第187話私ね、決めたの。



  ”ゴンー”刹那、一瞬にして自分の世界をモノクロにしていたような轟音に足元にある床が酷く震わされていたように思えては、震えている赤い瞳でまるで自分の眼に色につられているように、赤くなっていた額に浮かんでいく太い緑色の筋に視線を固定されているように感じている竜祥、まるで鬼のような形相を浮かんでいる父親の強く右手にあるビールの瓶を机に向けて叩き付けていた態度に唇をこじ開けられているように思えている彼。


  「うううっ?!」父親にビールの瓶を投げられてしまうんだと思っては、つい脳内を過っていく死にたくない思いに強張っていた体を動かされているようにと両手にあるエコバッグを放しては急いで両手を上げては自分の頭を隠そうとする母親。彼女の雷の音と自分の強くビールの瓶を机に叩き付けていた音に挟まれては、不安が爆発したようにと戦慄している様を睨んでいく父親は猛然と酔いに攻撃されているように震えている両足で立ち上がっては、彼女の顔を睨んでいく、「それはもう二回も耳にしたぞこの野郎!」


  ”ドンドンー!”まるで教鞭のようにと何度も右手にあるビールの瓶で使い古された机のバランスを崩しては大きな音を立たせている父親に、心臓と彼に震わされている机をシンクロされているような気分になっている母親は急いでいるようにと床に落ちていたエコバッグを退かして行きつつ、屈んだままで父親に胸元向けて行きながら、必死に恐怖に詰まらされている喉から声を絞り出していく、「は、はい…!」


  母親のただ父親に謝ることしか出来ないでいる様に不安に硬直されている口角が斜め下の方向に引っ張られているように思えては、彼女は謝ること以外何も出来ないのかと叱ってやりたいと思いつつ、そもそも謝って父親に許されたことがないはずなのにと叫んでみたくなっている竜祥は恐怖のあまり、必死に頭を抱えては目を瞑っている母親の目尻にある涙の粒の目にすると、つい悔しそうに歯を噛んでは、軽く鼻翼に力を入れてしまう彼は父親の真っ赤になっている横顔を睨んでは、下手に体を動かしてしまうと、彼の気を引いてしまっては、自分はとばっちりを食らってしまうんだと感がている彼。


  「馬鹿にしてんのか?」ゆっくりと母親に向けて歩いて行きつつ、猛然と灰色のスリッパを履いていた右足を上げては否応なしに床にいた野菜とエコバッグを蹴っ飛ばしていく父親は悔しそうにと歯ぎしりして行きながら、まるで自分の身体を倒そうとしているような身体を襲って来ているバランスを崩しに来ている感覚に苛立ちを覚えつつ、自分の右足と一緒に居たくないと言っているように、足の黄ばんでは先が微かに浮いていたような爪先から落ちていくスリッパを気にすることなく、母親の体を睨んでいく彼は言う、「あほなベジタリアンなのか?!」何度も左手で右手にあるビールの瓶を叩いていく父親は眉をひそめて行きつつ、苦しそうな唸り声を噤んでいる唇の間から漏らしては、自分の顔を見ようとしないでいる母親に叫んでいき、「俺は肉が食いてぇんだよ!」”ボンー”強く左手で右手にあるビールの瓶を叩いては、深い緑色の縁から零れていく液体を気にすることなく天井にあるライトに向かって喧嘩を吹っ掛けているようにと大きな声を発していく彼、「ベジタリアンは死ね!」


  まるで天井を殴ろうとしているようにと右手のビールの瓶を振らしては、深い緑色の縁から零れていく黄色の液体に視線を凝らしては、分に向かって突っ込んで来ようとする液体に喉を握りしめられているように思えては、父親が壁に背中を預けては恐る恐ると忍び足で移動している自分に気が付いて欲しくないと願っている竜祥。「ご、ごめんなさい…!」痙攣しているような両手を握りながら父親に祈りを捧げていくかのようにと震えている声を絞り出していく母親、「ごめんなさい…!」ごくりと固唾を飲み込んでしまう彼女はつい自分がずっと目を閉ざしたままだと、いつ父親にビールの瓶を叩かれたっても分かったもんじゃないかと考えている彼女は恐る恐ると自分の体と同調しているように震えている視界で自分の顔を睨んで来る父親の真っ赤になっている頬と、唾液とビールに汚されている彼のやけに力を入れてはまるで自分のことを食い千切ろうとする形相に一瞥していき、「で、でもテレビに映ってたお医者さんが野菜は体に良いって…」眉毛がまるで自分の心を感知したように勝手に寄せていくような気がしては、恐る恐ると右手の人差し指を立てていく母親は強張っている口角を上げて行きつつ、父親に説明していく、「言ってたんだけど…」


