第53話俺は犬が大っ嫌いだぁー!

  「馬鹿野郎!」宛ら自分の目から飛び出そうな眼を、涙目になってはぼんやりと自分のことを見て来ている男の子に付けてしまいそうなお父様は彼の事を睨んでは迷わずに強く右手で彼のダークグレーの髪の毛を鷲掴みにしながら叫ぶように声を発していた、「何うちの嫁を怒らせてんだ!こん畜生が喧嘩を売ってんのかー!?」お父様の真っ赤になっている頬とやけに自分の身体の芯に届いて来ている、まるで自分の事を飲み込もうとしているような怒りに視界が真っ黒にされていた男の子は思わずビクッと肩を跳ねらせていた、「う…!」


  目を細めてはお父様に叩かれていたと彼に大きな声で叱れているせいでまるでどうやって泣くのかを忘れてしまったかのようにぼんやりと右頬を押さえている男の子の事を見下ろしていた巨漢、「こらこら!」腕を組んでしまう彼は不満そうに自分に視線を向けて来ているお父様に向けては眉をひそめてしまい、「パパ?子供にはちゃんと学ぶことに時間がかかってしまうものなんだから、」軽く両手を背中を自分に向けていた男の子の肩に置いてしまう巨漢は微笑みながらゆっくりと呆然と涙目になっては耳鳴りに苛まれている男の子の耳元まで上半身をくっついて行きながらニヤリと口角を上げてしまい、「ゆっくりしてあげて?」


  巨漢が紡いだ言葉を聞いていたおかげでまるで自分の今回だけは見逃してやろうと言っているかのように腕を組んでは、不服そうに鼻翼に力を入れつつ強く息を吐き出しているお父様を見てしまう男の子、軽く歯を噛んでいた彼はこの二人に引き取って貰うのなら、これから毎日のようにこんな日々を送らないといけないのかと思ってはつい悲しそうに唸り声を上げてしまいそうになっている彼は懇願しているような眼差しを院長に向けて行きながら、何とか彼に自分の事を助けてもらいたいと切に思ってしまう男の子。


  ぼんやりと空を見上げてはまるで自分がさっき遭っていた事を見えていないし、自分の赤くなっては腫れている右頬とお父様の右手の間から発していた大きな音も聞こえなかったと言ってきているかのように両手を背中に当てている院長の事を褐色の瞳で映し出している男の子、「ううう…」男の子のようやく自分を怒らせてしまうと、ひどい目に遭ってしまう事を理解したかのように唸り声を上げている姿が途轍もなく可愛く見えては、ニヤリと右側の口角を上げてしまう巨漢は言う、「ほら、泣かないで鷹くん~?」軽く左手を彼の華奢な左肩に沿っては彼の幼い頬を撫でてしまう巨漢は流し目で彼の幼気な顔を見つめている。


  涙目になっては苦しそうに肩を縮めている鷹泰呂の目尻にある涙の粒を見てしまうと、つい彼の代わりに舌で舐め取ってやろうと考えてしまう巨漢は自分にはついに面白い玩具を手に入れることが出来たと思っては嬉しそうに口角を上げては言葉を紡いでいく、「ふぐはね、魚の一種なんだ~」まるで自分とお父様の事を怖がっているかのように軽く両手を上げては、自分たちの事を交互に見ている鷹泰呂の赤くなっている右頬を見てしまうと、内心からこみ上げて来る衝動に負けてしまったかのような巨漢は迷わずに自分の分厚い唇を彼の右頬に近づいてしまい、「むうぁ~」


  ”ちゅっ”忽然、まるで巨大な蚊に刺されていた感覚に見開かされては、痺れている右頬が巨漢の唇にぶつけられては痺れているような痛みと彼の真っ赤な唇に苦しめられている鷹泰呂はつい眉をひそめてしまい、お父様の事を怖がっているせいで痙攣している両手を握りしめている彼はチラッと腕を組んでは、無言で自分の事を見下ろして来ている息遣いが荒くなっていたお父様に一瞥しては、巨漢の機嫌を損なって仕舞ったら自分の左頬も殴られてしまうと思っては、チラッとまるで自分たちとは別の世界で生きているかのようにまったりと空を跨ぐ雲を見上げている院長に目を向けていた鷹泰呂は、内心で院長のことを罵倒しながらお母さまに媚びているかのように引き攣っている右側の口角を上げようとしては、つい猛然と自分のことを殴って来ているかのような痛みに苦しめられては眉をひそめて仕舞った。


