第250話僕だって出来たんだからな!

  目を細めたまままるで我妻の話を聞いていないかのように彫刻と化しては、自分の机を見つめていた斗奴雷は窓から差し込んで来ている橙色の光に呼ばれているようにとまったりと顔を彼の右側に向けては、自分と同じようにあんぐり口を開けている尼姥姥の存在を一瞥する様を潤んでは、涙を止めていた緑色の瞳で映し出していく折尾。「殺さないでくれぇ…」まったりと再び自分の喉を食い込んで来ては、まるで自分に命乞いをさせてはいっぱい恥ずかしい思いを受けた後で、自分の事を嬲り殺そうとしているような相手の態度に激しく鼓動を刻んでいく心臓が起爆されているように感じては、必死に血走っては目から飛び出ようとする眼で周りにいる学生たちに目線を向けては、誰かに助けを求めたいと強く願ってしまう我妻。


  宛ら自分の瞳は汚らわしいものだと語って来ているように、潤んでいる視野の中で自分に見られる度に自分の存在を拒んでいく色とりどりの髪の毛の色に、顎を握り潰されているような痛みを覚えてしまう我妻、口角からまるで自分を地獄に連れ込もうとしているような冷めていく一筋の唾液に、白眼を向かれてしまいそうなくらいに緊張を強いられては、苦しそうにと大きな声を発しては、自分の存在を退かそうとしているような色とりどりの花に戻って来て欲しいと強く願ってしまう我妻、「頼む…!」


  舌を喉に入っているような苦しみを与えに来ている両腕にまったく抵抗出来ずにいる我妻は、ぼんやりと脳内を過っていく自分に心の中で馬鹿にされて来ていた母親の存在を思い出しては、自分にはまだちゃんと彼女を地獄から救い出せる程のお金を稼いでいないんだと、自分でも驚くくらいに母親の事を救いたいんだと思っていた自分の思いに、まだ生き残りたいと言う思いを強化されては、必死に両手で自分の喉を抱えに来ていた斗奴雷の右腕を叩いていく我妻は、赤くなっていく鼻先から垂れて来ている鼻水を気にする事無く必死に嗄れていた声を絞り出していく、「頼むよぉ…!」


  まるで自分に懺悔しに来ているような我妻の酷く弱っている泣き声をぼんやりと耳にして行きつつ、彼の喉に食い込んでいたような右腕が、まるで必死に自分に願って来ている彼の事を放してはならないと知らせに来ているように、強く彼の喉を抱えている事に鼻腔の奥をくすぐられているように感じては、いつもクラスの中跋扈して来ていた阿保もこの程度のものなんだとぼんやりと考えていく斗奴雷は、軽蔑しているような眼差しを我妻に向けては、沈んでいるような声を発していた、「で?」


  斗奴雷が顔色が少しばかり紫色になっている我妻の事を放そうとしないでいる態度に見開かされては、口角が斜め下の方向に向けられているように思えては、尼姥姥を虐めていた我妻からまったく感じた事のない、人が本気で誰かを殺めようとしている時の酷く冷たく感じては、間近で見ているだけで心臓を握り潰されるような感覚に涙目にされているような気がしてならないでいる折尾、顔面に押し付けに来ているような殺気に胸元の奥にある鼓動を操られているような気がしている彼女は、ごくりと固唾を飲み込んではまるで斗奴雷がぽつりと口にした発音を上手く理解でないでいるような我妻の間の抜けた表情を見ていく。


  「え…?」耳元から潮の鳴き声を聞こえているような気がしつつ、炸裂してしまいそうなくらいに緊張と畏怖に満たされては、上手く自分に物事を考えさせてくれないでいる頭に苛立ちを覚える余裕すらなくなっては、体が浮いているような不思議な感覚を味わっている我妻は唾液と鼻水を垂らして行きつつ、辛そうにと唸り声が混じっている声色で言葉を紡いでいく、「苦しい…放してよ…」足指も指先も氷水に浸されているような気がしては、体が段々冷たくなっているような気持ちになれている我妻は必死に斗奴雷に命を許して貰いたいと切に願っている、「頼むから…」

  

