第140話うちは貧乏だからと思って…

  竜祥の垂らしている鼻水を拭く事も出来ないまま自分に向けて来る返答に口角を上げられているような気がしては、まったりと首を縦に振ってしまう父親、「それは良い線だね?」ゆっくりと右手にある空き瓶を机に戻して行きつつ、竜祥の自分の存在を恐れている姿勢をからかっていくかのように流し目で彼の顔を見てしまう父親は言う、「やろうちゃん~?」父親が口にしている起伏しているような声色の中に混ざっている自分の小夜に褒められていた名前を小馬鹿にして来る意味合いに微かな苛立ちを覚えては、強く痙攣しているような両手を握っていく竜祥は小夜に褒められていた名前の為に、少しぐらいは反抗しようと思っては、父親の嬉しそうな表情を見てしまうと、ぽつりと弱っている声を発していた、「りゅ、竜祥です…」


  「そうよね?」竜祥が自分に歯向かって来ているような一言に口角をくすぐられては、まったりと腕を組んでしまう父親は横目で彼の恐怖に支配されているせで真っ青になっていた顔を見て行きつつ、軽く右手の人差し指で黒い胡麻が生えていたような頬を擦って行きながら彼に向けては言葉を紡いでいく、「パパちゃんが付けてた可愛いお名前でちゅよね?」


  父親のやけに上機嫌になれている様に目を半開きさせては、口角が強張っている竜祥は大人しく頷いては、ぽつりと鼻水に濡らされている唇を開けては、父親の話に合わせようとする、「は、はい…」強く両手を握っては、恐怖のせいで両手が冷めているように感じてしまう彼は無理矢理口角を上げては、父親の自分の身体を囲んでいたような眼を見つめながら恐る恐ると何度も首を縦に振っていく、「パパちゃんが付けてくれてた可愛い名前ですぅ…」


  「じゃ、」竜祥の萎縮している態度に目を細めて行きつつ沈んでいるような声色で言葉を紡いでいく父親は、軽く左手で竜祥が買ってくれていたビールの瓶を撫でて行きながら声を発していく、「俺は金を全部この家に置いて来たんだよ、」父親のまるで正気に戻っているような声色に心臓がパンクしてしまいそうな気がしている竜祥は、彼の真っ赤になっている頬を見てしまうと、六本のビールも飲んでいた彼がさっきのように自分のからかって来るような台詞を口にしていた後で、急に酒の支配から逃れるはずもないと思っては、思わず強く歯を噛んでいく竜祥は急いでいるようにと右手を上げて自分の唇を塞がって来ているような鼻水を拭いては、恨んでいる眼差しを肩が微かに震えている母親の背中姿に向けていた。


  「別に美人ちゃんにご奉仕して貰っていたってわけでもなければ、」小首を傾げて行きながら竜祥に興味をなくしているようにと左手にある蓋を開けられていなかったビールを見つめていく父親、「宝くじも買っちゃいねぇわけで。」ゆっくりと天井にある小汚い電球に照らされている緑色のビールの瓶から視線を目を瞑っては、自分と竜祥の会話を関心を持っていないような振りを決め込んでいる母親の汗に濡らされている横顔を睨んでいく父親は、悲憤に満たされている声で出来る限り平然とした口調で言葉を紡いでいる、「どうしてお家のお金が減っていたのかな?ママさん?」


  刹那、父親が上げていたまるで自分の耳を撫でて来ているような声色に、跪いていたせいで痺れていた両足が軽く跳ねらされていたように思えてしまう母親、「うっ!」窶れている身体がびくっと跳ねていた母親の父親に睨まれている姿を目にすると、自分は一時的に父親に殴られてしまう未来から回避出来たように思えては、鼻水に濡らされている右手で胸元をなで下ろしていく竜祥、「ふ…」軽く安堵の吐息を吐いては、強く歯を噛んでしまう彼はごくりと固唾を飲み込み、間違いなく勝手に父親に何も言わずに家の金を勝手に使っていた母親と、父親の会話を聞いては、出来る限り自分が巻き込まれないような話を用意しないと、と強く思っている彼は自分の頭を侵して来ているような香の匂いに耐えて行きつつ両手を握りしめては、父親のまるで頬にある黒い胡麻を愛でているようにと顎を擦っている行動を見つめていく。