  ぼんやりと寝室の敷居を踏んでいた竜祥はつい母親が父親に向けていくまるで彼のことを挑発しているような一言にあんぐり口を開けられているように思えては、一刻も早く家から逃げ出さないと自分はきっと黄色の液体と深い緑色の欠片が残されていた壁と同じように、父親にビールの瓶でぶん殴られてしまうんだと思っている彼。母親が自分に見せて来ている強張っている様な表情に目を細めて行きつつ、可笑しそうにと右側の口角を上げてしまう父親はゆっくりと視線を寝室の方向に向けて行き、忽然、まるで自分に見られていたことに体を固定されているようにビクッと繊細な首を伸ばしては、息を止められていたような竜祥の青ざめた表情に鼻をくすぐられているように感じてしまう父親は、まったりと鋭利な眼差しを無言で涙を零している母親に向けていき、「テレビに映っているお医者ってつったよな?」


  「え、ええ…」父親の軽く腕を組んでは自分と話し合いをしようとしてくれている態度に、自分にはまだ物事を挽回するチャンスが残っているんだとポジティブに考えていこうと思っている母親はは恐怖に冷たくされている様な右手の人差し指を立てたまま父親に言う、「そう言ってたけど…?」眉毛をひそめて行きながら軽く右手にあるビールの瓶で左手の手のひらを叩いていく父親は母親の体を睨んで行きつつ、可笑しそうにと右側の口角を上げていく、「うちにテレビある?」


  「えっ…」父親の笑っているはずなのにやけに怒気に満ちている眼に、体が冷や汗に撫でられているように感じている母親はぱちくりながら困っているような眼差しを竜祥に向けていき、「そ、それは…」「うっ!」母親が自分の方を見て来ている姿勢に見開かされては思わず急いでドアに向かって走っては、ドアノブを捻って家から逃げ出したい気分になっている竜祥。”フー”刹那、まるで自分の軽く床から離れていた右足の行動を止めに来ている様な空気を殴っていた音に瞼をこじ開けられているように感じつつ、ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥は呆然と潤んでいる赤い瞳で黒い毛に守られている様な右腕で深い緑色のビールの瓶を握っては、母親に瓶の底を向けていた父親を映し出していた。


  「馬鹿にしてんのか!?」大きな声を発しては、自分から逃げていこうとしているように両手を床に当てては小刻みに何度も首を横に振って行きつつ、両手を後ろに向けてずらしていく母親の顔を睨んでいく彼は言う、「このベジタリアンめ!肉を寄越せや馬鹿野郎!」猛然と屈んでは発狂しているようにと右手が床に捨てられていた野菜に滑られていた母親の自分から感じている殺気に白眼を向いてしまいそうな様を睨んでいく彼、「肉だ!俺には新鮮な肉が食いてぇんだよ!」母親のひたすらに首を横に振ってはまるで自分に返事をしようとしないでいる様に憤怒を覚えている父親は猛然と立ち上がっていき、「こん畜生が!」


  ”パー”まるで母親に己の力を見せつけているようにと強く振り返っては、迷わずに右手にあるビールの瓶を使い古された机に向かって叩き付けていた父親に見開かされては、あんぐり口を開けている竜祥は机の上に残されていく砕け散っていた深い緑色の欠片と迅速なまでに部屋に四散していく黄色の液体に唇を閉ざされていたように思えては、黄色の液体につられているようにと自分の方向に向けて突っ込んで来ている深い緑色の欠片に、背中を火に撫でられているように感じては、大慌てで右足を上げては両手で自分の顔を隠そうとしている。


