第208話君のような子を育てたのは、誇りに思うよ…?


  須賀の自分が紡いだ話を耳にすると自分より落ち込んでいる態度に口角をくすぐられているように感じては、軽く右手で彼のフードを撫でて行きつつ彼の事を慰めているように言葉を紡いでいく折尾、「悪夢を見たあとで、目が覚めると、」ぼんやりと悲しみに霞まされては朧気になっていた視線を窓の外に向けていた折尾は目を細めて行きつつ、曖昧になっては蕩けているような視野の中にある景色全てが愛おしく感じている彼女はぽつりと艶やかな唇を開けていた、「確かに滅茶苦茶怖くて冷や汗がいっぱい掻いていたけれど、」まるで自分がぼんやりと憂いに耽っては呆然と紡いだ言葉に叱られているようにと、軽く両足を引いていた須賀の仕草に口角を支えられているように感じてしまう折尾、ゆっくりと視線を彼の軽く握っている左手に向けていく彼女は軽く左手を彼の握っている左腕に向けて伸ばして行きながら声を発していた、「ちゃんとあなたが傍にいるんだと知ると、」軽く自分の左手の手のひらをくすぐって来ているような柔らかい毛の感覚に微笑んで行きながら、自分に左手を握られている事に驚かされているようにと恐る恐ると震えているような灰色の瞳を自分に向けて来る彼に微笑んでいく彼女、「大して怖くなんかないんだぞ?」


  屈託のない笑みを自分にだけ見せてくれては、自分に感謝しているように軽く自分でも気持ち悪く思ってしまう体に触れてくれては、膝枕してくれている彼女の存在に感激を覚えている須賀、軽く歯を噛んでしまう彼はつい潤んでいる彼女の可憐な瞳に吸い込まれてしまいそうな気がしては、彼女の事を強く抱きしめては、慰めてやりたいと願っていく彼はつい内心の恥ずかしい思いに苛まれ、口角が斜め下の方向に向けられているような気がしてならないでいる彼は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、彼女から顔を逸らしていく、「そう…お休み。」


  須賀の弱っている姿で自分に返してくれていた微かに震えているような声色に口角を上げられているように感じては、横目で彼の事を見ていく折尾は彼はきっと自分と同じように恥ずかしい心境に体を焼かれては、どうしていけたらいいのかが分からなくなっているのに決まっているんだと思ってしまう彼女、チラッと照れくさい心境に苦しめられては困っているようにと何度も足指に力を入れては、靴下を動かしている彼の可愛く思える行動に心を撫でられているように思いつつ、目を半開きさせていく彼女はまったりと左手を激しく鼓動を刻んでいる胸元に当てていき、「ひ、酷い…」悔しがっているようにと何度も首を横に振っていく折尾は自分の悔やんでいる演技に見開かされては、恐る恐ると顔を自分に向けて来ている彼に向けて眉をひそめて行きながら喉から痙攣しているような声を絞り出していき、「冷たいよぉ…!」


  やけに潤んでいる緑色の瞳を見てしまうと、つい折尾がどうせ演技でもしているのであろうと言えなくなっている須賀は軽く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を入れていき、「うう…」折尾の本当に悲しんでいるようにと軽く赤くなっている鼻を啜っている様に目を細められては、ごくりと固唾を飲み込んでいく須賀は内心で紡ごうとしている言葉に羞恥心を刺激されているように感じつつ、恥ずかしそうにと彼女から顔を逸らしていく彼はぽつりと弱っているような声を発していく、「オイラも…お前がいると…」軽く歯を噛んでは自分の鼻先から出ていく微かに荒くなっているようにも思える鼻息に、くすぐられているようにびくっと震えていた彼女の白皙の太股に一瞥していく彼は唇を尖らせて行きつつぽつりと呟いていた、「大して寂しくなくなったんだ…」


