第174話一緒に取りつかれてたら怖くないし。


  斗奴雷の弱っている様な姿を目にしてしまうとつい彼がチラッと久守の胸元に向けていた視線に対する不満を言えなくなっては、彼が眠っては無防備な久守のことが気になっているのも、昔馴染みとして心配するだけであって見てしまうのは無理はない様にと納得している楽々花、「じゃどうする?もう帰っとく?」横目で斗奴雷の顔を見つめては、彼に自分がいるせいで後悔してしまう様なことをさせたくないと強く思っている楽々花は言う、「あんたって確か彼女のことを守りたいって言ってなかったっけ?」


  「まぁ…」楽々花が自分の代わりに久守のことを気になってくれては、やはり監禁すると口にしていたのも、久守のことを守ってあげるための言葉なんだと知れてしまうと、口角を緩められている様な気がしている彼、「気絶している彼女を家に連れ込んで、」まったりと右手を上げては困っているようにと白皙の顎を擦っていく彼は言う、「それで保護した方が一番だとは思いますけどれも…」宛ら自分のさっきの考えに苛まれているようにと軽く歯を噛んでしまう彼は、自分の態度に興味を引かれているようにと自分の顔を見つめて来ている楽々花に苦笑いしてしまい、「でも流石に四六時中に彼女のことを見張ってはいられないんですし、」意固地になっているぐらいに竜祥に慕っている久守のことを思うとつい彼女は自殺行為をしているように思えては、やけに平然としている表情を浮かんでいる久守の顔を見てしまうと、げんなりになっている彼はぽつりと呟いていく、「彼女にだって逃げる権力があったりするし、それこそ最悪の場合は竜祥に自分たちの住所をこっそりと知らせていけて仕舞ったら…」


  宛ら声に乗せていた言葉に畏怖を覚えているようにと微かに細い睫毛を上げていく斗奴雷の少しばかり驚いていたようにと震えている深い紫色の瞳を見つめている楽々花。ごくりと固唾を飲み込んでいく斗奴雷は竜祥に植え付けられていた畏怖に苛立ちを覚えては、悔しそうにと歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を入れていく彼は引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、自分の表情に不安を覚えては、心配そうな眼差しを向けて来る楽々花に微笑んでいる、「そこではもうゲームオーバーかと。」


  斗奴雷が紡いだ話を耳にすると、やはり彼は自分を優先していたせいで久守を家に連れていなかったんだと思っては、落ち込んでいるようにと目を細めて行きつつ項垂れてしまう楽々花は彼が自分を優先にしていた事をデフォルトでこれからのことを考えてくれていた事を考えてしまうと、彼はそれぐらいに自分のことを重要視しているんだと思ってしまう彼女は照れくさそうにと火を過ってしまう頬に柔らかい両手に当てていた。


  「所詮…」楽々花のハニカム姿に苦笑いしながら、自分が紡いだ話が聞こえていないように本当に気絶していたような久守が救われたくないと言うのなら、自分がいくら彼女に竜祥は悪い奴であり、きっと彼女の命を狙っているんだと言うことを知らせて上げても、彼女はきっとまったく変わらない行動をするのであろうと思い、自分の話を聞いてくれないでいる彼女に飽きれては、残りの人生はお互いにとってもかなり短いものだと思うと、せめて彼女に自分の人生の最後のような時間に、自分が頑なに本当に楽々花がいるのかどうかは決して定かではなかった今、自分の両足が踏んでいた場所まで駆けつけて来ていたように、思うが儘にさせてやろうと思っている彼、「僕には、ううん、」自分は眠っていたような久守とお別れを告げないといけなくなるんだと思うと切なげに目を細めて行きつつ、昔の恩は出来る限り返していたつもりでいる斗奴雷は軽く鼻翼に力を入れては、今回久守と別れてしまうと、もうこれ以上彼女と関わらないでいこうと思い、彼女も守っていくと同時に楽々花を守るのは自分には無理な事だと、さっき彼女との会話で思い知らされたような気がしては、ゆっくりと潤んでいる深い紫色の瞳を楽々花に向けていく彼は残念そうに声を上げていた、「人は助けて貰いたい者でしか、真に救えないのですから。」斗奴雷が紡いだまるで自分のことを諦めていた様な一言をぼんやりと聞いては、それでいいように思えている久守はぼんやりと背中をソファーに付けてたまま、彼の悔やんでいる様な心臓の鼓動を聞いている。


