第80話 エラー

レベル10になりスキルの使用上限回数が増えたところまでは良かったが、レベル10になった事で想像もしていなかった事が起こってしまった。

ステータス画面の表示エラー。

最初は全く気が付かなかったが、ステータス画面を何度か見ているうちにわずかな違和感を感じた。

その違和感が何なのか気がつくまでにもかなりの時間を要してしまった。

まるで間違い探しゲームのような表示エラー。

気がついた時も俺の見間違いかと思い、何度か見直してしまったが表示が変わる事は無なかった。

スキルホルダーのうちの一つ『アイスジャベリン』のホルダー表示にエラーが発生していた。


〈《アイスジャベリン8》


レベルアップにより使用回数は8まで増えている。これは問題ない。問題はスキルでは無くホルダーの表示だ。なぜか《 が一方だけ〈《 となっている。過去のステータス画面には戻れないので、確証は無いが今まではこんな事は無かったはずだ。

エラーを見つけて慌てた俺は、すぐに外に出て空に向かってスキルを発動してみた。


『アイスジャベリン』


結果は問題無く普通にスキルが発動した。

スキルを発動すると今までと何一つ変わる事の無い小ぶりの『アイスジャベリン』が上空へと放たれた。


「発動した……良かった。だけどこれっていったい何なんだ?」


もしかしたらスキルが発動しないという可能性が頭をよぎったので、氷の槍が発動した事にホッとしたが、それと同時に疑問が湧いた。

これってステータスの表示エラーか?

そんなことあるのだろうか? 今まで授業ではそんな事を習った覚えは無い。

部屋に戻ってからも一人で考え込んでしまったが、やってきた葵に聞いてみる事にする。


「ステータスの表示エラーですか?」

「うん、そう。スキルホルダーの一部だけが今も《《アイスジャベリン7》って表示されてるんだけど」

「聞いた事がないです。それでスキルは問題なく使えるんですか?」

「それが問題なく使えた。特に変わったところも無かったんだ」

「不思議ですね。凛くんのスキルは特別ですし、不思議と言えばこのステータス自体が不思議ですから、まだ知られていない事があってもおかしくは無いですけど」


やはり葵も聞いた事が無いようなので、やはり表示エラーでしか無いのだろうが、一般的では無さそうだ。

将来的にステータスエラーが拡張してスキルが使えなくなったりしないか不安になってしまう。

今は特に実害は出ていないので、これ以上エラーが増えないように願うしか無い。

エラーの事は気になって仕方がなかったが、スキルは普通に使えるしこれ以上の事は考えてもわかりようがないので、葵が用意してくれた晩ご飯をいただく事にした。今度機会があれば学校の先生にでも聞いてみよう。

今日のご飯は親子丼だったが、本当に美味しかった。以前母親が卵丼を作ってくれた事はあったが、それよりもずっと美味しかった。

葵の作ってくれるご飯は和洋中なんでも絶品だ。

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