  須賀の恐縮しているようにと微かに震えているような声を絞り出してくれている様に微笑んで行きながら、心が体につられてはやけに温かくなれているようにと感じている折尾、「えへへ~」まったりと右手の人差し指を須賀の頭から引いては右頬に当てていく彼女は横目で彼の事を見下ろして行きながら言葉を紡いでいく、「一家に一台があって欲しいもんだぜ~折尾ちゃんをさ?」ふざけているような態度で言葉を紡いで来ている彼女はきっと、ただ照れくさい心境を隠して行きたいだけなんだとぼんやりと思っては、目を細めて行きながらチラッと揺るぎない眼差しを彼女に投げていく須賀は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、胸元を満たして来ているもどかしい思いに喉を詰まれているような気がしてならないでいる彼は、ぼんやりと小首を傾げては自分が必死に紡ごうとする話を待ってくれている折尾の顔を見上げていき、「お前は、」自分が喉から絞り出していたやけに震えている声色に緊張に感染されているように恐る恐ると肩を縮めては、ごくりと固唾を飲み込んでいく彼女のしおらしくなっているようにと頷いてくれている様を見つめては、強く歯を噛んでしまう彼は熱気を放っているような両手を握って、大きな声を発していた、「オイラだけのだ…!」


  「うっ…」突然、心音が消えてなくなっているようなぐらいに衝撃と破壊力すら思える言葉をぶつけに来ていた須賀に、目頭が小さな粒に撫でられているように感じている折尾、鼻腔の奥が一瞬にして麻痺されているように感じている彼女は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、軽く歯を噛んでは、叱られているようにと眉をひそめている彼女はまるで自分の表情と、自分に顔を見られるのを怖がっているように、自分の代わりに目を逸らしてくれている須賀の愛おしく思える背中に口角を緩められているはずなのに、叱られているように斜め下の方向に向けられている感覚に、自分は彼の一言に感情を破壊されていたんじゃないかとぼんやりと考えている折尾、「おおっ…」鼻声になっている彼女は軽く右手を上げては自分の目の下を越えて行こうとする粒の感覚を拭いで行こうと思いながら、ふざけているようにと声を上げていき、「強引だね…?」心がまるで自我を取り戻せていたように激しく鼓動を刻み始めては、視界が瞬く間に何度も霞んでははっきりとなっている事に、今度こっそりと誰にも見られたくない思いを抱えながら泣いている自分は、幸せだろうなと思っている折尾は戦慄している右手を彼の頬に向けて伸ばして行きつつぽつりと呟いていた、「でも好きだよ…?」


  「うう…」恥ずかしさに首を絞め付けられては殺されてしまいそうな気がしてならないでいる須賀は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、羞恥心を噛み千切るようとに強く歯を噛んでいた彼は目を瞑ったまま喉から声を絞り出していく、「う、うるせぇ!」何度も鼻翼に力を入れて行きつつ眉をひそめていく彼は歯ぎしりしながら、自分の体を受け入れてくれているような暗闇に逃げ込もうと思っている。


  視界が真っ黒になっているように感じつつ、必死に自分の心を苦しめようとする全ての物を塞がっていくかのようにと強く歯を噛んでいい来ながら、項垂れては自分の小さな両手を見下ろしていく。霞んでいるようにと感じてしまう視界の中で綺麗なシャツに守られていたような両手を見下ろしていく竜祥は何度も鼻翼に力を入れては、勝手に強く噛んでいる歯に心が挫折している事を証明されているように思いながら、ぼんやりとサイドテーブルに付けてた透明なガラスに映し出している落ち込んでは、上手く頭を上げることが出来ずにいる自分を見下ろしている。


  「竜祥君?」忽然、まるで自分の虚無に飲み込まれていた心を救い出してくれているような優しさに満ちている尋ねて来る声色に眉毛を上げられているように感じては、ぼんやりと痛くなっているように思える眼を自分の名を呼んでくれていた相手に向けていく竜祥、「あ…」まるで自分の赤い糸に囲まれていた瞳に潤いを与えに来てくれているようなピンク色の瞳に心を軽く撫でられているように感じては、思わず不安そうにと眉間に皺寄せては自分の顔を見つめてくれている小夜の存在に傷だらけの体を潰されてしまいそうな気がしてならないでいる竜祥。


  まるで抜け殻となっているようにぼんやりと両手を太股の上に置いては、自分の顔を見つめに来ている竜祥の存在にぱちくりして行きつつ、チラッと軽く右手を自分の左肩に置いて来ていた父親に一瞥してしまう小夜、まるで自分に顔を向かれていることに困らされているようにと苦い笑みを見せて来ている父親の態度に戸惑っては、つい竜祥は一体何に遭っていたのかと不安になり、胸元の奥に募っている焦燥感に駆り立てられては思わず軽く歯を噛んでしまう小夜は、強く両手を握っては呆然と自分の顔を見て来ている竜祥に視線を向けていき、「大丈夫かな?」


