第60話 お前の固有魔法は?
冒険者同士の争いが終わり一段落した所で俺は寮に帰るとそこにはザァベストがあぐらを組みながら瞑想をしている
これは邪魔したら駄目だなっと思い静かに自分の椅子に座り瞑想が終わるまで待っておいた
ーーそれから30分が経過した頃ーー
「ふぅ……」
溜息をしているザァベスト瞑想で疲れるか?っと思い声を掛ける
「お疲れ様」
「うわ!?びっくりした!」
何故驚く………
あまりの予想外に俺まで驚きかけた。しかしこれでびっくりするということは余程瞑想で心を落ち着かせていたのか
「だいぶ集中していたな」
「まぁな、今俺は無詠唱をガチで習得しようと訓練中なんだ」
ザァベストの信念は本当らしい。俺はある提案を話す。
「固有魔法?」
「あぁ」
何故今固有魔法という物が出てきたのかと言うと、前にザァベストと無詠唱のやり方の訓練をした際にザァベストの身体には固有魔法が存在していることに気づいたことだ。
目の前を見るとザァベストは目をキラキラさせながらこちらを見てくる
「それって!一段と強くなれるのか!?」
「あぁ!その通り……だけどその前にまずは場所を移動するか」
◆
前回と同じく訓練所に行くと改めて固有魔法について説明をする。
「ザァベストは固有魔法を知らないんだっけ?」
「あぁ」
「固有魔法ってのは己つまり自分自身だけが持つ特別な魔法のことを言うんだ……例えば俺の姉ベノア姉の固有魔法【強制言葉】は相手を自由自在に命令することが出来る」
といっても……強制言葉は相手と自身の魔力が平等もしくは一方的な差がないと命令できない。もし相手が魔力数が何百万とかだったら勿論魔力数が少ないベノア姉は命令を下すことが出来ないのだ。
しかし……昔は何故か俺に命令できたんだよな。やっぱりあの時は何らかの運命が働いて、、いややめておこう。また会った時になんか言われそうだしな
「でもその強制言葉は俺の中にあるのか?」
「いやザァベストにはザァベストの固有魔法がある!だから今からそれを本格的に探す」
俺はザァベストの胸に手を当て俺の魔力を手を通してザァベストの身体に巡らせる
頭から胸まで行き足まで巡らし上半身から下半身まで事細かに魔力を巡らせて慎重に探す。
ベノア姉の時は知らないが、ザァベストの固有魔法はとても厄介だ。
本来ならば固有魔法は自然と出てくるものだがこいつに関してはずっと奥深くで眠っている。
だからこそザァベストには固有魔法を発動させてあげたいのだ
ザァベストが強くなることを望んでいる様に。
それからしばらく探していると心臓の奥深くから異常なほどの魔力を感じる
「見つけた」
「ほんとか!?」
しかしそう簡単には発動出来ない……この固有魔法は何故かこの奥深くで縛り付けられているのだ。
それも超硬い鎖で
「やっぱり……普通のやり方だと無理か、なら!」
一か八か俺は躍起になり無理やり取り出すことにした。
まずは鎖で繋がれている固有魔法を切り離すことが最優先だ
すでに俺の魔力をザァベストの身体の中で巡らせているからそれを利用し魔力で鎖を断ち切る
「ザァベスト苦しいかもしれないけど我慢しろよ?」
「分かった!」
了承を得て実行に移る。
魔力の流れのスピードを上げそのスピードと共に鎖を削ることが出来る
さぁ!流れろ!俺の魔力!
スピードをあげると徐々に鎖は削れていくがそれと同時にザァベストには大きな負担が掛かる。
「くっ………かは!げほ!」
苦しみながらも耐えるザァベスト。当たり前だが無理やり身体の中で魔力の速さを一瞬でも底上げするのだ。心臓やほかの内臓が傷つけられてもおかしくは無い。
だがーー魔力コントロールで言えば俺はかなりできる方だ。そう簡単には傷つけさせない。
「かは!」
耐えろ……耐えるんだ……ザァベスト!。
声援を送りながら固有魔法に集中すると次の瞬間遂に、鎖に繋がれた固有魔法が断ち切られた
「出来たぞ!」
ザァベストは苦しみながらもその言葉を聞くとニコッと笑う
「あとは簡単な作業だけだ」
固有魔法をザァベストの魔力と俺の魔力を融合させた魔力を使い奥から引っ張り出す。
そのまま心臓の横の部分に固有魔法を持っていくとあとはそれになれるだけ
「よし!終わったぞ」
「よ、良かった………」
なんとか固有魔法を発動出来る形には出来たけどここからはザァベストの気力となる
「あとはザァベスト、お前次第だ」
コクリと頷くとザァベストは自身の魔力を身体中に巡らせる
それともう1つ分かったことがあった。
ザァベストの固有魔法は付与魔法なのだ
付与魔法と言っても鍛冶屋がしている付与ではなく。本格的な付与魔法であり例えば俺の付与が10と仮定した場合ザァベストの固有魔法【
それほどまでに固有魔法と魔法との違いは激しい。
「ふぅ…………」
そんなことを考えている間にどうやら出来たようだ
ザァベストはゆっくりと地面に落ちてある剣を取ると剣に魔力を込める。
ちなみに先程あの剣は俺が置いときました
魔力の波動がここまで感じる。想いも力も全てが身体中に流れ込んでくる
丁寧に剣の端から端まで慎重に魔力で付与魔法を刻んでいく
やはり付与師と付施師は違うな…………
すると、ザァベストは顔の色を変え喋り出す
「お、終わったァァ!!」
「お疲れさん」
ほいっと水をザァベストに手渡す。
「それで?剣はどうだ」
「あぁ!もちのろん!完璧だぜ!」
万遍の笑みでザァベストはニッコリと笑う。それを見た俺は「それは良かったな」っと言う
「とりあえずこれでお前の固有魔法は完成だあとは磨いていけよ?」
「ありがとうな!オスト!!」
「まぁな」
これからもっとザァベストは強くなっていく。お前が強くなっていくのを見て俺ももっと強くならないとって改めて感じることが出来たよ、、。
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