第90話信じてるんだ、私のヒーローが必ず助けてくれるって。

  春菜がお茶目なまでに流し目で自分のことを見て来ている眼差しに目を細めては、屈託のない笑みを見せてくれている彼女に負けていたような気がしてしまう和流はぼんやりと彼女の両足に視線を落とされては、自分の左手にある缶ジュースを見下ろして、照れくさそうに声を発していた、「いい奴だな、お前。」和流が自分のことを褒めてくれている言葉に淡い笑みを浮かべて、軽く両手を太股に置いていく春菜は言う、「そりゃあどうも。」


  「お前も…新も、」ぼんやりと両手で缶ジュースを抱えては、強く濁っているような空気を吸い込んでしまう和流、自分のことに気を遣ってくれている自分の友人たちの事を思ってしまうと、感動を覚えている彼は呆然と唇を開けていき、「そして…」言いづらそうにと白い歯を噛んでは、鼻翼に力を入れてしまう彼はぽつりと声を発していた、「あいつもだ。」宛ら和流が紡ぐ言葉に賛同しているようにと何度も首を縦に振っていく春菜は微笑みながら目を細めてしまい、「皆いい人ばっかりだもんね、」俯いてしまいそうな彼女はチラッと和流の横顔を見ては、軽く右手で自分の唇を隠しつつ声を発している、「ちゃっかりと私もいれたりしてさ?」


  春菜が自分に向けて来る冗談交じりの言葉に口角を上げられているような気がしてしまう和流は、まったりと太股の間にある缶ジュースから彼女に目を向けていき、「お前も十分いい奴だよ、」目を細めてしまう彼はぼんやりと遠くにある巨大な建物に一瞥しては、横目で春菜に好奇心に満ちている眼差しを向けていく彼は言う、「あのグッズが目当てでこのイベントに来ていたのでは?」


  和流が自分に向けて来ている一言に目を細めては軽く口角を上げていく春菜は、ぼんやりと灰色の雲に包まれていたかのような空を見上げながら微笑んで言う、「まぁ、そうだけれどね?」春菜のぼんやりと空を見上げている姿に目を細めてしまう和流、軽く鼻翼に力を入れていく彼は自分の両手に握られていた缶ジュースを見下ろしてしまうと、春菜はわざわざ自分の為に欲しい物を手に入れなくなる可能性を背負ってまで、何とか自分の心を包んで来る暗闇から解放するために話しかけて来ていた事を思うと、ちゃんと彼女に説明しないのが申し訳なく思えては、横目で軽く両手を握っては自分がちゃんと全ての事を打ち明けるまでは帰ろうとしないでいる春菜に苦笑いしてしまう和流、「分かったよ、言うよ。」自分が観念していたような一言に見開かされている春菜の右手で軽く開けけている唇を隠している姿勢に目を半開きさせては、可笑しそうに笑ってしまう彼はぼんやりと顔を自分が掴んでいた缶ジュースに向けて行きながらぽつりと呟いていき、「いい奴程に悲しんで欲しくないのにな…」


  「大丈夫!」和流が自分の事を気にかけてくれている事に屈託のない笑みを見せていく春菜は強く両手を握っては胸元を彼に寄せていき、「物理的な心は弱いかもだけど、」猛然と前のめりになっている自分に驚かされているかのようにと細い眉毛を上げては、軽く体を自分から引いていく和流の瞳を見つめている春菜は屈託のない笑みを和流に見せて行きながら、左手を胸元に当ていき、「精神的はかなりタフなはずなんだから、」和流の自分が紡いだ言葉に戸惑っている姿勢に向けて、右手の親指を立てていく彼女は言葉を紡いでいき、「バランスが取っているのよ、神様は人を作り時は。」


  ぱちくりしながら春菜がやけに元気になれている姿に戸惑ってしまう和流、彼女は自分の病気の事を出しにしては楽しそうに微笑んでいる姿勢を理解できずにいる彼はぼんやりと彼女の顔を見つめてはぽつりと呟いていた、「バランスを…」春菜が口にしていた一言を振り返ってみると、つい彼女の理念を疑ってしまう和流は強く両手にある缶ジュースを握ってはぽつりと呟いていた、「取っているのかな…?」和流がぽつりと自分の唇から出ていた言葉について尋ねて来ている姿勢にぱちくりしてしまう春菜は、軽く右手の人差し指を頬に添えて行きながら言葉を紡いでしまい、「取っているんだと思うよ?」ぼんやりと視線を自分の胸元に向けていく彼女は、左手を胸元に当てては自嘲気味に口角を上げて切ない笑みを浮かべている、「少なくとも私にとっては。」


