第141話埜哉様は…誰なの…?

  「飢え死になっても…!」猛然と左手をかざしては宛ら人差し指で天井を突こうとしているような父親は、曖昧なまでに澱んでいるような視界の中で竜祥の事を睨んで言う、「んなくせぇ親父が唾を垂らして残していたバーガーを食べれるかってだ!馬鹿が!」父親のまるで天井に誓いを立てているような態度にぱちくりしては、彼がさっきまでに自分の作戦を同意しようとしていたような言葉のニュアンスの意味がよく分からなくなっている竜祥は、鼻翼に力を入れて行きつつ、強く左手を胸元に当てて言う、「で、でも!」強く鼻翼に力を入れてしまう彼は父親に食べかけていたハンバーガーの話題をし続けて行けたら、もしかしたら彼が手にしていたビールの瓶から逃れる事が出来たりするんじゃないかと思ってしまう竜祥は、大慌てで左手で右手を握っては胸元に当てていき、「き、綺麗なおねえちゃんの食べかけもいたするから…!」


  まるで自分が口にしていた一言は一理あると言っているようにとかざしていた左手を下ろしていく父親の行動に向けて愛想笑いする竜祥は言う、「ぼ、ぼくは叔父さんのでいいので…!!」体中が震えているような気がしては父親のまったりと腕を組んでは自分の顔を睨んで来ている眼差しの中に秘められている思いは、一体自分の話に賛同しに来ているなのかどうかを見てみたいと切に願ってしまいそうになる竜祥は畏怖のせいでぼんやりとなっている頭で、精一杯父親に自分から意識を逸らして欲しいと思いつつ言葉を紡いでいく、「お父さんは綺麗なおねえちゃんのを…!」父親のすね毛を恐れているようにと恐る恐ると両足を引いていく竜祥は嗚咽まじりの声を発して行きつつ、ぽつりと弱り切っている声を発していた、「上げるから…!!」


  瞼がやけに重たくなっているような気がしている父親は竜祥が痙攣しているような声色で紡いだ一言をぼんやりと分析していき、”パー”胸元の奥からこみ上げて来る自分の子供は人様の残飯を漁ろうとする情けない奴なんだという思いに苛まれては、自分が不甲斐ないばかりに子供に窮屈な思いをさせて来たから、彼がこんなざまになってしまったんだと思うと、思わず強く歯を噛んでしまう父親は迷わずに左手を強く前に向けて出しては、黴が生えていた壁にぶつけていた。


  後頭部が壁に吸い付けられているような思いをしてしまう竜祥はぼんやりと真っ青になっている顔を父親に向けては、徐々に自分に顔を近づけて来ている父親に、寝室に向けていく逃げ道を彼の太い左腕に封じられているような気がしてしまう竜祥は、恐る恐ると痙攣しているような両手を壁に当てては、ウィンナーのような太い唇から飛び出て来る喉を焼いて来ているようなアルコールの臭いに苛まれ、上手く唾液を飲み込めないでいる。


  「んんなことを言ってんじゃねぇんだよ…!」竜祥の無言であんぐり口を開けては自分に向けて来る畏怖しているような眼差しを睨みながら、口角が斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしている父親は、ゆっくりと自分の身体を支えて来ていたような左手を壁から離れて行きつつ顎を上げていき、「ボケが!」猛然と左手を握ってはガッツポーズを取っていく父親は自分が不甲斐ないけれど、せめて自分の息子にもっと立派な人間になって欲しいとぼんやりとしている頭で強く思っている彼は、恐怖に支配されているせいで頭が真っ白になっている竜祥の事を睨んで行きつつ叫んでいく、「自分でちゃんと稼いで!」ゆっくりと両足に力を入れて行きながら痺れては上手く動くことが出来なくなっているように感じてしまう両足に苛立ちを覚えては、歯ぎしりしてしまう彼は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ顔が冷や汗に濡らされている竜祥に言う、「自分でちゃんとしたバーガーを食え!」


  父親が酔っぱらっているはずなのに自分に向けて来ている言葉が少しばかりまとものように思えては、ぼんやりと頷いていく竜祥は父親が何を言おうとも頷いては、彼に自分はちゃんと彼に従っているように思わせて、何とか殴られる事なくベッドの上で座っては、ぼんやりと天井にある黴を眺めながら小夜との短い思い出を何度も脳内で描いていこうと思っている竜祥。


