第278話あたしも…ずっと…あなたのことが…愛しているのよ…人生の最期まで…それを…通していくつもりだから…


  

  

  「守るって…」必死に段々弱くなっては、絶望に侵されていたような心臓に激しく鼓動を刻んで貰いたいと願っている和流は、霞んでいた視界の中で自分を見つめに来ているような彼女の、愛おしく思えて来たピンク色の髪の毛から彼女の潤んでいる眼に目を向けていく、「昔…何度も心の中で思って来たの…」後悔に口角を斜め下の方向に向けられているように思いつつ、何度も野黒新に自分たちのもとから離れて貰おうと言うべきではなかったんだと悔やんでは、自分が白野を、自分が何よりも大切に思って来ていた存在を汚していたんだと思ってしまう和流、「ごめん…」


  目頭を撫でて来る温かい粒が悔しい気持ちに満たされているように思えては、野黒新に白野を守ると言ったから、彼が安心して自分のために両親を探して行っていたんだと思いながら、自分はどうしようもないくらいに、自分の愛して来た人にとっての疫病神のように感じては、辛い気持ちに体中の傷を刺激されては、つい意識を空に飛んでいた方が、自分はきっと楽になれるのであろうと考えてしまう和流は恐る恐ると戦慄している視界の中で、自分と彼女を見つめてくれている野黒新を探しては、ただでさえ弱い自分が、人生の最期になる時まで、彼女から逃げてしまうと、二度と彼女にずっと教えてやりたかった事を伝えられないんだと思いつつ、自分のせいでどうしようもないくらいのリスクを背負ってくれていたのに、なのに、ちゃんと思っていたように白野を守れなかった野黒新への負い目に、心を抉られているように感じては、酷く弱っている眼光を自分たちに向けてくれている彼と顔を合わせる資格は、自分には持ち合わせていないんだと悔やんでいく和流、「守れなかった…」

  

  ぽつりと自分の血痕に汚されていた唇を開けては、二人に向けていた謝るの言葉はあんまりにも無力のように感じては、ぼんやりとしている目線を自分に向けて来ては宛ら自分のことを許してくれているようにと、軽く弱っている首を横に振ってくれている白野の自分に負い目を感じさせないために、努力してくれている健気な態度に身も心もを刺激されては、自分はどうしようない奴なんだと漠然と考えて行きつつ、宛ら自分を死へ追い詰めようとしているような、消え去っては純粋な痛みとなっていたような足と腕から伝わって来ている痛みに胴体を弱されては、自分は間もなくこの世とお別れを告げないと行けないである事を知らせに来ている様に、歯ぎしりしてみたくなり、急いでまだちゃんと見えている霞んでいく視界の中に、ちゃんと存在しているピンク色の彼女に思いを伝えて行かないと、人生が完全に遅れてしまうんだと強く考えている和流は言う、「ずっと…言おうと…思って来た事が…」


  無言で両膝を床に付けては、呆然と自分の斜め下の方向に向けている口角が、何もかも無くしている自分の代わりに悔やんでくれては、自分の頬を苛んで来ているように自分から離れようとする感覚を感じて行きなが、ぼんやりと白野の弱っている顔を見つめている和流を見ていく野黒新。「いっぱいあったりするんだ…」胸元が足と腕と同じように純粋なる痛感と化しては、自分に消え失せろと叫んで来ているような感覚を我慢して行きながら、苦しそうにと鼻を啜っていた和流はぽつりと懇願しているようにと、自分をちゃんと見てくれている白野に言葉を向けていき、「ちゃんと…聞いてくれるかえ…?」


  どうしようもないくらいに弱い自分を応援してくれているようにと、軽く濁った液体と生き血に汚されていた口角を上げてくれている白野の姿を目にすると、ずっと内心に秘められていた思いが自ずと涸れては、酷く痛く思える喉を通り、彼女に向けていた、「僕はね…好きなの…」”ドクンー”突然、宛ら胸元がやけに涼しく感じている自分に、救済措置を施して来ているようにと、心臓に温かい鼓動を与えに来ている和流のアドレナリンとなっていた告白に見開かされている白野、「うっ…!」