  無理矢理自分に笑顔を向けて来ようとしている鷹泰呂が徐々に自分のことを受け入れようとしている姿勢に軽く頷いては、嬉しそうに笑ってしまうお母さまは言う、「お家に帰ったら教えてあげるからさ?」「う、うん…」お母さまがお父様と違っていて、自分のことを殴って来ないでいる姿を見てしまうと、自分が上手く二人の家庭の中でやっていくにはお母さまと仲良くしないといけないのだと内心で考えてしまう鷹泰呂は恐る恐るとお母さまに向けては軽く頭を下げてしまい、「ありがとう…ございます…」鷹泰呂の鼻声になっている姿勢に目を細めてはつい彼のもっと苦しめられている姿を見て見たくなっているお母さまはチラッと視線を強く鼻翼に力を入れて、両手を握りしめているお父様に向けて行き、「お父さんはせっかちなんだけどさ?」ゆっくりと逞しい背筋を伸ばしているお母さまは悩んでいるかのように腕を組んでは、軽く左手を頬に当てては鷹泰呂のことを見下ろしている、「でもね、ちゃんと様付けで呼ばないと、」お母さまの分厚い唇から漏れているまるで自分に警告して来ているように沈んでいるような声色に心が鷲掴みにされては、心臓が握り潰されて仕舞いそうな苦痛を味わっている鷹泰呂は軽く歯を噛んでいた。


  鷹泰呂の自分のことを見上げてはごくりと固唾を飲み込んでいる姿に微笑んでしまうお母さまは流し目で彼のことを見ながら言葉を紡いで行き、「ちょっと酷い事をしてあげて~」軽く両手で自分の身体を抱えてしまうお母さまは体を震えさせながら声を発していた、「めちゃくちゃ気持ちよくしちゃうんだぞ~?」お母さまが自分に向けて来ていた一言が気になっては彼は自分に何をしてくれるのかが気になっている鷹泰呂、「酷いことなのに…」宛らお母さまのことを疑っているかのような鷹泰呂は戸惑いながら彼に尋ねてしまい、「気持ちいいの…?」


  チラッとお父様のまるで自分の言葉に賛同して来ているかのようにニヤリと口角を上げている姿に嬉しそうに笑っては、何度も首を縦に振ってしまうお母さまは言う、「うんうん~鷹くんが知りたいのならお家に帰るとすぐにでも知らせてあげちゃうぞ~?」軽く左手を伸ばしては彼の弱っている肩を掴んでしまうお母さまは提案しているかのように右手の人差し指を立てては言葉を紡いでいく、「何ならお母さまと一緒に女子トイレに行ってみたら~?」気持ちいい事をしてみたくなっている鷹泰呂は外見だけではなく、している行動も可笑しな二人には果たして自分に気持ちいい事をしてくれるのだろうかと疑っては、悩んでいるような声を上げている、「う…」


  「あ、あのですね!」まるで無理矢理鷹泰呂の身体を連れては、トイレはどこにいんだと聞きに来ているような鋭い眼差しと息遣いが荒くなっているお母さまのこと見てしまう院長、急いで二人のことを止めないとと思ってしまう院長は慌てて両手を上げては、自分が仕切っている場所の中では出来る限り客に売る商品に傷つけないでいたいと思っては困っているように左手でこめかみを掻いてしまう彼、チラッと自分の右側で自分と同じように三人のことを待ち構えていた三脚に一瞥しては、宛ら黒い三脚からヒントを貰えていたように思えてしまう彼は、まるで自分の事も鷹泰呂のように殴ってこようとしているお父様に一瞥してはつい彼から一歩を引いて、慌てているように両手を前に向けて出してしまう彼は言葉を紡いでいく、「一応、掟なので…孤児を引き取った後はちゃんと仲良く写真を取ってもらえないだろうか?」


  院長の目の前で佇んではまるで自分に返事を尋ねて来ているかのようなお父様の充血している眼を見てしまうお母さまは軽く左手を頬に当てては、ニヤリと右側の口角を上げて言う、「もう~嫌だな院長さんったら~」無理矢理自分の事を見上げて来ている鷹泰呂の肩を握っては、彼の身体を三脚に向けているお母さまは笑いながら言葉を紡いでいく、「そんなことがあったら早く言ってよ~」自分に苦笑いして来ている院長の困っている姿とゆっくりと自分に向けて歩いて来ているお父様から視線をぼんやりと自分の事を見て来ている鷹泰呂の幼い顔を目にしてしまうと、軽く分厚い唇を舐めてしまうお母さまは言う、「もう~鷹くんのお尻とおちーおっと~」軽く左手を唇に当てているお母さまは流し目で院長の強張っているような表情を見つめては声を上げてしまい、「人前では言えない事だもんね~」院長の強張っている表情を見つめているお母さまは右手を逞しい胸元に当てつつ左手の人差し指を立てては分厚い唇に当ててしまう彼は言う、「ワタシは淑女なんだもの~」