  「そうなのかな…」春菜が彼女の持論を信じ切っている姿勢に目を細めては、つい苦笑いしてしまう和流、軽く赤くなっている鼻翼に力を入れては、項垂れていく彼は急いで春菜に自分の悩みを言い終えないと、本当に台風が来てしまったらひ弱い彼女はきっと風邪を引いてしまうのだろうと思い、宛ら覚悟したようにと軽く歯を噛んでしまう彼は無理矢理自分が堅く閉ざしていた唇を開いてしまい、「あんまり人と話したがらない男と、」内心で考えている言葉を自分の声に乗せてしまうと、右手はまるで自分が唇にしていた対応に驚かされているかのようにビクッと跳ねては、強く手にある缶ジュースを握ってしまう和流は言う、「何もかも近所の人に言いたがる女性…」自分が紡いだ言葉に苦い笑みを浮かべる以外のことはできないような虚しさに心を占拠されているようにと感じてしまう彼は切なげに笑みを零しては、ぼんやりと自分の顔を見てくれている春菜の緑色の瞳を見つめて言う、「それは果たして本当にバランスを取っているのだろうか?」


  和流の悲しみに侵されている黄色の瞳に困っているようにと眉間に皺寄せてしまう春菜、腕を組んでは、戸惑っているようにと本気で彼が紡いだ二人の事を考えている彼女はぽつりと渇いた唇を開けてしまい、「丁度いいと思うけど…」和流の項垂れていく姿勢を目にしてしまうと、苦笑いしてしまう彼女は補足するようにと言葉を足して行き、「物事は一筋縄では行かないからね…」「ああ…」春菜が自分の顔を見ていたせいで急に彼女の持論を疑い始めているような言葉を口にしていることに苦笑いしては、自分はさぞ酷い表情をしていたのだろうと考えてしまう和流、「結構節約して小遣いを貯めている父と、」自分と顔を合わせようとしないでいる和流の唇から漏れていた一言に見開かされては、自分がコッソリと思っていたことが当たっていることに絶句されてしまう春菜、驚かされている彼女は思わず左手を上げては自分の唇を覆ってしまい。


  「買ってみたいものがあれば直ちに買って、」母親の意気揚々と自分たちに買っていた物を自慢しに来る様を思い返してしまうと、憂いに支配されているような口角は軽く上げては、思わず鼻で笑ってしまう和流は言葉を紡いでいき、「それで家に帰ってからはまともに使いそうにないものだと気づいても、返品しようとしない母。」和流の沈んでいるような口調から彼の家庭に何か遭っていたことを簡単に連想してしまう春菜、宛ら彼の悲しみに感染されていたような彼女は軽く繊細な鼻翼に力を入れては、俯いて行きながら自分の細い両腕を見下ろしていく、「うん…」


  「そりゃあ、」軽く蒸し暑い空気を吸い込んでしまう和流はまるで自分の体の中で粘っているような空気に苛立ちを覚えながら、引き攣っているような右側の口角を上げていきつつ憂いに満ちている眼を微かに額を下げていた春菜に向けていた、「まったく逆の二人は毎日のように言い争っちゃうよな。」和流が紡ぐ言葉を耳にしてしまうと、彼の両親に何かが遭っていたのかを分かっていたようにと感じてしまう春菜、軽く息を吸い込んでしまう彼女はぽつりと渇いた唇を開けてしまい、「そうなんだ。」


  「ええ…」春菜が上げていた平坦な声に心が救われているような気がしては、自分に何かしらの事が遭っていたのかと口にしていない彼女に、自分にちゃんと思いをどうやって言葉にすべきかと言う時間をくれていたようにと感じてしまう和流、「何よりのは、」俯いてしまう和流は胸元の奥からこみ上げて来ては、否応なしに鼻腔を殴って来る悲しみに悲憤を覚えてしまい、強く歯を噛んでいた彼は悔しそうに声を発している、「二人が身勝手なところは驚くぐらいに一致してんだよな…」


