マイナンバー

「マイナンバーが平家物語にあったらさ」


 時代小説を手にしながら彼女が言う。


「名乗りの時に言うのかな」

「どういうこと」


「『やあやあ我こそは、一二……』」

「その間に、背中に矢が飛んできそうだね」


「文覚が頼朝に直談判する時も、まず本人確認」

「どこから参照するんだよ」


 そんな平家物語は嫌だ。

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