  お母さまが自分に向けて来ている一言に目を半開きさせては苦笑いしてしまう院長、チラッと仁王立ちしているお父様に一瞥した彼はお母さまの事を化け物だと内心で思っている言葉を素直に口にしてしまったら間違いなくぶん殴られてしまうのだろうと思いつつ、下手に警察を呼ぶのはまずいと思っては気まずそうに右手で後頭部を擦ってしまう彼は自分の事の返事を待ってきているかのようなお母さまの事を見てはつい苦笑いしてしまい、「あ、あはは…そ、それじゃ、撮影しますよ?」ゆっくりと視線をカメラに向けている彼は三脚で自分の事を三人から守っているかのように三脚の後ろに立っては軽く左手を上げて行き、「ち、チーズ~」ぼんやりと自分たちの向こう側にあるカメラと院長を見てしまう鷹泰呂、右頬の痺れに苦しめられている彼は自分には最早院長のもとへ戻る事は出来なくなってしまったと思っては、宛ら自嘲しているような彼は引き攣っている左側の口角を上げては右手の人差し指と中指を立ている。


  繊細な人差し指を立てては苦しそうな笑みを浮かべていた自分が、お母さまとお父様に挟まれていたような写真をぼんやりと見ている鷹泰呂、白いエプロンを着せられていた彼はぼんやりと両足を深い赤い色の床に付けては光を無くしていた褐色の瞳で棚に置かれていた家族写真を見つめては、チラッと自分の右側でソファーに座っては両足を白いサイドテーブルに付けていたお父様に紫色の痣が浮かんでいた頬を向けている。


  「ああ?」テレビに鼓膜を潰せる程の音を付けていたお父様は自分に充血している瞳を向けて来ていた鷹泰呂の眼差しに心臓が刺されていたような気がして、思わず不満そうな声を上げては、自分の声にビクッと体が跳ねてしまった彼の事を睨んでしまい、「なに見てんだ?」宛ら目から飛び出て仕舞いそうな充血している眼を何度見ても、お父様が自分に目を向けてきている姿に心臓が握り締められては苦しそうな思いに体を抱かれているような気がしてしまう鷹泰呂は、大慌てで首を横に振ってしまい、「な、何でもないです!」黄ばんだ白いパンツとエプロンしか着ていなかった彼は大慌てで合掌してはお父様に懇願しているように喉から震えている声を絞り出して行き、「すみません…!」


  ”パー”刹那、否応なしに自分の身体を連れては左側に向けて飛ばされている感覚に見開かされては体が浮いているような感覚に畏怖を植え付けられている鷹泰呂は、ぼんやりと自分の右頬が炸裂しているような苦痛に侵されながら強く床に向けては倒れ込んでしまい。「今のお前は犬だ!」左手を腰に当てているお父様は苦しそうに床に体を付けては唸り声を上げている鷹泰呂の事を睨みながら大きな声を上げていた。


  右頬がまるで石となっているかのように熱くなると同時に非常に硬くなっているようにと感じている鷹泰呂、痛みのせいで目頭は勝手に悲しい涙に触れられては、もし泣き出してしまったらお父様にこれ以上ずっと酷い目に遭わされてしまうんだと思っている鷹泰呂、お父様が自分に向けて来ていた侮辱の言葉を聞きながら恐る恐ると戦慄している両手を床に付けては、立ち上がってしまう彼、「は、はい…!」両足に力を入れることが出来ずにいる彼は慌てて両膝を床に付けてはお父さんに自分のことを許して欲しいと懇願している、「すみません…!ごめんなさい!」