  和流が口にした言葉に戸惑っては思わず小首を傾げてしまう春菜は切なげに鼻翼に力を入れている彼の横顔を見ながら彼に尋ねてしまい、「どうかしたのかな?」視界が霞んでいるようにと見えてしまう和流はぼんやりと自分の体を包んで来るやけに分厚く感じてしまう暗い空から春菜に目を向けていく、「離婚してたんだ。」涙に囲まれている黄色の瞳をぼんやりと見ながら、両手を握って胸元に当てていきつつ、目を細めていく春菜、宛ら彼に負い目を感じているようにと視線を地面に向けていく彼女は切なげに頷いて言う、、「うん…」


  「俺に内緒でさ?」可笑しそうに右側の口角を上げてしまう和流が理不尽なまでに勝手な両親の事を思い出してしまうと、悲憤に胸元の奥を満たされているようにと感じてしまう彼は自分がいつの間にか強く握っていた缶ジュースを見下ろしながら言葉を紡いだ、「高校の入学試験に響いて欲しくないつってさ…」悔しさに脳を支配されているような気がしている彼は歯をかみしめては喉から戦慄しているような声を上げていき、「勝手過ぎるにも程があるだろうが…」


  和流の泣き出してしまいそうな姿勢に細い眉毛をひそめてしまう春菜、彼の悩みを耳にしてしまうと、道理彼は悩みを自分たちに教えようとしなかったと思えている彼女、「そう…」軽く両手を握ってしまう彼女は何とか和流を親が自分に黙って離婚していた闇から抜け出す方法を彼と一緒に考えようと思いつつぽつりと呟いていく、「だったんだね。」「ええ…」春菜のやはり自分の悲しみにつられて項垂れている姿に目を細めてしまう和流、悲憤に歯を噛んでしまう彼は春菜の悲しむ表情を見たくないと思うと同時に、彼女に自分が泣き出してしまいそうな姿を見られたくないと切に思ってしまう彼は自分の太股の間にある缶ジュースを見下ろしていきつつ、ぽつりと声を発している、「解決できそうにない問題なんだろう?」

  

  チラッと和流の悲しみに攻められているせいで紅潮している頬に一瞥した春菜は軽く右手を握っては勇気を振り絞っているようにと彼に尋ねていき、「高校は…遠くに行ってしまうのかな?」春菜のまるで自分に質問を尋ねて来るのを畏怖しているような姿に軽く笑ってしまう和流、「出来れば、」鼻声になっている彼は鼻翼に力を入れて行きつつ鼻を啜って、何とか涙を堪えようとしている、「お前らと一緒の高校に行きたいって…」歯を噛んでは胸元の奥から脳に向かって来る怒涛のような悲しみに打ちひしがれてしまいそうな気がしてしまう和流は、小刻みに首を横に振りながら、いつ心臓病が発作しても分からないのに健気に元気いっぱいで生きて来た春菜の前では、このぐらいの事で涙を零してはダサいと強く思っている、「親父に言ってたよ…」無理矢理引き攣っているような右側の口角を上げていく彼は何とか自分の悲しみから目を逸らして行こうと思いつつ春菜に言う、「屋敷の方は彼のものになってるからな…」


  「そう…なんだ。」和流が必死に涙を堪えようとしている姿勢に居たたまれない気持ちになってしまう春菜、軽く歯を噛んでしまう彼女はもし自分が彼から逃げ出したりして仕舞ったら、ようやく誰かに心を開いていた彼は心の扉を閉ざしては二度と開こうとしなくなってしまうのだろうと思い、左手はまるで彼の戦慄しているような右肩に引かれているようにと伸ばしていく春菜。無言で自分の事を慰めて来ているようにと軽く左手で自分の肩を擦ってくれている春菜に目を向けていく和流、「勝手だろう…?」引き攣っているような右側の口角を上げていく彼は涙に姿が隠されているような春菜の存在を見つめながらぽつりと声を発していた、「俺の両親は。」


