第315話見損なったわ…

  「嫌よ、」きっぱりと断る話を紡いだ自分に驚かされているようにと、左側の眉毛を跳ねらせていた和流の眼を睨むようにと見つめては、不満そうにと左手を軽く胸元に当ててしまう白野は、ついもし自分が野黒新を諦めてしまったら、彼にはまだちゃんと彼が部屋から出て来るのを望んでは、ずっと待っている人がいるのを知らせて上げる事が出来なくなるんだと、強く感じている白野は困り果てては潤んでいる黄色の瞳に、映し出されている自分の顔を見つめて行きつつ、声を発していく、「なんであんたに言われた通りにしないといけないのよ?」


  「うう…」白野が自分に向けて来た反論する余地がまったく残していない話に困らされては、口角が斜め下の方向に向けられているように思えてしまう和流、苦しそうにと軽く歯を噛んでいく彼は強く両手を握っては、脳内を過っていく自分たちが本を読みに来ている訳にヒントを貰えたような気がしては、猛然と彼女に目線を向けていた、「ほら、成績だって、落ちてるんじゃない?」頑なに自分に手紙を書く事を観念して欲しがっているような、ニュアンスが込められている言葉を自分に投げに来る和流の困らされては、彼はどうして手紙を送ることではなく、手紙を書いては、無駄に使っているように見えてしまうかもしれないけれども、必ずしも野黒新に自分の思っていることを伝えて行ける、彼にとっても、自分にとっても無駄にならないはずの事に文句を言ってくるのかが分からないでいる白野、軽く白皙の皮膚に包まられていた喉仏を起伏させては、自分の顔を見つめに来る和流の瞳を睨むように見つめては、何度も鼻翼に力を入れていく白野は迷わずに声を発していた、「成績より新ちゃんを選ぶの。あたしは。」


  「うっ…」取り付く島もなく自分の事を世界の最果てまで退かしに来ているような、ニュアンスが込められている話を自分に投げに来ていた白野の態度に困らされては、口角が限界なまでに斜め下の方向に向けられているような気がしてならないでいる和流、軽く歯を噛んでは、眉毛を顰めていく彼は切なげに鼻を啜っては、ぽつりと弱っているような声を上げていく、「分かったよ…」引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、白野の顰蹙をいっぱい買うまで、彼女に手紙を書くのを観念して貰うのは、自分が酷く損する事であり、そもそも決めていた事になると、非常に強情な彼女には、自分と仲違いしても、多分手紙を書いていくのであろうと、苦笑いするしか出来なくなっているようにと感じている和流は、潤んでいく黄色の瞳で彼女の顔を映し出していた、「ちゃんと勉強してね?」


  和流の苦笑いしながら、まるで自分の決意に納得してくれている態度を示した事に、口角を微かに上げられているように思えては、彼はきっと成績が落ちている自分には上手く同じ大学に入れない事に関して心配している故に、野黒新に矛を向けていたんだと考えては、落ち込んでいるようにと胸元を机に向けてしまう彼の横顔を見つめて行きつつ、自分がちゃんと勉強して行けては、同じ大学に入れたら、彼も文句を言わなくなるのであろうと、内心で考えていく白野は軽く頷いていた、「うん。」


  宛ら自分の事を鼓舞しようとしているようなくらいに、淡い笑みを浮かべてくれている白野の再び筆を手に掴んでは、本に真面目そうな表情を向けていく姿に悲しみを覚えては、本来なら、もし野黒新がいなかった、溌剌な彼女はきっといっぱい遊べては、日々を楽しく過ごして行けたはずなのにと、ぼんやりと思って行きつつ、野黒新がいたから、彼女は彼女が抱える必要もない苦しみを、彼と共に担いでいく現実に弱されては、優しい白野にはもっと素敵な人生を送って行くべきなのにと、困り果てている野黒新に文句は言えないでいる自分の事を責めては、野黒新に普通に暮らしていて欲しいと同時に、白野に輝かしく、天真爛漫で天使のように感じてしまう彼女に相応しい日々を送って欲しいと願っていく和流。


