第83話 リノアの過去

リノア・セレククトは勇者だった。


ーー例え悪だろうと善意の心は忘れずに手を差し伸べていたが敵も自身のプライドの為に自害をしていく者もいたのだ


だがリノアが最も許されない人物がいたのだ


それが第四天使の頂点であり最初に生まれた天使それが第一天使ホールドなのだった。


ーーとある昔の事リノア・セレククトは男爵とは言えど十分に生活出来る資産は持っておりなにより父親が国民から愛されていた


だがある時ーー第四天使によってリノアの父親は無惨に殺された。


それも、リノア本人の目の前で父親が剣で心臓を貫かれている光景を見た。それがリノアが持つ1番のトラウマであり復讐心が芽生えた瞬間だった


彼を待つものは母親だけとなったがその期待していた母親も第四天使達に殺された。そして彼を待つものはとうとう居なくなりお金も名誉も無くなりただ一つだけ残ったものがあった。


それが『貴族の階級』と『勇者の血』だけだった。


しかし勇者の血を引くものだとリノアが発覚した翌日には国民から期待感を抱かれていた


だからなのかーー彼は絶望に絶望を重ねある時自殺を図った


自身に剣を向け一気に腹部から貫くと言うものだった

勇気を振り絞ってリノアは一気にグザ!っと行く


これでやっと死んだのか……っと思ったがその剣はリノアの腹部を貫いてなどいなかった。それこそ彼の師匠となり恩人となる人との出会いなのだ


彼女の名前はアルべナ・ホーラ


その頃の彼女は歴代最強の魔道士とも騒がれていたのだった。


剣は刺すその瞬間に『寄移アポート』で既に取られていた


リノアはそんな彼女に抗うのだ


どれほど絶望していたのだろうか……分からなかった彼女は一旦リノアを眠らせ家に運んだ



リノアは目を覚ますと再び自殺しようとするがまたもやそれを彼女は止めると次は殴りかかった……しかしそれもあっさり止められる


そしてこれが運命の定めと言うのだろうか。彼女は彼を弟子として面倒を見ることを条件とし引き取った


それからリノアはすくすくと成長していき勇者の力に目覚めていった。だが不安定な精神のまま成長していく彼は災いをもたらす


リノアとパーティを組んでいた者達はまた彼の目の前で惨殺された


勇者の力があれどまだ完全な力を持っていなかった彼はまた目の前で人が死ぬ所を目にする……


「な、んで……僕はまた、、何も出来なかった……」


真っ赤な血を浴び仲間の首が彼の所に放り出されゴロゴロと転がってきた


「え?…………」


目の前にいた敵はニヤッと笑い次々と仲間の首をリノアに向けて投げる


「俺は第四天使の内の1人であり第三天使フェッセンだ」


白い翼と髭の生えた男がそう言い放つとリノアに向けて指をさす


「お前は弱い!だから仲間を見殺しにした……悔しいか?ハッハッハ!」


その言葉にキレたリノアはグッ!っと剣を握りしめ怒りの表情となり第三天使に向かって走り出す。


「お前だけは殺す!絶対に!」


すると大きくジャンプし一気に剣を振りかざす


聖守ホーリス


聖属性魔法を使いあっさりとリノアの剣を止めるとリノアを囲むように魔法陣が現れる


「では……そろそろお開きにしましょうか」


「くっ………!?」


聖滅ホーリネス光線アロー


光線がリノアを襲うと遠くに彼は飛んで行った。

しかし地面に落ちる前に彼女、アルべナ・ホーラに助けてもらう


「命拾いをするか……んじゃ!また会おう勇者よ」


第三天使はそのまま飛んで行き次第に見えなくなって行った。


「師匠……また僕守れなかったよ、、」


「リノア……いいんだよ?このわたしの一緒に成長していこう」


「うん」


しかし第三天使との戦いなのか次第にリノアは性格・アルべナは探求欲が変わっていった。


アルべナはリノアを戦闘マシーンに仕上げるかのように改造をしていきリノアは彼女に従う奴隷の様に戦闘を繰り返して行った


ーーそれがリノアの過去だった。

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