  ”ドクンー”忽然、まるで自分の心臓を冷やして来ているようにとビールの瓶に左手を添えていく父親の仕草に見開かされては、小刻みに首を横に振ってしまう竜祥はつい上手く喉から嗄れているような声色を絞り出す事が出来なくなり、ゆっくりと両手にあるビールの瓶をかざしている父親の、自分の身体を天井にある自分の存在を照らしてくれていた小汚い電球から奪いに来ているようなポーズに絶句されている竜祥。


  「これで反省しろ!」上手くバランスを取る事が出来ずにいる父親のビールの瓶をかざしている様に見開かされては、つい横目で二人のやり取りを見れなくなっている母親は大慌てで左手で大きく開けている唇を隠しては、恐る恐ると右手を父親の逞しい背中に向けて伸ばしては、竜祥の事を殴るのはいいけれど、何とか父親に子供の命を奪ってしまいそうなぐらいの打撃を与えて欲しくないと思ってしまう母親は、ついさっき父親が自分に投げて来ていたまるで自分の事を殺そうとしているような眼差しと、彼が座っていた椅子のもとにある白い泡を立たせていたビールの上で寝ていた空き瓶の欠片に一瞥していき、ごくりと固唾を飲み込んでしまう母親は横目で潤んでは自分に助けて欲しいと言っているように震えている唇を動かしている竜祥に一瞥しては、つい自分には彼を狂っているような父親の暴力から救い出す事ができないように思えてしまう母親は竜祥の事を見捨てるようにと床に目を向けては、左手で自分が前に向けて出していた右手を握っていた。


  「あ…」母親の自分と目線を合わせていたのに、ヒステリックになっている父親の存在を畏怖してはあからさまなまでに自分を見捨てて来ていた仕草に絶望を覚えては、ぼんやりと平坦な声を発していた竜祥はバランスを整えていたようにと、踏ん張っては真っ赤になっている眼で自分を睨んで来ているような父親を見上げては、宛ら自分の命を奪いに来ているような緑色のビールの瓶を見つめてしまう彼、畏怖が体中の細胞を爆ぜているように感じてしまう竜祥は、父親の頑なに自分でビールの瓶を割らそうとしている行動が可笑しく思えては、思わず自嘲気味に笑っているようにと引き攣っている右側の口角を上げていく。


  竜祥のまるで少しでも自分の事を恐れていないようにと笑っている様に見開かされては、自分は子供に馬鹿にされているような気がしている父親は思わず強く歯を噛んでは、叫んでいき、「このバーガー野郎が!」”ポーン!”忽然、やけに鈍い音が頭を割らしているような激痛を連れて、自分の額でゆっくりと広がっているように感じてしまう竜祥はつい一瞬にして真っ黒になっている視界に体を奪われているように感じては、呆然と体を右側に向けて傾けてしまう彼。


  真っ黒になっている視界の中でまるで自分の存在を見失っているようにと感じては、ぼんやりと佇んでいる自分の両足を見下ろしてしまう竜祥、鼻の奥が煙に詰らされているような感覚が消えてなくなっているように思えてしまう彼は無言で黒い鏡と化していたようにと自分の顔を映し出してくれている床をぼんやりと見ながら、ゆっくりと自分の頬から滴り落ちていく小さな涙の粒に当てられては、まったりと黒い世界の果てまで広がっていく青色の漣に目を細められてしまい。


  ぼんやりとまるで自分の体に潤いを与えに来ているようにと小さな漣から浮かんで来ている真っ白な妖精に目を奪われ、呆然と佇んでいる竜祥はついまったりと小さな両手を自分の頬に添えて来ては、ゆっくりと顔を自分に近づけて来ながら、否応なしに自分の唇を開けて来ている妖精の存在に見開かされてしまい、「うっ…!」突然、潤んでいるようにと思えてしまう喉に引っかかって来ているような小さな硬く感じてしまう物に苛まれては、思わず眉間に皺寄せてしまう竜祥はついぼんやりと重たく感じてしまう瞼を開けては、まるで自分の視界を奪いに来ているような滲みが出来ていた緑色の布を見てしまい、宛ら渇いては亀裂してしまいそうな喉に潤いを当てて来ているような透明な水を乗せていた青色のペットボトルをぼんやりと見ながら、自分の口内に浸食しに来ているような淡い水色の感覚に目を細められては、頭が割れているなのに腫れているような不思議な気分に苛まれている竜祥はつい勝手に水分を求めてしまう喉に負けては、ごくりと自分の口内で広がっている微かに甘く感じてしまう液体を飲み込んでいた。