  斗奴雷が紡いだ一言の中に秘められていた重たい気持ちに目を細められては、まったりと腕を組んでしまう楽々花は意味深な声を上げてしまい、「ふん…」斗奴雷のまるで自分を選んでくれては、全ては捨てようとしているように決意に満ちている眼に淡い笑みを浮かべてしまう楽々花はまったりと温かい両手を彼の頬に添えては、自分の手のひらの感覚に見開かされている彼の顔を凝視していきつつ微笑んで言う、「やっぱりいろいろ考えてたんだ。」


  「は、はい…」楽々花に頬を支えられてしまうと、自分の心を潰しに来ているような重たい心境が嘘のように消えてなくなっているような不思議な感覚に体を抱かれている様にも思えてしまう斗奴雷は、恐る恐ると金色の瞳の中にある自分の姿を見つめつつ、頷いていく、「一応昨日の夜で様々の状況を考えていたのです…」軽く右側の口角を上げては、頬に小さな笑窪を浮かばせていく彼は言葉に合わせているようにと軽く右手の人差し指を立てて言う、「いざという時に備えて。」


  斗奴雷が紡いだ一言に見開かされては、自分は昨日の夜では彼の体を抱えているだけで胸を満たされている様に思えては、滅茶苦茶幸せで且つ人生今まで一番楽しい夜を過ごせていた事以外は何も考えていなかった彼女、「凄いね…」まったりと両手を斗奴雷の照れくさそうにと自分から逸らしていく頬から離れては、紅潮している彼の横顔を見つめていく楽々花はごくりと固唾を飲み込んでは、昨日自分に襲われていたような斗奴雷は冷静を保っていられては、ちゃんと色んな状況を考えていた事に心から彼に脱帽してしまう彼女はぽつりと渇いた唇を開けていき、「あんたって。」


  ぼんやりと目を瞑っては楽々花と斗奴雷の話を聞いては、一つの体勢に固定されている様な気がしている久守はつい気絶している奴が急に体勢を変えては、寝返りするのが可笑しく思いながら、ダウンジャケットに項を上げられているような気がしては、少しばかり気持ち悪くなっている彼女は軽く歯を噛んでは、二人にさっさと話を済めては自分から離れてくれと願ってしまう彼女はひんやりとした空気を温めてくれているようなダウンジャケットに安心感を覚えて行きつつ、もし自分がまだちゃんと戦える状態でいるのに、斗奴雷と戦わずに楽々花を見す見すと逃してしまうと、それは竜祥に対する裏切りなんだと思えては、斗奴雷が命を顧みずに楽々花を救うために身体を張っていたことを思い出してしまうと、ついもう少し辛い体勢のままで我慢していこうと強く思っていると同時に、斗奴雷がどれだけ自分の事を思ってくれようと、自分にはもう彼の生活に邪魔する資格もなければ、大人しく何も聞こえていない振りをして、彼と楽々花の幸せを見届けようと考えている久守。


  「いえ…」楽々花が自分を褒めてくれていた言葉に目を細められては、軽く歯を噛んでしまう斗奴雷はつい彼女のやけに懐かしく感じてしまう金色の瞳を見つめるのが怖くなっているような気がしては、視線を靴先に向けていく彼はぽつりと呟いていた、「守りたい者を守れないのは…」軽く鼻翼に力を入れては、自分は絶対に楽々花を守ってやると何度も内心で呟いていた斗奴雷は言う、「本当に辛いのですから…」


  宛ら自責しているようにと繊細な両手を握りしめている斗奴雷の態度に目を細められては、彼が自分を何度も守って来ていたように、力と度胸は多分、彼ほどではない自分には、せめて彼の事を守りたいと思う気持ちが同じぐらいにならないとと思っている彼女、軽く口角を上げてはまるで自分の心の考えに答えてくれているようにとまったりと彼の両手に向けていく両腕に目を細めてしまう楽々花は、自分の手のひらをくすぐりに来ては、自分に傷つけるのを怖がっているようにと握りしめていた両手を解している斗奴雷に淡い笑みを見せていく彼女は言う、「そん辛い顔しないで?」