  まったりとまるで存在を世界に奪われていたような気がしてならないでいるちっぽけな自分の代わりに、不安になってくれては悲しそうにと眉をひそめてくれている小夜が呼んでくれていた名前に、口角が斜め下の方向に引っ張られているように感じている彼、「うっ…」鼻腔の奥が彼女の存在に刺激されては、思わず泣き出してしまいそうな気がしている竜祥は苦しそうにと自分の事を映し出してくれては、まるで自分の酷く叱れている表情に引かれているようにと、急いで自分の左側まで歩いて来ては軽く右手を胸元に当ててはソファーに座ってくれている彼女の、まるで自分の視線を引いてくれているような青色の髪の毛を見ていく彼はぽつりと弱り切っているような声色で彼女の名を呼んでいた、「さよ…」


  竜祥が喉から嗄れているような声を絞り出して来ている様に困らされては、まるで割れていたガラスの小さな欠片のような衰弱している彼の声に心を刺激されては、心臓が割れているようなくらいに痛くなっているように思えている小夜、「どうかしたのかな?」自分の事を恐れているようにと震えている体を連れては、自分から目を逸らしている竜祥の惨めにも感じてしまう姿に戸惑い、さっき彼が酷く自分に会いたがっているような声色で自分の名を呼んでくれていた事を思い出していくと、何度も鼻翼に力を入れてしまう小夜は自分に返事をしないでいる彼の代わりに返事をしていこうと思っては、軽く華奢な両手で彼の痙攣しているような左手を握っては自分の手の感覚に驚かされているように、びくっと体を跳ねらせては恐る恐ると潤んでは震えているようにも見えてしまう赤い瞳を向けて来ている彼に微笑んでいく小夜は、当たり前のように言葉を紡いでいく、「わたしならちゃんとここにいるよ?」


  「うっ…」小夜が自分がずっと頭の中で彼女が励ましてくれるような妄想をしていた通りの台詞を自分に向けて来ていた事に、口角が頬から離れてしまいそうなくらいに斜め下の方向に向けられているように思えては、自分はちゃんと父親に殺される事無く、日々苦しんで来る根源の母親も無くしては、無事彼女に会えたんだと思っては、白皙の頬に小さな笑窪を浮かべている彼女の無邪気な姿に心を刺さられているように思えては、もう一度彼女が自分に向けて来る笑顔を目にするために、苦しみで出来上がっていたような地獄を通って来ていたように思えている竜祥。


  無言で見る見るうちに透明な涙を滲ませては苦しそうにと赤くなっている鼻翼に力を入れては、小夜に何も言おうとしないでいるような竜祥の様に目を細められながら、チラッとぱちくりながら不安に苛まれているせいで肩を縮めては、どうやって泣き出して仕舞いそうな彼のこと慰めたらいいのかと不安になっているようにと、軽く自分に困っている表情を向けて来ている小夜に口角を撫でられているように思えては、温かい空気を吸い込んでいく父親は自分たちの代わりに時間を数えてくれているような窓ガラスを殴りに来ているような雨音を耳にして行きながら、チラッと自分にはもうすぐ母親が仕事を終わらせては家に帰って来るんだと知らせに来ているような蝙蝠をモチーフにしていたような丸い時計に一瞥しては、口角が長い黒い尻尾のような針に斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしてならないでいる彼は、引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ軽く左手の人差し指を立てては、ピンク色の瞳に向けて提案するようにと声を発していき、「ほら、竜祥君は多分しばらく家でお世話になるんだから、」まるで自分が紡いだ言葉に驚かされているようにと眉毛を跳ねらせては、衝撃のあまり上手く話を飲み込めないでいるようにぱちくりしている小夜に淡い笑みを見せていく父親は、チラッとまるで自分の存在が見えないでいるように小夜の横顔を見つめている竜祥の純真な姿に微笑んでいく、「ちゃんと守ってあげるんだぞ?」