  ぼんやりと渇いた唇を開けては、自分が思っている事は都合の良すぎた話であり、到底叶えることなんて出来ないんだと漠然と傍にいる彼女の健気な態度に苦しめられては、疼く心で感じていく彼は軽く歯を噛んでは、机にあるボールペンを強く握って行きつつ、チラッと机に置かれていたパンダのキーホルダーに一瞥しては、白野にいつまでたっても時間を虚無に囚われては、将来青春時代を振り返って見ると、本当に救えるかどうかも分からないでいる野黒新に何もかも捧げては、何も得ないで、ただ平坦にどうしようもない日々を送っていたことでいて欲しくはないと切に願っては、いつかは自分が手遅れになる前に、何とかしてやらねばと強く決意していく彼はボールペンを白い紙の上で走らせていた。


  『親愛なる白野雫様へ、沼の中でどれだけ足掻こうとただ沈むだけである事は、あなたは存じてましたか?』ぼんやりと左手で鞄を抱えながら、自分の瞳を占拠しに来ているような白い紙の上に書かれていた文字を見下ろしていく、『私はどん底まで沈む前で、既に手遅れになっているかもしれませんが、』ぼんやりとしている目線を酷く格好良く見えて来る文字を見つめては、つい歯がゆい思いを強いられているような気がしてならないでいる白野、『どうにか抜け出したいと、心から思ってます。』


  漠然ともしかしたら恋の沼に完全に沈んでいくのを語って来ているのではないかと、思わせに来る台詞を凛としていた文字で残してくれていた相手に心をノックされているような気分になれている彼女は軽く艶やかな唇を噛んでいた、『どうか放課後に学校の渓流の隣りまで来てください、ずっと隠して来た思いを伝えたいので。』宛ら自分の荒くなっては、上手く冷静を取り戻す事が出来なくなっている心臓を、ゆっくりと刺激しに来ているような手紙に心を弱されているように感じては、まったりと額を上げては、深いピンク色の瞳を奪おうとしているような赤くなり、黄昏に金色の艶を貰えているような木の葉を見上げていく白野、「はぁ…」


  漠然と目を細めて行きつつ、右手にあるどう見ても彼が書いていたとしか思えないでいる手紙に、もどかしい思いを心に強いられているように感じては、思わず両足の足指で軽く自分が履いていたスニーカーを掻いて見たくなっている白野は軽く白い歯を噛んでは、強く右手にある手紙を握って行きながら、まったりと胸元を自分の左側で自分を呼んで来ているような、赤いスカーフを敷いては、ゆっくりと流れていく河に向けては、丁寧に右手にある手紙を握っては、ポケットに仕舞おうと思っている彼女は軽く歯を噛んでは、流れていく河に憂いを強いられているように感じてしまう彼女は軽く唇を噛んでは、まったりと左足を右足の踵に添えていた。


  呆然と右手にあるスプーンを握って行きつつ、横目で何かしらの憂いを抱えているようにも見えて来る白野の姿を見ていく矮小なる男性は、つい遠くにいる彼女の可憐なる姿に心がやや引かれているように思いつつも、彼女とは上手く付き合えやしないのであろうなと、見るからにして気難しそうな相手と、自分のちんちくりんとしか思えないでいる体型を目にすると、ついため息を吐いて見たいと思ってしまう彼は、漠然と右手にあるスプーンを握ったままで、左手にある真っ赤のようにも見えて来る唐辛子に詰まっているようなお椀の中に入れては、丁寧にスープを飲んでみようと、自分の思いを叶ってくれているようなスプーンの軽くスープを掬い上げては、自分の唇に近づかせに来る状態に、口角が自ずと上げられているような気がしてならないでいる彼は、思わずニヤリと右側の口角を上げては、軽く顎を上げてはスープを堪能して見ようとしていく。


  ”ドクンー”刹那、まるで己の舌を拒んで来るような、スープの強く己の舌を嬲りに来るような感覚と、スープの熱気に上手く耐え切れなくなっているような舌の、否応なしにスープを前の方に向かっては、吐き出していく状態に見開かされているような気がしては、苦しそうにと舌を吐き出して行こうとする矮小な男性、「あっつ!?」突然、自分の口元から零れては、己の喉元にある青色の火のようなタトゥーに、触れに来るような熱気に満たされているような液体の存在に、心臓が激しく刺激されているような感覚に、気を遣っていく余裕は漏れなく自分が強く握ったままの、右手にあったスプーンに奪われているせいで、つい左腕にあるお椀の存在が疎かにされていたような気持ちになり、否応なしに自分の左腕を焼こうとする程の痛みを残そうとするお椀から、飛び出ようとするスープを極力避けて行こうとする矮小なる男性。