  ”パー”裂帛の音が再び自分の痺れているようにと感じてしまう右手の手のひらと鷹泰呂の白皙の左頬の間から生まれては、自分に歯向かう事が出来ずにいる鷹泰呂は自分がしたいがままに自分の右手に飛ばされては、涙を抑えながら床に体を付けている姿を見下ろしているお父様、「犬は人間の言葉を喋れねぇだろうが!」猛然と右手の人差し指で床で縮めてはまるで自分の目の前から消えてなくなりたがっているような鷹泰呂のことを見下ろしているお父様は、彼が自分からのご飯を食べて来ただけではなく、自分に居場所を与えられていたことを思うと、自分に飼われて来た以上、自分がこいつのことをどうしたいのかは自分の勝手だと思っているお父様は顎を上げては、悲しそうに両手で見る見るうちに腫れいる頬を押さえている鷹泰呂のことを見下ろしては眉間に皺寄せていた、「それとも何か?!俺のことが犬だと言いたいのか?!」まるで自分が上げている大きな声とテレビから発している広告の声に責められては立ち上がる気になれなくなっている鷹泰呂の事を睨んでいるお父様は何度も大きな右手で自分の胸元にある汗に濡らされていた白いシャツを叩いては喧嘩を売るように叫んでいた、「犬の言葉を分かっちまう畜生だって言っているのか?!」そう言うとお父様は迷わずに左足を上げては鷹泰呂の足首を踏もうとしている。


  お父様の本気で自分のことを死ぬまで甚振ろうとしている姿に見開かされては、大慌てで両手を床に付けては急いでいるかのように左足を引いてしまい、何度も首を横に振ってしまう鷹泰呂はお父様の自分の事を許そうとしないでいる眼を見ながら声を上げて行き、「い、言ってません!」鷹泰呂が大人しく自分に踏まらせないでいる姿に苛立ちを覚えては、寝る場所も食べていたもの、そして着ている服もすべてが自分が与えていたのにまだ自分に歯向かう彼はとんでもないゴミ野郎だと思い込んでいる父親、歯ぎしりしてしまう彼は鷹泰呂の潤んでいる瞳を見れば見るほどに彼の事を最大限に苦しめては、ゆっくりと回復させて行きながら再び彼の事を死にたいと思うぐらいに苦しめてやろうと考えているお父様。


  ”トー”迷わずに赤い靴下を履いていた左足で白いスリッパを踏んでは鷹泰呂と自分の間にある距離を縮めていたお父様は強く歯を噛んでは鷹泰呂の自分の事を怖がっている姿を目で確認してしまうと、ニヤリと左側の口角を上げてしまう彼は左手がラケットになっているような気がしては鷹泰呂の頭はボールである事を確信してはテニスをやりたい気分になっている彼は迷わずにラケットを振っていった。


  ”パー”否応なしに自分の視界を無理矢理左側に向けられては自分の唇から飛び出て行った白いガムのような物が赤い雫を連れて離れて行く姿をぼんやりと見ながら、右頬が抉られては無くしているような苦しみを味わっている鷹泰呂、涙が激痛に追い詰められていたかのように目の中から飛び出ては、苦しそうに両手を床に付けては何とかバランスを保とうとしている鷹泰呂の事を見上げている。


  ”ピチャー”自分の唇に沿ってはまるで赤くなっている唇に飽きていたかのような赤い雫は自分の仲間を探していたかのように微かに黄色に包まれていた歯の隣り落ちて行った。呆然と自分の右耳から聞こえ来る尖っていた蝉の声に苛まれつつ、お父様は自分の事を何度も殴っていたせいで自分の歯が飛ばされていたと思っている鷹泰呂はついこのままだと歯より自分の命もお父様に殴られては地面に落ちてしまうんじゃないかと不安になっては自分は逃げるべきかと考えてしまう彼。


  「ぷぅっ?!」突然、猛然と右足の足裏と足首から脳を刺して来ているような尖っていた痛みに眉毛を上げられては苦しそうに歯を噛んでしまう鷹泰呂、自ずと喉元が伸ばしている彼は絶望を噛みしめながら悶絶してしまいそうな唸り声を上げている、「ううう…!」強く左足にある白いスリッパで鷹泰呂の華奢な右足を踏んでいたお父様は彼が上げている呻吟に興奮を覚えているかのように口角を上げながら彼の弱り切っている体を潰すかのような大きな声を上げてしまい、「だからワンワンと鳴け!」