  軽く華奢な眉毛を跳ねらせては、自分が紡いだ言葉に苦しめられているような白野の態度に苦笑いしてみたくなっては、彼女が好いていた野黒新の目の前にいるのに、お互いの人生の最期の時間になっているのにも関わらず、空気を読めないくらいに彼女に告白していた自分はきっと、彼女に嫌がられるのであろうと思いつつ、もし自分がこの機を逃してしまうと永久に彼女に好きですと伝えられなくなること思うと、辛そうにと鉄さびの臭いに満たされている鼻を啜っていく和流、「ずっと、ずっと…」


  潤んでは光を無くしていた黄色の瞳で彼女の顔を映し出して行きつつ、内心で彼女に人生一度きりの我が儘を許して欲しいと願ってしまう和流は、ぽつりと声を発していた、「子供の時から変わったことなんて…一度も…なかったの…」宛ら弱っている和流を鼓舞しているようにと、戦慄している顎を引いては彼しか見えなくなっているような白野の様に目を細められているように思いつつ、和流がようやく彼女に告白していたのかとぼんやりとしている脳内で考えては、自分が願って来ていた二人の幸せな結末とは、掠れもしないでいる現状に内心にある悲憤が再び爆発してしまいそうな気がしてならないでいる野黒新。


  ちゃんと自分が紡いでいる少しばかり情けないにも思える話をちゃんとくれているんだぞと、知らせにくれているようにと軽く口角を上げてくれては、笑ってくれているような彼女の酷く弱っている頭で頷いてくれている態度に、苦笑いしてみたくなっている和流、「ぼくは…」切なげに眉毛を顰めて行きつつ、人生の最期まで彼女に悲しんでしまうのかと内心で不安になりつつ、愛おしい彼女が今になっても自分に気を遣ってくれているのかとぼんやりと考えてしまう和流は、震えては嗄れていた声で呟いていた、「きみの事が大好きなんだよ…しずくちゃん…」


  声が酷くしわがれては耳に入って来ていたような蝉の鳴き声に邪魔されているように思いつつ、上手く全ての発音を聞き取れないけれど、彼がようやく自分が夢に見て来ていた台詞を自分に向けて来ている様に笑、わずには入れられなくなっている白野は軽く頷いていき。「けど…ずっと言えなくて…」まったりと自分の鼻梁を越えていく温かい涙の感覚に苦笑いしてみたいはずなのに、心に纏って来る悲しみと苦しみに涙が苦渋な思いに充填されているようにも感じては、鼻声になっていく和流は苦しそうにと軽く歯を噛んでは、ぽつりと弱り切っている戦慄している声を上げていく、「きみが…新の事が好きだって…思ってるから…ぼくは…」


  和流が自分に向けて来ていた一言に眉毛を軽く上げられているように感じては、冷え切っていた体が彼がちゃんと自分の傍にいてくれては、自分に告白してくれていた事に、死から少しばかり温度を取り戻せているように思えては、叱られていた子供のようにと悔やみながら、無力なまでに涙を零している彼の態度に心を殴られているように感じてしまう白野、内心にある切羽詰まった心境に胸元を刺激されているように思いつつ、胸を軽く跳ねらされているような気がしている彼女は必死に彼に顔を向けては、胸元を彼に向けて行こうと考えつつ、強く唇を開けていた、「ちがう…の…あたしは…」


  自分の嗄れては、宛ら声帯にガラスの欠片を埋められていたような声に見開かされては、ぼんやりと頷いてくれては、自分にそんなに急がなくだっていいと、教えてくれている優しさに満ちている彼の様に微笑んでいく白野、「あんた…の事が…」朧気になっていた視界の中で、自分の存在を奪おうとしているような痛みを頼っては、こんなにも辛い夢を見ているのなら、自分はとっくに起きていたはずだと思えては、弱り切っては自分と同じように間もなく世界から消え去ってしまう和流は、本当に自分に告白してくれているんだと思うと、まだようやく恋人になれている彼といっぱい話をしていないのに、死んではいられないと強く思っている白野は、自分の冷たくなっては氷となっていく頬にこびりついて来る濁っていた液体を頼りつつ、自分はちゃんと口角を上げているんだと知らせに来ているような、禍々しく思えていた液体が自分の頬に皺寄せている感覚を感じて行きながら、彼に微笑んだ、「ずっと…好いてきてたのよ…?」


