第86話 まさかの乱入者

「どういうつもりだ……ロン!クリュウ!」


「フリュウ……貴方だけではどうせこの人には勝てませんそう判断しました」


「あぁ……そうだぜ?フリュウ!俺はお前を助けてやらんこともない」


俺の予感は正しかった……やはりこいつらはフリュウを助けに来たのだ


「チッ!やるからにはあいつを全力で倒すからな!」


「勿論!そのつもりで来てるんですから」


(どうやら……全力で来るみたいだ……でもそろそろあれは保てないはず)


その時、フリュウの固有魔法が発動しなくなり身体から蒸気が消えた


(よし!いいタイミングだ)


しかし消え失せた魔法はフリュウを驚かす


慌てふためくその様子はまるで初めて歩いた赤ん坊みたいな感じだった


「なんだと!?なんで俺の固有魔法が発動しなくなったんだよ!」


「理由は簡単……固有魔法が必要とする魔力が足りなくなったんだよ」


そう。固有魔法はある程の魔力を持つ者にしか宿らないとされているのだ。フリュウはかなりの魔力持ちだったが、流石に長時間使い続けることによってその魔力も減っていきいつしか魔法が発動しなくなる


だがーーあくまで固有魔法だけであって普通の魔法攻撃の魔力量はまだ残っているはずだ


「くっそ!これからって時に!このくそ魔法が」


魔力コントロールも出来ない奴がいきなり魔法を使うと発動しないようにフリュウもうまく固有魔法を扱えないのだ


(それをわかっていなくちゃ……使いこないせない!)


1番の脅威が無くなったと同時に俺は動き出す


〘捕縛〙


チェーンの鎖をフリュウにだけ巻き付け動けなくし横にいた2人を手始めに拳で殴る。


最初はロンに拳を顔面に直撃させたと同時に後ろにいたクリュウに隙を与えず回し蹴りで蹴飛ばす


「くは!?」


少しの血反吐を吐きながらロンは立ち上がりクリュウもよろけながら立つ


「くそが!お前ら早くこれを解け!早く!」


身体の体力は殆ど限界に近いのにも関わらず大きな声を出し叫び出す


しかしロンは助けようと行動してるにも関わらずクリュウは真っ先に俺に攻撃を仕掛けてくる


「お前の相手は俺だ!」


拳を突き出すがそれを難なく受け止め弾き返す


クリュウの体制が大きく崩れたそのタイミングで第式を発動させる


〘第3式 雷翔星〙


まずは1人を第3式でしばらく動けないようにし【捕縛】を解こうとしているロンに向けて魔力弾を撃つ


「……くっ!!」


うまいこと弾け飛ばした様だが次はそうとも行かない

周りには大量に発動された魔法陣がロンを囲んでいた


「……なっ!?」


「どうだ?ビビったか?」


でももう遅い………


龍激りゅうげき


魔法陣から魔法陣へと龍のような速さを持った光線がロンの周りを飛び回るしかしこれを全て避けるのは至難の業だ


「っ!?危ないですね!全く」


(へぇ〜今のを避けるか……流石身体能力が高いな……でもこれならどうだ!)


魔力を何倍も注ぎ込み【龍激】の速さつまり光線数を倍近くに増やす


「我を守り手 守護となれ! 〘シールド〙」


ロンは盾を作り出し運良く1発2発目を盾で受け流す

ーーだがそれもつかの間だった


数回の攻撃を受けた盾にヒビが入り守れてもあと1,2回だけだった


そしてーー次の瞬間光線が四方八方から飛びかかってきた


「……かはっ!」


大量の光線を受けたロンは上半身の服は敗れかけ顔や脚などには傷跡が付く


それでもまだ諦めようとはしない。


(前から思ってたけど……この世界は根性あるやつが多い気がする)


「私は……諦めません!だからあとはこの人に任せます!」


手に魔法陣を発動させると風属性魔法をフリュウに向けて撃つ


(まさか!?己を犠牲にしてこいつは)


風属性魔法はフリュウの鎖を切り込むと遂に解き放たれた。


「俺様ふっかーーーつ!」


「………チッ!」


これではまた1vs1に戻っただけのこと

もう一度フリュウを捕縛すれば……


「そうは行きません……なんだって私達はまだ戦えますから」


後ろで傷を負いながらもクリュウとロンが立っている

いくらなんでもフリュウが居ては逆転されるだけ


(でも……その逆を考えれば別に1vs3に拘る必要は無いってことだ)


ならやることはたったひとつ……


(コンマラス!ベクトロン!久しぶりの戦いだ!)