  ”ぽんー”「あっ…」あっけなく自分に絶句して欲しがっているようにも思えるくらいの、地面の方に向けにいくお椀の音と、綺麗なまでに地面に散っていくようにも見えて来るスープの存在に、歯がゆい感情を植え付けられているような気がしてならないでいる、氷柱のような一本の深い緑色の髪の毛が生えていた矮小な男性は、つい胸の奥にある悔やんでいるような思いに、歯がゆい感情を強いられているような気がしては、悔やんでいくようにと、猛然と左足を上げては、己の落ちていたお椀を蹴っ飛ばして行こうとする、「ちっ…」


  ”トー”自分の足に送られているようにと、宙に綺麗にも思えるくらいの赤いラインを、描いていくような少々割れていたようなお椀の中から飛び出る、スープの存在に目を細められているような気がしては、悔しがっていくようにと、強めに歯を噛んでいく矮小な男性は、強く右手にある夕陽にやや橙色に照らされているよなスプーンを握ったままで、両手をポケットに入れては、帰り道に野良猫でも蹴っ飛ばしては、己の胸にある鬱憤を払って行こうじゃないかと、内心で強く憤怒を抱えたままで、歯を食いしばっていく彼はチラッと目線をピンク色の糸の群れの如く、髪の毛を背にする白野の方に目を向けにいき。


  漠然と無理矢理にも思える程に自分の目線を引っ張ろうとするくらいの、物音を起こしに来ていた相手の存在をやや恨んで行きそうな気持ちになり、つい土壇場に居ると言うのに、なんで急に訳の分からない奴に、自分らの人生にとっての一大事になり兼ねないでいる現在の雰囲気を、破られないといけないのだろうかと、見るからにして碌な人間ではなさそうな相手の存在を恨んで見たくなっている白野は、内心にある悔やんでいるような思いに身を委ねていくようにと、強めに白い歯を噛んでいく。

  

  「僕が来るのって、」宛ら自分の登場に合わせてくれているような、金色にも見えてしまうくらいに、黄昏の日を背にしては、自分に顔を向けて来る彼女の微風に吹かれては、自分に向けて来るピンク色の髪の毛を見つめていく和流は軽く口角を上げては、まったりと自分の姿を隠してくれていた右側にある校舎から離れていき、「知ってた?」


  少しでも自分が、彼が自分のもとに来ることを知っているのを疑っていないような、彼の微かに震えているような声に、口角をくすぐられているように感じてしまう白野は、思わず軽く笑ってみようと思い、ぼんやりと目を細めては、訳の分からない奴の存在を自分の脳内からかき消してくれているような相手の方に、心を強く引かれているような気持ちになり、まったりと胸元を彼の方に向けにいく、「知ってたよ、流石に、」まったりと右手でポケットを叩いていく彼女は微笑んで行きつつ、彼に深いピンク色の瞳を向けていく、「こんなにも親しんだ筆跡だと。」


  白野が自分が思っていたように、自分が彼女に重要な話をするんだと知りながら、自分に会わせてくれていた事に、微かな憂いを感じては、いよいよ自分には彼女から逃げていく事が出来なくなっていたんだなと、心の中で漠然と考えている和流、「そう…」ごくりと固唾を飲み込んでは、思わず汗ばんでいる右手を軽く握ってしまう彼は、何度も鼻翼に力を入れては行きつつ、チラッと自分から離れていたような校舎に一瞥しては、まったりとひんやりとした空気を吸い込んでいく彼は軽く歯を噛んでいた。


  「何か用がな?」まったりと左手にある鞄を肩に掛けて行こうと思いつつ、呆然と自分に顔を向けに来ている彼に淡い笑みを見せて行こうと思いながら、もしかしたら彼は自分に告白しようとしているのではないかと、期待に心臓を爆ぜらされてしまいそうに思えている白野、「もしかしたら新しいスタートだったりする?」”チャー”まるで自分の心臓に差し込んで来ているような、彼女が抱えていたコーヒー色の鞄に付けられていた少しばかり使い古されていたパンダのキーホルダーに、心臓を弱されているように感じては、思わず苦笑いして見たくなっている和流は、恐る恐ると右手の人差し指を立てて行きつつ、自分の弱っている心を表しているようにと微かに引いていた右足に苛立ちを覚えては、今日こそ何もかもはっきりにした方が、自分にとっても、白野にとってもいいように思いつつ、少しばかりタイミングが遅すぎていたようにも感じている彼は、何度も鼻翼に力を入れては、自分の顔を映し出してくれている深いピンク色の瞳を見つめて行きながら、ぽつりと渇いた唇を開けていく、「どうなんだろうね…?」


