第122話痛いの痛いの…飛んでけ~

  ”ドクンー”忽然、春菜が口にしていた残念そうな口調で紡いだ一言に心臓を殴られては、思わず強く歯を噛んでしまう野黒新、悔しさに駆り立てられては強く両手を握っては何とかもう助けそうにないと知りながら、春菜のことを救おうと思っている、「ううう…!」必死に両手で体を支えては起き上がろうとする野黒新の頑張ってくれている姿に口角を上げられては、口角にあるひんやりとしては微かに粘っているような黄ばんでいた液体に目を細められ、まるで自分のことを助けようとしているようにと頑張っている野黒新にもう頑張らなくだっていいのよと言いたくなっている春菜。


  両腕が痙攣してはまるで自分から離れていく春菜の温かい両手に、彼女は自分のことを見捨てていたようにと感じてしまう野黒新、「うっ…!」刹那、震えているような右腕が折れているようにと曲がっては体が内側に向かって滑っているようにと感じている野黒新、ぼんやりと歯を強く噛んでしまう彼は自分の顔を見下ろして来ている星空に視界を奪われては、ぼんやりと後頭部を後ろに向けていた。


  忽然、呆然と自分の両足の上に向かってぶつけて来ているような野黒新の体の感覚に口角を上げられては、彼の体を支えられていた事を思ってしまうと、思わず幸せそうな笑みを浮かべてしまう春菜、「えへへ…」軽く両手で彼の繊細な頬を擦っていく春菜は悔しそうにと潤んでいる琥珀色の瞳で自分のことを見上げてくれている野黒新に向けて、ぽつりと弱っている声色で言葉を紡いでいき、「ごめんね新…あなたと…」自分の内心で考えている言葉を自分が大好きな野黒新に言う日が来るのはあまりにも唐突過ぎていたように思えては、自分がちゃんと彼に言いたいことを全部言えるのは幸せにも思えてしまう春菜、「一緒に人生を最後まで過ごせないってことぐらいは…」視界が霞んでは、まるで自分が紡いだ一言に苦しめられているように震えている心臓に、悲しまされている春菜。


  春菜が自分に向けて来ていた一言に口角を斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしてしまっては、思わず悶絶してしまいそうなぐらいに苦しんでいる泣き声を上げていく野黒新、「うう…」ぼんやりと上手く完全に開ける事が出来なくなっていた瞼に攻められつつ、瞼に文句を言いたくなっている春菜は優しく野黒新の額を撫でて行きつつ、ぽつりと呟いてしまい、「とっくの昔で…初めてあなたと会った時から…」”ピチャー”まったりと自分の顎から滴り落ちては野黒新の生き血に汚されていた頬に当てていく涙の粒に苦笑いしてしまう春菜、胸元が悲しみと苦しみに鷲掴みにされているような気がしている彼女は、苦しそうにと小刻みに首を横に向けて振りながら声を上げている野黒新のまるで自分が紡ごうとする言葉を拒絶しているような姿勢をぼんやりと見ながら、ぽつりと声を発していき、「知ってたのにな…」


  「うぐ…」胸元が苦しみに跳ねらされていたような気がしてしまっては、自分が上手く春菜のことを守れなかったことを思うと、涙がまるで奔流と化していたかのようにと目尻から滴り落ちては、耳鳴りが止まないでいる耳元を撫でていき、「ううう…」「でも…」ぼんやりと渇いた唇を開けては自分の体の温度を奪っていく空気を吸い込んでしまう春菜は涙を零して行きつつ、微かに震えているような唇を開けてしまい、「やっぱり…欲張りには…」悲しみに口角を斜め下の方向に向けて固定されているようにと感じている彼女は、丁寧に両手で顔が震えているような野黒新を撫でて行きつつ、自嘲気味に笑っていき、「ろくな目に遭わされないや…」苦しそうな呻吟の声を漏らしながら何度も首を横に振っている野黒新の赤くなっている頬と目尻にある涙に微笑んでしまう春菜、「こんなにもあなたと一緒にいたいと…思ってしまう私に…」両手が段々冷たくなっていく実感と、声を発するのが尋常じゃないぐらいに辛く感じてしまう春菜は、充血していた琥珀色の瞳の中にある星々と自分の姿をぼんやりと眺めて行きつつ、星がやけに綺麗に感じてしまう彼女は軽く口角を上げてはぽつりと呟いていた、「罰を下して来たなのかな…神様は…」


