第277話新…なのか…


  自分を地面の底に引き摺り下ろそうとしているような酷く重たく感じては、少しも抗う事が出来ずにいる亀裂した化け物の自分の両足を握り締めに来ている感覚に、眉毛を跳ねらせているように感じては、自分の体中を包もうとしている両足を握り潰そうとしているようなくらいに、自分の恐怖と疲れに震わされている脛に赤い痕を残しに来ている亀裂していた怪物に、頭を操られているようにと何度も首を横に振っていく白野、「いや…!」


  戦慄している体が酷く弱っている声を絞り出していた白野の青ざめては、汗を滴り落ちていく事しか出来ずにいる恐怖に支配されている様に、心臓を刺激されているような気がしてつつ、強く左手にある彼女の左腕を握っていく和流「うっ!」悶絶してしまいそうなくらいに苦しんでいる声を発しては、自分たちの苦しんでいる顔に興奮を覚えているように、白野の華奢な両足を強く握りながら自分まで連れて行こうとする亀裂した大地のような怪物に悲憤を覚えている和流は、潤んでは血走っている黄色の瞳で何度も首を横に振って、ぼんやりと唇を開けたままでまるで自分に彼女のもとから逃げてくれと語って来ているような白野の態度に悲しみを覚えては、強く割れているようにも思える喉から嗄れていた声を絞り出していく彼、「白野…!」


  ”フー”刹那、やけに輝いているように見えてしまう黄色のライトのような糸を引いている白い体に、視野を埋められているように見えている和流、ぼんやりとあんぐり口を開けていた彼は項垂れては、自分が強く握っている白野の、自分から離れようとしているように解していた左手を見下ろして来る白い顔に、二枚のエメラルドをつけていた真っ白なエリアンの顔を見つめている和流、宛ら瞬間移動でも使っていたかのようにひんやりとした風を巻き起こして来ては、自分のことを亀裂していた地面から吹き飛ばそうとしている真っ白な体に、奇妙な図案に埋められていたようなエイリアンの弱っている自分と白野を俯瞰している態度に、熱気を放っては燃えているような体が否応なしに冷やされているような気がしてならないでいる和流は、ゆっくりと自分たちに相手の行動を見せつけに来ているように右手を上げて行きなが、胸元が女性のように少しばかり膨らんでいたエイリアンの行動に目線を奪われては、ぼんやりと唇を開けていた和流。


  ”シュー”忽然、まるで自分と白野の間に訳の分からない兵器でも使ったかのようにと、亀裂していた大地に引かれていく白野を自分のもとから離れさせていく鋭い音を立たせては、自分たちの耳を殴って来ているエイリアンの行動に絶句され、自分たちの間には一体何が起きてしまったんだと漠然と考えている和流。”ドクンー”「うっ!」突然、自分の視野を真っ赤に染め上げに来ているような激痛に、汗ばんでいた眉毛を否応なしに顰められているように感じては、宛ら自分に一体何が起きていたのかを知らせに来ているような理解できないくらいに、肘の内側が空に向けているのに、垂直しては自分の胴体に向けて少しばかり曲がっていたような地面に向けていた指先に、目線を痛みに引かれては、尖っては自分の血肉を混ざった少しばかり黄色にも見えてしまう、尖った骨に唇を呆然と開けられているような気がしてならないでいる和流、心臓が潰されているようなくらいに自分の脳内に登ってくる、上手く理解することが出来ずにいる痛みに白い目を向けられて仕舞いそうな気がしては、宛ら上に目線を向けようとする自分の行動を予測できていたようにと、ニヤリと真っ白な右側の口角を上げては、濡れていたピンク色の舌を見せつけに来ているようにと、唇を舐めていくエリアンの行動に歯ぎしりしていく和流。