  「ねぇ?ママさん?」小首を傾げて行きながらまるで母親に甘えている子供のような口調で母親の事を呼んでいく父親は、左手にある自分の手のひらに温められていたビールから手を放して行きつつ言葉を紡いでいる、「俺が呼んだビールちゃんが一本足りないんだけど…?」父親の話題の矛を自分に向けて来ている事に心臓が冷えているように思えては、竜祥と同じように、酒を飲んでいたせいで狂っているような状態になっている父親に殴られたくなければ、下手したら殺されてしまうかもしれないと強く思っている母親は強く震えている両手を握ってしまい、「やっ、」喉から戦慄しているような声を絞り出して行きつつ、猛然と麻痺されているような両足に力を入れては両手をかざしていく母親、「やや!」


  ”パリンー”刹那、まるで母親の行動に苛立ちを覚えているような右腕は、否応なしに机に置かれていた空き瓶を奪っては迷わずにバランスを崩していた机を支えていた黴が生えていた壁に向かっていた瞬間を見ては、まったりと宙を舞いては電球に照らされている無数の緑色の欠片を赤い瞳で映し出してしまう竜祥は、迷わずに凶器を握っているような父親の憤っては惚けている母親の事を殺そうとしているような姿勢に唇をこじ開けられ、身体を畏怖に奪われているようにと思えてしまう竜祥、「うっ…!」


  ”どー”恐怖に全身の力を奪われては、一瞬にして転んでいたようにと尻餅をついていた竜祥の涙目になっては、震えている唇から唸り声を発することも出来ずにいる様を気にする事なく、両膝を床に付けたまま、宛ら降参しているようにと両手をかざしている母親の竜祥と同じように、涙目になっている様を睨んでいく父親、「ややじゃねぇんだよ!」右手にある尖っていた空き瓶を母親に向けては、無言で震えては涙を零している母親の可哀想にも思えてしまう仕草を見れば見るほど苛立ちを覚えては、何もしないで家にいる彼女がどうして勝手に自分が精一杯稼いで来た少ない金を使っていたのかと不満を覚えていた父親、内心にある不満が酒にブーストをかけられていたように爆発していたように思えては、頭皮が痺れているような思いをする父親は叫んでいき、「この腐れビッチが!俺のビールはどうした!」


  頭がパンクしていたように思えては、つい自分の右手にある凶器を精一杯家の為に何とかしようと思って来ている自分の邪魔をしに来る母親の華奢な体にぶち込んでやろうと思っている父親は叫んでいく、「家の金はどう使いやがった?!ああ?!」強く左手を椅子の背を握っては、震えては言葉を紡げなくなっているような母親の事を睨んでいく父親はゆっくりと酒に力を奪われていた両足で踏ん張って、自分に祈っているようにと上げていた両手を引いて行きつつ合掌している母親の可憐な姿を睨んでいく父親、「ホストに貢いだのか?!」


  ”フー”母親の自分に説明する言葉を紡がないでいる事に憤怒を覚えては、彼女はまだ家の家計にかかっている問題から目を逸らしているようにと思えてしまう父親は、強く右手にある凶器で部屋の隅っこにある変なポスターを指して行き、「その阿保みてぇなマスクを付けていたやろうにぃ?!やろうぜ?!」”ダダー”強く黄色のスリッパを履いていた両足で床を踏んでは、母親に近づいていく父親は右手にある空き瓶を母親の首筋に向けて行きつつ大声を発していく、「なぁ?!このマスク野郎と一緒によぉ?!」


  父親の血走っている眼に体を固定されているようにと上手く彼から床に付けていた膝をずらす事が出来ずにいる母親の事を見ては、つい自分はこのまま母親を無くしてしまうんじゃないかと一瞬思ってしまう竜祥は、思わず右手を小汚い床から離れては母親に向けていき、「やめっ…」弱り切っている右腕で母親を父親ももとから引っ張っては、彼女の事を守ってあげたいと切に願ってしまう竜祥は、潤んでいるの瞳で父親の真っ赤になっては鼓動を刻んでいる緑色の蛇に苦しめられている喉元を映し出していく竜祥、「やめてお父さん…!」