俺はすぐに【人影】から2体の魔物を呼び出す


これなら3vs3になる


「な、んだですか……それは」


「嘘だろ……この俺が恐れさを抱くなんて」


当然この2体はこの世界で最強の魔物として認知されている

そしてーーその2体を従魔契約をしていることにも驚く


「まさか……貴方が最強とされている魔物と従魔契約を交わしてるなんて」


「はっ!?俺様にとっちゃこんな奴ら朝飯前だ!」


俺はゆっくりとフリュウの方向に向けて歩いていく


そして口を開けて話す


「大丈夫だ……お前の相手はこの俺だ!安心しろ軽はずみで気絶出来ると思うなよ」


「へぇ〜じゃあやってみてくれよ!」


拳と拳がぶつかり合い衝撃波が決闘場の壁にヒビを入れる


それは続いていくが壊れる様子が無い。


(どんなけ頑丈なんだよ……ここ)


「ほら!よそ見してる暇あるのか!?」


隙を見てフリュウは俺の顔面に拳を打ち込んできたがそれをあっさりと避け反撃をする


「お前って実は武闘家だったのか?」


「い〜や俺は別に武闘家でも魔道士でも無い……ただの無能なガキさ」


回し蹴りがフリュウの頭に当たり思いっきり地面にめり込む


痙攣を起こしながらもゆっくりと立ちがるフリュウ

魔法で身体を頑丈にしてあるみたいだ


「その無能なガキって名前いいな俺様もこれからはそう呼ばせて貰うぜ!」


呼ぶ?羨ましい?ふざけるな……これは俺が生きていく中で絶対に忘れられない言葉なんだ……それをこいつみたいな奴が軽はずみにしていい言葉じゃない


「お前は踏み込んでは行けない一線を超えた……」


拳を力いっぱい握りしめ怒りを抑え込む

身体が熱い……燃えるように心がざわついている


怒りか悲しみか憎しみかどの感情に当たるかも分からないこの気持ちは俺を戦いへと導く


別に俺は俺自身を煽ったり嫌悪感を抱いても構わない

しかしなんも事情を知らない奴が容易く呼ぶな


「その一線って言うのはなんだ?無能なガーー」


「黙れ」


〘第1式 炎灯華〙


第1式がフリュウを襲うがこいつは火属性魔法に強かった

つまり火属性系の魔法は奴にはあまり効果が望めない


(そうだ……あんな固有魔法を持ってるんだ当然強いはず)


もはやーー俺の知っている人物が出てこない。


フリュウやロンにクリュウその他の人達も本来なら登場しない人物だ

だから決めた……俺はもう原作通りに行動していくのはやめよう


俺はヒーローでも正義の味方でもない……ただ守りたいものを守るだけ


「次で終わらす!」


「さぁこいよ!最後に勝つのは俺様だぁ!」


〘神速〙


目に止まらぬ速さを出し一気にフリュウに近づき【異空間収納】から取り出した剣で軽く1,2発斬撃を入れる


ーーだがフリュウも簡単に避ける。


そう。ただの威圧なのだから当たり前だ


俺はその場でじっと止まり剣に魔力を溜め込むと好機だと思ったのかフリュウは近づいてくる


「へっへ!お前は間違った運命を選んだ!身体能力強化をした俺にとっちゃ〜お前なんてこの拳で一撃だぁ!」


【魔力変換完了】


もっと近づいてこい……あともう少し


5m……4m……3m………2m


(今だ!)


《絶零》


相手の心を砕き精神を狂わすこの技は危険とされていた


しかしフリュウはプライドが高い為精神を完全に壊されることはないと思い使ったのだ


「これで分かったか?お前では……力不足ってことにな」


「くっ……この俺様が……お前如……き………に」


フリュウはそのまま倒れ気絶した

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