  「あ…」懸命に自分に酷く弱っている声を向けに来ている白野の態度に見開かされては、彼女が自分に嘘を吐くはずもないんだとぼんやりと考えては、唇が否応なしに自分の世界を満たしてくれている彼女に開けられているように思えてしまう和流、「そう…だったのか…」軽く細い睫毛を起伏させていくようにと目を細めては、再び瞼を開けてくれている彼女の弱っていく瞳に口角を強張らされているように思いつつ、皮肉を自分に言って来ているようにとビクッと上げていたように感じてしまう和流、「もう少し…早く…教えて」悔しそうにと歯を噛んでは、どう考えても彼女は自分なんかよりずっと強かで、男前な存在でる野黒新に恋をしていたと、今までずっと勘違いして来た自分にざま見ろと言ってみたなっている和流はぽつりと呟いていた、「教えて…くれたら…いいのにな…」


  和流が紡いでいく自分を叱って来ているはずの言葉なのに、どう聞いても彼は自責しているようにしか聞こえないでいる白野は、つい自分の身体を攫おうとしているような、ひんやりとした波にでもなっているようにと、滾っていく床の感覚に自分は彼から離れていくのかとぼんやりと思いつつ、世界が可笑しくなっていなかったら、自分はちゃんと彼からの告白を聞こえていたのだろうかと漠然と考えては、ぼんやりと自分の顔を見てくれている彼のことを目にすると、例え元の世界でいたままだとしても、ひねくれているようにも思ってしまうくらいに自分に告白してくれないで、訳の分からないくらいに変な態度で自分に接して来ていた彼との付き合いも、大変そうだとぼんやりと考えては、まったりと頬を通っていく温かい涙の感覚に、面倒くさい彼との付き合いをいつまでたっても続けて欲しかったと思っては、辛そうにと口角を上げては、どうしてもっと早くお互いの本当の気持ちを確かめる事が出来なかったのだろうとぼんやりと思っては、彼は昔ならずっと自分の傍にいてくれていたのにと悔やんでは、軽く打撲を負っていた右手を動かしては、彼の冷たい指先に触れていく白野。


  上手く視界を自分たちの両手に向けなくなっている白野は、自分の狼狽な姿勢を見たくないと思いつつ、軽く右手の人差し指で彼の冷たくなっていた左手の指に引っかかっていた、身体を動かすことも出来なくなっているけれども、自分たちは繋がられているんだと教えにくれているような右手の感覚に、自分は辛いけど、彼と繋がれている事を思うと、酷く幸せのように思えている彼女、「えへへ…」


  可笑しなくらいに笑ってくれている彼女の、人生今まで見て来ていた全てのものよりずっと美しく思えては、酷く愛おしく思わせてくれていて、何もかもかけて守ってやりたいと思わせに来ている、嗄れては人間には聞こえなくなっていた笑い声に苦笑いしてみたくなっている和流、「へへ…」幸せそうにと目を細めて行きつつ、彼女の意地悪しに来ているようにと軽く自分の左手を引っかかって来ては、痛みを頼って自分たちは繋がっているんだと知らせに来る態度に飽きれて仕舞いそうに思いつつ、酷く残念な声になれている彼女と、意地悪な彼女の性格をちゃんと受け入れて行けるのは、世の中には多分自分しかいなくなっているはずなんだと考えている和流は、切なげに微笑んでいき、「あのね…?」


  体中が傷だらけになっていたのに、頭が可笑しくなっているようにお互いの顔を見つめては、自分の存在を忘れてくれている様に、微かな救いを得られているように思いつつ、ぼんやりと項垂れては、自分の目頭を撫でに来ている温かい液体の感覚を感じて行きながら、自分にはもう二人まで無くしたくはないのにと、柱が下していた時でずっと願って来たのに、どうして自分が生き残れたの悔やんでしまう野黒新は、苦しそうにと歯を噛んでは、見つめ合っている二人から顔を逸らしていく。


  宛ら自分の目線を引いて来ているようにと顔を逸らしていく野黒新の体から感じて来る、酷く悔やんでいる雰囲気に目を細められているように感じては、彼を慰める言葉を思いつけないでいる自分に悩まされているように思いつつ、苦笑いしてみたくなっている白野はぼんやりとしている視野の中で自分の顔を見つめてくれては、中々返事をしないでいる自分に不安を植え付けられているような和流の、悔やんでいる表情に微笑んで行きながら、軽く頷いていた、「うん…」