  我妻の頭が苦しみに狂わされては上手く声を発することが出来ずにいる様に苛立ちを覚えながら、不服そうにと歯ぎしりしていく斗奴雷は何度も鼻翼に力を入れては、彼に彼が誰かを虐めている時、相手も今の彼と同じよう思いをしていることを知らせようと強く考えては、悔しさに頭を狂わされているように思いつつまったりと横目で彼の横顔を睨み付けていく斗奴雷は、ぽつりと唇を開けていた、「服を弁償するんだろうが…」まるで自分の唇から零れていた声に驚かされているようにビクッと体を跳ねらせては、辛そうに唸り声を漏らしている我妻に気絶させないようにと軽く右腕に入れていた力を解しては、猛然と息を吸い込んでいる我妻の呼吸する音を耳にすると、迷わずに上半身を反らしては、彼に自分との立場を逆転させてしまいそうなチャンスを与えてはならないと強く考えている斗奴雷は、歯ぎしりしながら苦しそうな呻吟の声を漏らしている彼の横顔を睨んでいく、「お前が破いてたんだろう?」


  気絶してしまいそうに体が真っ白な世界に浮かんでいた自分の身体を、無理矢理人間の世界に引き摺り返しに来ているような斗奴雷の行動に喉を再び苦しめられては、鼓膜が爆発してしまいそうな気がしている我妻は急いで声を発しようと大きく唇を開けていた、「弁償する…弁償するから…」酷く憤っている斗奴雷は死神ではなく現実で生きている悪魔なんだと強く思っては、自分の泣き顔をクラスの中で晒されては、これからもずっとクラスの中にいる人たちに馬鹿にされる運命になって仕舞うんだと強く考えては、いつかは絶対に彼に復讐するんだと心の中で強く誓っている我妻は歯ぎしりしながら声を絞り出している、「しますから…命だけは…!」まるでまたしても自分を気持ちよくなってしまいそうな世界に送らせようとしているようにと、強く彼の右腕に力を込めて来る斗奴雷の行動に眉毛を跳ねらされているように感じては、白眼を向いてしまいそうな我妻は必死に許しの言葉を紡いでいこうと考えている、「放して…!」


  ぼんやりと潤んでは斗奴雷から感じて来る畏怖に、瞬きすることを無理矢理忘れられているような気がしてならないでいる折尾は、猛然と我妻の苦しんでいる横顔から自分に目線を向けて来ている斗奴雷の血走っている眼に眉毛を跳ねらされているように思えては、宛ら自分に我妻の前から退いてくれと知らせに気ているように、軽く充血している深い紫色の瞳で自分の左側を指して来ている斗奴雷の眼に恐怖を感じては、まるで彼に従わないとだめだと知らせに来ているような戦慄している両足で左側にある椅子と机の間を通っていく折尾。


  ”トー”突然、まるで自分を地獄から追放してくれているように、強く自分の背中を押して来て、首に締め付けに来ていた蛇のような感覚が無くなっては、上手くひんやりとした空気を吸い込め、両足に上手く力を入れることが出来ずにいる我妻はつい勝手に前のめりになっていく身体に見開かされては、急いでいるようにと目の前にある机に両手を付けていき、「こほこほ…!」紅潮していた喉から青筋が立てている我妻の苦しそうに右腕で机を押さえては、左手を胸元に当てては強く息を吸い込んでいる様を見つめている斗奴雷。


  「くそ…」胸元を張り詰めらせに来ていたような苦痛から解き放たれているような気がしてつつ、悔しい心境に脳内を満たされているような気分を味わっている我妻は不服そうに何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、自分の手のひらを嘲笑って来ているような机から右手を引いて行きつつ、猛然と血走っている眼を橙色の夕日を映し出している少しばかり光っているようにも見えていた机から斗奴雷に眼を向けていき。