  「ふん…?」自分を呼び出していたのに、素直に自分に質問を向けようとしないでいる和流の態度に困らされては、思わずぼんやりと小首を傾げてしまう白野はぱちくりして行きながら、軽く右手で後頭部を擦っていく、「何の話をしようとしてたのかしら?」手紙に残されていたシンプルな言葉を思い返してしまうと、口角を微かに上げられているような気がしている彼女は、つい内心からこみ上げて来る興奮に耐える事が出来なくなり、淡い笑みを浮かべていた、「ずっと隠して来た思いって。」


  白野が自分を急かしに来ている態度に弱されているように感じては、軽く歯を噛んでいた和流は握っていた右手に少しばかり力を込めて行きつつ、もう毎日のように野黒新に時間をかけて来ている白野に目を覚ましては、ちゃんとこれからの日々に向かって欲しいと強く思っては、胸元の奥を冷やしに来ているような空気を吸い込んでは、猛然と揺るぎない眼差しを彼女に向けていく彼は言い放った、「新は、多分一生部屋に出てこないぞ?」


  忽然、和流が自分に知らせに来る言葉が、自分が思うような告白との落差があまりにも巨大過ぎていたようにと感じている白野、困り果てているようにと眉間に皺寄せていく彼女は恐る恐ると左手を握っていきつつ、宛ら自分を彼の瞳から逃せないようにしているような和流の、やけに切羽詰まったような感覚を自分に当てて来ている瞳に、心が縮めているようにと思えている彼女は、ぽつりと弱っているような声を発していく、「その話をするのかえ…?」


  「ええ、」白野のあからさまなまでに自分が彼女に向けていた話に失望しては、そんな明白な事は聞きたくないでいるようにと、眉間に皺寄せている白野の顔に苦笑いして見たくなっている和流、「ぼ…ううん…」軽く首を横に振っては、いつまでたっても野黒新に手紙の内容を考えたり、彼に気を取られているようじゃ、野黒新だけではなく、白野まで苦しみの牢屋に閉じ込められるんだと強く考えている彼は、何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、まったりと左手を胸元に当てていく、「俺にとっては、この上ないくらいに、」軽く右足の指先に力を入れては、軽く靴先を彼女の方向に向けてずらしていく彼、「重要な話なんだからさ。」

  

  「そう。」和流のまるで自分に野黒新の事を諦めて欲しがっているようなニュアンスが込められている口調に目を細められては、不満そうにと何度も鼻翼に力を入れていく白野はまったりと腕を組んでいく、「彼は一生部屋から出てこないと言うのなら、」軽く歯を噛んでは、繊細な眉毛を顰めていく彼の自分が紡いだ少しばかり向きになっているようなニュアンスが込められている声に、萎縮しているような態度を睨むようにと見つめていく白野は、軽く左手を胸元に当てていた、「あたしは一生分の手紙を書いていくよ。」


  ”ドクンー”忽然、まるで自分の額を弾けようとしているようなくらいに、酷く冷たく感じては、人情に厚い彼女が紡いだ温かい言葉のはずなのに、どうしても地獄からこみ上げて来る叫び声にしか伝って来ていないような気がしてならないでいる和流、「なんで…」苦しそうにと眉間に皺寄せたままで、まるで自分の事を嘲笑っているようにと両手をかざしていたパンダのキーホルダーに一瞥してしまう和流は、辛そうに歯を噛んでいき、「どうして君はそこまであいつの事を…!」


  和流が自分に向けて来る話に苛立ちを覚えては、思わず強く両手を握っては、両足で自分の足元にある微かな砂を敷いていたような地面を踏ん張っていく彼女、「あいつって、新だよ?」激昂になっている自分に見開かされている和流の瞳を睨んで行きながら、彼は頭が可笑しくなってんじゃないかと、不安になっている白野は猛然と左手で胸元を守ってくれていたような白い布を握っていき、「あたしが困ってた時は何度も助けてくれてたんだぞ?」悔しそうにと歯ぎしりしていきつつ、大声を発している自分に驚かされているような彼の眼を見つめて行きつつ、どうして彼は急に野黒新を毛嫌いするようになっているのかが、分からないでいる白野は叫んでいた、「恩人とは言い過ぎかもだけど、それに近いものなんだよ?」