  楽々花が自分に投げて来ていた平坦な声の中に感じてしまう温かい物に口角をくすぐられているように思えては、萎縮しているように頷いていく斗奴雷、「はい…」深い紫色の瞳の中にある自分のことを見つめては、物理的の力は彼ほどではない自分には、せめて弱っている彼の精神をいつも彼の傍で支えて行きたいと強く思っている彼女は軽く彼の両手から手を引いては、左手を胸元に当てて可笑しそうに右側の口角を上げては、冗談交じりに言葉を声に乗せていた、「わたしなんて、あんたがどうしても彼女を家に連れて帰りたいというのなら、」ぱちくりしながら真面目に自分が紡いだ話を聞いてくれている斗奴雷に微笑んでは、軽く左手の人差し指を立てていく楽々花は言う、「イチャイチャするのが邪魔されるな~」宛ら自分が声に乗せていた一言に驚かされているようにと軽く細い眉毛を跳ねらせていた斗奴雷に向けて、ニヤリと右側の口角を上げていく楽々花、「なんてことしか頭になかったわ。」


  「い、イチャイチャ…」楽々花が自分とイチャイチャしたいと口にしていたような一言に喉を鷲掴みにされているような気がしては、何度も鼻翼に力を入れては、緊張と興奮に挟まれているようにと思えては、頭が可笑しくなっているような気がしている斗奴雷はぱちくりながら弱り切っている声で呟いていき、「イチャイチャって…」彼の萎縮しているようにと俯いては自分と顔を合わせようとしないでいる姿勢に目を細めては、口角をくすぐられているような気がしている楽々花は軽く右手の人差し指を頬に当てては、彼のことをからかっていくかのようにと声を上げていく、「いや?」


  「う、ううん…」楽々花が自分と一緒にいたいだけではなく、他の人に邪魔されたくないと思ってくれていた気持ちに心をくすぐられているように思えては、嬉しそうにと唾液を飲み込んでいく彼は照れくさそにと軽く左手の人差し指で頬を掻いて行きつつ、ぽつりと小さな声を発していた、「喜んで…僕で良ければなんですけど…」斗奴雷のまるで自分に遠慮しているような話に微笑んでは飽きれているようにと軽く両手を上げては、首を横に振ってしまう楽々花は言う、「お馬鹿だね、」宛ら自分が声に乗せていた言葉を上手く理解できずにいるようにとぼんやりと小首を傾げて行きつつ、自分のことを見つめて来ている彼に向けてニヤリと右側の口角を上げてしまう彼女は、まったりと左手を胸元に当てて行きつつ、彼に説明するようにと軽く右手の人差し指を立てていく、「あんたじゃないと誰ともイチャイチャしたくないわよ。」


  ”ドクンー”「うううっ…!」宛ら自分の心音を操って来ているような楽々花が紡いだ一言に、口角を斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしてしまう斗奴雷、「は、はい…!」急いでいるようにと恥ずかしい心境に苛まれているせいで噛みしめていた歯を放しては、早く彼女に内心の思いを伝えて上げないとと強く思ってしまう彼、「至上の喜びを貰ったような気がしております。」


  斗奴雷が自分が紡いだ平坦なまでに内心の思いを知らせていく言葉に対するコメントに口角をくすぐられているように思えては、照れくさそうにと顎を引いて行きながら、拗ねているようにとピンク色の唇を尖らせていく楽々花はぽつりと声を発していた、「大袈裟なんだから…」斗奴雷のまるで自分の彼の面影に全てを占拠されていた心境と同じように恥ずかしさに苛まれては自分と顔を合わせようとしないでいる仕草に目を細めて行きつつ、嬉しそうにと微笑んでいく楽々花、まったりと視線を自分と斗奴雷にソファーで寝ていた久守しかいなかった喫茶店を見渡していく楽々花、「そいえばさ…」目を細めて行きながら困っているようにと右手の人差し指でこめかみを掻いてしまう彼女は窓際にある破られていたガラスに違和感を覚えつつ、やけに綺麗になっていた床には矢夜が突如と投げて来ていたナイフに貫かれていたせいで、床に残していた血痕が消えてなくなっては、自分と斗奴雷と一緒に静かに店の机で眠って貰っていた彼女の体も見当たらないでいる事に眉間に皺寄せてしまう楽々花は、ぽつりと弱っているような声色を上げていき、「気になってるんだけどさ…」