  忽然、竜祥が発していた父親の事を止めに来ている一言に視線を彼の方向に向けていく父親の顔を見上げては、彼の右手にある空き瓶に一瞥した母親は、軽く鼻翼に力を入れ、自分はまだ死にたくないと強く思っては、否応なしに震えている左手の人差し指で竜祥の顔を指差していく、「ち、違うの…!」宛ら自分が発していた弱っている声に視線を引っ張られているようにと自分の顔を見下ろして来ている父親のまるで目から飛び出ようとするような血眼を見ては、自分は無実だと言っているように右手を胸元に当ててしまう母親は言う、「こ、この子が…!」


  ”ドクンー”突然、母親の指先が向けられていた方向を一瞬疑っては、彼女が紡いだ言葉は自分の聞き間違えなのではないかと思ってしまう竜祥はぼんやりと自分に恨んでいるような眼を向けて来ている父親の、ゆっくりと右手にある壊れていた空き瓶を向けて来ている様を見つめてしまい、「えっ?」自分に指差されては思わず間の抜けた声を上げていた竜祥に目を向けてる事なく、心が不安に押しつぶされているような気がしている母親は、軽く両手を握っては自分の胸元に当てていき、「この子がハンバーグとか…!」俯いては、必死に涙を堪えようとする母親は自分のことを横目で睨んで来る父親と顔を合わす事なく、ぽつりと弱り切っている声を上げている、「ハンバーガーを食べたいと言って…!」


  母親が自分の夢の中ですら体験したことのない嘘を語っている姿勢に唇をこじ開けられては、ぼんやりと霞んでいる視界の中で自分の顔を睨んで来ている父親に一瞥していく竜祥はつい自分は夢でも見ているのではないかと思っては、どうして母親は嘘を吐いてまで自分のことを狂っては悪魔のような父親に突き出してしまうのかがまったく理解できないでいる竜祥。


  ごくりと固唾を飲み込んでいく母親は恐る恐ると額に皺寄せて行きつつ自分の顔を睨んで来ている父親の事を見上げては、父親の血眼の中に秘められていた微かの疑いを除かないとと自分には命の危機が降りかかってしまうと思っている母親は、強く両手で自分の暴れ回っているような胸元を押さえて行きつつ父親に向けて、弱り切っている声を発していた、「私は仕方なく彼をファーストフードのお店につれて行って…!」


  ”パー”まったりと父親の大きな右手から離れては、軽く体を床にぶつけては、尖っていた角が否応なしに潰されてしまうビールの瓶に一瞥した竜祥は恐る恐るとまったりと千鳥足で自分に向けて歩いて来ている父親の顔を見上げていき、「いや…!」左手を床に付けては、ゆっくりと机にあるビールを手にして行く父親に、自分に近づかせないでいるようにと右手を前に向けていく竜祥、「嘘だ…!」必死に喉から嗄れている声を絞り出しては、父親に殺されたくないと強く思ってしまう竜祥は、懸命に両足で床を蹴るようにと何とか臀部を後ろに向けてずらしては、少しでも無言で睨んで来る父親の体から漂って来る臭いから逃げたいと思っている竜祥は、強く震えているように思えてしまう歯を噛もうと思い、眉間に皺寄せてしまう彼は自分と顔を合わせようとしないでいる母親の事を睨んでいき、「ど、どうしてそんな嘘を吐くのよお母さん…!」体が死から逃げ出したい本能に駆り立てられては、体中が熱くなっている竜祥は涙を零している自分の姿勢に自分は嘘を吐いていないことを知れているようにと、ゆっくりと自分から顔を母親に向けている父親に一瞥しては、猛然と前に向けていた右手を胸元にぶつけていく竜祥、「死んじゃうって…!!」鼻腔の奥が痺れては上手く鼻で息を吸い込めないでいる竜祥は大きく唇を開けては、香の匂いに汚されている息を吸い込んでは、必死に喉を引き千切るようにと叫んでいた、「ぼくは死んでしまうって…!」


  右手でビールの瓶を握ったまま充血している眼で自分を睨んで来ている父親のまるで自分に、竜祥が言っている言葉は本当かどうかを尋ねて来ているような仕草に喉を鷲掴みにされているような気分になっている母親、チラッと父親が座っていた椅子の周りにある散らかっていた緑色の欠片に一瞥した彼女は自分の頭が壁の代わりになっては、ビールの瓶を割らしたくないと強く思い、迷わずに充血している眼で竜祥を睨んでは大きな声を発していく、「彼だけにハンバーガーとかを…!」握りしめている右手を胸元に当てては左手の人差し指で自分が絞り出していた声に、唇をこじ開けられている竜祥を指していく母親さ叫んだ、「いっぱい食べさせて上げてたのぉ…!」