  自分の荒れ狂っていた息遣いに掻き消されて仕舞いそうなくらいに弱いけれど、上手く自分が彼女に向けていた話を聞き取れてくれては、返事をしてくれていた彼女の軽く自分には視界を向ける余裕を無くしていた野黒新の方に、目線を向けていた事に苦笑いしてみたくなっては、ちゃんと告白してくれても、やはり勝手に彼女は実は彼のことが好いているんじゃないかと不安になっている自分の内心にある、嫉妬なのかどうかは分からないもどかしい思いに苦笑いしてみたくなっては、もし来世でもあるのなら、彼女に彼女のことになると、敏感なまでに弱くなる自分の思いに気を遣って貰っては、自分に勘違いしてしまうような行動をしないで貰えないかと考えている和流は、ぽつりと渇いては酷く重たくなっている唇をこじ開けていき、「もう…きみ以外の女の子なんて…」胸元の奥が震えては自分が紡いでいる言葉を上手く聞き取れないのを恐れているようにと、眉毛を上げていく彼女の瞳を見つめて行きつつ、無理難題を彼女に強いているようにも感じてしまう和流、「見たりしないからさ…?」


  自分が紡ごうとする言葉を上手く理解出来ないでいるようにと、ぼんやりと首を微かに傾げている彼女の可愛らしく思える仕草に苦笑いしていく和流は言う、「だから…きみにも…」口内に募って来ている唾液を飲み込んでいくと、発狂してしまいそうなくらいの痛みに嬲られては、気を失ってしまうかもしれないと不安になっている和流は無様にも思いつつ、自分の口角から滴り落ちていく唾液を気にする事無く、深いピンク色の瞳をしていた愛おしい彼女に願っていた、「ぼくのことだけ…見てくれないかな…?」


  まるで子供の頃に戻っていたような和流が自分に向けて来ている口調が酷く懐かしく思いつつ、子供の頃のように自分を導いてくれていた彼ではなくなり、不安に体を満たされている彼の話に、耳を蕩けているように思いながら、右手にある彼の指の感覚を感じて行きつつ、軽く右手に力を入れては、子供の頃のような我が儘な自分でもなくなっている今だと、丁度いいくらいに彼を支えて行けるんだと思いつつ、成長していた事に幸運に思える白野はぽつりと唇を開けていき、「見てるよ…ちゃんと…」


  自分の荒れ狂っている呼吸に掻き消されてしまうくらいに弱っている声を、苦しみに苛まれている耳でぼんやりと聞いて行く和流は、白野が自分に向けて来る笑みに口角を上げられているように思いつつ、つられているようにと軽く口角を上げていく彼は言う、「うん…子供の頃…した約束を…」自分が口にしていた一言に刺激されていたような、脳内に浮かんで来ている彼女との思い出に、苦笑いしてみたくなり、自分はもしかしたら走馬灯を見ているのではないかと漠然と考えていく彼は、ぽつりと声を上げていき、「覚えててくれてた…?」


  和流が自分の傍にいてくれては自分と手をつないでくれているのに、段々遠くに言っているように思わせに来る彼の離れていく声に、心細い思いを強いられているように感じては、不安に体を操られているような気がしつつ、苦しそうにと渇いた唇を開けていた白野、「なぁに…?」白野のまるで主人はもうダメだと語って来ているように光を無くしては、和流の顔を見ているはずなのに、上手く彼の顔を映し出せないでいる深いピンク色の瞳に、口角を斜め下の方向に固定されているように感じつつ、苦渋な思いに体中を捻られているように感じている野黒新は、つい胸元の奥からこみ上げて来ている憤怒をどうしたらいいのかと悔やんでは、自分を奪いに来ているような悲憤に、世界を狂わされているように思えている彼は苦しそうにと歯を食いしばっては、二人の会話に自分が零れてしまう唸り声に邪魔したくないと強く願っている。