  「ああ…」玩具のようにエリアン無理矢理潰されていた和流の左腕に、心を冷やされているように感じては、後ろに向けて倒れて行く彼のことを気にする事無くまったりと自分の顔を見下ろして来ては、ニヤリと口角を上げていたエイリアンに、頭を真っ白にされているくらいに畏怖を植え付けられているように思いつつ、まるで自分に友好を示しに来ているようにとまったりと左手を自分の汗ばんでいたピンク色の髪の毛に置いて来る真っ白なエイリアンに戸惑いつつ、和流に酷く苦しんでは気絶しても可笑しくない傷を起こしていたエイリアンに憤怒を覚えては、悔しそうにと歯を噛んでしまう白野はまるでエリアンの思いを察しているようにと、自分の太股まで上げて来ていた亀裂しては液体のようにも思わせに来る怪物のことを気にする事無く、和流の左腕を折らしていたエイリアンを引っ叩いては、相手に勝てなくともせめての意趣返しをして行こうと考えている白野。


  ゆっくりと自分の震えている視野の中から和流の存在を消そうとしているように、右手を上げて来ては尖っていた指を立てに来るエイリアンの仕草に、眉毛を跳ねらせているような気がしている白野、”グチュー”突然、脳内で響いて来る液体が潰されているような音と真っ暗になっていく視野の右側に、白目を向けられているような気がしつつ、猛々しいなくらいに仰向けになっていくエイリアンの、自分の見えなくなっていた右側の視界から自分の脳を麻痺させに来ているような痛みを連れ出していくようにと、尖った指を引いていく様に自分は何に遭わされているんだと漠然と考えてしまう白野は、ついぼんやりと開けていた唇から苦しむ声を全力で発することすら出来ないでいる自分は、一体何に遭っていたのかと痛みに苦しめられながら考えていく彼女。


  顔を天に向けてはいとも簡単に白野の右目を潰していたエイリアンの行動に、顎を怒りに支配されては否応なしに痙攣し始めているように思えては、両手を上げながら耳障りなまでに笑って来ているエイリアンの、狂っている人間のようにも伝わって来る笑い声に歯ぎしりしてみたくなっている和流は、つい自分の地面に転がっては自分の力を奪いに来ているような左腕に悲憤を覚えつつ、必死に憤怒に赤く染め上げられている喉元に力を入れては、歯を食いしばっていく和流は強く右肩をエイリアンと亀裂していた怪物に向けて行こうと考えながら、白野を助けに行かないとと強く思っている彼。


  ”スラー”突然、亀裂していた大地に隠されていたような白野の両足を包んでいたピンク色のズボンから立てていた音に見開かされては、霞んでいく視界がやけに歪んでは段々黒くなっていく姿に苛立ちを覚える気力すら無くしては、息遣いが酷く荒くなっている和流は歯を噛む気力すら失っては、苦そうにとこめかみを通っていく滴り落ちている汗に頬を濡らしていた涙と合体させて行きなが、右目から赤い液体を垂れている白野の方向に右手を伸ばしていく和流、「あああ…!」


  「いやだああー!」無理矢理自分の体を回転させに来ているような両足を包んで来ていた湿っていた亀裂していた大地の感覚に見開かされては、喉を引き千切ろうとしているくらいに叫んでいた自分を止めに来ているようにと、強く自分の左頬に大きな拳をぶつけに来る怪物に見開かされては、大きく唇を開けられていた白野。”ドンー”有無を言わさず懸命に反抗していた白野の汗に濡らされていた白皙の左頬に大きな痣を残しては、彼女の弱り切っていた体を地面に叩き付けていた亀裂していた大地に、眼を爆発されているようなくらいに憤怒に体中が焼かれては、火と化しているように思えている和流は、彼女の無力化されていた右手から飛ばして来て来る携帯画面に目を向ける事無く、悔しそうにと歯を噛んでいく彼は完全に気絶した白野を飲み込んでいく亀裂していた大地の上で、咲いていく一輪の赤い花に怒りに、真っ赤に感染されていた額に細い筋を立たせて行きつつ、まるで次はお前の番だぞと言わんばかりに、自分のもとまでう向けて歩いて来ているエリアンの歪んでいる表情を睨んでいき、「殺す…」