  強くビールの瓶を潰していた父親が着ていた小汚いシャツに大きな染みが出来上がっていた事を気にする余裕を無くしている母親はぼんやりと唇を開けては、右手にある尖っていた深い緑色の凶器に絶望を強いられている様な気分を味わっては充血している眼をゆっくりと自分に向けては、震えている右手で握りしめている深い緑色の凶器で自分にぶち込もうとしている父親の姿勢に涙を無理矢理止められているように感じてしまう母親、「ご、ごめんなさい…!」


  必死に背中を自分の逃げ道を塞がって来ていたようなひんやりとした壁に当てては、早く立ち上がって逃げないと本当に頭が酒に狂わされている父親に潰されていたビールの瓶で殺されてしまうんだと思っている彼女、「ごめんなさい…!」必死に両手を冷酷にも思えている壁に当てていた母親は痙攣しては自分の行動力を奪いに来ている両足に苛立ちを覚えつつ、悔しそうにと強く歯を噛んでいた、「で、でも…なんか…」引き攣っているような右側の口角を上げていく母親は背中を自分に向けたまま、まるで自分に死ぬ前にまだ何が言いたいのかと聞きに来ている様な父親の真っ赤な糸に囲まれている眼を見つめて行きつつ、両足の間が勝手に震えては、温かい物を流れさせているように感じている彼女は死への絶望に体を抱えられては、可笑しそうな気分になっている彼女は引き攣っているような笑い声を交じっている声で言葉を紡いでいく、「お肉が…高くてね…?」


  「んんだ?」体が酷く震えている母親がまともに自分と会話出来ないぐらいに声がぶれている様に眉をひそめて行きながら顔を彼女に近づいていく父親は大きく唇を開けては、叫ぶようにと言葉を紡いだ、「俺がベジタリアンみたいにまともに稼げねぇあほだと言いてぇのか?ああ!?」宛ら父親の口内から飛び出ていく息に苦しめられているように、彼から顔を逸らしては自分の方に顔を向けて来ている母親の目を瞑っている態度に歯を噛んでは、もう少し父親の機嫌を直せるような話を紡ぐ努力ぐらいはしていけよと言いたくなっている竜祥は父親のまるで母親の横顔にキスでもしようと思っているように唇を近づいていく様に目を半開きさせては、ぽつりと小さな声を発していた、「それは別にベジタリアンには関係ないでしょう…」


  母親の自分の事を畏怖している様に不満を覚えつつ、迷わずに一歩を引いては、強く握りしめていた左手で机の足を叩いていく父親は横目で彼女の眉をひそめては、歪んでいるような表情を睨んでいく、”ドンドン”「てめぇ!」叫ぶようにと声を上げている父親の右手にある凶器になり兼ねないでいるビールの瓶を手放そうとしないでいる姿勢に不安を覚えては、ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥はつい父親は向きになって、母親ではなく自分の方にその凶器を突っ込んで来たりとか、話で激昂になっては右手にある凶器を自分に投げて来るんじゃないかと思うと、不安に殺されてしまいそうな気がしている彼は霞んでいく視界の中で二人の事を見つめて行きつつ、脳内で小夜の事を思いながら何とか彼女の存在に希望を見出したいと願っている。


  「さっきはなんつった?!」左手で机の足を握っては体を支えて貰いたいと思っている父親は机の上に残されていたビールの瓶の欠片に歯ぎしりしながら、強くビールの瓶を割らしていたせいで、右手の手の甲に残されていた小さな傷跡からにじみ出て来ている生き血と痺れているような痛みに苛立ちを覚えつつ、世の中の何もかもが全部腹立たしいと思っている彼はチラッと歪んでいるように見えている視線を床に置かれていたエコバッグから零れていたような傷んだ野菜に一瞥していき、「さてはてめえもベジタリアンだな…?!」喉から声を絞り出していくようにと沈んでいるような声色で言葉を紡いでいく父親は、つい精一杯頑張って働いているのに肉ですら食えないでいる自分は惨めのように思えている、「俺は今月一度もお肉を食えなかったぞ…?!」