  ”ドクンー”力に満たされているようにも見えている斗奴雷の解しているように見えている両手に浮かんでいた、淡い緑色の筋に喉を握り潰されているように思えては、まるで自分の目線を引いて来ているような彼の充血しては、殺人鬼にも感じて来る刃よりずっと鋭利に感じてしまう眼に、言葉を紡ぐ権力を無くされているような気がしてならないでいる我妻、「うっ…!」斗奴雷がただ自分が折尾に興味を示していた最中に自分に襲い掛かって来ていた卑怯者に過ぎないはずなんだと強く考えていく我妻は、つい無理矢理自分の胸元の奥にある不満の気持ちに駆り立てられては、食いしばっていた歯を抜いて来ているような自分の顔を睨み付けて来ては、自分から目線を逸らそうとしないでいる彼の存在に有無を言わさずにに、顎を床に向けて引かれているように思い、彼に逆らってしまうと、今度こそが本当に殺されてしまうような気がしている自分の震えている体を見下ろしている我妻、ぼんやりと鼻翼に力を入れては痙攣しているような体に入り込んで来ている空気の感覚を感じて行きつつ、斗奴雷と言う悪魔より悍ましい存在に睨まれている今は、どうしても世の中から消えて無くなっては、天国に行ってしまいそうな瞬間よりずっと怖く思えている我妻はごくりと固唾を飲み込み、クラスに残されていたクラスメートたちは震えては上手く立つことも出来ずにいる自分のことを馬鹿にしているのだろうかと、ぼんやりと考えて行きつつ、斗奴雷は自分の事をどうする気なのかを思うだけで泣き出してしまいそうな気がしている我妻は、苦しそうにと震えている歯を噛みしめては彼は一体自分をどうするつもりなのかを考えている。


  ”ター”まったりと俯いている自分の視野の中に入って来ている斗奴雷が履いていた淡い黄色のスニーカーに、心臓を握りしめられているように思いつつ、強張っては床の向こう側に入りたがっているような口角と共に、斗奴雷の前から逃げ出したいと強く考えている我妻はつい静まり返っては針と化しているようにと自分の皮膚に刺し込んで来ている空気に苦しめられているように思えては、まるで自我を保とうと抗って行くように戦慄している両手を握っていく我妻。


  目を細めて行きつつ、我妻に泣かされていた折尾の潤んでいる緑色の瞳に映し出されている自分の顔に一瞥しては、自分の存在を怖がっているようにとビクッと華奢な肩を跳ねらせていた折尾の態度に、眉毛を少しばかり上げられているように感じてしまう斗奴雷、悔しそうにと強く鼻翼に力を入れては、横目で項垂れては自分と目線を合わせようとしないでいる我妻の様を睨んでいく彼は、不服そうにと何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、そもそ我妻さえいなかったら自分はさっきのように人殺しになってしまいそうな目に遭っていなかったんだと強く考えては、ますます我妻の事を潰したいと言う思いを抑えていくようにと、右手を握りしめている彼はぽつりと喉から声を絞り出していた、「退いてろ。」


  斗奴雷がぽつりと発していた自分が彼のもとから離れてもいいと知らせに来ていた一言が、恩恵のようにも感じては感激を覚えている我妻は大慌てで強く頷いては、声を上げていく、「は、はいっ!」急いでいるように体を右側に向けてずらしては、斗奴雷がもし自分の後ろに歩いて行こうと思っているのなら、彼の邪魔をしてしまう自分は彼に殺されるんじゃないかと胸元の奥にある恐怖心に刺激されては、急いでいるようにと額を上げて行きつつ、極力斗奴雷の酷く恐ろしい眼を見ないようにする我妻は必死に喉から声を絞り出していた、「し、失礼いたしました…!」


  ぼんやりと腕を組んでいた竜祥は軽く左足を右足の上にかけては、斗奴雷に大きな声で自分が彼に脱帽していたんだと教えに来ているような我妻の様は実に滑稽であり、狼狽なものなんだと思いつつ、急いで斗奴雷から逃げ出そうと自分の方に目を向けて来ている我妻のようやく自分もクラスにいたことを思い出しては、まるで幽霊でも見えていたかのようにとビクッと眉毛を跳ねらせていた様は、少しばかり面白く感じている竜祥は軽く鼻で笑っては、自分に負い目を覚えている子供のようにと顔を合わせようとしないでいる我妻の態度に口角をくすぐられているように思い、人が落ち込んでいる時に恩を着せた方がその人から好感を得れるんだと考えては、チラっと折尾に向けて歩いていく斗奴雷の後頭部に目を向けては、我妻が自分に向けて来ていた怒りも悔しい心境も斗奴雷に転移していこうと考えている竜祥はまったりと背中を教卓から離れては、左手を胸元に当てて行きつつ、額に皺寄せてはチラっと自分に目を向けて来ている我妻に微笑んでいく。