  眼が目から飛び出ようとしているくらいに前に向けているような気がしている和流は、必死に両足に力を入れては、左腕から伝わって来ている頭を狂わせに来ている激痛を気にする余裕が憤怒に奪われいるように思えては、エイリアンも亀裂していた大地も殺すんだと言う思いに脳内を満たされては、体から溢れているような気がしてならないでいる彼は目尻から零れていく怒りの存在を感じて行きつつ、喉を潰すようにと怒りが宿っている沈んでいる声で叫んだ、「殺してやるー!」


  ”ドンー”猛然と自分の顎に向かって来ていたエイリアンの小さなはずなのに、酷く力が宿っている左足に視野を無理矢理上に向けられているように思えては、有無を言わさずに倒れていく上半身に自分の無力さを痛感しながら、頭が首から引き千切られて仕舞いそうなくらいに、エイリアンの蹴りに上げられていたような気がしている和流、「ああ…」”フー”自分を大地に飲み込まれていた白野から離れさせようとしていたようにと、強く自分の顎を蹴って来ては、歯向かう事が出来なくなっている自分に興奮気味になれては、理解できないくらいに叫んでいるエイリアンの存在に怒りを感じていく暇すら無くされては、何とか白野を助けてくれないかと、惨めにも思えるくらいに、誰に願ったらいいのかすら分からないでいる一言をぼんやりと胸元の奥に抱えて行きなが、自分は白野を助けられないんだと教えに来ているように、無力なまでに右側に向けていく頬に絶望を覚えては、”ズラー”自分たちの身体を蝕んで来ているような熱気を放っている、邪悪を極めた化け物の存在にただ無力なまでに涙を零す以外の事が出来ないでいる自分自身の存在を殺しては、同じような化け物になったら彼女を救えるんじゃないかと、漠然と疼く頭で考えている和流は、ぼんやりと霞んでいた視界の中で白野が手にしていた携帯電話を見つめては、携帯画面に表示されていた言葉を見つめていく。


  『逃げろ!早く家から逃げろ!』光を引いているような携帯電話が表示していたメッセージに目を向けて行く余裕を無くしては、荒れ狂っているようにと自分の顔面にぶつけて来ている風に不満を覚えつつ、強く歯を噛んでは何度も鼻翼に力を入れてしまう野黒新は猛然と右足で緑色の草の上で鎮座しては、黑くなっていたように募っていく曇り空を見上げている透明なガラスの欠片を踏み、急いでいるようにと揺るぎない目線を右側に向けては、破られては自分に和流の母親の首を連想させに来ているようなガラスに心を冷やされているような気がしてならないでいる彼、「はぁ…はぁ…」頭が焦燥感に駆り立てられては炸裂してしまいそうな気がしてならないでいる彼は歯ぎしりしながら、荒れ狂っている心臓に苦しめられるがままに、右手の人差し指と親指で折れていた刀を握りながら、強く息を吸い込んでは狂っているような音を聞かせて来ているような部屋の奥を見つめていく。


  ”ドクンー”突然、急いで土に汚されていた右足で床を踏んでは部屋に戻っては、和流と白野が無事でいるのかどうかを確認して行こうと思っていた彼は、ついまるで自分の興味を引いて来ていたようなドアフレームのもとに置いていたような足に一瞥していき、宛ら自分に謝っているようにと曲がっていた五本の足指に唇を否応なしに開けられているように思えては、猛然と右足に力を入れては床を抉っていた野黒新は、瞬きを忘れたようなくらいに血走っている眼でドアフレーにある足を睨みながら、耳を澄ましては宛ら自分の鼓膜を嬲って来ているような水の音に、体中が無数の針で出来上がっていた緊張と焦燥に刺さられているような気がしている彼。


  ”ターッ!”左手に握られていた携帯電話を守っていくようにと軽く拳を握っては、切羽詰まった心境に駆り立てられていたせいでつい右足で強く床を抉っては、宙を舞うようにと廊下に突っ込んでいた野黒新は自分の左手を食い止めてくれているような少しばかり凹んでは、小さなクレーターが無理矢理自分に作られていた壁から、猛然と自分の視野を過っていく壁から飛び跳ねていた小さな石ころに沿っていくようにと、玄関に目線を向けていき。