  「大丈夫か…?」ぼんやりと自分の身体を受け取ってくれていたような香の匂いに侵されていた、黄ばんでいたシーツと自分の視界を埋めようとしているような緑色の布に目を細められていた竜祥は、つい自分に尋ねて来ていたような声色で言葉を紡いだ女の血走っている眼を向けてしまい。「大丈夫のはずよ…」竜祥が軽く赤い瞳で自分の事を映し出してくれている事に微かな安心感を覚えては、自分の右手にある青色のペットボトルに一瞥した母親は軽く左手を胸元に当てて行きつつ、ぽつりと弱っているような声を発していき、「これは我孫子さまから授かって貰った聖なる薬と聖水なんだから…」チラッと自分が竜祥のベッドに置いていたラップに包まれていた白い薬に一瞥した母親は、薬を見つめながらぽつりと小さな声を漏らしていく、「これを飲んだらあなたは直ぐに元気になれるに違いないわ…」


  両膝をベッドの前に付けては自分に不安そうな眼差しを投げて来ている母親の事をぼんやりと見ながら、額に大きな紫色の痣が浮かんでいた竜祥は左頬を黒くなっていた硬い枕につけたまま母親の事を睨んでいき、「お母…さん…」軽く鼻翼に力を入れては鼻水を啜ってみたいと思ってしまう竜祥は苦しそうにと右手を枕のもとに置いたまま、少し動くと頭が炸裂してしまいそうな気がしている彼はまるで何事もなかったかのように小首を傾げつつ、軽く左手で自分の髪の毛を撫でて来ている母親の事を凝視していき、「どうして…あんな嘘を吐いてたの…」刹那、まるで頭が強く殴られていた自分にはまだ彼女が自分の事を何度も見捨てて来ていただけではなく、露骨なまでに自分を陥れては父親にぶん殴られていた事を忘れていない一言に見開かされては、ゆっくりと震え始めている左手を自分の疼く頭から引いていく様を睨んでいく竜祥は言う、「ぼくは…何もしていなかったのにぃ…」


  竜祥の苦しそうにと血走っている眼から滲み出て来ている透明な水滴が高い鼻梁を越えては、黒い枕に沈んでいく様に目を細めてしまう母親は軽く握っている左手を胸元に当てたまま、ゆっくりと繊細な顎を上げては、自分たちの事をカーテン越しで見て来ているような眩しい太陽を見上げていく彼女は言う、「知っているわ…でもね、」軽く口角を上げては、自分がしていた行動を理解できずにいる竜祥に淡い笑みを見せて行きながら、ゆっくりと左手でベッドに置いていたラップに包まれていた薬を丁寧に握っていく母親は、右手にある瓶を軽く灰色の雲が出来上がっていたかのような小汚い床に置いていき、「お母さんが殴られてしまうと、」母親のまるで彼女はとんでもない悪事をしていたとは思わないでいるように、真顔で自分に謝りもせずに語り始めている姿勢に不満を覚えては、もう二度と彼女の顔を見たくないと思ってしまう竜祥は苦しそうにと歯を噛んでは、母親の潤んでいる瞳から目を逸らしていた。


  竜祥の自分の事を恨んでいる様に目を細めて行きつつ、愛で彼の事を感化しようと思っている母親はまったりと右手で薬を握っては、左手で彼の油に濡らされていたような黒い髪の毛を撫でて行きつつ言葉を紡いでいく、「この聖なる薬と聖水は家にある事を知る人がなくなっちゃうのでしょ…?」母親が紡いだ訳の分からない一言に眉間に皺寄せては、彼女はさっき自分が気絶していたのか、眠っていたのかも分からない状態で、自分に変なものを飲ませていたように思えてしまう竜祥、悲憤に苦しめられては、ますます母親の事が嫌ってしまいそうな気がしている竜祥は猛然と鋭利な眼差しを母親の右手にある薬から彼女に向けていき。


