第135話 絶望の撤退戦

Uターンも考えたが土地勘の全くない俺たちが、知らない場所へ逃げ込む事は余計なリスクを負うことになりかねない。


「葵、突破して来た道を行こう」

「わかりました」


覚悟を決めて目の前のゴブリンに集中すると同時にスキルの使用回数を確認する為ステータスを確認する。

さっきの一発で既に『ライトニング』は使い果たした。


スキル  『フェイカー』《ウィンドブレイク1》《ボルテックファイア3》《ライトニング0》8《 風舞1 》


『アイスジャベリン』はまだ8回残っているが、他のスキルは一様に厳しい。

まだ増えるであろうゴブリンに対して俺のスキルの使用回数はどんどん減っている。

葵の言うように本当にゴブリンロードがいるのであれば一刻も早く逃げなければならない。

ここで時間をかけて戦うのは悪手でしかないが、出来るなら『ボルテックファイア』は残しておきたい。


「凛くん……」

「葵、あれは……」


前方突破を図ろうとしていた俺たちの前に、更なるゴブリンの群れが現れた。

その数は五。先にいたゴブリンと合わせて11になってしまったが、問題はその数では無い。

その新たに出現したゴブリンの内の三体が通常のゴブリンではなかった。

二体は以前戦ったゴブリンファイターに酷似している。

そしてその二体を従えるようにして現れた一体は明らかにゴブリンファイターよりも上位の存在感。


「まさか、ゴブリンロード」


このタイミングで、まさか本当にゴブリンロードが現れるとは……

しかもゴブリンファイター二体まで。

全身の血の気が引いていく。

以前レイドバトルでギガントオーガを複数相手にした時以上の絶望感が襲ってくる。

あの時も2ランク上のモンスターを相手取って戦ったが、あの時から1ランクアップしているので今回も同様ではあるものの、あの時俺はFランク上位だった。だが今の俺はEランクになったばかり。しかもレベル10からステータスは上がっていない。

Cランクのゴブリンロードに勝てるイメージが全く湧かない。 


「凛くん、ここはわたしがなんとかします! 逃げてください!」

「なにをバカな!」

「わたしならまだ、スキルに余裕があります」


自分の矮小さと愚かさをこれほど感じたことはない。

俺の隣には葵がいて、葵が一人で逃げ出すことができるような人間ではないことは俺が一番わかっていたはず。

俺が諦めたら、葵にも当然災厄が降りかかってくるのは自明の理。

それなのに、ゴブリンロードを前に一瞬絶望しかけてしまった。

絶対に逃げてやる。

葵と一緒に逃げ切ってやる。


「俺もまだやれる。葵、二人で逃げ切るよ」

「はい!」


とはいえ、状況が好転したわけでもなく、絶望的な状況は変わらない。

敵はゴブリンが八体とゴブリンファイターが二体、そしてゴブリンロードが一体だ。


あとがき

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