  「少しは…」和流の事をどうやって慰めたらいいのかと考えながら、下手に彼の気持ちを分かっているよと、他人である自分には言ってはいけないような気がしている春菜は軽く彼の右肩から左手を引いて行きながらぽつりと呟いていた、「そうなのかもしれないわね。」「少し…じゃないんだ…」春菜が自分のことに気を遣ってくれている一言に苦い笑みを浮かべる以外の事が出来なくなっているような気がしてしまう和流、「俺は時々思うんだ、」目を細めては軽く息を吸い込んでしまう彼はぼんやりと自分の両足を見下ろしていきつつ言葉を紡いでいく、「親ってなんだって。」苦しそうに歯を噛んでしまう彼は鼻翼に力を入れては、何とか激昂になっている心境を沈んで行こうと思い、「喧嘩しているばっかりで、」両親は自分のことを取り付く悪夢のように思えてしまう和流は、自分の思いは良くないと知りながらまるで自分脳内を占拠しているようなダークな思いに苦しめられては歯を噛んでいた、「俺が聞こえそうにない場所を選んでくれるんだけど…」悲憤を抑えては、悲しみと一緒に投げ捨てたくなっている太股の間にある缶ジュースを戦慄しているような左手で自分の左側のベンチに置いては、軽く右手を上げて自分の目の下を撫でているような温かい感覚を抑えていく和流、「俺に気を遣ってくれているくせして…」強く鼻翼に力を入れては軽く背中を春菜に向けては彼女に自分が泣いている様を見られたくないと切に思っていた和流、「結構喧嘩をするんだよ…?」苦しそうに眉毛をひそめてしまう彼はぼんやりと左頬を撫でて来ているような涙の粒を感じながら、まるで黙々と自分の話を聞いてくれている存在である春菜に縋っているようにと彼女の顔を見つめていく彼は、右手で自分の赤くなっている額を擦りながら挫けているようにと弱音を吐いてしまい、「何なんだって話だよな…どうして…」歯を噛んでは、まるで心の防波堤を潰していたような涙を止めるすべを無くしている彼は苦しそうに視線を自分の太股に向けていた、「俺ばっかり…」


  ”ピター”まったりと宙を舞ては自分の体を受け止めてくれているアルミ缶に向かっていく透明な雫は自分の主人に心配そうな眼差しを向けている春菜の事を映し出しながら、まるで彼女のことを鼓舞しているようにと小さな花弁と散らしている。「それは…」和流の憂いに侵されているような空の代わりに傷心の涙を零している姿をぼんやりと見ながら軽く両手を握っては、太股をくっついていく春菜は軽く背筋を伸ばして行きながら、苦しそうに呻吟の声を漏らしている彼の横顔に一瞥していき、「新に弱音を吐けない理由になっているんだね。」


  「ああ…」心がまるで自分の体を撫でて来ているような春菜の優しさに満ちている声色に打ちひしがれては、自分に慈しみに満ちているような眼差し向けて来ていると同時に寂しそうな笑みを見せて来ている彼女に隠し事は出来なくなっているような和流、「相談相手はずっと欲しかった…」小刻みに首を横に向けて振ってしまう彼はまったりと背筋を伸ばしていきつつ、何とか自分の顔を見てくれている春菜の眼差しから逃げ出そうと思い、「ずっと欲しかったんだ…でも…」平然としている表情で自分の胸元の前を向けていたような春菜の、まるで自分が彼女に苦しそうに涙を零している姿を見せられたくないことを知れているように、自分の目を敢えて見ようとしないでいる様に、彼女の優しさに自分の冷め切っている心が温かい温度に包まれているような気分になれている和流、「うぐっ…」口角が感動と悲しみに挟まられては斜め下の方向に向けていた彼は猛然と両肘を太股に付けては倒れるようにと両手で目を押さえながら声を発していき、「白野に心配されたくないし…!」」泣き崩れているような和流のことを見つめては、悲しそうに目を細めている春菜は軽く左手を彼の震えているような背中に当てていきつつ、無言で彼の気持ちを慰めている。


  「新に自分の両親は離婚したって…」自分には誰かにどす黒い気持ちを吐き出すことをしたくないと思うと同時に、自分にはもうどうしようもなくなっているような思いに挟まれては、自分はどうすればいいのかが分からなくなっている和流は言う、「俺は辛いよつっても…」まるで自分の言うことを聞かなくなっているようにと春菜に何もかも言っている自分の口に苛立ちを覚えてしまう彼は苦しそうに戦慄している顎を上げて行きながら、眉をひそめては自分に淡い笑みを見せてくれている春菜に向けて言葉を紡いでいき、「両親を小学校の頃でなくしていたあいつはどう思ってしまう…?」


  和流の現実に打ちひしがれてはもう立ち直ることが出来なくなっている姿に目を細めてしまう春菜は軽く口角を上げて行きながら、右手を胸元に当ててしまい、「そこで、」和流に少しでも元気を分けてあげれるようにと軽く口角を上げている彼女は冗談交じりに言葉を紡いでしまい、「私が登場したわけなんだから。」春菜が自分の心のダークな気持ちを受け取ってくれると言ってきていた一言を耳にしてしまうと、つい彼女の右手に目を向けては、心臓病に困らせて来た彼女にも、自分は本当はめちゃくちゃ苦しい思いをしていて、毎日のように涙を流しながら眠りについて来たと言えないような気がしてしまう和流、「女の子に…」軽く鼻翼に力を入れてしまう彼は春菜に心臓病のことを思い出しては、彼女に悲しんで泣いて欲しくないと思いつつ、軽く鼻を啜ってしまう彼は彼女から顔を逸らして行きながらぽつりと呟いていた、「愚痴を言いたくなかったけどな…」