  「はい…」楽々花のまるで怖がっているようにと徐々に店の窓際から自分に視線を向けて来ている事に軽く頷いてしまう斗奴雷はチラッと彼女が久守を抱えては、店の中に入らせていた入り口のドアフレームの上に残されていたナイフに突き刺されていた跡に一瞥しては、軽く自分の手の甲に一瞥してしまう斗奴雷は手の甲に残されていた傷跡が小さな糸と化していた事に、普通なら縫合手術を行って治って貰う他ないはずの傷が勝手に治っては、傷跡も殆ど残っていない事に自分の体を恐れてしまう彼は、やはり自分の体は確実に強化されているんだと実感し、チラッと店の奥にある窓際の席に一瞥してはぽつりと呟いていた、「ないですね…」


  「だよね…」斗奴雷のまるで自分が見えている現状を確かめてくれていたような一言に微かに安心感を覚えて行きつつ、やはり自分だけが見えていないってわけではないんだと知れてしまう楽々花、恐る恐ると震え始めているような左手の人差し指を立てては窓際の席を指差していく彼女は、ぽつりと体につられては震えている様な声を上げていき、「確かここら辺のソファーで眠って貰ってたんだけど…」もしかしたら矢夜も老婦人も勝手に消えてなくなっていたんじゃないかと一瞬思っては、背中が氷柱に突き刺されていたような恐怖に、背中が火傷されているようにも感じてしまう楽々花は思わずごくりと固唾を飲み込んでいた、「矢夜さんとおばあちゃんが、」恐る恐ると肩を縮めて行きつつ、胸元の奥を包んで来ている様な恐怖に苦しめられては、つい斗奴雷に幽霊なのかもしれない存在から守って貰いたいと切に願ってしまう楽々花は、恐る恐ると忍び歩きで斗奴雷に近づいては、恐怖に震わされている様な両手で軽く彼の右腕を掴んでいく楽々花は周りのことを警戒して行きつつ、急に何かしらのこの世にはあってはならないものが飛び出てたりしないかと怖くなっている彼女は言う、「何処にいないわね…」


  楽々花のまるでお化け屋敷にでも入っていたような震えている声と、彼女の心臓の鼓動に近づかされていたせいで強く鼓動を刻み始めている斗奴雷の心音に飽きれてしまいそうな気がしては、二人は何処に行ってもイチャイチャしていられるのだろうと、さっき楽々花が気絶していた自分に間接的にかけて来ていた台詞に突っ込みを入れて見たくなっている久守はぼんやりと二人の怖がっている様な心音を耳にして行きつつ、二人のやり取りを聞いているのが癖になりそうな予感がするように思えてしまう彼女は思わず軽くピンク色の口角を上げていた。


  「そ、そうですね…」自分の右腕に当てて来ていた楽々花の胸元の柔らかい感覚に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまいそうになっていた斗奴雷は怖がっているようにと自分のことを見上げて来ている楽々花の潤んでいる金色の瞳の中にある自分の姿を見つめては、つい彼女に羞恥心を操られている様な気がしては、照れくさそうにと彼女から目を逸らしていく彼はチラッと自分の左側にある閉ざされていた休憩室のドアに目を向けていき、「休憩室にでも…」ぼんやりと唇を開けては声に乗せていた一言に違和感を覚えてしまう彼は引き攣っているような右側の口角を上げて行きながら、ゆっくりと視線を真面目に自分の話を聞いてくれている楽々花に向けていく、「そんなわけないか…死んでしまってたんだし。」


  「ちょっ…!」斗奴雷が殺されていたはずの二人の体が自我を芽生えたように、勝手に店から離れていたことを語っているようなニュアンスに見開かされては、喉を軽くショックに殴られていたような気がしてならないでいる楽々花は思わず恐怖に打ちひしがれ、震えているような両足で地団駄を踏んで見たくなっては、瞬く間に視界が恐れている心境に霞まれているような気がしてしまう彼女は悔しそうに歯ぎしりしながら、斗奴雷の顔を睨みつつ文句交じりに言葉を紡いでいた、「こ、怖い話をするのはやめてよね!」楽々花の斗奴雷に怒っているはずなのに、やけに可愛く聞こえてしまう声色に口角を一瞬斜め下の方向に引っ張られていたような気がしている久守は歯ぎしりしながら、二人がどんなことをしてもカップルがいちゃついているような感覚を、傍らで聞いている人に与えるようなスキルでも身に付いていたのではないかと思ってしまう久守は、歯がゆい心境に苛まれては、二人に急いで自分から離れて貰っては、二人のやり取りに痒くされている頬を掻いて見たいと切に願ってしまう彼女。