  宛ら自分の存在に驚かされているようにと左足を無くしていた和流の体の上で座っては、上手く瞼を開ける事が出来なくなっているくらいに頬が腫れては、黄色の瞳から赤い雫が滴り落ちていた彼の胸元の上に、臀部を付けていた背中が目にしたことのない入れ墨を入れていたエイリアンの狂っているようにと、引き攣っている喉から声を漏らして行きなが、ロケットの如く廊下に突っ込んで来ていた自分に注意を引かれているように、ゆっくりと丸く見えてしまう皺だらけの皮に、小さな黒い点を生えていたような赤い桃を咥えていた口を、自分に向けようとしている様に眉毛を跳ねらされてしまいそうに思いつつ、ゆっくりと床に落ちていく左足が床に当たっていた感覚に、自分は地獄にでも落ちて仕舞ったんじゃないかと不安になりつつ、上手く呼吸することすらままならないでいる和流の白目を向いていた様に一瞥していくは、脳内が火に焼かれては神経が千切っていたような気がしている彼は右手にある折れていた刀を強く握っていた。


  ”シュー”刹那、小さなピンク色の粒を連れては、宙に赤いブリッジを作っていたような自分の右手から離れていた刀の、上手く和流の胸元に座っていたエイリアンの後頭部を貫いては、自分に大きな血塗れのドアアイのような穴をエイリアンに残してくれていた事に、内心にある怒りが少しも減らされていない感覚に自分は目の前にある怪物を引き千切ってやるんだと言う思いに、脳内を満たされているような気がしている野黒新は強く右足で床を踏んでは、否応なしに左足で強く床を蹴っていた。


  ”バァン!”爆弾となっていたようにと床にある板を潰しては、跳ねらせていた野黒新は自分の左足に飛ばされていた板に目を向ける事無く、エイリアンの脳内にある赤い液体を帯びているピンク色の脳を潰していたように、飛ばしていた折れていた刀を追っていくようにと、宙を通っていきつつ、握り締めている右手を強くぼんやりと倒れて行こうとするエイリアンの項に向かっていた。


  ”ボーン!”地震を起こしていたようにと壁に強く体をぶつけては、首が否応なしに野黒新の怒りに満たされている右手に潰されては、強制的に首を傾げる状態にされては、二度とまともな視野の中で、世界を見れなくなっているエイリアンは、ぼんやりと眉間を通っていたはずの生き血に左目を汚されて行きなが、野黒新に無理矢理流れるレールを変えられていた赤い液体と共に、彼の右手に握り締められては、唸り声を零す事しか出来なくなっている肌が亀裂していた怪物を見つめていく。


  「ううう…!」苦しそうにと唸り声を零しては、必死に両手で自分の右腕を握って来ている亀裂していた怪物の、自分の抗おうとしている様を睨みながら、宛ら感情が衝撃に剥奪されていたように、ゆっくりと赤い糸に囲まれれては、渇いていく黑く見えてしまう瞳を床に背中をぶつけられては、白皙の頬が血痕に汚され、漠然と唇を開けたままで光を無くしていた左目で天井を見上げている白野の顔から、彼女の開けていたパジャマに飾られていたような胸元の間にある大きな傷跡に目線を向けていく野黒新。


  自分の右腕の中で必死に暴れ回っては、自分に持ち上げられている事に苛立ちを覚えているような亀裂していた怪物の、必死に両足で自分の太股を蹴って来ている感覚を気にする事無く、ぼんやりと暗闇と化していたような瞳で白野の胸元に咲き誇れた血潮の香りを漂わせに来ている深い赤い色の深淵の中にある弱くなっては、まるで自分が来るのが遅すぎると語って来ているように、軽く鼓動を刻んでくれていた花を見つめていく彼。


  ”がバー”自分の右手に握り締められていた怪物の割れては、酷く乾燥していたような感覚を与えに来てくれていた肌が、自分の力を込めていく指に応えてくれているようにと悲鳴を上げてくれていると同時に、凹んでいく感覚を気にする事無く、辛そうにと血痕に汚されていた胸元を微かに起伏させては、弱り切っている深いピンク色の瞳で自分の顔を見て来ている白野の潤んでいた左目を目にしてしまうと、叱られていた子供のような気分になれている野黒新、口角が勝手に何も思えなくなっている自分の代わりに悲しんでくれているようにと、斜め下の方向に向けていることを気にする事なく、自分と言う存在を失っていたように思えている野黒新はひたすらに右手にある戦慄している亀裂していた怪物を握っていく。