  「うう…」喉が痙攣しては口内で広がっていく鉄さびの味に苦しめられている野黒新は、震えているような右手を春菜に向けて上げては何とか彼女の頬にある粘っていたような液体と涙を拭いで行こうと考えてはぽつりと唇を開けていき、「うが…」唾液と赤い液体が混じり合っては彼の口角から滴り落ちていく様をぼんやりと眺めて行きつつ、視界がやけに曖昧になっているようにと感じている春菜、瞼を完全に開ける事が出来なくなっている彼女は自分はもう野黒新と大して話が出来なくなってしまうと思うと、微かに残念に思えては、辛そうにと鼻を啜っていた。


  忽然、宛ら絶望なまでに冷酷な氷に抱かれているような自分を助けてに来てくれているように、自分の頬に当てて来ていたような温かい温度に眉毛を上げられている春菜、宛ら自分の視界を見逃してくれているようにと目の下を沿っていく温かい水滴の温度を感じながら、痙攣してはゆっくりと自分の頬に沿って自分の涙を拭いてくれている野黒新の土に汚されていた手をぼんやりと見ながら、宛ら涙を堪えようとする子供のように赤くなっている鼻翼に力を入れては、歯を噛みしめている野黒新の姿は少しばかり面白く感じてしまう春菜、「えへへ…でもね…?」楽しそうな笑みを浮かべてしまう春菜は自分が無理矢理受けられていた辱しめを振り切っては、人生の最期でいっぱい野黒新と話がしたいと強く思ってしまい、「満足してるんだ…あなたに…」まるで自分がぽつりと呟いていた一言に驚かされているようにと、自分の頬から手を引いていくような野黒新に目を凝らしていく春菜、「もう一度膝枕して上げられててさ…」


  春菜のまるで彼女の命の最期をここで迎えようとしていた一言に見開かされては、何度も小刻み首を横に振っていく野黒新、瞼が驚愕にこじ開けられては涙がとめどなく目尻を撫でていく彼はぼんやりと唇を開けては、春菜に簡単に諦めないでと懇願してみたくなってしまい、忽然、まるで自分の怯んでは逃げているようにと引いていく右手を逃さないぞと言いに来ているようにと、丁寧なまでに冷たくなっていたけれど、やけに柔らかく感じてしまう両手で自分の右手を包んでくれている春菜の自分に向けて寂しそうにと微笑んでは、ゆっくりと顎を上げていく様をぼんやりと見上げてしまう野黒新。


  「それに…」額を上げてしまうと、世界がまるで回っているようにと感じてしまう春菜はぼんやりと両手で掴んでいた野黒新の右手の温度を感じつつ、胸元の奥で段々弱くなっている心臓の鼓動のせいで、自分たちの体を見下ろしてくれているような満天の星々に苦しめられているような気がしてしまう春菜、「こんなにも…」自分の傍には野黒新がちゃんと存在していて、そして自分の弱っては上手く彼の右手を握る事すら出来なくなっている自分の代わりに、強く自分の左手を握ってくれている事に心が微かにくすぐられているような気がしてしまう春菜は、ゆっくりと潤んでは悲しみに満たされている緑色の瞳を小刻みに首を横に向けて振っている野黒新に向けていき、「綺麗な星空のもとなんだしさ…」


  「ううう…!」眉間に皺寄せては何度も体を跳ねらせようと考えている野黒新は地面で寝込んでいた左手をポケットに当てて行こうと考えては、上手く喋る事が出来なくなっていた自分の代わりに春菜にちゃんと救急車を呼んでから、通報して欲しいと切に願ってしまう彼は猛然と顎を上げては苦しそうにと自分に向けて微笑んでくれている春菜に言う、「ううがあ…!」


  「ああ…」野黒新の激昂になっている様に目を細められては彼はきっともう助けようのない自分に諦めないで、救急車を呼んだらまだ助かると言って来ているのであろうと思えては、ぼんやりと流し目で自分たちのことを囲んでいたような草原に目を向けていく春菜は自嘲気味に笑ってはぽつりと声を発してしまい、「そうだったわよね…通報…しないとだよね…」まるで自分がぽつりと漏らしていた一言を否定して来ているようにと何度も首を横に振っている野黒新の不器用な姿を目にすると、彼と離れ離れになりたくないと勝手に思ってしまう自分に悲しまされている春菜、「でも…もう私にあんまり時間が…」辺鄙な所に救急車が来たとしても、救急車が来る前に、自分のまるで地面に沈んでいるような体はきっと苦しんで来る寒風に完全に温度を奪われてしまうのであろうと思ってしまう春菜はぽつりと呟いていき、「残されていないみたいだからさ…」


