第77話 雪空の戦い
もう家を出てから一時間近くが経過している。
モンスターの被害は大丈夫だろうか?
「凛くん、そろそろ着きます」
「ああ、わかった」
もうすぐ現場に着くようだが、薄暗い上に雪が軽く吹雪いていて極端に視界が悪く、先が見通せない。
「全く見えないな」
「そうですね。雪がこんなに厄介だとは思いませんでした」
「葵、離れないで。突然モンスターが飛び出してくる事もあり得るから、お互いがフォロー出来る距離を保って行こう」
「はい、そうですね」
もちろん俺には雪が降る状況で戦った経験は無い。
雨が降っている時に戦った事はあるのでその延長線上でどうにかなるだろうと考えていたが、甘かった。
これは全くの別物だ。
モンスターの場所と動きが全く確認出来ないので、すぐにスキルを発動できる様に身構えながら進む。
『ガンッ、ゴガッ』
進んで行くと何かを壊している様な音が聞こえてくる。
モンスターがいる。
前方へと神経を集中するが音は聞こえてくるが姿は見えない。
「葵、見える?」
「いえ、音だけしか……」
段々音が大きくなっているので間違いなく方向はあっている。音の感じからして、もうそれほど距離はないはずなのに、まだ姿は見えない。
音を頼りに距離を詰めて行くが、ようやくうっすらとモンスターらしき姿が動いているのが見えるが、種別までは判別出来ない。今見えているのは一体だけだが、今回の敵は一体だけなのか?
「葵……」
「見えるのは一体だけですね。正確には狙いにくいですがわたしの『エクスプロージョン』ならある程度の範囲はカバー出来ます」
「わかった。じゃあ同時に『エクスプロージョン』を発動しよう」
「わかりました」
『『エクスプロージョン』』
俺達はうっすらと見えているモンスターに向けてスキルを発動し、爆炎が広がり前方を赤く染め上げる。
「やったか?」
「おそらくは……」
先程まで見えていた姿が消えているので、多分倒せたのだろう。
一撃で倒せたのでそれほど上位のモンスターでは無かったと思うが、とにかく倒せてよかった。
そう思い緊張を解いた瞬間、視界に黒い影が飛び込んで来た。
俺は咄嗟にスキルを発動しようとするが、反応が遅れてしまう。
「させません。『エクスプロージョン』
俺が反応するよりも先に葵が向かって来ていた黒い影に向かってスキルを発動した。
爆炎が黒い影の行手を遮るが、俺も再度臨戦態勢を整えなおす。
「『ライトニング』 葵下がって!」
ハッキリとは見えなかったが、敵は葵の『エクスプロージョン』の直撃を逃れた様にも見えたので、おおよその位置に狙いを定めて雷撃を放つ。
周囲が水気を含んでいるので雷系のスキルの威力は増しているはずだが油断は出来ない。
そもそもモンスターが全部で何体いるのかがわからない。
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