  酒の酔いに脳内を狂わされているように感じては、可笑しそうと体を反らしていく父親は何度も左手で強く自分の胸元を叩いて行きつつ、猛然と右手にあるビールの瓶を畏怖から少しばかり力を取り戻せたかのように、両足を竜祥の方向に向けてずらしていく母親に向けていき、「もうベジタリアンだぞ?!この野郎?!」まるで目の前にいる自分と視線を合わせようとしないでいる母親の体を引き裂こうとするようにと左手で胸元にある濡れては、微かなビールの瓶の欠片が付いていたシャツを握りしめていく父親は言う、「前月も三回しか肉を食えなかったしよぉ?!」父親の真っ赤になっている横顔を呆然と見ながら、今月はまだ始まったばっかりなんだから肉は食えないのが当たり前だろうと彼に言ってみたくなっている竜祥。


  前のめりになっては首を前に向けて伸ばしていく父親は左手の手のひらから感じて来る痛みを気にすることなく、彼女の事を拒絶しているように何度も彼女の顔を見つめたまま首を横に振っている竜祥のもとへ行こうとする母親の事を睨んでいる父親は叫んだ、「なんか腐った親父の歯みてぇな味をした腐った肉を二回も食わせてたよぉ?!」自分が紡いでいく言葉をぼんやりとしている頭で聞いている父親は、つい自分が紡いだ言葉の内容はどうでも良く思えては、自分が酷く惨めな生活をしていることだけが分かっているような気がしている、「その残りの一回は緑色いっぱいのスープの中にあるこれっぽちの粒なんだぜ?!」歯ぎしりしながらまるで体が震えている竜祥に逃せないようにと屈んでは、彼の体を抱えている母親の存在を凝視しては、いっぱい頑張って来ているはずの自分を惨めにしている彼女の事を許すと、またしても惨めな日々が延々と自分に襲いかかって来るんだと思っている父親、「まともな肉は粒ぐらいの量しか食えなかったぜ?!」


  両足が震えては上手く母親に向かっていくことが出来なくなっているように感じてしまう父親は、まるで自分のスリッパの保護から抜けていた右足を嬲って来ているような床に残されていた深い緑色の欠片に歯を食いしばってしまう彼は、ビールの瓶ごときも自分を見くびっては虐めに来ているんだと考えている彼は苦しそうにと赤くなっては激しくて鼓動を刻んでいる緑色の筋が浮かんでいる喉からしわがれていた声を上げていた、「強制的にベジタリアンにされてんだぞ?!この馬鹿野郎!」


  宛ら自分を守ろうとしているようにと強く両手で自分の体を抱えに来ては、やけに震えている母親につられているようにと体が戦慄しているように思えている竜祥、ぼんやりと父親が母親の背中にぶつけに来ていた話を聞いていた彼は思わず目を半開きさせては、ぽつりと呟いていき、「遠回しにして自分が馬鹿だと言いたいのかな…?」「うううっ…!」畏怖のあまり自分と顔を合わせようとしないでいる母親の背中を睨んでいきつつ、チラッと視線を床に落ちていたエコバッグに一瞥してしまう父親はつい彼女こそ間違っていた事をしていたはずなのに、どうして自分の方が理不尽な事をしているように感じているんだと思ってしまう彼。


  ”パー!”母親が自分に借りがあるんだと思えば思う程に自分に畏怖しては、弱り切っている様を見せて来ている彼女の事をぶん殴りたくなっている父親は強く右手にあるビールの瓶を床に向けて叩き付けては、床とビールの瓶から立てていたまるで外にある大雨の音を消していこうとしているような大きな音に驚かされては、ビクッと体を跳ねらせていた二人の事を睨んでいき、「もう知らねえかんな?!」歯ぎしりしては、歯茎が痛くなっているように感じている父親はつい自分こそが弱っては、ずっと虐められて来ていたんだと思ってしまうと、強く鼻翼に力を入れていく彼は右足から伝わって来ている体に突っ込んで来ている深い緑色の欠片から感じて来る痛みを気にすることなく、歪んでいるような視界の中で厨房に置かれていた包丁を見定めていく彼は喉から声を絞り出していき、「今日は肉が食えねぇつーなら…!」右足から伝わって来る痛みと揺れているような視界に体を邪魔されているような気がしている父親は歯を食いしばっては、猛然と右手をタイルが破られていた小汚い台から奪うようにと強く包丁の黒い柄を握っていき。