  竜祥のまだ自分が紡いだ言葉を理解してくれないでいる事に淡い笑みを見せて行きながら、悪魔に取り付かれている父親と違っていて、ちゃんと話ができるはずの竜祥にならきっと自分がかなり苦渋な決断をせざるを得なかった場面まで追い込められては、あんなことを口にしていたと分かってくれるはずなんだと信じ込んでいる母親は言う、「さっきも言ったように、」母親の開き直っているような態度に歯ぎしりしてみたくなっては、頭が割れているような感覚に吐き気を覚えてしまう竜祥は思わず潤んでいる赤い眼を彼女から逸らしては、何とか胸元を満たして来ているような吐き気を抑えようとごくりと唾液を飲み込んでいく。


  竜祥の何度も自分の事を排斥してきている事に目を細められ、微笑みながら両手でラッパにある薬を捧げているようにと抱えていく母親は言葉を紡いでいき、「埜哉様の祝福が宿っている聖なる薬と聖水を飲めば、」軽く首を傾げて行きつつ流し目で足をかけていたベッドを支えているペンキが剥がれていた壁から、竜祥の呆然としている表情に目を向けていく母親は言う、「あなたは直ぐに元気になれるから…」母親が紡いでいるまるでポスターの中で日々に香に苦しめられて来ている変なカラスのマスクを付けていたキャラクターが、本当に生きているようにと語っているような口調に戸惑っては、ポスターの中にある存在は自分に薬をくれていたのかと困惑気味になれている竜祥はぱちくりながら無言で母親が紡いだ言葉を考えつつ、痛みと悔しさに挟まれているせいで涙を零している。


  竜祥の真面目に自分が紡いだ言葉を理解しようとしてくれている様に目を細められては、微笑んでいく母親は彼の真っ青になっていた顔に軽く左手を当てて行きつつ、ぽつりと弱っている声で自分たちを苦しめて来ていた父親を恐れているような言葉を紡いでいく、「でもお母さんは殺されてしまったら、」母親がやけに深刻そうに紡いだ一言に眉間に皺寄せては、彼女が殺されたくないと同じように自分にだって酔っぱらっては狂っているような父親に殺されたくないと思っている竜祥。竜祥のまたしても自分に歯向かって来ているような眼光を気にする事なく、慈愛に満ちているような潤んでいる眼で彼の顔を映し出していく母親は言う、「もうあなたのことを守ってやれなくなるのでしょ?」


  母親が自分に向けて来ていた一言が質の悪いジョークにしか思えないでいる竜祥は、つい何度も自分を見捨てて来ていた母親の事を連想して仕舞っては、彼女の事を軽蔑しているようにと軽く鼻で笑っていき。「あの人はああ見えても子供に甘いのよ…」竜祥の酷く自分の事を恨んで来ている様を目にすると、今にも彼のもとから離れては、変なポスターの前で自分の悩みをカラスのマスクを付けていたキャラクターに言い聞かせては、何とかポスターに自分の悩みを解決して貰いたいと願ってしまう母親は竜祥に少しでも誤解を解かしたいと思いつつ、ぽつりと弱っている声を発していた、「決して殺したりはしない…」軽く鼻翼に力を入れてはつい昨日の父親の狂っている形相を思い出してしまうと、不安になっている母親はぽつりと弱っている声で呟いてしまい、「はずなんだから…」


  ゆっくりと自分の右手にある薬と床に置いていたペットボトルに目を向けていく母親はつい自分にとっては宝物以上に大切な存在であり、自分の命より大事な薬と水を竜祥に飲ませていたのに、どうして彼は自分の事を理解してくれないのかと疑問に思いつつ、不満を覚えてしまう彼女は竜祥はきっと悪魔に取り付かれている父親に感染されては、魔になり始めているのに違いないと思っている彼女はぽつりと補足する一言を口にしていく、「助けようと思っていたのよぉ…本当は。」


  ごくりと固唾を飲み込んでいく母親は悲しんでいる竜祥の、自分が浮かんでいる厳かな表情を信じてくれているようにと、鋭利な眼差しが微かに和らいだように思えては、自分には竜祥が悪魔に浸食されてしまう前で、何とか彼の事を救い出さないとと言う使命を覚えては、さっき竜祥に理解されなくても彼から離れていなかった自分にはきっと埜哉様に支えられていたのに違いないと思い込んでいる彼女。