  竜祥のまるで酷く無様な姿を晒していた自分の事を受け入れてくれているように微笑んでくれている様に見開かされては、つい心を彼に打たれているような気がしてならないでいる我妻、「うっ…?!」地獄から離れていた己を迎えに来ている天使のようにも見えている竜祥が微笑みながら、まったりと白皙の顎を教室のスライドドアに向けていく様に、天使が自分を導いてくれているような気がしている我妻はごくりと固唾を飲み込んでは、斗奴雷に潰されてしまわないかと思っていた喉仏から感じて来た痛みに、自分は確実に生きているんだと考えつつ、一刻も早く斗奴雷から離れて行かないと強く考えている我妻は、竜祥の前を通っては血走っている眼で斗奴雷の後頭部を睨み、右手の手の甲で鼻先を拭いていく我妻は今日で受けた屈辱はいつかは倍にして斗奴雷に返して行くんだと強く考えては、廊下に向けて歩き出していく。


  我妻が斗奴雷に破られてはまるで光に照らされている影のようにと消え去っていく様に見開かされては、呆然と佇んではあんぐり口を開けていた尼姥姥は恐る恐ると目線を折尾のもとまで近づいていた斗奴雷の顔を見ていく。叱られているようにと眉毛をひそめて行きつつ、斗奴雷の左頬に浮かんでいた小さな痣に心を苦しめられているような気がしてならないでいる折尾は、チラっと震えているような目線を彼の人中と鼻先を汚していた鼻血に向けて行きながら、戦士のようにも思えている斗奴雷に頬に恐る恐ると繊細な右手を向けていく彼女はぽつりと震えている声を絞り出していた、「斗奴君…」


  折尾のまるで自分の頬にある傷跡に触れようとしている様に苦笑いしてみたくなっている斗奴雷は、急いでいるようにと軽く彼女から一歩を引いては、左手の手の甲で鼻先を拭いて行きつつ、男なのにやけに可愛く見えている折尾の事を悪党から助けていた自分と潤んでいる眼で、自分の顔を映し出してくれているまるで恋いに陥っていた乙女のような態度で自分に接して来ている彼女と、このまま人生のハッピーエンドに向かうんじゃないかと不安になり、まだ学生なのに簡単に誰かと恋いをするのは些か不味いんじゃないかとぼんやりと考えて行きながら、自分に避けられていた事に切なげに苦笑いしている彼女のまったりと右手で少しばかり震えている左手を包んでいく様に悩まされているように思えては、彼女に失礼な事をしてしまったなと申し訳なさそうに彼女から床に目線を向けては、困っているように軽く右手の人差し指で頬を掻いて行く彼は、チラっと横目で折尾の顔を見ていき、「大丈夫だったのかな…?」


  自分も斗奴雷とまったく同じようなことをしようとしていたはずなのに、折尾のハニカム乙女のような態度を斗奴雷に向けていく様に心を苦しめられているように思えては、悔しそうにと強く両手を握って行きつつ、悔やんでいるように俯いて行く尼姥姥は切なげに鼻を啜っては、どうして折尾を上手く助けてあげることが出来なかったのかと答えのないような問題を考えている。


  まるで自分の心を奪い去ろうとしているような斗奴雷のやけに美しく見えている眼に目を細められては、照れくさそうにと軽く左手の人差し指でこめかみを掻いては、恥ずかしそうに黄色の髪の毛を弄って行きつつ、何度も頷いていく折尾、「う、うん…」”パパパー”突然、まるで自分の鼓膜をくすぐりに来ているような拍手の音に眉毛をひそめられているように思えては、ぱちくりして行きつつゆっくりと我妻に勝っていた自分に尊敬しているような眼差しを向けて来ては、脱帽しているようにと自分に拍手を送って来ているクラスメートたちに恥ずかしい思いを強いられているように思いつつ、まったりと目線を尼姥姥に向けていこうと考えている斗奴雷。


  ”パパパー!”段々強くなっていくクラスメートたちが斗奴雷に向けている拍手の音が少しばかり耳障りにも思えては、つい折尾にだけではなくクラスにまで認められている斗奴雷に憤怒を覚えてしまいそうな気がしてならないでいる尼姥姥は、自分を我妻から救おうとしていたせいで顔に傷を負っていた斗奴雷に嫉妬している自分は、酷く見にくい奴なんだと自責して行きつつ、自分の我妻に破られてはゴミのようにと床に捨てられていたシャツを拾っては、床を見つめている自分は人生の中に置いての失敗者であり、同じように我妻に立ち向かっていたのに、斗奴雷が成功していて、自分が却って恥ずかしい目を受けられていた事を思うと、つい自分は神に見捨てられているんじゃないかと悔やんでは、目頭を撫でて来る温かい水滴の感覚が自分の情けなさを増大しているようにと思えている彼は、強く右手で自分が着ていたシャツを握り締めていく。