  母親がどうしても自分が家のお金を全部ハンバーガーを食べるために使っていたと仕立て上げていた言葉を耳にしてしまうと、何もしなかった自分はどうやって説明しようとも、食べたことがない事を証明できようがないように思えてしまう竜祥、「あ…」絶望に侵されては、目の前の世界が真っ黒になっているように感じてしまう竜祥、刹那、真っ黒な脳内で過ってしまう青色の髪の毛をぼんやりと感じてしまう竜祥は、無言で自分の身体を蝕んで来ているような苦しみを、無垢な小夜に味合わせてはいけないと強く思っては、必死に歯を噛んでしまう彼は顎を引いて行きつつ、自分が何かあっても脳内にある綺麗な女神にも思えてしまう小夜を汚してはならないと思っている。


  「あは~?」まったりと腕を組んでは楽しそうな顎を上げてしまう父親は竜祥の歯ぎしりしている赤くなっている顔を見下ろしては、嘘を吐いていたことが母親に暴露されているせいで、もうどれだけ取り繕っても自分に苛まれる運命から逃れることができない故に、もう嘘を吐くのを諦めていたように思えてしまう父親は納得しているようにと口角を上げたまま何度も頷いていき、「下痢になって宿便が一気にびゅびゅ~って出た気分だね?」父親が自分に投げて来ていた例え話をまったく理解できにいる竜祥はごくりと固唾を飲み込んでは、父親はどうして自分の事を見ながら楽しそうに笑っているのかが分からずにいる、軽く鼻翼に力を入れてしまう彼はついもしかしたら小夜が本当に自分を助けに来てくれていたなのではないかと思ってしまう。


  「問題解決だね~?」”フッー”右手にあるビニール袋を両手で握っては宛ら野球を打っている気分になれているように、猛然と両手にあるビールの瓶で空気を殴っていく父親は流し目で竜祥の顔を睨んでいき、「竜祥ちゃん?」”ドクンー”父親のまるで自分が遭ってしまう攻撃を見せつけて来ていたような仕草に見開かされては、小夜はやはりただの女の子であり何の不思議の力も持っていないと知らされている竜祥は、大慌てで何度も首を横に振って言う、「ち、違うのぉ…!」


  頬が火にゆっくりと焼かれているような思いをしている竜祥は、父親の顔を見つめながら何度も首を横に振っていき、「ぼくは食べた事がないの…!」視線が自分の震えている頭につられては震えているようにと思えてしまう竜祥は強く力を入れなくなっている左手を胸元に当てて行きつつ、不気味なまでに屈託のない笑みを見せて来ている父親に言う、「本当に食べたことないの…!」強く鼻翼に力を入れては、口内で溜まっているような唾液を上手く飲み込めないでいる竜祥はチラッとまるで自分を弔っているように目をつぶっては独り言を呟いているような母親の、自分はまったく関係していないぞと言っているような態度に悲憤を覚えてしまう竜祥は、猛然とゆっくりと両足を自分に向けて踏み出して来ている父親の顔を見上げていき、「お母さんは一度も連れてくれる事がなかったのぉ…!」


  竜祥の懸命に言い訳しているように見えてしまう態度を横目で見ながら、彼は往生際が悪い子供だと思っている父親は軽く右手でビールの瓶を握っては、ビールの瓶で自分の左手の手のひらを叩きながら、口角から唾液を零している竜祥の事を見下ろしていきつつ味深な声を発していた、「うふん~?」父親のまるでまだ自分に言葉を紡がせるチャンスを残してくれているような冷えているように思えてしまう眼差しと笑い声に、心臓を握り潰されているような気がしてならないでいる竜祥は必死に彼と距離を取りながら、自分の胸元から飛び出そうなぐらいに跳ねている心臓の鼓動を押さえようとする彼は強く左手で胸元を鷲掴みにしながら右手で自分の後ろにある床を頼っては、自分に引けるような道を探っていく彼は言う、「ファーストフードのお店に入って…!」忽然、汗ばんでいる手のひらにつられては濡らされている指先が当たっていた酷く硬く感じてしまう感覚に、口角が一瞬にして斜め下の方向に固定されていた竜祥は泣きながら自分を許そうと考えていないように近づいて来ている父親の顔を見上げては、震えている背中を後ろに引いていた、「人が食べかけていた奴でも食べてみたいって言っても…!」