  「い、いや…」楽々花のまるで叱られては泣き出してしまいそうな子供のような態度に目を細められては、思わずぱちくりしてしまう斗奴雷は困っているようにと軽く左手の人差し指でこめかみを掻いて行きつつ、ぽつりと弱っている声を上げてしまい、「ぼ、僕は全然そのようなつもりは…」まるで自分にじゃどうしたらいいのかと尋ねて来ているにと唇を尖らせている楽々花の、チラッと金色の瞳で眠っていたような久守を指していく様に目を細められては、彼女は幽霊の祟りでもあるかもしれない店に久守を置いて行きたくないと思っているのであろうかと思っている斗奴雷は、ついもし幽霊が存在してたりするのなら、昔の雨依を外に連れていた悔みも晴れるように思いつつ、チラッと視線を自分と楽々花が矢夜と老婦人を置いていた机の方向に向けていく彼、「さ、探して来ます…」ごくりと固唾を飲み込んでしまう斗奴雷は自分たちの存在を見下ろして来ていた柱と、柱を舞い降りて貰っていたシルエットのことを思うと、幽霊は決してないと言えなくなっているような気がしている彼は震えている様な視界の中で楽々花の顔を見つけては、ぽつりと弱っているような声を発していき、「ね…?」


  斗奴雷のまるで自分の内心にある畏怖に感染されているようにと震えているような声色で、躊躇している様な話を口にしていた事に眉をひそめては、つい彼の事が心配になってしまう楽々花、「い、いいの…?」自分が上げていた不安に満たされている様な声を耳にすると、迷わずに頷いてくれている彼のまるで空中に深い紫色の線を引いていた様な態度はやけに凛としているように思いつつ、彼が自分から離れてしまうのを思うと、思わず強く彼の右腕を強く掴んでしまう楽々花は懇願しているような眼差しを彼に向けながらぽつりと小さな声を上げていき、「幽霊に取りつかれてたりしない…?」


  「しない…」ぽつりと自分の唇から漏れていた取り敢えず楽々花に安心しては、落ち着いて貰おうと思っていた言葉に目を細められては、無責任なまでに彼女に安心させては、もし本当に急に矢夜と老婦人の幽霊が飛び出て来てしまったらどうしようと考えてしまう彼は、引き攣っているような左側の口角を掻いて行きながら、綺麗にも感じてしまう潤んでは天井の影に隠されているような金色の瞳に目を細めていく彼は苦笑いして行きつつ、ぽつりと弱っている声を発していき、「とは言い切れませんね…」


  まるで自分が紡いだ素直過ぎていた言葉に文句を言いたくなっているようにと唇を尖らせている楽々花の態度に苦笑いしながら、まったりと頬から左手を離れては、強く左手を握っていく彼は揺るぎない眼差しを楽々花に向けて言う、「してたらそいつに代わって貰って君のことを守って貰おうか。」まるで自分に将来のこと約束してくれている様な凛とした深い紫色の眼に目を細められては、まったりと自分の頭を撫でて来ている彼の手のひらの感覚に口角をくすぐられているようにも思えては、彼がちゃんと自分の傍にいてくれると言うのなら幽霊なんか怖くないと強く思っている楽々花、「もう…!」宛ら自分の頭を撫でている事が癖にでもなっているようにとやけに優しく自分の髪の毛に触れて来ていた彼の手つきに心を奪われているような気がしては、頬が彼に焼かれているように思えてしまう楽々花は照れくさそうにと内心の文句をハスキーな声に乗せていく、「おバカさん!」