  「君も…」上半身を裸にされてはベルトが少しばかり緩めていたような尼姥姥の、彼の捨てられていたシャツを睨み付けている横顔に少しばかり心配を覚えている斗奴雷は、自分が彼に向けていた声に驚かされているようにと急いで自分に目線を向けて来ている尼姥姥の瞳を見つめていき、「大丈夫だったかな…?」斗奴雷が完全なる失敗者である自分にまで気を遣ってくれては、やけに潤んでは憐れんでいるような眼差しを投げて来ていた彼に不満を覚えると同時に、酷く小さくなっているように思えている自分は小汚いゴミであり、神に恵まれているようにまさしく主人公のような存在である彼に、嫉妬する自体がおこがましい事なんだと観念しては、逃げていくように彼から目を逸らしては、まるで斗奴雷の凛としている横顔しか見えなくなっているように、彼を見つめている折尾の憧れている眼差しに心臓から後悔に満たされているような息を胸を通っては、唇から漏れているような気がしている尼姥姥、猛然と鋭利な眼差しを斗奴雷に向けては、自分にさっさと立派な彼にお礼を言えよと催促しに来ているような眉間に皺寄せては、自分の事を見て来ているクラスメートと、まるで自分がすでにクラスの中にいないと語っているように、折尾と同じように斗奴雷の顔を見つめている学生たちに傷だらけの心を嬲られているような気がしている尼姥姥、「余計な…」


  尼姥姥の斗奴雷と顔を合わせたくないでいるように、視線を彼の汗ばんでいる左手に握り締められているシャツに向けてく様に目を細められては、悔しそうにと強く歯を噛んでは瞳が黒くなれているように感じてしまう尼姥姥は、もうダメかもしれないとぼんやりと考えては、心身ともに我妻と彼の理想な自分を乗っ取っていたような斗奴雷と共に苦しめられては、人生の終焉に追い詰められても可笑しくないはずだと考えている竜祥は、軽蔑しているように横目で尼姥姥の戦慄している横顔を見ては、自分のように精神が幼い頃から両親に叩き上げられていない坊ちゃんはメンタルが弱いなと内心で呟いて行きつつ、尼姥姥の苦しそうに自己嫌悪と世界から感じて来る悪意に挟まられては、絞り出そうとしている声を上手く聞き取れなかったかのように眉毛をひそめている斗奴雷の顔を見ていく。


  尼姥姥が呟いていた一言を上手く聞き取れていたような気がしつつ、つい自分の聞き間違いなんじゃないかとぼんやりと考えている斗奴雷は、向きになっているようにと自分と顔を合わせようとしないでいる尼姥姥の事を見ていき、「え?」斗奴雷が自分に投げて来ていた間の抜けた声はどうしても挑発しているように聞こえて来ているような気がしながら、猛然と左手にあるシャツを握っては潤んでは、泣き出してしまいそうな眼を彼に向けていく尼姥姥は苦しそうにと握り締めている右手を彼に向けては叫んでいた、「余計な真似をするなよ…!」自分が発していた大きな声に絶句されているようなクラスメートたちの事を気にする事無く、あんぐり口を開けては困っているようにと眉毛をひそめながら未だに自分を憐れんでいるような瞳を向けて来ている斗奴雷は、とことん自分が酷く惨めな虫けらだと思っているのに違いないのであろうと考えていく尼姥姥、「僕だって…」


  息遣いが荒くなっては胸元の奥が斗奴雷と自分に驚かされているように黙っているクラスメートたちと同じように、自分に目線を向けて来ている折尾に震わされているような気分を味わっている尼姥姥は、自棄になっているように叫んでいく、「僕だって出来たんだからな!」胸元の奥からこみ上げて来ている自分の事を馬鹿にしては、自分ですら弱いだけではなく酷く無様な自分を受け入れたくはないと叫んでみたくなっている尼姥姥は、まるで自分の醜い嫉妬に操られているような唇に苛まれているような気がしつつ、自分と同じように我妻に殴られていたはずの斗奴雷は、どうして上手く我妻の事を退けていたのかと訳の分からない質問を彼に向けてみたくなっている尼姥姥、「一人で…何とか…!」