  「本当に?!」父親が自分に投げて来ていた言葉に驚かされてはつい強く両手にある竜祥の左手を強く握ってしまう小夜、自分はようやく竜祥と一緒に居られるんだと強く思っては、興奮気味になれている彼女は嬉しそうにとピンク色の口角を上げていき、「わたしは彼とずっと一緒に暮らしていけるのか?」向きになっては大きな声で言葉を紡いでいる小夜の横顔に目を細められているように思えては、自分が遭って来ていた色んな出来事を振り返って見るとつい自分はようやく幸せを掴めたように思えている竜祥は、ぼんやりと霞んでいく視界を彼女の自分の左手を強く握っては放そうとしないでいる両手に目を向けては、両親を亡くしては、正義の代表であるはずの警察に馬鹿にされては酷く虐められていた今日の出来事に、心臓を抉られているような苦しみに苛まれ、思わず悔しそうにと強く歯を噛んでいく彼は何度も鼻翼に力を入れては、ごくりと固唾を飲み込んでいた。


  「えっと…」小夜のまったく竜祥が何に遭っていたのかを知らないでいる態度に困らされては、彼女に竜祥の父である自分の弟が、彼の母を殺していた事を知らせてしまうと、彼女は竜祥の事を邪険に扱ってしまわないかと思いつつ、子供にはそのような大人である自分ですらまともに受け入れることが出来ずにいる出来事を教えるのは酷だと思ってしまう父親は、困っているようにと軽く右手の人差し指でこめかみを掻いていき、「ずっとは少しは無理かもだけれど…」


  喉が強く叫んでいたせいで嗄れているようにと感じてしまう父親は真っ赤になっては、窶れているような眼を興奮気味になれている小夜に向けて行きつつ、娘が元気でいる事を思うと、自分にも悲しみと訳の分からないぐらいの出来事に負けてはいられないと強く思っている彼は無理矢理口角を上げて行きながら、軽く震えているような冷たくなっていた左手を胸元に当てていき、「ほら、さっきも言ったように、」竜祥とずっと一緒にいられるのなら、自分が紡いだ言葉はなんだって聞き入れると自分が発していた弱っている声に何度も頷いてくれている小夜に苦笑いしてみたくなっている父親は言う、「お父さんは頑張ってお母さんを説得していくからさ?」ぼんやりと目を細めては、大人である自分ですら人生を疑って仕舞いそうな現実を間近で見ては、殺されかけていたのではないかと思ってしまう竜祥の悲しみのあまり、上手く涙を零すくらいの簡単な事も出来なくなっている彼の姿勢に心を嬲られているように思えてしまう父親は、無力にも感じている左手で軽く階段と繋がっていた明るい廊下を指差して言う、「君は彼の事を部屋にまで案内してあげてよ?」


  父親の少しばかり疲れているような姿と竜祥の疲労困憊の様に戸惑いつつ、軽く鼻翼に力を入れてしまう小夜はぼんやりと自分の顔を見つめてくれては、まるで自分が離れるのを怖がっているようにと、強く震えている左手で自分の左手を握り返して来ている竜祥の様に口角を支えられているような気がしてならないでいる彼女は強く頷いていき、「うん!」急いでいるようにと華奢な両足で床を踏んでは倒れてしまいそうな竜祥と、悲しんでいるような父親の事を支えていこうと強く願っている彼女、「ほら!」まったりと元気に満ちているような自分に引かれているようにと、重たい両足でソファーから立ち上がって来ている竜祥の顔を見つめていく彼女は微笑んで言う、「行こう竜祥君?」


  「う、うん…」まるで自分を連れては暗闇から逃れようとしているような彼女が見せてくれている燦爛な笑顔に、心を少しばかり取り戻せたように感じてしまう竜祥はぼんやりと自分が履いていた黒いスリッパを彼女に向けていき、「ありがとう…」ぽつりとまるで自分と叔父さんの事を嘲笑って来ているような雨音に掻き消されてしまいそうなぐらいに、弱り切っている声を発していた竜祥はぼんやりと小夜に左手を引かれるがままに彼女の足跡を付いて行きながら、チラッと叔父さんの落ち込んでは、軽く左手で鼻梁にかけていた眼鏡をずらし、右手で目尻を押さえている横顔に一瞥しては、思わず軽く歯を噛んでしまう竜祥はつい叔父さんは叔母さんに弱いことを思い出されては、父親が殺人犯であり、自分がその子供である事を知らせてしまうと、自分はきっと思い通りに小夜と仲良く暮らしていけなくなるんだと強く思っては、切なげに項垂れていく彼は悲しそうにと軽く鼻を啜っていた。