  まるで自分に助けるチャンスを与えて来ているかのように自分の右足から足を引いていたお父様の情けに苛立ちを覚えつつ強く歯を噛んでしまう鷹泰呂は、子供である自分はここを無くしてしまったらもう行ける場所はないと思いながら切なげに涙を零しながら両手を床に付けていた、「うぐっ…!」犬の鳴き声を真似しようと思っていた彼はつい悲しみに先取りされては唸り声を上げてしまい、急いで左手を上げている彼は涙を拭いて行きながら早くお父様の機嫌を取らないと又しても殴られては、今度こそ失ってしまう物は歯だけじゃなくなってしまうんじゃないかと懸念している彼、「わ、ワンワン…」焦燥感と死にたくない思いに催促されている彼は急いで痙攣しているような繊細な喉から声を上げていた、「ワンワン…」鼻先からこぼれてしまう粘っている液体に苦しめられている鷹泰呂は歯を噛んでは、何度も声を上げたらお父様に少しでも自分に優しくして欲しいと切に思っては、寒さ故に鳥肌が立っていた両手を上げて、軽く唇を開けては舌を出している彼は無理矢理強張っている口角を上げては、腕を組んで自分の事を見下ろして来ているお父様に向けては吠えて行き、「ワンワンワンワン…!」


  ”パー”刹那、猛然と自分が上げていた鳴き声を止めては自分の身体をテレビの方向に向けて飛ばして来ていたお父様の逞しい左腕と、彼の狂ったかのように右手で黄ばんだシャツを掴んでは猛然と黒い毛に囲まれていた臍を意識が定かではない自分に見せて来ている姿に苦しめられている鷹泰呂。歯ぎしりしながら頬が怒りに支配されていたお父様は分厚い唇を裂いては天井を貫こうとしているような猛々しい声を上げて行った、「俺は犬が大っ嫌いだぁー!」


  お父様が自分に向けて来ていた言葉に自分を疑ってしまう程の絶望を覚えては、悲しそうに両手を床に付けては自分がどれだけ頑張ろうともお父様は、自分の事を嫌う言うよりただ自分の事を苦しめてみたいだけだという事を否応なしに理解されている鷹泰呂、ぼんやりと頬をひんやりとした床に付けていく彼は反抗を諦めているかのようにいっそお父様にこのまま殺されてしまった方がこれからは痛い目に遭うことなく済むはずだと思ってしまう彼はゆっくりと目を閉じては自分の身体を殴って来ているようなテレビから聞こえ来る大きな音と共にゆっくりと自分から離れてはまったりとソファーに座っていく荒くなっていた息遣いを聞きながら、今日はもうこれ以上自分の事を殴ってこないのだろうと神に祈りながらどうして子供は皆こんな苦しい毎日を送らないと行けないのかと疑問に思いつつ、お父様も子供の頃で自分と同じ目に遭って来たのだろうかと思ってしまう鷹泰呂。


  ”ダーダダー”忽然、まるでテレビが上げていた大きな音を割って来ているかのようなリズミカルな足音に眉間に皺寄せてしまう鷹泰呂、絶望に体中を侵食されては無力なまでに涙を流している彼は苦しそうに鼻を啜っては喉に通って行く温かい液体がやけに熱く感じてしまう彼は少しでも表情を作ってしまうと、お父様に殴られていた頬が尋常じゃない痛みを自分に与えて来ては自分の事を苦しめに来るはずだと思いつつ、宛ら希望に縋っているような彼は目を開けて、ぼんやりと自分の目の前まで歩いて来ていた赤いハイヒールと肌に生えていた黒い森のようなすね毛を呆然と見ながらゆっくりと体を右側に向けては視線を黒いシャツを着ては橙色の髪の毛を紫色の蝙蝠の髪飾りで飾り付けていたお母さまの事を見ていた。


  「あなたね、」満身創痍の鷹泰呂の白皙の背中にある紫色の痣を見てしまうとつい不満そうに分厚い唇を尖らせては、腕を組んでしまうお母さまは眉間に皺寄せながら顔をお父様に向けて行き、「また子供を殴ったのかえ?」宛ら自分の声にテレビが上げていた五月蠅い音にかき消されたくないとしているように右手でリモコンを握っては急いで音を下げているお父様の事を見つめてしまう母親は、軽く顎でもうこれ以上殴られる事はないのだろうと思ってはゆっくりと床から上がっている鷹泰呂の事を指しては言葉を紡いでいる、「子供はちゃんと愛でるものなんだよ?」


  お母さまに叱れて仕舞ったお父様は残念そうに項垂れてはぽつりと分厚い唇を開けては申し訳なさそうにお母さまに向けては声を上げていた、「すまん。」ぼんやりと足裏をひんやりとした床に付けている鷹泰呂、背筋を伸ばしてちゃんと立ってしまうとお父様の顰蹙を買っては又しても彼に叱れて、痛い目に遭わされてしまうと踏んでいる彼は屈んでは痣だらけの両手を軽く握ってはもう殴られたりしない事を切に祈っている。


