三者、公子を追う

 セリム・ベルクマン公子が、村人の治療のために王都を出て南に向かったという情報は、すぐに各勢力に伝わっていた。

 公子は自分が現在、どれだけ重要人物になっているのか理解していなかった。

 諜報員たちは、公子が連れ去られたことを把握し、即座に王都に急報をもたらしていた。



「未来の王婿が誘拐された。私自ら助けに行く!」


 王宮からは、王女が精鋭を引き連れて城を出た。



「セリム公子の救出に、王女が動かれたそうです」

「負けてられないわね。私たちも行くわよ!」


 ルヴィエ侯爵家からは、ナディアと2人の学友が、公子を助けに急行した。



 そして、村の外れでは、勇者レオが3体目の魔人を消滅させていた。


「村を守って戦ったせいで時間がかかった」

「だからって、村人を犠牲にしたら、うちの大将は許さないでしょう」


 レオとギルベルトの活躍で、村人たちは魔人に殺されることなく生き延びた。


「すぐにセリムを追いかけるぞ」


 2人は公子を乗せた馬車を追った。


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