  「なんでお礼なんか言うのさ?」まったりと白皙の左手を竜祥の頬に向けては、項垂れてはまるで自分に負い目を覚えているような彼は全然自分に遠慮なんかしなくだっていいんだと教えてあげたいと願っている小夜は、竜祥の隣りからゆっくりとソファーに向けて座ろうとする父親の事を気にする事無くぼんやりと自分の顔を天井にある麒麟の皮膚のような柄をしていたライトに照らされては、映し出してくれている充血している赤い瞳を見つめて言う、「わたしたちは家族なんだから、」軽く彼のぼんやりと開けている口角から左手を引いては、胸元に当てて行く小夜は強く左手で胸元を握っていき、「助け合うのは当たり前の事なんでしょ?」


  宛ら柔らかい羽根と化していたような小夜が自分の胸元に投げてくれていたような言葉に目を細められては、自分の心境に苛まれているせいで項垂れていた口角を軽く上げてしまう父親はまったりと充血している眼を小夜が紡いだ言葉に絶句されている竜祥から、彼の事を潤んでいるピンク色の瞳で見つめている小夜に向けていき、「良くぞ言ってくれたね、小夜。」酷く疲れていたようにとソファーに座っていた父親が急に自分に投げて来ていた一言に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまう小夜、「お父さん…」ぼんやりとしている眼で自分の事を見て来ている彼女はやはり自分が思っていたような優しい子供なんだとぼんやりと思いつつ、例え竜祥が遭っていた不幸な出来事を彼女に全部教えて上げても、多分彼女は竜祥の事を嫌ったりはしないのであろうと考えては、自分と竜祥の悲しみに彼女を巻き込みたくないと強く思っている父親はゆっくりと冷たい氷と化していたような左手を、揺れているように感じてしまう胸元に当てて行きながら、無理矢理口角を上げては彼女の事を褒めていこうとする、「君のような子を育てたのは、誇りに思うよ…?」


  疲れている父親が自分がさっき紡いだ言葉で元気を取り戻せているように微笑んでくれている態度につられては、思わずピンク色の口角を上げていく小夜は幸せそうな笑い声を零していき、「えへへ…」ぼんやりと叔父さんがやけに辛そうな口調で紡いだ言葉の中に秘められている思いを察していないようにも思えている竜祥、目を細めては軽く歯を噛んでしまう彼、野良犬のようになっていた自分を引き取ってくれては、新しい服も買ってくれていた叔父さんはきっと自分に嫌味を向けて来るはずもないんだと知りながらも、自分の事をとことん馬鹿にして来ていた警察の事を思い出してしまうと、つい叔父さんは彼の財力と社会に置いての権力を持っている故に、小夜のような素敵な子供を育てていけたんだと自分に自慢しに来ては、死んでいた自分の両親は社会の屑だと言っているように勝手に想像している自分は、もうダメになっていたかもしれないと思い、苦しそうにと顎を引いていく竜祥は霞んでいる視界の中で自分が履いていたスリッパを見下ろして行きながら、苦しそうにと喉から声を絞り出していた、「そうとは…限らなかったり…」暗闇に飲み込まれていたと思っていた自分はひょっとしたらずっと勘違いをしているのではないかとぼんやりと考えて行きつつ、自分は暗闇に囚われていたのではなく、暗闇そのものだから今まで散々苦しめられて来ていたんだとぼんやりと思っている竜祥は、切なげに弱り切っている声を漏らしていく、「するんだよな…」


  竜祥のまるで雨に濡らされていた子犬のように酷く弱っている声で呟いていた言葉に戸惑いつつ、上手く彼が口にしていた話を聞き取れなかった小夜はぼんやりとぱちくりして行きながら小首を傾げていき、「うん?」小夜が自分に向けて来る純真な疑問の声に左側の眉毛を跳ねらされていたように感じては、びくっと額に皺寄せては自分の顔を映し出してくれては微笑んでくれている彼女の姿に、心を救われているように思えている彼はごくりと固唾を飲み込んでは、何度も首を横に振っていき、「ううん…何でもない…」目を細めて行きつつ、少しの間しか履いていないのにやけに親しみを覚えてしまう黒いスリッパを見下ろしていく竜祥は自分が暗闇と化していた故に黒い物に親しんでいるんだと思っては、悲しそうにと歯を噛んでは、叔父さんが小夜に両親の事を知らせていない以上、彼は果たして小夜の中にある自分のイメージを守っているのか、それとも小夜に酷い話を聞かせたくないのか、またはただ家族の中に父親のような阿保がいたことを認めたくないでいるだけなのかは、具体的に知らなくとも、彼の家で世話になっていく以上、素直に彼がしていた事に従っていたようないいと思っている竜祥は、つい勝手に優しくしてくれている叔父さんの純粋なはずの思いを、どす黒い自分で汚しているのが尋常じゃないぐらいに悲憤を覚えては悔しそうにと強く歯を噛んでいた。