  「ううああぉあああ!」自分に放してくれと懇願しに来ているような怪物の、気絶してしまいそうな悲鳴をぼんやりとしている頭で聞いて行きつつ、何も考える事が出来なくなっている野黒新は自分の事をぼんやりと見ながら、宛ら自分が無事でいる事に安心したようにと、少しばかり濁っていた淡い黄色の液体に飾られていた口角を上げている白野の、空っぽになっていた体の奥に負い目を覚えている。


  ”ガー”右手の手のひらに、主人を握り締め過ぎたと文句を言いに来ているようにと手のひらに尖っていた感覚をぶつけに来ていた、亀裂していた怪物の肌にゆっくりと混沌に侵されている眼を向けていく野黒新、ぼんやりと現実から感じて来る地獄に叩き落されるよりずっと酷く思える絶望に打ちひしがれては、上手く首筋に力を入れては、重たく思える頭を支えられなくなっている彼は、ゆっくりと震えている左手にある携帯電話を放して行きつつ、目の前にある潤んでは自分に命乞いをしに来ているような怪物に向けていく。


  ”ター”「ひぃいいい!!」まるで床に落ちていた携帯電話の音に刺激されていたようにと、苦しそうに涙を零しながら全身を動かして来ては、自分の右手の操りから逃げ出そうとする亀裂していた怪物の喉元に、左手を添えていく野黒新。「うええぇおえ!」呆然と佇んでは左手の手のひらをくすぐりに来ているような怪物の、少しばかり温かくにも思える喉を内側で温度を確かめたがっているようにと、大きく唇を開けて来ては、苦しみで出来上がっている息を零していく怪物の鳴き声を聞きながら、左手に力を込めて行きつつ、まったりと左手を上げていく野黒新。


  「新…なのか…」”ドクンー”忽然、耳元にあるまるで地獄の住民となっていたようにと、嗄れていた唸り声を零して来ている亀裂していた怪物の鳴き声を飛ばしては、自分の耳に入って来ている和流の声色に見開かされては、猛然と振り返っていく野黒新、左足を無くしては両腕が蚯蚓のように折れては生き血を流している和流が呆然と天井を見上げたままで、自分を呼んで来ている様に眉毛を震わされているように思えては、口角が痙攣しているような気がしてならないでいる野黒新は、つい彼から感じて来る悲しみは全部自分の両手の中で苦しんでいる怪物への怒りなんだと、真っ赤に燃えている脳内で納得している彼は、ぽつりと渇いた唇を開けては、和流に返事を向けようと考えている、「ああ…」


  「無事で…」顎が戦慄している和流の自分の顔を見たがっているように、軽く顎を引いて来ている様に、疼く視界が霞んでいるような気がしている野黒新。「いてくれてたん…だな…」嗄れては上手く聞き取れないでいる声で自分の安否を確認しに来ている和流の声に、歯を噛みしめないと胸元の奥から爆発してしまいそうな、訳のわからない感情を抑える事が出来なくなるような気がしている野黒新は、彼から逃げていくようにと視線を床に向けていき、忽然、まるで自分を呼び止めに来ているような潤んでいた深いピンク色の瞳に見開かされては、軽く怪物に汚されていた口角を上げて来ては、笑ってくれているような傷だらけの白野の態度に体を嬲られては、勝手に震え始めているように思えている野黒新、「う…!」


  猛然と鋭利な眼光を自分に握り締められていた亀裂していた怪物に向けては、気絶したように上手く声を発することが出来ないまま大きく唇を開けては、舌を吐き出している怪物に上げれる時間はないんだとぼんやりと考えては、歯を食いしばっている野黒新はつい脳内に登って来ている怒りに頭の奥を刺激されては、割れているような気がしてならないでいる彼は、迷わずに左手にある亀裂していた怪物の喉を鷲掴みにしては、自分の指先に甘えて来ているように、鼓動を刻んでいる怪物の喉の奥を感じながら、否応なしに引いていた。