  ”トー”宛ら自分に父親から逃げていないでちゃんと顔を合わせて全ての事を解決して来いと、言っているようなひんやりとした壁の感覚に体中の力を奪われては、父親の細めている瞼の中に秘められている殺気に自分はもう死んでしまうんだと達観してしまいそうな竜祥、「連れて貰えなかったのぉ…!」声が嗄れては上手く言葉を紡ぐことが出来なくなっている自分の体は、まるでまだ生きたがっているようにと軽く首を前に向けては、無言で自分の事を見下ろして来ている父親に大きく唇を開けていく竜祥、「信じてよぉ…!」強く右手を握っている竜祥は思わず脳が悲憤に焼かれているような思いに苛まれては、合掌したまま完全に自分を見捨てたと言っているようにとキッチンの天井に祈っている眼差しを投げていく母親の行動に失望を覚えては、自分は彼女の事を助けようと思っていたのにと、不満を覚えながらまだ死にたくないと思ってしまう竜祥は軽く右手にあるビールの瓶を下ろしている父親に向かっては、全身の力を振り絞っては叫んでいく、「お父さん…!」


  「ほほ…」竜祥の嗄れてはまるで床にある微かな黄色のビールを混じっていた空き瓶の欠片のような声色で、懸命に紡いだ言葉をぼんやりと耳にしていた父親、軽く顎を上げては納得していたような声色を上げていく彼は横目で竜祥の血走っている眼の中にある自分の事を見つめては、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「人様が食べかけていた奴を食おうと…」ゆっくりと膝裏を曲がっては歪んでいるように思えてしまう視界の中で、何とか竜祥の顔を見定めようとする父親は心と脳を支配しに来ている苛立ちを抑えながら、竜祥の事を睨んでいく、「そうつったよな?」


  屈んでくれている父親のまだ自分に話を聞いてくれるチャンスを残してくれていたことに、微かな希望を見いだしているような気がしている竜祥は大慌てで何度も首を縦に振っていき、「は、はい…!うちは貧乏だからと思って…」軽く鼻翼に力を入れては、顎を上げたまままるで自分がこれからどんな目に遭ってしまうのかを見届けようとするように、横目で自分の顔を見て来ては、自分に見られていることに気がつくと直ぐに視線を逸らしていた母親に憤怒を覚えてしまう竜祥は、急いでいるようにと嗄れてはまるで自分の体の奥まで殴り込んで来ていたような香の臭いに苦しめられながら、ぽつりと声を発していた、「それに浪費は良くないって…」床に付けてはまるで自分の背中に当てていたひんやりとした壁を壊したがっていたような右手を前に向けて行きつつ、胸元に当てていく竜祥は言う、「街のテレビの中にいるおねぇちゃんが言ってて…」


  頭が憤怒と恐怖に挟まれてはパンクしてしまいそうな気がしている竜祥は、父親のまるで自分の震えている体を貫こうとしているような眼差しに、上手く香の臭いに汚されている鼻腔で吸っている息を飲み込めないでいるような気がしている竜祥はつい父親から視線を逸らしては、自分の両足を冷やして来ていたような小汚い床を見下ろしてしまう彼はぽつりと唇を開けては、何とか父親に自分はいっぱい家のためを思って暮らして来ていた事を知らせては、せめて自分を殺さないで欲しいと願ってしまう竜祥、「だからファーストフードに食べかけていて…」


  鼻腔の中にある鼻水が香の臭いと混じり合っては、自分に上手く息を吸う権利を奪っているような気がしてしまう竜祥、「お客様がもういらないものを…」頭が割れているような気がしては、全力で酔っぱらっている父親にも分かれるようなシンプルな言葉を口にしないと、と思っている彼は言う、「ぼくが全部食べれたら…毎日幸せだなって…!」猛然と赤くなっている額に皺寄せては顎を、微かに顔を上げていた竜祥はまるで自分たちとは別の世界に住んでいるようなまでに、清々しい表情を浮かんでいる母親の事を睨みながら割れているような苦痛を与えて来る喉から声を絞り出していき、「お母さんに言ってたのにぃ…!」歯ぎしりしてしまう竜祥は何度も震えている鼻翼に力を入れては、父親は自分を殴ったり殺したするべきではなく、母親に家のお金は一体どこに使っていたのかを問い詰めてあげるべきなんだと、強く思っている彼は父親の顔を睨んでいた、「聞いてくれなかったのぉ…!」