  歯ぎしりして行きつつ、決して斗奴雷が我妻を痛めつける事を悪いとは思っていないはずなんだと思いながら、折尾のまるで自分の神経を疑って来ているような眼に心を苦しめられているように思えては、自分に本気で情けない奴だと言う言葉を語って来ているような眼光を向けて来ているのに、自分と同じことをしていた斗奴雷にまるで英雄のようにと敬う眼差しを向けていた折尾に、心を潰されているように思えては、どうして自分には上手く我妻を倒せなかったのかと、自分の貧弱な体を見下ろしていく尼姥姥は、つい脳内にある神経を焼き千切ろうとしているような怒りに駆り立てられているように思えては、猛然と強く右足で床を踏んでは斗奴雷の目を細めては自分に苦い笑みを向けて来ている様を睨んで行きながら、ピンク色になれている目の下に透明なレールを残していく尼姥姥、「出来たはずだ!」


  「ちょっと!」自分と同じように斗奴雷に助けられていた尼姥姥が無言で佇んでいる斗奴雷を罵っているようなニュアンスで、声を発している様に悲憤を覚えては、自分より一回多く斗奴雷に助けて貰っていた彼が斗奴雷にお礼を言わないでいるどころか、却って彼を苛んでいる様に心底彼を見損なっているような気がし始めている折尾は不服そうにと眉毛をひそめて行きながら、自分が上げていた大きな声に言葉を遮られているような尼姥姥の顔を睨んで行きつつ、まるで自分が発していた一言で狂っている尼姥姥から声を取り戻せているようにと、彼の事を罵り始めているクラスメートたちの声を耳にして行きつつ、何度も鼻翼に力を入れては彼の顔を睨んでいく、「あんまりなんじゃないのか!」


  猛然と左手の人差し指で尼姥姥の眉毛を跳ねらせては、宛ら自分が彼に向けていく態度は意外なものなんだと思い込んでいるような彼の態度を睨むと、我妻は他の人ではなく主に彼の事を虐めて来ていた理由は少しばかり分かっていたように感じては、とんでもない恩知らずである尼姥姥が虐められていたのは当然だとすら思い始めている折尾は、歯ぎしりしながら彼の自分とクラスメートたちの群れがるカラスにも思えるくらいに小うるさい声を拒んでいるようにと小刻みに、首を横に振っている様を見つめて言う、「彼があなたのために傷を負っているんだぞ!」


  宛ら自分こそが真の敵だと語って来ているような自分の事を睨んで来ては、罵倒やシャツを無理矢理剥がされていた自分の事を嘲りに来ているクラスメートたちの態度に、口角を斜め下の方向に向けられているように感じては、自分が我妻に甚振られていた時には誰もがこのように、我妻の事を罵っていないのにと考えていく尼姥姥、「うっ!」強く歯を噛んでは、やはり世界は自分の事を邪魔者扱いしているんだと叫んでみたくなっている尼姥姥は、つい自分の目から零れていく悔しい心境に苦しめられては、罵声を浴びている体が勝手に痙攣しては、自分だって斗奴雷のようにクラスの英雄となり、折尾を魔の手から救ってやろうと数え切れないくらいに考えては、それを行動に移していたのにと無言で自分が虐められていた時に黙っていただけではなく、折尾が自分と同じような目に遭わされていた時にも同じ態度を取っていたクラスメートたちに叫んで見たくなり、黙っていた連中の中には、誰もが自分を罵る失格はないんだと叫んでみたくなり、折尾の為に買って出ていた自分の方が自分が我妻に甚振られるのを楽しみにしているように、クラスの中に残って来ている彼らよりずっと偉い人間なんだと思い込んでは、どうして偉いはずの自分がこんなにもゴミどもに非難されるなければならないと悔やんでは、自分が救おうと思っていたのに、ただ上手く救えなかっただけで、クラスメートたちと共に自分を罵って来ている折尾の酷く怒っている眼に、口角を斜め下の方向に向けられているような気がしつつ、苦しそうにと歯を噛んでは、霞んでいく視界を折尾の態度から床に向けていた。


  


  

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