  「ずっと、」白野の漠然としている表情を霞んでいた視界の中で見つめて行きつつ、軽く鼻翼に力を入れては、何とか心臓を囲んでは骨髄を潰そうとしているような苦しみを抑えては、彼女ともう一言でもいいから多く話しかけて上げたいと願ってしまう和流、「一緒にいるって…」右側の口角が硬直されているように思えては、もしかしたら脳内を通っていく走馬灯に苛まれている自分だけが、ちゃんと彼女との約束を覚えているだけなのではないかと不安になっている彼、「言ってくれてたの…ぼくは…」軽く眉毛を顰めては、宛ら既に自分が上げている声が聞こえなくなっているようにと瞬きを忘れては、目を細めたままで自分のことを見つめてくれている彼女を、段々暗くなっていく視界の中で見つめていき、「ずっと覚えて来たのよ…一秒も…」鼻腔の奥が彼女が自分より先に離れていく事に対する畏怖に麻痺されては、苦しい思いに頭の髄を嬲られているような気がしてしまう和流は、ぽつりと口角から滴り落ちていた唾液を吹き飛ばすようにと、苦しい息を吐き出していた、「一瞬も忘れた事が…なかったの…」


  「それ…か…」漠然としている脳の外側で浮かんで来る酷く頼りになってくれていた小さな和流の存在に、口角をくすぐられているように思いつつ、上手く微笑んでやれなくなっているように思えてしまう白野、「覚えてるに…」まったりと鼻梁を通って行きたがっているような涙の粒に、光を無くしていた深いピンク色の瞳を照らして貰っている彼女、まだまだ自分と話をしたがっていて、自分が上手く彼に返事を向けなくなってしまうと、大泣きしてしまいそうな大人になった和流の存在を思うと、自分はもう少し生きていかないとと思ってしまう彼女は言う、「決まってるんじゃない…」


  「約束を…」白野がちゃんと子供の頃に、他愛のない約束を覚えてくれていた事に、体がボロボロになり、胴体さえ無くされているような苦しみを味わっているけれど、自分は確かに救われているような実感を覚えてしまう和流は、ぽつりと弱っている声を発していた、「果たしてくれませんか…」「へへ…」和流が自分に投げて来ていた普段なら酷くドキドキしては、泣いて見たいくらいに感動される台詞を、今と言うタイミングで向けに来ている事に、やはり彼は放っておけない人なんだとぼんやりと考えては、口角が軽く上げられていた白野は漠然と酷くぼやけていた彼の顔を見つめていき、「どうしようかな…?」宛ら自分がぽつりと声に乗せていた一言に驚かされているようにと、自分に向けて来ている黄色の宝石の上にある軽く跳ねていた眉毛に微笑んでいく白野は言う、「みすぼらしい…プロポーズだね…」


  白野が自分に向けて来るもっともな言葉に心臓を鷲掴みにされているように思いつつ、苦しんでいるようにと軽く歯を噛んでは、存在が激痛に乗っ取られていたような左手に軽く力を入れては、ちゃんと自分の手を握ってくれていた彼女に応えて行きたいと強く願ってしまう和流、「ぼくは…ずっと…」苦しそうにと眉毛を顰めて行きながら、夢の中では何百回も見てきた彼女へのプロポーズがこんなにも、彼女が言っていたようにみすぼらしい形になっている事に悲しまされては、切なげに鼻を啜っていく和流、「きみのことを思って来ていたんだ…もう…」


  強く訳の分からないに感覚が豊かになれている左腕に力を入れて行きつつ、段々存在が弱くなり自分から離れて行きそうな白野を、何とか傍に留めてやらないと、と身勝手にも思える思いを噛みしめては、彼女に死なないでと自分たちを苦しんで来た神に懇願していく和流は言う、「手遅れかもしれないけど…ぼくは…」手の甲がまるで肘とグルを組んでいたように、同時に上に向けられていたような気がしつつ、強く痛みを排除しては左手で何とか彼女の握ってくれている感覚を感じている和流、「ちゃんと…ちゃんと…」


  悲しみに刺激されては、鼻先から零れていく痺れているような鼻水の感覚に、自分は惨めだと思わされているような気がしては、ちゃんと話を聞いてくれているんだと知らせにくれているようにと、軽く睫毛で頷いてくれている彼女の顔を見つめていく和流、「自分として…」疼く胸元が奥にある悲しみに跳ねらされているように思えては、大粒の涙が自分の目尻から零れては、頬に沿って耳殻を撫でて来ている感覚に耳殻が酷く冷たくなり氷となっていたことを知らされているような気分になれている和流、「新の真似をするような餓鬼ではなく…」