  軽く唇を噛んでいる和流の向きになっている自分が、彼に投げていた言葉で彼の誤りを認識出来ているようにと、俯いていく様に目を細められては、まったりと前のめりになっていた上半身を引いていく彼女は軽く鼻を啜っては、脳内に浮かんで来る傷だらけになり、世界を拒んでいるような野黒新の事を思い返していき、「それにかなり可愛い男の子なんだし、」軽く唇を噛んでは、弱っているような鞄に付けていたパンダのキーホルダーに目線を向けていく彼女、「彼が今、弱ってるんだ、」


  自分が紡いだ話に賛同しているようにと軽く頷いていく白野は、猛然と揺るぎない眼差しを呆然と佇んでいる彼に向けていた、「あたしをずっと助けてくれて来た彼が弱っているのに、それじゃねって、」ごくりと固唾を飲み込んでは、軽く右手をポケットに触れて行きながら、もし和流はただ自分に野黒新の事を観念して欲しいを言う為だけに、わざわざ自分を呼び出して来たと思うと、つい和流はいつ自分の知らない彼になっていたのかと漠然と思って行きつつ、手紙の内容を思い返していくと、つい彼はもしかしたら初っ端から野黒新を嫌っていたんじゃないかと不安になっている白野は、弱っているような眼差しを自分に向けては、やや怒っているような声を発していく、「なったら自分を軽蔑するわ。」

  

  白野が頑なに野黒新の味方になりきっては、彼女の時間をずっとこのまま費やしていくつもりでいる様に、口角が斜め下の方向に向けられているように思えては、心の奥からこみ上げて来る苦しみに苛まれては、思わず軽く歯を噛んでいく和流は軽く顔を彼女に近づいていき、「いいのか…?」まったりと腕を組んでは、向きになりまるで自分に野黒新についてこれ以上語っていて欲しくないでいるような白野の様に、心臓を握り締められているようにと感じている和流は切なげに声を発していた、「このまま、青春を彼に費やしていくのを…」「いいよ、」和流の酷く弱っている態度を睨んで行きつつ、当たり前のように彼に返事を向けていた自分に見開かされては、あんぐり口を開けている彼の顔を睨んでいく白野は強く鼻翼に力を入れていき、「新になら。」


  「そう…」白野が自分に知らせに来る彼女の大好きな野黒新と為には、人生を丸ごと費やしてもいいと語って来ている様は、酷く凛としているように思いつつ、彼女の潤んでいる眼に心臓を貫かれているようにも思えてしまう和流、ぼんやりと項垂れては、白野が自分に向けて来ている態度はあまりにも容易に想像をついてしまっては、自分なんかより野黒新の事をずっと好いているはずの彼女には、野黒新を諦めては、自分の方を選ぶはずもないんだと漠然と脳内で考えて行きつつ、思わず猛然と歯を食いしばってしまう和流は何度も鼻翼に力を入れて行ながら、強く地面を踏ん張っていた右足に力を込めては、右手を握りしめていく彼はひんやりとした空気を吸い込んでは、自分の震えている心臓を何とか冷静になって貰いたいと切に願いつつ、いつまでたってもただ脳内で彼女の思惑を想像していくだけでは、いつまでたっても彼女の本当にそう思っているのかどうかは分かりやしないんだと、強く思っている彼は揺るぎない眼差しを軽く左手を握りしめては、右手の人差し指で軽く髪の毛を弄っている彼女に向けていた、「じゃ…!」


  必死に喉に力を入れては、声を絞り出していた自分に見開かされている白野の、自分の形相に驚かされている事に負い目を覚えながら、恐る恐ると握りしめている汗ばんでいく左手を胸元に当てて行きつつ、彼女の唇から、彼女の声色で紡ぐ、彼女の本当の思いを尋ねるのを自分の耳で、自分の心臓で、自分が彼女にずっと抱いて来た儚い思いで受け取っていくのが非常に怖く感じてしまう和流、口角が畏怖に斜め下の方向に向けられているように思えては、強く戦慄しているような歯を食いしばっていく彼はごくりと固唾を飲み込み、無理矢理引き攣っているような右側の口角を上げて行きながら、横目で彼女に尋ねていく、「俺と比べたら?」