  ”ピィー”死んでいく怪物の代わりに自分を攻めて来ているような怪物の喉から飛び出て来る生き血に、顔を汚されていくままで、自分に抵抗することが出来なくなっている怪物を睨んだ野黒新。”ドンー”ゴミを捨てていくようにと右手にある怪物を放しては、怪物の体が強く床に転がっていた音を気にする事無く、恐る恐ると戦慄している両足を満身創痍になった和流のもとに向けようとする野黒新は、苦しそうにと軽く唇を噛んではぼんやりと自分を見てくれている白野に向けていき。


  まるで自分に彼のもとに行っておいでと教えに来ているように、軽く目を細めてくれている姉のように自分の落ち込む時に傍にいてくれていた白野の仕草に、泣かされてしまいそうに思いつつ、自分よりずっと強かにも思える眼がこれっぽちも涙を零す意向のないでいる事に微かな安心感を覚えては、視野が酷く霞んでしまうと、いついなくなってしまうのかも可笑しくない傷を負っていた、二人の最期を見送れないと思っている野黒新、暗く見えてしまう世界の中で目を細めていた白野の行動に心を嬲られているように感じては、彼女はこのまま二度目を開けてくれなくなるんじゃないかと、不安に殺されてしまいそうな気がしては、震えている両足で傷だらけの和流のもとまで歩いては、ゆっくりと左足を引いては膝を生き血と臭う液体に汚されていた床に付けていく野黒新。


  光を失っていた黄色の瞳を自分に向けて来ている和流の腹部から飛び出ていたようなピンク色の臓物に、悲しみを植え付けられているように思いつつ、二人が背負っている苦しみが全部自分にくれては、何倍にしてもいいから自分に背負わせてくれては、まだまだお互いの生きたいと思っているはずの二人に命を残してやってくれと、必死に喉に力を入れては悲憤に満ちている息を零していく野黒新。


  「俺を…」視野の中で薄暗い環境に包まれていたような野黒新の、自分のことを見つめながら酷く悔やんでいるように、歯を食いしばっている様に微笑んで行こうと思っている和流はゆっくりと震えている視線を前に向けて行きつつ、自分の身体を苦しんで来る激しい痛みを抑えて行きながら、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「あいつのもとに…」「うっ…」和流の酷く衰弱しては、主人を連れて消えてなくなってしまいそうな声色に、心を悔やまされているように思えては、自分が上手く彼の両親をここまで連れてくることが出来なかっただけではなく、何としても守りたいと強く願って来ていたはずなのに、結局のところ二人を完全に守れなかった自分の無力さを恨んでは、世界が自分から大事に思っている人を一人一人奪っていて、楽しんでいるんじゃないかと悔やんは、思わず強く歯を噛んでしまう野黒新はゆっくりと戦慄しているような左腕を彼の背中に向けて行きなが、軽く右手を彼の折れていたように力を入れなくなっていた膝裏に向けていく。


  温かく自分の身体を包んでくれている野黒新の胸元から感じている、狂っているようなくらいに激しく鼓動を刻んでいる心臓の鼓動に、苛まれているように感じては、いつ意識が体中に食い込んで来ている激しい痛みに飲み込まれては、二度と世の中で自分の声を残せなくなってしまうのかは分かったもんじゃないと、激痛に狂わされているような頭でぼんやりと考えていく和流、まるで自分の思いを分かってくれているようにと、ゆっくりと自分の背中をひんやりとした床に付けてくれては、自分の霞んでいた視界の中で自分と同じように酷く衰弱している白野の顔を見させてくれている野黒新に、感謝してみたくなっている和流は、自分の無力さを見せつけに来ているような呆然としている顔で自分の事を見つめに来ている白野の、汚されていた顔と彼女の深紅の穴と化していた右目に心を叱られているように思えては、つい野黒新に自分を運んだお礼を言う気分が体中が重傷を負っている彼女の存在に打ち消されているように感じてしまう和流は、苦しそうにと軽く唇を噛んでいた。  

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