  楽々花が紡いだ自分のことを叱って来ている言葉のはずなのに、どうしても嫌いになれないでいる自分は多分可笑しいのだろうけど、彼女が紡いだ言葉と同じように馬鹿で、彼女のことを嫌いになれないでいる自分も好きになっているような気がしてしまう斗奴雷は思わず幸せそうな笑い声を零していた、「え、えへへ…」斗奴雷が自分に怒られていたはずなのに笑ってくれている態度に目を細められては、自分に罵られても尚自分の両手を振り解いでたりしないでいる彼と決して離れ離れになりたくないと強く思ってしまう楽々花は、軽く唾液を飲み込んでは宛ら決意したようにと揺るぎない眼差しを自分のことを映し出してくれている深い紫色の瞳に向けては、迷わずに言い放った、「一緒にいくわ。」


  「え?」楽々花のやけに決意に満ちている声色に見開かされては、思わず間の抜けた声を発してしまう斗奴雷は戸惑っているようにと金色の瞳の中にある困惑している自分の顔を見つめながら彼女に尋ねていき、「い、いいのですか…?」ごくりと固唾を飲み込んでいく斗奴雷は軽く肩を縮めて行きつつ、自分たちが二人の体を置いていた席に目を向けては、もしかしたらあのふざけている神様はこうして人に殺されていた屍もちゃんと整理してくれてたりするのだろうかと思ってしまう斗奴雷はつい内心での勝手な判断を信じては、シルエットのことをますます怖くなっているようにと感じてしまう彼はチラッと自分の質問に向けて迷わずに頷いてくれた楽々花に一瞥しては、何度も赤くなっていた鼻翼に力を入れてしまう彼は言う、「本当に出てくるかもしれませんよ…?」


  斗奴雷が紡いだやけにリアルになり兼ねない一言に心臓を鷲掴みにされているような気がしては、口角が斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしてしまう楽々花は強く目を瞑って行きつつ、両手の中にある彼の右腕を握りしめながら、彼の存在を感じつつ向きになっているような声を上げていき、「いいの!」眉をひそめて行きつつ、斗奴雷の話を耳にすると、ますます彼と離れることが出来なくなっているようにと思えてしまう楽々花はごくりと固唾を飲み込んでは、呆然と自分の顔を見下ろして来ている彼の眼を見つめては、軽く強張っているようにも思えてしまう口角を上げていく、「一緒に取りつかれてたら怖くないし。」


  楽々花が自分に投げて来ていた理屈に見開かされては、思わずぱちくりしてしまう斗奴雷はまるで納得しているようにと軽く首を縦に振って行きつつ、ぽつりと弱っているような声で呟いてしまい、「その手もあったのか…」ぼんやりと微かに自分の白皙の瞼に負担をかけて来ていたような細長い睫毛を上げては、斗奴雷と楽々花の会話が気になってはつい二人はどんな表情と仕草で会話しているのかを確かめて見たくなっていた久守は、自分の瞼に狭まれていた視界の中で興奮気味になれては強く両手で斗奴雷の右腕を掴んでいた楽々花を見ながら、つい斗奴雷が口にしていたその手は一体どの手なのかと彼に聞いて見たくなっている久守は軽く喉に引っかかっていたような唾液を飲み込んで行きつつ、二人は和気藹々としているけれども、気絶している振りをしている自分が幽霊に狙われやすくなっているような事に気付いて欲しいと切に願ってしまう久守。


  「うん!」斗奴雷が自分の言い聞かせていた一言に納得してくれている事に口角を上げられているようにも思えては、屈託のない笑みを彼に見せてしまう楽々花は小首を傾げて行きつつ、彼にデートのお誘いをしているような気分になれてしまう彼女は照れくさそうにと声を上げていき、「一緒に行こう?」猛然と左手を彼の右腕から離れてはガッツポーズを取っていく彼女は揺るぎない声色で言い放った、「幽霊になっちゃっても!」


  「お、おお…」楽々花が自分に聞かせて来ているやけに元気に満ちている声に細い眉毛を上げられているような気がしては、彼女が自分に見せてくれている笑みにつられているようにと照れくさそうにと微笑んでしまう彼は言う、「いいですね…幽霊になっても一緒に居られるのって…」「でしょ?」斗奴雷が自分の話に頷いてくれている様に微笑んでは、自分は死んでも彼と一緒に居られることを思うとつい体中が幸せに満たされているような気がしては幸せそうに顎を引いて行きつつ、自分の胸元を見下ろしては、自分の胸を満たされてくれている幸福と言う感覚を大事にしているようにと笑い声を零れている彼女、「えへへ…」


  

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