  「うう!」左手を握りしめては硬直しているような体を跳ねらせていく野黒新は、自分が上手く紡げなかった言葉を勘違いしている春菜に向けては何度も首を横に振っていき、「うう!」「えへへ…」野黒新の激昂になっても自分の右手を強く握ろうとしないでいる事に自分は彼にどれだけ大切にされているのかを垣間見えているような気がしてしまっては、微笑んでしまう春菜は軽く左手で彼の額を撫でてしまい、「分かっているわよ…救急車を呼びなさいって…言ってたのでしょ…」上手く助けを求める事が出来ない野黒新の代わりに救急車を呼んで上げてから目を瞑るべきなんだとぼんやりと思いながら、人生を完全に野黒新と共に過ごす事が出来ない自分は、せめて人生の最期の時間を全てを子供の頃が夢見ていた綺麗な夜景を野黒新とだけで過ごしたいと、切に思ってしまう春菜は言う、「でもね…」何度も自分がぽつりと漏らしていた一言に頷いてくれている野黒新の本気で心配になってくれていると同時に不安に揺らされているような光を無くしていた琥珀色の瞳に目を細めてしまう春菜、「あんまり…心臓の鼓動を感じられなくなったりしてるんだから…もう…」上手く左手を上げる事すら出来なくなっている春菜は震えているような右手に軽く力を入れては、自分の右手を強く握ってくれている野黒新に向けて弱っている声色で言葉を紡いでいき、「無理っぽいや…」  


  春菜が無力な自分にかけてくれて来た一言に絶句されては、思わず強く歯を噛んでしまう野黒新、霞んでいく視界と痺れてはまるで脳内を侵して来ているような麻痺の痛みに苛まれてしまう彼はつい苦しそうな唸り声を上げていた、「うぐ…!」「ねぇ…」自分の意識と重力に挟まれているような瞼は強く震えているようにと感じてしまう春菜は、ぼんやりと野黒新の叱れていた子供のようにと涙を堪えようとしている姿勢に目を細めていき、「新…私ね…」悲しそうにと口角を斜め下の方向に向けて行きながら、自分のことを見上げてくれている野黒新の悲しみに満たされている眼と溢れている涙の粒に微笑んでいく春菜は彼のことを慰めるような言葉を紡いでいき、「満足してるんだから…」


  春菜がぽつりと漏らしていたような声色を耳にすると、何度も首を横に振っていく野黒新は強く充血している眼で彼女のことを睨んでは、必死に喉から嗄れていた声を絞り出していた、「うが!!」悲しそうにと涙を零しつつ、自分に向かって叫んで来ていた野黒新は間違いなく自分に、自分がさっきぼんやりと口にしていた一言は嘘だと言いに来ていたに違いないと思ってしまう春菜、「満足…」苦しみと悲しみに視界が霞んでしまう春菜は自分にはいつかは野黒新から離れてしまうことを知りながら、いつまでも今のような時間が訪れないでと願って来た彼女はぽつりと弱っている声を発していき、「しているのだからさ…私のように…」軽く首を横に振ってしまう春菜は人生の最期で野黒新が紡いだ言葉を聞こえなかった振りをするのは途轍もなく切なく思いつつ、自分の人生はここで終わりを告げては、ぼんやりと彼の左目を赤く染め上げていく傷跡と口角から生き血と唾液が混じり合っていた液体を垂れている姿勢を見ていく春菜、「ううん…私なんかより…」


  野黒新に不幸をさせてしまった自分にはやはり彼とのひと時を映画のようなロマンティックなワンシーンにするより、馬鹿なぐらいに正直な彼にちゃんと自分が死と向かっているようにと、ちゃんとこれから自分がいなくなってからのいつかの日で立ち直って欲しいと思い、口内で溜まっている唾液を飲み込む事が出来なくなっている彼女はぽつりと声を上げてしまい、「幸せになって…?」


