不思議なのよね……」
そんな記憶を確かめようと、千尋はドキドキしながらその大学院生に電話を掛けた。
「でね、いろいろ嫌味を言われたけどさ、まあとりあえず、教えては貰えたのよね……でさ、いい? こっからが、正真正銘の爆弾発言だからね、しっかり聞いてよ……」
そこで深呼吸を繰り返し、脇に置いてあったジョッキを手にする。
それからビールを一口ゴクンと流し込み、そうしていきなり告げたのだった。
「ごめん! その前に、ちょっとトイレに行かせて!」
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