  「お母さんは…」母親の微かにも嘘を吐いているようには見えないでいる様に眉間に皺寄せつつ、ぼんやりと彼女の事を見上げていく竜祥はつい彼女は本当は自分のために考えてた故に、わざわざ見捨ててくれていた振りをしていただけであり、自分が気絶していたあとでわざわざ薬をくれている母親にだって酔っぱらっていた父親をどうすることができなかったはずだと思っては、つい母親の真っ直ぐなまでに歪んでいる眼を信じて見たくなっている竜祥は、ぽつりと弱っている声で内心を囲んでいるような質問を声に乗せていき、「本当に…ぼくの為に思って…」悲しみに喉を詰まらされているように思えては、苦しそうにと鼻を啜っていく竜祥、「そう言ってたのかえ…?」


  竜祥の自分が紡いだ言葉を信じ始めている事に口角をくすぐられているような気がしては、やはり彼にはまだ悪魔に完全に侵されていないように思えてしまう母親は当たり前のように頷いては、軽く右手にあるラップに包まれていた薬を瓶の隣りに置いていきつつ言葉を紡いでいく、「ええ、もちろんよ、」丁寧なまでに両手を竜祥の冷たくなっていたような右手を包んでいく母親は、竜祥の怖い思いに苦しめられている眼に淡い笑みを見せて行きつつ言い放った、「あなたは私の子供なんだから。」


  母親の真心を込めている一言に戸惑いつつ、ぼんやりと彼女が自分に向けて来ていた言葉を分析していた竜祥はつい自分には見えないでいる存在は、母親がちゃんと見えてたりするのかとぼんやりとしている頭で考えていく竜祥、「埜哉様は…」自分がぽつりと漏らしている名前に見開かされている母親の事を見つめていく竜祥は、思わず弱っている声を発しては彼女に尋ねていく、「なぁに…?どうしてお母さんはこんなにも信仰を捧げているのに…」目を細めては、自分の脳に残されていた疼きに苛まれているせいで上手く物事を考えられなくなっている竜祥は、母親の昨日父親の前で自分を陥れてまで救いを求めていた事を思い出してしまうと、埜哉様と言う奴は全然母親の事を守っていないんじゃないかと思っている竜祥は困惑気味の声を発していた、「まだ苦しめられる…?」


  「違うのよ、竜祥、」竜祥が自分に言ってきていた一言に目を細めては、何度も首を横に振っていく母親は竜祥が埜哉様に興味を示してくれている事に嬉しく思いつつ両手を彼の右手から引いては、軽く右手の人差し指を立てていく彼女は本気の眼差しを竜祥に見せていた、「私は昨日での事で死に掛けてたの。」宛らぼんやりと感じてしまう頭を突いて来ていたような母親の一言に見開かされては、自分の耳を信じられないでいる竜祥は思わず間の抜けた声を上げてしまい、「え?」


  ゆっくりと右手を胸元に当てて行きながら、本気の眼差しで竜祥のぼんやりと開けている唇を睨むように見つめていく母親は言う、「でも埜哉様は私のことを守って下さり、」右手で感じてしまう心の鼓動は埜哉様に助けられているおかげでちゃんと動いているんだと思っている母親はぼんやりと顎を上げていきつつ、感動しているような眼で小汚い天井を見上げて行きながら、言葉を紡いでいく、「あなたに災いを共に背負ってもらうように細工してたのよ。」


  「え…?」母親が自分に向けて来ていた一言に絶句されては、彼女は一体何を言っているのかと戸惑ってしまう竜祥はつい彼女が紡いでいた自分が本来殴られる事無く済んだはずなのにも関わらず、彼女のスケープゴートになっていた事に不満を覚えては、眉間に皺寄せてしまう竜祥は悔しそうにと母親の事を睨みながら、憤っているような声色で言葉を紡いでいく、「どうして…ぼくが…?」思わず歯ぎしりして見たくなっている竜祥は苦しそうな声を発していき、「殴られ…たくなかったのによぉ…」悔しい思いに体中を支配されているような気がして仕舞っては、思わず涙を零してしまう竜祥はゆっくりと平然としている表情を浮かんでは、自分の代わりに悲しんでくれているような母親の眼を潤んでいるような視界の中で睨みつけて言う、「痛いのよぉ…!」


  竜祥が紡いだ一言に目を細められ、左手を胸元に当てては、何度も首を横に振っていく母親は淡い笑みを浮かべて行きつつ声を発していく、「埜哉様は誰も見捨てたりなんかしないわ。」母親が何度も口にしていた変なポスターの中にあるキャラクターの名前に苛立ちを覚えては、不満そうに鼻翼に力を入れてしまう竜祥は戸惑っているような視線を彼女に向けながら悔しい思いに駆り立てられては、歯ぎしりしている。