  ”ドクンー”まるでオイルの切れた機械の如く上手く体を動かせずにいる和流が、震えている声色で自分に向けて来た質問に、心臓が一瞬氷柱に貫かれていたような気分になってしまう白野、「え?」まるで上手く自分が彼女に向けていた、ずっと脳内で想像する事しか出来なった質問を、聞きそびれていたような白野が発していた間の抜けた声色と、震えていく視界の中で佇んでいる、あんぐり口を開けていた彼女の顔を見つめては、もう答えを得たように感じつつ、小刻みに何度も首を横に振っては、彼女にきっぱりと野黒新は自分より、彼女にとって重要な存在であり、大切な者なんだと耳にしていかないと、自分にはいつまでたっても彼女と自分には、恋人になれるような期待をしてしまうんだと強く感じている和流は、苦しそうにと食いしばっていた歯を放していつつ、戦慄している左手を胸元から引いていく、「もし、俺の為に、」


  左手が酷く痙攣しているようにも思えては、白野の為に思ってしている行動は、果たして本当に彼女の為なのだろうかと、萎縮しては彼女の前で消えてなくなりたいと言う思いに、熱くなっている背中を刺激されては、涙を零してしまいそうな気がしてならないでいる和流は言う、「もうあいつの事を…」強く歯を噛んでは何度も赤くなっている鼻翼に力を入れて行きつつ、まるで自分の事を敵だと思っているように、両手で鞄のストラップを握りしめて行きながら、自分を凝視しに来る彼女の顔を睨むようにと見つめていく和流、例え白野に嫌われようとも、自分が彼女の為に思っている一番の事をちゃんと彼女に伝えて行かないとと強く考えている彼、「野黒新の事を放っておいて、」顎を引いては、漠然と抜け殻となっていたような白野の事を睨んでいく和流は、ぽつりと体につられているようにと戦慄している声を彼女に投げていき、「二度と関わったりしないと、君に言ったら…?」


  ”ドクンードクンー”爽やかな微風に乗っかって来ている和流が、自分に紡いで来た言葉に、口角が斜め下の方向に向けられているように感じては、思わず切なげに項垂れてしまう白野、胸元の奥から段々全身に渡って広がっていく悲しみに、撃沈されてしまいそうな気がしてならないでいる彼女はつい、いつも優しいはずの和流が、自分が彼に向けていた野黒新に関する説明を耳にしても尚、彼と野黒新を自分の心にある天秤にかけて来ては、脅して来ているような態度を示して来る彼の事が、分からなくなっているような気がしている白野は、ぽつりと弱っている声を発していく、「どうして…」


  悔しい思いと悲憤に眉毛を顰められているように感じては、野黒新にはもう自分たちしかいないのに、強いはずだった彼が春菜との出来事に酷く衰弱しては、これ以上ずっと付き合って来た自分たちですら失ってしまうと、ついこのまま絶望に体中を抉られては、自ら命を絶ってしまうんじゃないかとぼんやりと考えていく彼女はつい、自分より賢いはずの和流はどうして自分を、無理矢理弱り切っていた野黒新のもとから剥がそうとするのかが分からなくなっている、「あんたはそんなにも酷いことを…」


  「酷い事なんかじゃないだろう…?」白野が野黒新の為に青春を費やしても、何一つ得する事がないどころか、損していく一方でしかないようにも思えている和流、白野の彼女の為を思っては、彼女に嫌われる覚悟をしている自分を理解してくれないでいる態度に、苦笑いして見たくなりつつ、強く足指に力を込めては、彼女に嫌われる覚悟は出来たつもりでいたけれども、いざ彼女の自分の何もかも疑いに来ては、心臓を抉りに来るような様を直視すると、つい泣きながら彼女に謝りたいと言う思いに、心を苦しめられているように思えてしまう和流、「あいつはもう…」ぼんやりと地面を睨んで行きつつ、白野を甘やかすような出来事は、どれだけしてもいいように感じつつ、彼女が自分を好いてくれなくとも、せめてもうとっくに自棄になり、誰かに救われてみたいとすら思わないでいる野黒新から離れては、白野にちゃんと好いている人に返事を貰っては、普通の恋をして欲しいと願っている和流、心の中で浮かんで来る一言に、喉を詰らされているように思えては、白野に見にくい自分の計算し尽くした話を投げにくと、きっと好意を抱いてくれる幼馴染の関係から、世界で一番嫌われる人間になってしまうのであろうと思ってしまう和流は、苦しそうにと歯を食いしばっては、恐る恐ると戦慄している頭を上げていた、「ダメなんだよ。」