  竜祥のまたしても一人で悩んではどうしようもないくらいに追い詰められているような態度に困らされては、思わず眉間に皺寄せてしまう小夜は彼の悩んでいる訳を尋ねているようにチラッとピンク色の瞳を父親に向けていき、目を細めては軽く歯を噛んでいたせいで頬に小さな角が浮かんでいる父親の、まるで自分に何も知らせたくないでいるように目を瞑っては何度も首を横に振っている様に困惑気味になれては、父親が自分に具体的な事を教えてくれないと言うのなら、自分が竜祥と共に部屋に戻ってからちゃんと彼に聞いてみようと思っている小夜は両足が黒いスリッパに固定されているように、床から離れる事が出来なくなっているような竜祥の左手を軽く引いては、彼に伺っているようにと軽く顎を引いては彼の潤んでいる赤い瞳を見つめていき、「じゃ行こうか?」


  まるで落ち込んでいる自分に気を遣っているようにと笑みを抑えてくれている小夜の顔を目にしてしまうと、つい自分はちゃんと生きていられるだけで神に感謝するべきなのではないかとぼんやりと考えては、小夜が惨めな自分の事を物理的に支えてくれればくれるほどに、自分は情けない奴なんだと自責してしまう竜祥は苦しそうにと俯いては強く歯を噛んで行きつつ、震えているようにも思えてしまう鼻で微かな薄荷の香りが纏っている空気を吸い込んで行きながら、もう毎日のように香に鼻と肺を苦しめられる事もなければ、いつ酒を飲んでは狂っているような父親に殺されるのかも恐れる必要もなくなっているはずなのに、人生今まで毎日のように願って来ていた幸せを極めていたような夢が現実となってくれているのに、どうして喜べないのだろうと思い、自分は一体どうしたいのかと自分に聞いて見たくなっている彼はぽつりと渇いた唇を開けていた、「うん…」


  竜祥が発していた弱っている返事を受け入れているようにと軽く口角を上げては、無言で頷いていく小夜と彼の事をぼんやりと見ている父親、まったりと背中をひんやりとしたソファーに付けて行こうと思い、波瀾のような心境と怒涛の如く自分の頭を刺激しに来ていた苦しい感情を落ち着かせていきたいと強く願ってしまう彼は、つい思っているように少しでも動かしたくない体をソファーに付ける事が出来ずにいる事に悲しみを覚えては、小夜に軽く左手を引いて行きながら階段に向けて歩いていく二人の姿に目を細められているように思えている父親は軽く歯を噛み、何度も赤くなっている鼻翼に力を入れていき。


  ”タタター”急いでいるようにと階段を踏んでいく小夜の足音についていく消えてなくなって仕舞いそうな弱り切っている足音を呆然と耳にして行きつつ、竜祥はまるで遠足を楽しみにしている小夜に無理矢理、外に連れ出されているように聞こえてしまう父親は引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、軽く視線を階段の左側にある窓に向けて見ようと思っては、まるで自分の心を占拠しに来ていた悲しみに操られていたように上手く額を上げる事が出来なくなっている彼は、ぼんやりと自分のソファーに置いていた右手に目を向けては、軽く鼻翼に力を入れて仕舞う彼は思わず上手く額を上げることが出来ずにいる自分は、運命に屈しているんだと思っては、軽く歯を噛む気力すらなくしている自分はもうどうしたらいいのかとぼんやりと考えて行きつつ、自分がさっき小夜と竜祥の階段を登っていく足音に対する比喩も、現実ではその比喩の何万倍も酷いことなんだと思ってしまう彼、「うぐっ…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る