  竜祥が紡いだ節約を通り越していたように感じてしまう一言に、目を半開きさせていた父親は両腕を膝にくっついたまま赤い瞳の中にある自分に向けては、ニヤリと右側の口角を上げてしまい、「そんな楽な人生が送れるっていける作戦を考えてたんか!」父親のまるで自分が考えていた完璧にも思えてしまうぐらいの計画を褒めてくれている一言に、見開かされては、思わずぱちくりしてしまう竜祥は大慌てで頷いて言う、「はいっ!!」


  竜祥の恐る恐ると自分の顔を見つめては、宛ら瞬きを忘れていたような彼の額からゆっくりと細い眉毛の間を通っていく冷や汗を見つめていく父親は歯ぎしりしながら猛然と左手を彼の頭に向かっていき。刹那、父親が自分に向けて来ていた左手にぶん殴られてしまわないかと、体を潰されてしまいそうな程の不安に襲われていた竜祥は思わずびくっと体を跳ねらせてしまい、「ううっ?!」


  強く竜祥の頭を握っては乱暴なまでに彼の頭を撫でていく父親は眉間に皺寄せながら彼の顔を睨んで言う、「どうして俺を呼ばなかったんだ!?」強く右手にあるビールの瓶を握ってはゆっくりと深い緑色の瓶の底を竜祥の顔に向けていく父親は、冷たい瓶の底で彼の頬を撫でているように言葉を紡いでいき、「俺もファーストフードのおねぇさんを見ながら人様の食べかけてを食ってみてぇってのにぃよぉ?!」父親が自分の視界を無理矢理変えて来ているようなぐらいに、強く自分の頭を握っては左右に振らして来ている行動に畏怖を覚えながら、彼の自分と一緒に考えていたお金をかからずにたらふくなまでにハンバーガーを食べれる作戦に応じてくれている事に嬉しく思いつつ、どうせ酔っぱらっている彼は目が覚めてしまうと自分との約束を覚えてくれるはずもないのだろうとと思ってしまう竜祥は、無理矢理口角を上げて行きながら声を発していく、「よ、呼びます…!」強く鼻翼に力を入れていく竜祥は自分の左頬の形を変えて来ているようなビールの瓶の底の感覚に苛まれつつ、引き攣っているように感じてしまう瞼を開けて行きながら、父親の事を潤んでいるの赤い瞳で映し出していく、「今でも呼びますから…!!」


  竜祥の本気で自分と一緒に人の食べかけていた物を食おうとしているように強く両手を握っている様に苛立ちを覚えては、猛然と両手を彼から離れていく父親は腕を組んでは、顎を上げていた、「馬鹿野郎!」さっきまで自分と楽しく人が残していたハンバーガーを食べにいこうと言ってくれていた父親が急に怒り出しては自分を叱って来ている一言に喉を鷲掴みにされているような気がしてならないでいる竜祥は、思わず間の抜けた声を発してしまい、「えっ?」


  腕を組んでは、右手にあるビールの瓶を左腕に当てていた父親は、横目で竜祥の事を見下ろして行きつつ大声で言葉を紡いでいき、「俺はな!」左手の親指を立てては自分の胸元に付けていく父親は、眉間に皺寄せながらぼんやりと唇を開けたまま自分の顔を見上げては、自分に合わせてくれているようにと頷いてくれている竜祥を睨んで言う、「プライドってもんがあんだ!」父親が自分に向けて来ている一言に困らされては思わずぱちくりしてしまう竜祥はつい小首を傾げて見たくなっては、激昂になっている父親の機嫌をこれ以上損なってしまうと、自分には命の危機が訪れてしまうと考えている竜祥はぼんやりと後頭部を壁につけたまま、アルコールに操られては、舌が太くなれているように上手く滑舌出来ずにいる父親の定かではない視線で自分を見ながら、左手の人差し指で自分を指差して来ている様を見ては、ごくりと固唾を飲み込んでいた。

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