  ”ドクンー”和流の酷く戦慄している声色で、紡いだ揺るぎないニュアンスが込められていた一言に見開かされては、唇が否応なしにこじ開けられているような気がしてならないでいる白野は漠然と両手を上げては、一瞬にして彼が自分に向けて来た言葉に麻痺されては、目頭を撫でに来ているような涙の粒の感覚に心が裂かれているように思いつつ、涙を押さえて行こうと、恐る恐ると両手で自分の鼻を押さえていた。


  自分が紡いだ野黒新をきっぱりと突き放すような話に苦しめられては、まるで自分の口から飛び出ていた話を信じたくないでいるようにと、何度も首を横に振ってしまう白野の様に困らされては、苦しそうにと強く歯を噛んでいく和流、「いっぱい手紙を書いたって、」ゆっくりと右足を地面から離れては、自分に自分の事を拒んで来ている白野のもとに、行かせてくれないでいるような体に当たって来る風が、少しばかり邪魔のように感じている彼、「お爺さんに迷惑をかけるだけなんだし、」困り果てているようにと何度も首を横に振っていく白野の、華奢な肩から彼女の弱っている肩を潰すようにと強く落ちて来る鞄と、彼女の酷く潤んでは、泣き出してしまいそうな表情に心臓を苛まれているような気がしてならないでいる和流は、ごくりと固唾を飲み込んでは、強く両手を握っていた、「あいつから一度でも手紙の返事を貰ったことはあるのー」

  

  猛然と目を瞑っては、まるで悪魔に取り付かれているようにも感じてしまう優しいはずの和流が、弱り切っている親友を突き放していた態度に、体を大きな手に握り潰されているような気がしてしまう白野は、強く顔を彼に近づいていく、「五月蠅いわ!」「うっ…」まるで自分の胸元を通っては、内蔵を殴って来ていたようなくらいに、大きな声を発していた白野の本当に怒っている態度に萎縮しては、思わず肩を縮めてしまう和流は恐る恐ると、喉に引っかかっていたような唾液を飲み込んで行きつつ、顔が怒りに赤く染め上げられている白野の表情に、目を細められているように感じては、苦しそうにと歯を噛んでしまう和流、軽く戦慄している鼻翼に力を入れて行きながら、野黒新を突き放している自分は卑怯者のように思いつつ、これ以上白野に彼女の大切な時間を削らせては、意味のない事で悲しんでは、失望していて欲しくないと切に祈ってしまう和流は、まったりと胸元を膨らませていくようにと、滅茶苦茶冷たく感じているのに、やけに熱くなっているような空気を渇いた喉に通していく。


  「あんたは…」宛ら和流の存在を恐れているようにと、戦慄している右手で軽く鞄を握っていく白野は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、潤んでいる眼を彼に向けていく、「新をあんたと天秤にかけるのね…」白野の少しばかり充血している深いピンク色の瞳と、彼女の赤くなり、青筋が立てていく額に弱されては、彼女が紡いで来る言葉を拒んでも、彼女との仲はもう、既に罅が入っていたんだと、内心で悔やんで行きながら、もう取り返しのつかない事になった以上、彼女が自分の事を本当は一体どう思っているのかを、自分を十数年も苦しんで来た問題の答案を、本人から知らせて貰おうと強く考えている彼は、ぽつりと声を発していき、「そうと言うのなら…?」


  和流が自分に向けて来ていた少しばかり震えているような声色と、まるで自分を見つめるのを拒んでいるような小刻みにしている頬に、心を苛まれいるような気がしつつ、悔しそうにと強く戦慄している両手を握っては、目の前にいる彼は本当に和流なのかと困惑気味なってしまう白野、霞んでいく視界と、酷く悲しまされては、頭を苦しんで来ているような溺水している感覚に、視野が微か黒くなっているようにと見えて来る白野は、ぽつりと声を発していた、「見損なったわ…」


  

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