  和流の悔やんでいる姿に目を細めている春菜、軽く左手を彼の熱く感じてしまう背中から離れていく春菜はますます黒くなっているような空を見上げていきつつぽつりと声を発している、「ねぇ、秋人くん。」春菜が声にしていた平然としている言葉に戸惑っては、眉間に皺寄せてしまう和流は両手で急いでいるかのようにと涙を拭いて行きながら彼女の顔を見つめてしまい、「なんだ…?」軽く歯を噛んでしまう彼は自分が泣いている姿を見えていた春菜に意地悪をするようにと声を発していき、「解決できるのか…?」


  鼻声になっていた和流が自分に投げて来ていた一言に口角を上げられているような気がしてしまう春菜は、軽く右手を自分の強く鼓動を刻んでくれている胸元から離れて行きながら彼の顔を見ていき、「私ね?」鼻を啜っている和流はまったりと背筋を伸ばして行きつつまるで叱れていた子供のように左手の手の甲で鼻先にある粘っている透明な液体を拭いている姿勢に微笑んでいる春菜は言う、「ポジティブにも、マイナスにも、」涙を零すと、急いで拭いている和流はちゃんと元気になれて、暗闇から抜け出せるんだと思えている春菜は屈託のない笑みを彼に見せていきつつ声を発していく、「全ては定められていたことなんだって、思っちゃうんだ、」可笑しそうに右側の口角を上げていく春菜は軽く右手の人差し指を立てている、「人生って奴は。」

  

  春菜が自分が紡いだ言葉に向けて来ている変わっている返事に戸惑っては、ごくりと喉を焼いているような悲しみを冷やすようにと唾液飲み込んでいく和流は言う、「急に宗教の勧誘とかは止めてよ…」軽く鼻翼に力を入れてしまう彼は拗ねているようと唇を尖らせていき、「信じないから。」「ううん、」和流の子供のようにと向きになっている姿勢に口角がくすぐられているように思えている春菜は右手を胸元に当てたままで、軽く首を横に振って言う、「私だって、時々思っちゃうよ、」右手の手のひらにノックして来ているような胸元の奥の感覚を感じながら目を細めてしまう春菜、「どうして生まれつきで体が弱いんだって、」春菜が彼女の悩みについて語り始めていることに見開かされて、自分はともかく、彼女に泣かせて仕舞ったら野黒新に顔を向けないと強く思ってしまう和流、慌て始めている彼は思わず両手を上げては何とか春菜が言おうとしている言葉を止めようと思いつつ、彼女の緑色の瞳から漂って来る揺るぎない自信に戸惑ってしまう彼はつい眉をひそめては、ぼんやりと両手を下ろしていき。


  「何で他の奴は元気なんだって…」ぽつりと自分の唇から漏れていた怒りのニュアンスが込められていた言葉に驚かされているようと、細い眉毛を上げている和流の顔を一瞥した春菜、「別に誰かに自分と同じように病気に煩わしい思いをして欲しいとか、」慌てて両手を左右に振らして行きながら背筋を伸ばしている春菜はあんぐり口を開けている和流に向けて説明しているような言葉を紡いでしまい、「そう言う事はないんだ、本当だよ?」


  春菜の一瞬、暗いオーラに包まれては、瞬く間に普段通りの彼女に戻っていることに安心感を覚えているような気がしている和流、「お前が誰かを呪う事を思ってたら…」苦笑いしてしまう彼は軽く右手の人差し指で鼻先を擦っては、彼女のことをからかっているような言葉を紡いでいき、「それこそ世界を疑っちまうぜ…」「えへへ…」和流が自分に言い聞かせて来ている一言に口角を上げられているように思えている春菜は微笑んでは黄色の瞳の中にある自分の事を見つめては言葉を紡いでいた、「嬉しい、ありがとうね。」春菜が素直に自分にお礼を言いに来ている姿勢に苦笑いしてしまう和流、軽く左手で後頭部を擦ってしまう彼はぼんやりと涙を零す素振りが見えないでいる春菜の顔を見つめてはぽつりと呟いていた、「どういたしまして…それで?」