  ”フー”刹那、まるで自分の心音を止めに来ているような銀色の刃物の体を過っていく眩い光と、自分の唇をこじ開けに来ている尖ってはやけに鋭く感じてしまう包丁に瞳を震わされている竜祥は、呆然と背中をひんやりとした壁に当てては、爆発していたような心音に自分と母親はきっと今度こそ何度も憤怒に神経を焼き千切られて来た父親に殺されてしまうんだと思っている彼。


  「てめぇの肉を食わせろや!」ゆっくりと疼く右足を吸い殻が残されていた床に付けては、右肩を煙に燻られて来ていた壁に当てていく父親はまるで自分が包丁を握っている事を怖くないと語って来ているように、痙攣しているような体で竜祥を抱えている母親を睨んでいく、「俺は毎日こんなにも頑張ってくそったれのベジタリアン上司に嫌味を言われて来たんだぜ…?!」千鳥足になっている父親は歯ぎしりして行きつつ、自分が散々家をちゃんとするために尊厳と引き換えに金を貰って来たと思うと、家のために尊厳を売って来ていた自分にはちゃんと家にいる時だって尊厳のないままで日々を過ごさないといけないのかと思っては、野良犬ですら食いそうにない物がどうして自分は己の食欲を抑えて食わないといけないのかと叫んでみたくなっている彼、充血しては宛ら目から飛び出そうとしているような眼で床にある傷んだ野菜と和気藹々としているような小汚いエコバッグを睨んでしまうと、猛然と自分の胸元の奥から脳に登っていく痛いぐらいに思えている憤怒に支配されては、強く左足で床にあるエコバッグを蹴っ飛ばしていく父親は叫んでいた、「馬鹿野郎がよぉ?!」


  父親の酷く怒っている様に不安を覚えてつつ、恐怖に支配されては、ぼんやりとしている頭で必死に何とか彼の事を止めて行こうと策を考えている竜祥はごくりと固唾を飲み込んでは、香の臭く感じてしまうぐらいの匂いを放っている母親の服を気にする余裕を無くしては、歯ぎしりしながらまるで母親の背中に向かって突っ込んで来ようとしている父親の血走っている眼は、もはや人間とは思えないような気がしている彼は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、ごくりと固唾を飲み込んでは、ぽつりと内心でぼんやりと考えていた一言を声に乗せていき、「そ、それがベジタリアンを嫌う原因だったんだね…」


  自分の両腕の中で酷く震えているような竜祥の存在を感じてしまうと、埜哉様とちゃんと繋がることが出来る竜祥はきっととんでもない逸材のはずなんだと信じ込んでいる母親はごくりと固唾を飲み込んでは、中々自分の事を見逃そうとしないでいる父親の事を思うとつい竜祥に頼って、埜哉様に打開策を紡いで貰う他ないように感じてしまう彼女は恐る恐ると震えている胸元を竜祥から引いて行きつつ、霞んでいく視界の中で彼の顔を見つめて言う、「ほ、ほら…あなたは部屋に入って勉強でもしてなさい?」


  「えっ?」ずっと自分の体を抱えに来ては、屈んでいた母親が紡いだ一言にあんぐり口を開けられているように思えては、チラッと潤んでは父親の瞳に感染されているように、充血し始めている眼で父親のゆっくりと左手を右手に添えては、強く包丁を握っていく様を映し出している竜祥。自分が紡いだ一言の真意を理解できていないような竜祥の絶句している様を見つめつつごくりと固唾を飲み込んでいく母親は何度も鼻翼に力を入れては、恐る恐ると震えている顎を彼の恐怖に打ちひしがれては、項垂れていた肩に近づいて行きながら、ぽつりと弱り切っているような声を上げていた、「埜哉様にどうやって彼を肉と言う悪魔から救い出せるのかを聞いて見てくれ…!」


