第27話 ガチレズとガチホモとくんずほぐれず


「……とりあえず。変態が出たから制圧するよ。ほら、サッサとやったやった」


 ショータロー君が半ば投げやりのような感じで俺達を前へ出す。その顔には疲労感が見えていた。この歳でこんな顔をする羽目になった、彼の心労や如何に。


「黙れ原因の一つ」


 愚痴るクソガキを置いて、俺とステータスちゃんとドンショクちゃんの三人は海に入った。


 とりあえず、クエストだ。何でも良いからこいつらを捕まえなきゃならん。


「あーらら。アンタらが相手してくれんの? ……ってか、ちっぱいマイクロビキニとか解ってるじゃない……良いわねぇ……若いオナゴは堪らないわ~……ジュルリ」


「……そっちの葉っぱ一枚のお前……何だよ、おれを誘ってんのか……? ……ジュルリ」


「人間のメスッ! あのおっぱいッ! 飛び込みたいでウッサァッ!!!」


 ただ、何やら様子がおかしい。全員が全員。俺達を見て、ヨダレを垂らしながらハァハァしている気がする。気のせいであって欲しい。


「ちなみにアタシはガチレズよッ!」


「おれはガチホモだッ!」


「おっぱいの大きい人間のメスなら何でも良いでウッサァッ!!!」


(((うわぁ、変態だぁぁぁ……)))


 聞きたくなかった性癖を暴露されて、俺達全員腰が引き気味。どうしよう、変態だ。お巡りさんコイツらです。


「君たちも彼らに負けてないから大丈夫だよ」


 クソガキの言葉が解らない。誰が変態だ、全く。俺は紳士だと、何回言えば解るんだ?


「それはこっちのセリフだよ」


「少年。貴様は後で説教だ。そしてお前は、俺達に変態の相手をさせる事に対して、なんの罪悪感も湧かんのか?」


「変態に変態をぶつけて何が悪いのさ? 生き残った変態が本物だよ」


 本物ってどういう意味?


「んじゃ、いっくわよー貧乳ちゃんッ!」


「ゲェッ! あたしんとこ来たーッ!?」


 まず飛び出して来たのはシャララと呼ばれたガチレズだった。水上バイクから降りて海に飛び込み、泳ぎながらドンショクちゃんを目指している。


「そのちっぱいを愛でて舐って堪能させてちょーだいなッ!!!」


「誰がちっぱいよ、あたしには未来があるんだからねッ! "悪食(イートワールド)"ォッ!」


 迎え撃つドンショクちゃんは、背中から黒い触手を生やしていた。何でも丸呑みにする、この触手。当然、泳いでいるシャララを補足し、肥大化させた口を大きく開けた。


「いただきます」


「いただかれまーすッ!!!」


 そしてシャララは、めっちゃ元気よく触手の中に入り込んでいった、ウッソだろお前。


「ホンマです貴様ァッ! ああ~ッ! ちっぱい女子の中あったかいナリ~……」


「ひ、ヒィィィッ!?」


「ヌルヌルしててあったかくて……やだ、ちょっと変な臭いまでするじゃない……興奮してきたわッ!」


 ドンショクちゃんから、ゾワゾワゾワゾワッ! っという音がする。鳥肌が立つ音、初めて聞いたかも。


「ああン、もう濡れてる気がする……側面のヒダヒダでちょっとオナっちゃおうかしら……」


「オエエエエエエエエエエエエェェェ…………ッ」


 やがて耐えきれなくなったのか、ドンショクちゃんは触手の大口を開けてシャララを吐き出した。うん、俺もあんなのが自分の喉を通ってるかと思ったら、色々と耐えられない自信がある。