  お父様のまるで叱れていた子供のように唇をすぼめては自分の事を見上げて来ている姿に向けて、軽く首を縦に振ってしまうお母さま、彼に屈託のない笑みを見せているお母さまは満足しているかのように右手の人差し指を立てては言葉を紡いで行き、「謝ればよろしい~」お母さまがいとも簡単に自分の事を殺そうとしているようなぐらいに殴って来ていたお父様の事を許していた事に不満を覚えながらもし声を発して仕舞ったら間違いなく二人に同時に責められてしまうと思っている鷹泰呂は軽く歯を噛んでは俯いていた。


  長いダークグレーの髪の毛に顔を隠されていたような鷹泰呂の狼狽な姿に目を向けてしまうお父様、彼の体中にある痣を見てしまうと、自分は少しばかりやり過ぎて仕舞ったと反省している彼は申し訳なさそうに右手を後頭部に当てては軽く口角と頭を上げている彼は嬉しそうにお母さまに向けては声を上げていた、「今度は手加減するよ。」父親の謝っていたはずなのにまだ自分の事を殴ろうとしている一言に見開かされては、自分の思考回路は可笑しいのだろうかと思ってしまう鷹泰呂は答えを求めているようにとお母さまの嬉しそうに笑っている表情に目を向けて行き。


  「うんうん~」ハイヒールで床を踏みながらまるで尖っていたヒールに慣れていないかのように両手を広がってはバランスを保っているお母さまはゆっくりとお父様のもとまで歩いて行っては軽く黒いオペラグローブを付けていた右手を伸ばして、お父様の髪の毛が生えていないつるつるの頭を撫でながら微笑んで行き、「流石はワタシの旦那様だわ~えへへのへ~」奇怪が笑い声を上げていると同時にお父様の事を褒めているお母さまの姿勢を目にしてしまうと、間接的に彼女はお父様が自分の事を痛めつけて来ていたことは間違ってはいないと認識してしまう鷹泰呂、胸元を貫いて来ているような衝撃に襲われている彼はもしかしたら子供は親に殴られては当たり前のような存在なのではないかと考えては、孤児院にいる時には先生から教われていなかったのは、皆が孤児院から出るのを怖がってしまうからなのではないかと考え始めている。


  お母さまの右手に頭を撫でられてしまうお父様は嬉しそうに口角を上げては、彼に甘えているように両手を伸ばしては軽く彼の腰を抱きしめては嬉しそうな笑い声を上げてしまい、「えへへへへへへ、」軽く薄い眉毛を上げているお父様は目から飛び出そうな充血している眼をお母さまに向けては子供のように声を上げて行き、「今度はこいつの右頬しか殴らないでやるよ。」自分の事を抱きしめて来ているお父様の事を宥めているかのように軽く彼の頭を撫でながら首を縦に振っているお母さまは言う、「うんうん、でも為には左頬にしてね?」軽く白い軍手を付けていた左手の人差し指を立てているお母さまはお父様の困っているような表情を見ながら言葉を紡いで行き、「神様が言ってたもの~」お母さまが嬉々とした口調でさりげなく紡いだ一言に見開かされては、つい絶句してしまう鷹泰呂は彼はこんなにも可笑しな格好をしているのに神様の言葉を受け取っていた事があるのかと思ってはついお母さまに祈りを捧げているかのように両手を握って、彼の横顔を見つめてしまい。


  「右頬を殴られたら右頬を殴って、」軽く軍手を付けていた左手の人差し指の指先で宙で円を掻いているようなお母さまは、ぼんやりと両手を太股に付けては真面目に自分の話を聞いて来ているお父様に言う、「右頬を殴ってから、更に右頬を殴って。」軽く両手を上げているお母さまが平然とした口調で自分の右頬を何度も殴ろうと言っている言葉に神様は何たる残酷なものなのかと思っては慌てて両手で疼く頬を隠すように押さえている鷹泰呂。


  ニヤリとを上げているお母さまは横目で鷹泰呂のリアクションを見てしまうと彼の事をからかっているように言葉を紡いでいた、「もう使い物にならない時は左頬にしなさいって~」「おお、」お母さまが自分に向けて説明しているような一言を耳にしてしまう思わず感動を覚えては、軽く両手を叩いてしまうお父様は言う、「流石は俺のお嫁さんだ、」ぼんやりとした表情でお母さまの事を見上げている彼は迷わずに右手の親指を立てていく、「とんだ博識博士だぜ。」

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