  春菜が自分に投げて来ていた軽々とした一言に口角が斜め下の方向に向けて引っ張られては、自分には彼女のことを放っておいて自分だけが幸せな未来を迎える事が出来ないと強く思ってしまう野黒新、宛ら自分の思いを行動で春菜に伝わっていくかのようにと何度も首を横に振っていく野黒新は苦しそうな唸り声を発していた、「うううぐ…」野黒新が自分のお願いを強く断っている様に苛まれては、自分は彼が強く自分の願いを断っている以上に、彼と幸せになりたかったと言う思いを何度も一瞬だけを持っては、余命僅かな自分には野黒新の人生を阻んではならないと直ぐに自分に言い聞かせて来ていた過去の自分のことを思い出して行きつつ、軽く口角を上げないと、野黒新に自分は全てを納得していたことが伝わらないと思ってしまう春菜は無理矢理感覚を上手く感じる事ができずにいる口角を上げては声を発していた、「でないとあっちの世界では承知しないぞ…?」


  「うう…」顰めている眉毛はまるで春菜が自分に向けて来ていた一言に苦しめられているかのようにと戦慄しては、ぼんやりと首を横に振ってしまう野黒新は唇を開けては、自分にはまだまだたくさん春菜に伝えたい言葉があるはずなのに、彼女はもうすぐ自分の間近で、何もできない自分に見られたままでいなくなってしまうことを思うと、何も彼女に言えなくなっている口と同じように、まともに働いてくれないでいる頭はただ悲憤に苦しめられるがままに何も言えないでいる彼、「ううぐ…!!」


  宛ら自分が消えていなくなるのが怖がっているようにと強く両手で自分の右手を握ってくれている野黒新の仕草に、鼓動が止まっているようにも思えてしまう心が微かな温度を与えられては軽く鼓動を刻んでいるようにと思えてしまう春菜は霞んでいる視界で、自分がずっと見てきた琥珀色の瞳を見つめていき、「いいお嫁さんを見つけてね…」春菜が紡いだ言葉に心臓を刺されているような気がしてしまっては、涙が目の中から飛び出ているような気がしている野黒新、「ううっ…!」無力な自分の唇から漏れていた唸り声と口内で広がっていく激痛に苦しめられている野黒新は、思わず自分は少しずつ自分から離れ、あと少しで消えてなくなってしまう春菜に必死に行かないでと願う言葉すら紡げないでいる事に喉が力に引き裂かれているような気がしてしまっては、懸命に信じたことがない神に春菜を自分から連れていなかないでと願っている野黒新。


  「ごめんね…」霞んでいる視界の中で野黒新の左目にある傷跡と自分の最期に向けて言葉を紡ぐことすら出来なくなっていた彼の体を思ってしまうと、目を細めていた春菜は悲しそうにと鼻水を垂らしながらぼんやりと言葉を紡いでいき、「左目も口も…私が誘ってたせいで…」自分がいつ死んでしまうことに関してはとっくに納得していたはずなのに、自分が化け物たちに苦しめられていただけではなく、どうして野黒新にまで災難が訪れてしまうのかと悲しんでいる春菜は、苦しさに攻められながら涙を零していき、「こんな風になってて…」


  「ううう…」どうか自分から離れないでと切に願っている野黒新は自分の両手の中で段々弱くなっているようにと感じてしまう春菜の右手と彼女の温もりに、春菜は間もなく自分から離れては、二度と自分に微笑んでくれたり、話しかけてくれなくなってしまうことを思うと、目尻が火に焼かれているような気がしてしまっては、春菜が離れてしまうと、自分はどうなってしまうのかを思うと、いっそさっきの人影に殺された方がよっぽどましだと強く思っている野黒新、「うううう…!」


  自責しているようにと涙を零して行きつつ、まるで自分の顔が見えなくなるのが怖がっているようにと懸命に閉ざしてしまいそうな瞼を根性でこじ開けている野黒新の顔を見下ろして行きながら、淡い笑みを浮かべてしまう春菜、「うん…」軽く顎を引いては、野黒新が悲しんでいる姿を見てしまうと、段々彼から離れたくないと強く思ってしまう春菜、「全部…分かってるから…」自分には自分の運命を選ぶことが出来ないのが呪いのようにも思えては、軽く鼻翼に力を入れては鼻を啜っていく彼女、「ようやく…この日が来たわよね…」強張っているような左側の口角を上げていく春菜は眉間に皺寄せながら、ぼんやりと自分のことを見ては自分の唇から漏れている発音を聞き逃さないようにとしてくれている野黒新に微笑んでしまい、「これで日々いつかあなたから消えてなくなってしまうのかを…」心臓が止まっているような苦しさに攻められながら耳元で叫んでいるような蝉の群れに頭の芯を嬲られているような気がしてならないでいる春菜、ぼんやりと野黒新の顔を見下ろしてしまう彼女は自分には幽霊になってしまうのなら、自分にとってあまりにも大切過ぎる野黒新に纏いつかないことを祈りつつ、人生を振り返ってしまう彼女はようやく野黒新と一番の友人から少しだけ先の関係に目掛けて進もうと思っていた昨日までの自分と、今を交互に思ってしまうと、思わず自嘲気味に笑ってしまう彼女は言う、「怖がりながら眠らなくて済むわよね…?」