  自分を。どうして野黒新よりずっと弱く思える自分を好いてくれているのかと、白野に聞いてみたくなりつつも、彼女が本当に好きなのは自分なのであるのだろうかと不安になってしまう和流は言う、「きみに…愛しているって…」口内にある唾液と痺れていた鼻に苦しめられているせいで、上手く声を発することが出来なくなっていた和流は、彼女が本当に好いてくれると知らせにくれたなら、自分は彼女の前でもう彼女が好きそうな人を演じていく必要もなくなっているんじゃないかと考えている彼、「人生の最期も…今も…」体中の力を込めては、疼く左腕の苦しみと戦っていきつつ、何とか彼女の右手の人差し指を握っていこうと考えている和流は全身全霊をかけては、喉から声を絞り出していた、「愛しているって…」


  自分を彼のもとから連れ去ろうとする波と化していた床の感覚を破いて来ては、強引にも思えるくらいに自分を彼のもとに引き留めに来ている和流の大きな声で紡いでくれていた一言に微笑んでみたくなっては、彼が自分に向けてくれていた言葉を自分の耳で間近で確認すると、自分は上手く人生をやって来れたと思っている白野、「何も…言わなくだっていいわよ…」宛ら自分の思いを分かってくれているような一言を、弱り切っている声色で自分に向けて来ている白野の無理矢理自分に微笑もうと、痙攣している口角を上げようとする仕草に、自分はもしかしたら彼女にウザがられては、断られているのではないかと不安になってしまう和流、「うぐっ…」


  苦しい唸り声を零しては、またしても勝手に彼女の思いを探っては、勘違いしているのかどうかも分からないでいる自分を嫌になってしまう和流はつい、どうして人生の最期になっているのに、彼女がちゃんと自分を好いてくれているのを知れていたとしても、彼女の自分に向けて来る思いを勝手に最悪の方向に向けて考えてしまうのかと、自分に文句を言ってみたくなっている彼。


  「あたしも…」自責しているようにと軽く白い歯で唇を噛んでいる和流の態度に、苦笑いしてみたくなっては、チラッと拗ねている子供のようにと自分たちのことを見ようとしないでいる野黒新の横顔に一瞥していく白野、可笑しそうに笑ってみたくなっている彼女はつい世話のかかる子は、野黒新ではなく、ずっと自分の傍で何もかも上手く熟して行けそうな感覚を与えてくれていた和流なんだとぼんやりと考えている彼女、「ずっと…あなたのことが…」喉が引き千切られているくらいに痛くなっていたように感じつつ、自分が出せる一番大きな声での告白じゃないと、酷く繊細な彼に安心して貰えないような気がしている白野は言う、「愛しているのよ…人生の最期まで…」


  自分が必死に枯れては割れているようにも思える喉で紡いだ一言に、絶句されているようにと小さな吐息を漏らしている和流の霞んでは、はっきりと見えなくなっている様を見つめてしまう白野、「それを…通していくつもりだから…」自分に気を遣ってくれては、辛いはずなのにも関わらず、大きな声で言葉を向けにくれている彼女の存在がますます愛おしく思えては、手をつないで死んでいくと、自分たちはちゃんと死後の世界で会えるかどうかが不安になりつつ、そもそも人間が死んでいくと、本当に死後の世界に行けるかどうかすら分からないのにと思っている和流、「ありがとう…」辛そうにと嗄れていた声を絞り出しては、自分はずっと彼女とこのままでいたいと、一瞬思っていた自分の満身創痍となった彼女をもっと苦しんでしまう思いに苛立ちを覚えては、既にいっぱい無理を強いて来ていた自分にはそろそろ彼女にも、自分にも楽になって貰えた方がいいんじゃないかと漠然と考えている彼は、引き攣っているような右側の口角を上げていきつつ、彼女の顔を見つめては、幸せそうにと目の前に浮かんで来る幼い頃に自分とじゃれ合って来ていた彼女の顔と、自分とちゃんと繋がってくれている彼女に微笑んでいく、「しずくちゃん…」


  

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