公子、報酬をもらう
その後、リヴィアンの重役らしい偉そうな大人が、入れ代わり立ち代わり入ってきた。ナディアが応対して、状況を説明していった。
俺はとなりで黙々と、リヴァイアサンに生命エネルギーを受け渡していた。リヴァイアサンの力の調整が完了するまで、後1日かかるらしいが、もうだいぶん調子が良くなっていた。龍は、ナディアと話す大人たちを見て、時々口をはさんでいた。
翌日、リヴァイアサンの力の調整が完了した。
「これで、少なくとも百年は、あの魔人のような者が現れても、独りで対処可能じゃ」
「もうすぐ、マルカ帝国の人間がこっちに攻めてくるかもしれない。気を付けてくれ」
俺はさらっと、未来の出来事を龍に教えてやった。
「人間ごときに、儂が負けるわけがない。軍船で来ても、ひっくり返して終わりじゃ」
調子の良くなった龍の死骸は、自信満々だった。
「無事に、現地の巫女の選定ができました。名残惜しいですが、私がいなくても、話し相手には困りませんわね」
ナディアが言うと、龍は彼女の方に首を向けた。
昨日の戦いで使ったクリスタルの剣が、再びナディアの前に現れた。
「持って行け。今回協力してもらった礼じゃ。お主の技量に合わせて、あらゆる属性で攻撃可能な剣に育つじゃろう」
ナディアが剣を持つと、昨日ほどの輝きはないが、四大属性の光が煌めいた。
「お主なら、となりの坊主と違って、鍛えれば独力で聖属性まで出せるようになる」
龍が満足げに頷いている。
俺が聖属性を使えるのは、<システム>からの借り物ってことか。詳しいことは、製作者に会わないと分からないようだけど。
いつかは、会えるのだろうか。
「あら、リヴァイアサン。問題を解決したのは、私ではなく彼ですわよ。お礼なら、セリムにあげるべきだと思いますわ」
ナディアが申し立てると、リヴァイアサンは嫌そうに顔をそらした。
「そ奴は、儂が力の調整をするのを、5日間も横で感受しとったんじゃ。アホでなければ、何か勝手に覚えたじゃろう」
「いや、使ったのは借り物の<スキル>だ。俺が調整できるものでは……」
「あれだけ見せてやったのに、何も学ばん奴など知らん!」
龍に叱られてしまった。一応、スキル一覧を確認してみる。
《 森林浴…植物から余剰の生命エネルギーを受け取り、空腹を満たす わずかだがMPも回復する 》
《 海水浴…海から余剰の生命エネルギーを受け取り、空腹を満たす わずかだがMPも回復する 》
<森林浴>と<海水浴>にMP回復効果がついた!!
わずかでも、MP回復手段を得たのは大きいぞ。
特に、<治癒スキル>は、魔力の消費が激しすぎるからな。俺の魔力総量はかなり多いはずなんだが、何度も魔力が枯渇しそうになった。多少でもMPの回復ができれば、思い切って動ける場面が増えるだろう。
「俺も得るものがあった。感謝するぞ、龍よ」
「ふん。死体の龍より長生きできない人間よ、元気でな」
「ええ。リヴァイアサンも、これからもおしゃべりを楽しんでくださいね」
ナディアが手を振って、俺たちは龍と別れた。
翌日、島を出て王都に帰還する。
学園の2学期は、まだ始まったばかりだった。
《 闇に侵された龍を救いました 経験値が上がります 経験値が+10000されました 》
《 セリム・ベルクマン 男 15歳 》
《 求道者Lv: 62 次のレベルまでの経験値:5150/6300 》
《 MP: 7091 / 8391 治癒スキル熟練: 5216 聖属性スキル熟練: 308 》
《 スキル 》
《 治癒 》
《 簡易治療…小さな切り傷やすり傷を治す 》
《 体力支援…闘病中の相手に体力の支援をする 》
《 免疫操作…免疫で抵抗可能な病気を治す 》
《 並行操作…免疫操作を7名まで同時にかける 》
《 再生治療…あらゆる身体の損傷を治す 》
《 聖属性 》
《 神眼…聖属性と闇属性を知覚する 》
《 聖鎖結界…闇に近い敵を捕縛し、継続ダメージを与える 》
《 森林浴…植物から余剰の生命エネルギーを受け取り、空腹を満たす わずかだがMPも回復する 》
《 海水浴…海から余剰の生命エネルギーを受け取り、空腹を満たす わずかだがMPも回復する 》
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