  春菜の唇から漏らしていた一言をぼんやりとしている耳で聞いてしまうと、彼女は人生今までどれだけ自分に不安を隠して来ていたのかを思うと、自分はどうしてもっともっと彼女を大事にしていなかったと強く思ってしまう野黒新、自責に心を満たされてはどれだけ春菜を守りたいと思っても、自分はどうしようもないぐらいに弱い奴なんだと思ってしまう彼、強く歯を噛んでいるせいで思わず顎を上げていく彼、赤くなっている喉元が強く鼓動を刻んでいる青筋を引き千切ろうとしているように力を入れていく野黒新は、自分を襲って来る怒涛のような苦しみに負けていたかのようにと声を発してしまい、「ううううがが…!」


  野黒新が自分の両足の上で暴れ回っている様をぼんやりと眺めては、自分にはもう残されていた他愛のない言葉を全部彼に聞かせる事が出来なくなっていたようにと思えてしまう春菜、「ねぇ、新…」左手を自分の右手から離れては自分たちのことを見守ってくれているような草の群れに付けていく野黒新の起きようとしている姿を見ながら、自分には一番大事な台詞を人生の最期で彼に言わないと行けないと思っている春菜、「子供の頃の…幼稚園の頃の…約束を…」体を地面に付けていた左手を頼っては、痺れているせいで上手く動くことが出来なくなっていた体を支えている野黒新のことを見つめていく春菜、「ちゃんと思い出してね…?」まるで自分が紡いだ言葉を上手く理解していないかのようにと濡れている血眼で自分の顔を見てくる野黒新に向けては軽くピンク色の口角を上げていく春菜は心の中にずっと秘められていた一言を、ようやく野黒新に向けて紡ぐ時が来れたことに喜んでは、屈託のない笑みを浮かべていく彼女、「私の…ヒーロー…?」


  ”ドクンー”「ああ…」春菜が自分に投げて来ていた言葉に顎を下に向けて引っ張られているようような気がしてならないでいる野黒新、絶句されては苦しそうな声を発してしまう彼はまるで何事もなかったかのように、自分に微笑んでくれている春菜の笑みに苦しめられているようにと何度も自分の目の前にいる今になっても自分の将来を考えてくれている女の子を無くしたくないと思い、「うう…」顎が痙攣しては宛ら鼻翼を挟んでいるかのような悲しみに皺寄せられている頬、額を下げては星々と月の光に照らされている春菜がまるで人生の灯台のように眩しく感じてしまう野黒新、必死に歯を噛んでしまう彼は思わず自分にとっての人生の道標である春菜を無くしてしまうと、自分はどうやってこれからの真っ暗な毎日を迎えたらいいのかと思っては、自分と春菜の運命を罵っているような彼を喉を引き千切ろうとするように叫んでいき、「ううが…!」


  「えへへ…」野黒新が何度も首を横に振りながら泣いている様を見てしまうと、彼はきっとまたしても一人になるのを怖がっているに違いないはずだと感じてしまう春菜、目を細めていた彼女は自分には彼のためにしてあげる事はもう大して残されていないかのようにと思いつつ、宛らもう自分に彼の泣き顔を見させてくれないでいるような頭はぼんやりと項垂れてしまう彼女は言う、「大丈夫だよ…あなたには…」ぼんやりとまるで自分の体を迎えて来ているような柔らかく感じてはやけに温かい真っ白な場所を感じつつ、ぽつりと呟いていく春菜、「あなただけのヒロインを見つけられることが出来るわ…きっと…」野黒新が上げている悶絶してしまいそうな泣き声を呆然と耳にしている春菜は、軽く眉毛を上げては何とか最後にもう一度だけちゃんと彼の顔を見たいと思ってしまい、「あなたにこんなにも酷い目に遭わせた私なんかよりずっと素敵な子にね…?」