  目を細めていた母親は竜祥のまるで自分と埜哉様を敵対しているような眼差しに微笑んでは、埜哉様の事を完全に信じている母親は軽く胸元に当てていた左手を彼の額に向けていき、「埜哉様はきっと、ううん、」軽く首を横に振っては、竜祥の額に浮かんでいた紫色の痣を撫でていたような黒い髪の毛を退かして行きつつ、彼の額にある傷跡に心を苛まれているような気がしてならないでいる彼女はぽつりと声を発していき、「私が聖なる薬と聖水をあなたに与える事を知れていたから。」母親のまことしやかに紡いでいる言葉と彼女が自分に飲ませていた薬に戸惑いつつ、薬はちゃんと病院に行ってお医者さんから貰うものなのではなかったのかと疑問に思い始めてしまう竜祥は、毎日のように自分の身体を苦しめて来ていた香に祀られている変なポスターは誰もを見捨てたりしない存在とは思えないでいる。


  「だから災いを半分与えていて、」両手を熱くなれているように思えてしまう胸元に当てては、自分は埜哉様に愛されている信者なんだと思っては、幸せな気分になれている母親は言う、「私たちの命を助けてくれてたの。」母親が紡いだ一言を耳にしてしまうと、思わず強く歯を噛んでいた竜祥はどうしても本当の出来事を語っている母親は、単なる彼女が自分をだしに使っていた過ちを認めたくないだけであり、純粋にポスターに全ての責任を擦り付けているだけなんだと思っている。


  竜祥の無言で歯を噛んでは、充血しては潤んでいる眼で涙を零している様に目を細められては、淡い笑みで彼の事を迎えようと思っている母親は言う、「あなたもきっと、昨日の攻撃を受けていたせいで死に掛けていたのよ…」沈んでいるような声を発しては、竜祥の事をぶん殴っていた父親に全ての責任を取るべきなんだと思っては、悪魔に取り付かれている父親に自分から何かしらの事をしてやれる事が出来ないと思っている母親は無理矢理口角を上げて行きつつ、竜祥にこれからの生活について心配して欲しくないと思っている彼女は言う、「でももう大丈夫なんだから、聖なる薬と聖水を飲んだから、」強く両手を握っては竜祥の顔を見つめていく母親は一瞬斜め下の方向に向けていた口角を上げては、自分を疑っているような眼で見て来ている竜祥の自分を信じてくれないでいる態度に傷心を覚えては、思わず悲しそうにと右手で口元を隠しては、つい涙を零してしまいそうな母親は竜祥の顔を見つめながら、強く思いを込めては弱っている声で言葉を紡いでいく、「これからはもっと楽しく日々を過ごせるに違いないわ…」


  母親の泣き出してしまいそうな態度を目にすると、彼女が父親に殴られた所で昨日の自分は父親に殴られずに済むと保証してくれる人なんて何処にもいないと思いつつ、自分が父親に家のお金のせいで強く殴られては、死に掛けていたかもしれない傷を負った以上、今度は父親に家にあるお金が急に無くなってしまう事から気を向かなくなるするには、根本的に毎日のように香を焚いでいる母親がまことしやかに語っている埜哉様について調べていく他ないように思えては、自分は決して父親に殺されては、本来人生の中でもう一度会えるかもしれない小夜と決別したくないと思っている竜祥はごくりと固唾を飲み込んでは、自分に負い目を覚えているようにと顔を逸らしていた母親の悲しんでいる横顔を睨んでは、ぽつりと唇を開けていた、「埜哉様は…誰なの…?」


  竜祥が埜哉様について関心を持ち始めている事に見開かされては、ぼんやりと自分の口元を隠していたような左手を下ろして行きつつ、軽く鼻を啜ってしまう母親は言う、「人間じゃないのよ…」目を細めては崇拝する眼を斜め上の方向に向けては幸せそうな表情を浮かんでしまう母親は、当たり前のように言葉を紡いでいた、「埜哉様は全てを救う神様なんだから。」母親が真面目に自分に説明する言葉を紡いで来ている様をぼんやりと見ながら目を細めて行きつつ、彼女がさっき紡いだ言葉を思い出していく竜祥、軽く歯を噛んでしまう彼はゆっくりと母親が着こなしていた緑色の布から彼女に顔を向けていき、「我孫子さまって…だぁれ…?」

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