 あとドンショクちゃんゲロイン化計画は順調そうだな。一話一ゲロ。ノルマって大事だ。


「ちょっとッ! まだアタシがイッてないのに、なんで吐き出したのよッ!? それともアレ? ヌルヌルの唾液プレイがお望みなのッ!?」


「む、無理……こんなん、飲み込めない……」


「もう一回だけッ! 先っちょだけで良いからッ! 入れさせてちょーだいッ!」


「いぃぃぃやぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」


 マジかよ。あのドンショクちゃんが無様に逃げ回る羽目になっている。世の中、上には上がいるもんなんだなぁ……。


「さあて。おれの相手をしてくれよ、セクシーな君」


「ゲッ……」


 人を儚んでる場合じゃなかった。俺の前には奪った水着を水上バイクに置いた、筋肉モリモリでガチホモの色白優男とか言う、第一印象で交通事故起こしてそうな男が立っている。


 股間の黒いブーメランパンツを、これ見よがしにもっこりとさせて。


「そんな格好で誘ってさ、君だってそういうつもりだったんだろう……? おれはもう準備万端さッ! さあ、挿れさせてくれよッ! なんならおれに挿れてくれても良いぞッ!?」


「良かったですね相山。モテ期ですよ?」


「おれと正式にお突き合いしてくれ……」


「絶対にノォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」


 ステータスちゃんの言葉を全身全霊をかけて拒絶したい今日この頃。


 人から好意を持たれることは悪いことではないが、かと言って、ドキッ! 男だらけの新世界ッ! に飛び込めと言われたらお断りだ。


 俺は幼女一筋だ。何があっても、それを曲げるつもりはない。


「いっそ飛び込むくらいの荒療治があった方が、ハヤトさんの幼女趣味も治るんじゃないかな?」


「人の生き様を不治の病みたく言ってんじゃねーぞこのクソガキャァァァッ!!!」


「さあッ! 行くよおれの君ッ!」


「ゲェッ! 来やがったッ!」


 そんな事をしていたら、両腕を曲げて上腕二頭筋を全面から見せるフロントダブルバイセップスのポーズを取りながら、ゼンザブロウがこっちに向かってきていた、何あれマジ怖い。


「す、ステータスちゃんッ!」


「お任せですッ!」


 俺のステータスちゃんを呼んだ。あんなのが相手とか、マジでやってられない。できれば遠距離で何とかできるスキルを……。


『氏名:相山ハヤト

 性別:男性

 年齢:二十八歳

 状態:葉っぱ隊

 職業:ロリコン

 取得スキル:ステータスちゃん、カッチカチやぞッ!(New!!!)

 持ち物:五百万円の借金(ちょっと減った)

 備考:ガンバッ!(New!!!)』


 表示されたステータスを見ると、備考欄に応援メッセージ、そして何か見たことないスキルが追加されていた。同時に、俺の筋力がボディービルダーかと思うくらいに盛り上がっていく。


「…………おい。これって……?」


「さあッ! 思う存分、あのガチホモとくんずほぐれずをするのです相山ブッハァッ!!!」


「貴様ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 近づきたくねーっつってんのに接近戦しかできないような調整施しやがったな、このクソアマァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!


「なんだおれの君ッ! なんて素敵な身体なんだッ! ズルいぞッ! そんな格好で、そんな筋肉を見せられたら、おれはもう……もうッ!!!」


「もうッ、じゃねーよ寄ってくんなッ! つーかおれの君って呼び方をやめろォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」


「ふ、フヒ、フヒヒヒヒ……ちょっと……出ちゃった……ッ」


「ヒィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」


 俺もドンショクちゃんと同様に、無様に逃げ回る羽目になった。このガチホモはフロントダブルバイセップスのポーズを崩さないままに、こちらの菊を狙って追いかけて来ている。ブーメランパンツにシミがデキている気がして、マジで冗談じゃない。


 俺の菊の穴には幼女に戸惑いながらもペロペロしてもらうという夢があるんだッ! 男で汚す訳にはいかんッ! 何としても逃げ切ってやるッ!


「ホントどうしようもないなコイツ……」


 クソガキが何かを呟いているが無視だ無視。だって油断すると、俺の処女がなくなっちゃうんだもん、ガチで。


「……さあてッ! あとはお姉さんだけだウッサァ!」


「うわ、なんか来ましたよ」


 最後に残った変態ウサギが、ステータスちゃんの前で立ち泳ぎしていた。ああ、こいつ、小さいから足がつかないんだ……。

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