第17話【容赦ない口撃と大きな実力差】
「間に合ってますので
やめておいた方が
次の瞬間ギルド内が凍りついた。
「なっなっ何だとぉ!?貴様死にてぇのかぁ!?」
「何故そうなるのですか?
僕は他の方に迷惑になるので騒ぎを起こしたく無いんですよ。
それに相手の実力を見極めずに恫喝を行う事はおすすめしませんよ。
思ってもみない手痛い反撃を喰らうかも知れないですからね。
それでは僕らはこれで失礼しますよ」
僕は出来るだけ穏便にスルーするために日頃あまり使わない丁寧な言葉で現状の説明をしてから帰ろうとした。
「舐めやがって!死ねや糞ガキ!」
激昂したグジーが腰の剣を抜いていきなり切りかかってきた。
「馬鹿!止めるんだグジー!」
一緒に呑んでいた仲間らしき男達が止める為に叫んだが聞く耳を持たないグジーはそのまま向かってき来た。
(まったく、目立ちたくないと言ったのに人の話を聞かない単細胞め)
僕は切りかかりの勢いをそのままに体をずらして躱わすとひょいと足をかけてやった。
「うおっ!?」
ガラガラガッシャン!!
派手に転ばされて空いたテーブル席に突っ込んだグジーは痛みに耐えながら起き上がるとさらに興奮した状態で威嚇してきた。
「テメーもう許さねぇぞ!絶対に殺してやる!」
グジーはさらに興奮していてその様子にギルド内が騒然となる。
仲間が必死に止めようとするが興奮はおさまらないようだ。
しかしそれを見た僕は臆する事なくグジーに言い放った。
「今、僕を「殺す」とはっきり言いましたね。
周りの人達も聞いたと思いますので言質を取らせてもらいますね。
ギルドの方、聞いた通りこの方は僕を「殺す」とはっきり宣言しました。
先ほどからいきなり切りかかられたうえに「殺す」とまで言われたら僕が返り討ちにして殺してもギルドの規約上では罪にはならないですよね?」
僕はそう宣言して剣を抜いた。
「今度切りかかってきたら僕はあなたを殺します。
ああ、彼女は僕の大切なパートナーだ、侮辱されたままなのは許容出来ないのでしっかりと謝罪はして貰いますよ」
周りの人達は皆、唖然としていた。
それはそうだろう、成人したかどうかのFランク登録したばかり若造がDランク冒険者を手玉にとって謝罪を求めているのである。
「ほざくな小僧!!」
(やれやれ、あれだけ警告したのに無駄だとは頭の悪い奴を相手するのは疲れるな)
「二人ともやめなさい!!」
何処からか声が聞こえたが、もう目の前にグジーの剣が迫っていたのでかわしてから剣の柄で殴り飛ばしておいた。
殺しても良かったのだが場所が悪いので気絶させるだけで勘弁してやることにしておいた、多分肋骨あたりは折れていると思うが死ぬよりはマシだろう。
「ヨバル!あなたが居ながらなぜ止めなかったの!?」
「すまねぇリルの姉御!今日はグジーの奴、獲物にまんまと逃げられてしまってイライラして俺の言うことを聞かなかったんだ!」
泡を噴いて気絶しているグジーから目を離して声のする方へ向いた僕は目を見張った。
そこには見た目10歳の少女がグジーのパーティーリーダーらしき男に渇をとばしていた。
少女は僕に気がつくとため息をつきながらこちらに向かってきた。
「うちの馬鹿どもが迷惑かけたようだが、とりあえず殺さないでいてくれて助かるよ。
あんなのでもギルドからすればいくらか使い道があるんでね。
君、私が止めなかったら本当に殺すつもりだっただろ?
ああ、自己紹介が遅れたね。
私はこの冒険者ギルドのギルドマスターを勤めている『リルアール』という者だ。
私はエルフ族だからこんな見た目だが君の数倍は生きているから態度には気を付けるようにな」
リルアールは僕を素通りしてのびているグジーの傍に行き何やら魔法らしきものを唱え始めた。
するとグジーの体は淡い光を帯だし、包まれたかと思うとグジーが気がついた。
どうやら折角折った肋骨も治ったらしい。
「それでは僕達はこれで・・・」
面倒事の臭いがプンプンしたので早々に退散しようとしたがそれは叶わなかった。
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