  和流が自分が紡ぐ言葉の続きが気になってくれていることに微笑んでいく春菜は言う、「全てが、決められているんだと思うんだ。」自分が平坦な声で紡いだ言葉はやけに重たく感じている春菜はぼんやりと自分の胸元に目を向けていきつつ声を発していく、「私の病気が治るのも、治らないのも、」軽く右手で胸元の奥に過ってしまう不安を掴むようにとワンピースを握っていく彼女はぽつりと弱っている声を漏らしたいた、「それとも、治る前に事故に遭うのも。」


  さっきまで自分にポジティブに考えていこうと言っていた春菜が急に落ち込んでいるような言葉を紡いでいる事に、悲しみのせいで痺れている頭が殴られているような気がしてしまう和流はぼんやりとぱちくりながら彼女に尋ねていき、「ネガティブ過ぎるだろう…?」「ううん、」和流が自分に向けて来ていた一言を耳にしてしまうと、口角を上げては微笑んでく春菜は軽く右手の人差し指を立てながらぼんやりと潤んでいる黄色の瞳を自分に向けて来ている彼に言う、「先にマイナスの事を考えてから、」自分が発している声を真剣に聞きながら軽く鼻を啜ってしまう彼に気を遣っているようにと屈託のない笑みを彼に見せている春菜、「ポジティブな事を考える方が、」まったりと腕を組んでは宛らぱちくりしている彼に言い聞かせているような春菜は声を上げていた、「何か得する気分になれるからさ?」


  まるで自分が紡いだ言葉に納得していないかのようにとぱちくりながら、自分の顔を見て来ている和流に微笑んでは、右手の人差し指を引いていく春菜は目を細めて自分たちの足元にある地面に目を向けていき、「例えのなら、」和流の涙の粒に濡らされていた地面にある小さな深く見えてしまう点を見つめていく彼女は声を上げてしまい、「世界は急に神様が舞い降りてきて、」自分が紡いだ言葉は有り得ないだろうと思いつつ、自分の妄想のような話をしながら自嘲気味に笑ってしまう春菜は流し目でぼんやりとしている彼に一瞥しては声を発していた、「全ての人類を苦しみから解放するとかをさ?」


  春菜の本気で語っているような口調に呆気に取られては、思わず苦笑いしてしまう和流は軽く右手の手の甲で頬にくっついていたような涙を拭いて行きながら、ぽつりと飽きれているような声を発している、「ポジティブ過ぎてて、もはや酔狂や…」「えへへ…」和流のまるで自分が思っている事を代弁してくれていたような一言にからかわれていたかのようにと口角を上げてしまう春菜、「でも、」目を細めては、軽く左手を胸元に当ていく彼女は赤い糸に苦しめられている黄色の瞳の中にある自分の顔を見つめては、揺るぎない声を発していき、「信じてるんだ、私のヒーローが必ず助けてくれるって。」


  春菜が自分に見せて来る輝いているような緑色の瞳に目を細めては、あんぐり口を開けてしまいそうな和流は思わず彼女の嵐に殴られていたような小さな花弁のように、強かなまでに咲き誇れているような姿勢に心が引かれては、彼女の姿勢が憧れにも思えてしまう彼は軽く鼻翼に力を入れては、ぽつりと彼女に尋ねるような言葉を紡いでいき、「新の事なのか…?」「うん、」和流が自分に向けて来ていた疑問は答案のように思えては、迷わずに首を縦に振っていく春菜、「例え物理的に助ける事が無理だとしても、」胸元に左手を当てながらぼんやりと俯いてしまう春菜は脳内に過っていく野黒新の微笑んでくれていた姿勢に目を細めては、幸せそうな笑みを浮かべてしまい、「私のことを思って、行動してくれてて、」野黒新が今まで自分の為に黙々としてくれて来た事を思い返してしまうと、心の奥が温かくなれているような気がし始めている春菜は言う、「優しくしてくれてて、いっぱい…」元気に満ちていたはずの声が言葉を紡ぐたびに元気を無くしている姿をぼんやりと見ながら、宛ら童話のお姫様のように夢を語り始めているような春菜の幸せそうに口角を上げていると同時に、地面に向けていく悲しみと寂しさを漂わせているような眼差しに目を細めていく和流は軽く歯を噛んでは、唾液を飲み込んでいきつつ黙々と彼女が紡いでいる話を耳にしている。

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