  まるで外にある大雨と強風の音に掻き消されてしまいそうなぐらいに小さな声で自分に耳打ちしていた母親の言葉に見開かされては、あんぐり口を開けていた竜祥はつい未だに自分が埜哉様と話をする事が出来るのを信じ込んでくれている事に彼女に申し訳ない事をしたように思いつつ、まるで自分たちに少しの間に話し合う時間を残してくれているような父親のぼんやりと項垂れては、苦しそうにとげっぷをしている様に一瞥していくと、徐々に機嫌が悪くなっているような彼が必死に歯を噛んでは、殺気に満たされているような眼差しで自分と母親の事を睨んで来ている姿勢に心臓を鷲掴みにされては、殺されてしまいそうな気がしてならないでいる彼、「あ、ああ…」急いで頷いては、取り敢えず自分でも何を仕掛けて来るのかが分からない父親のもとから逃げないとと強く思っている竜祥は、震えているような視線を決意したようにと揺るぎない眼差しを自分に投げて来る母親の顔に向けていき、「うん…」自分は何も悪くないと思いつつ、まだまだ幼い自分がこの家を維持するためにも精一杯頑張って来ていたんだと思っては、自分は殺されたくないと強く思っている彼は霞んでいく視界の中で、自分に向けて強く頷いてくれている母親に震えているような声を向けていた、「分かったよ…」


  竜祥が戦慄している声で自分に向けて来ている肯定の返事に眉毛に力を入れては強く首を縦に振っていく母親は軽く右手を彼の背中に当てては、軽く彼の戦慄しては上手く動くことが出来なくなっている体を推していき、「ほら、」埜哉様と繋がれる自分の子である竜祥は何としても守らねばと強く思っている母親、「早く行ってらっしゃい…!」「なぁ…」宛ら項垂れては上手く額を上げる事が出来ずにいる自分の存在を恐れているようにとごくりと固唾を飲み込んでは、切羽詰まったように寝室に向けて痙攣しているような両足で走り出していく竜祥の事を気にすることなく、沈んでいるような声を上げて行きつつ、決意するようにと歯を噛んでは自分に顔を向けて来ている母親に軽く右手にある包丁を向けていく父親は言う、「どうして毎日毎日こんなゴミも食わない雑草を俺に食わせるんだ…?」


  父親が徐々に自分に攻めて来ている姿勢に心臓が冷えていたような錯覚に体中を嬲られているように思えては、本気で自分のことを殺そうとしているような彼の血走っている眼を見てしまうと、きっと埜哉様は自分が下していた決断に気が付いていたんだと思っている母親は苦しそうにと歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を入れていく。「ああ?」眉間に皺寄せて行きながら顎を上げていく父親は自分に体をコントロールされているようにと強く背中を壁に当てては、激しくて震えているせいで上手く立てないでいる両足を壁を頼っては支えている母親の顔を睨んでいき、「俺がゴミ以下って言いたいのかぁあ?!」


  父親の眼から感じて来る自分の命を絶とうとしているような感覚に喉を鷲掴みにされているような気がしては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう母親は恐る恐ると震えている左手を激しく鼓動を刻んでは、まるで自分に上手く動かせないでいるような心臓の鼓動に触れて行きつつ、揺るぎない眼差しを父親に向けていく彼女はぽつりと唇を開けていき、「あなた…」軽く上手く胸元からずらす事が出来ずにいる左手を握っては、チラッと閉められていた玄関のドアに一瞥していく母親、埜哉様が竜祥を頼って自分に向けて来ていた言葉にちゃんと従っていない自分には、直ぐに報いが来ていたんだと考えている彼女はゆっくりと痙攣しているような頬を蠢いているように、自分の足元まで歩いて来ている父親に向けていき、「私ね、決めたの。」


  やけに決意したような声色で冷静にも思えてしまうぐらいの態度で自分に話しかけて来ている母親の顔を睨んでは、強く歯を噛んでいた父親は自分にはれっきとした武器を手にしているのに、どうして彼女は大人しく自分に従ってくれては、美味しくなくとも、まともな飯を作ってくれないんだと叫んでみたくなっている、「何がだよぉ?!俺にこれからも毎日雑草を食わせてやるってのか?!」脳内が憤怒に焼かれては沈んでいくような苦しみに挟まれているように思えては、視界が定かではない父親は猛然と左手の人差し指で床に落ちていたエコバッグを指差して行きつつ、何とか立ち直ろうとしているような母親に向けて吠え立ていく、「ああ?!」

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