  「うぐ…」春菜が自分に向けて来ている優しさに満ちている声色を耳にすると、何度も首を横に振っていく野黒新は誰よりも大事に守ってあげたい春菜を守れなかった自分にはヒーロー何てならないと思っては、痙攣しているような両手を上げては春菜の弱っては寒風に吹かれては倒れ込んでしまいそうな華奢な体を支えていき、「ううう…」「もう…」自分の肩に付けて来ている野黒新の両手をぼんやりと眺めては、体が後ろに向けて倒れているようにと感じてしまう春菜、「消えてなくなってしまいそうだわ…」宛ら喉から苦しい息を漏らしているような野黒新が悲しんでは上手く言葉を紡げなくなっている様をぼんやりと見てしまい、どうにか最期で傷を負って仕舞った彼にしてあげたい事があると思ってしまう春菜。


  忽然、やけに軽く感じてしまう体には自分の思いに引かれているような力が微かに沸いて来ているような気がしてしまっては、自分の右手から離れていく懐かしく感じてしまう老人の頬に目を細めてしまう春菜は軽く口角を上げていき。突然、自分の真っ赤になっては悲しみに焼かれているような頬に触れて来ていたひんやりとした指先の微かに硬く感じてしまう感覚に見開かされている野黒新、自分と同じように驚かされているような涙は自分のぼんやりと霞んでいる視界を解放してくれているようにと、光を無くしては微かに夜空に黒く染められているような瞳で燦爛な笑みを浮かべている春菜のことを映し出していく野黒新。


  右手を野黒新の生き血に汚されていた口角に添えていく春菜は微笑みながらぽつりと渇いた唇を開けていき、「痛いの痛いの…」宛ら自分が紡いでいる言葉に操られているようにと何度も首を横に振っていく彼に目を細めて行きつつ、自分が彼の声を代わってあげたらと思ってしまう春菜は微笑んでいき、「飛んでけ~」まるで無邪気な子供のようにと人差し指を立てては空の彼方へ向かっていた春菜の言葉と行動に見開かされては、心臓が強く突き刺さられているような気がしている野黒新、「うぐっ…!!」


  「えへへ…」苦しそうな唸り声を発していた野黒新の驚かされている表情に納得しているようにと微笑んでは、右手に宿っていた力が段々弱くなっているような気がしてしまっては、視界が瞬く間に黒くなっているようにと感じてしまう春菜、「愛して…たわよ…」体が後ろに向けて引っ張られているように思えては、野黒新の声が微かも聞こえなくなっているような気がしている春菜は、彼に自分は大丈夫だと教えてあげたいと思いつつ、淡い笑みを浮かべたまま呟いていた、「野黒新君…」


  まるで自分から春菜を奪おうとしているようにと彼女の繊細な体を後ろに向けて引いていく寒風に苛立ちを覚えている野黒新、「ううう…!」急いでいるようにと痺れている両足で地面を擦っては大慌てで両手で春菜の体を抱えていく野黒新は、喉から嗄れている息が漏らしていた、「うああが…!!」上手く内心で迸る苦しみと悲しみを声に乗せる事が出来ずにいる彼、「うああがあああ…!」


  脳が炸裂しているような気がしてしまっては自分が強く抱えている体の中にはもう春菜がなくなっていたと脳が勝手に思ってしまう野黒新、まるで鼻翼を引き千切ろうとしているように力を入れていく彼は痛く感じてしまう喉を気にする事、強く春菜の体を抱えたまま頬を彼女の黄ばんでいた液体に汚されていた紅の髪の毛に付けていき、「うがああああああああああ!!」春菜が自分に抱かれているせいで自分の胸元に付けて来る柔らかい感覚の中には、微かの鼓動も感じる事が出来ずにいる事に否応なしに春菜はもう自分から離れていたことを知らせて来ている野黒新、「うがああああああああああ!」猛然と顎を上げては自分のことを見下ろして来る星空を睨んでいく野黒新は強く春菜に、もう少し息を漏らしては、自分の左頬に当てて欲しいと願っている野黒新、体がまるで心臓と化しては春菜の代わりに鼓動を刻んでいるような気がしてしまう野黒新、強く両膝で地面を叩いては体を跳ねらせている野黒新は眩暈を覚えては、まるで自分から春菜を剥がせているような苦しみに倒されてしまいそうな気がしてしまっては、もう言葉を紡ぐ事が出来ない喉で体を満たして来る悲憤を叫んでいた、「うあああがあああああああああ!」


  

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