第二十七話 私が復讐する理由
その日、翔悟と葵さんは学校は来なかった。
○
私は病院のドアを開けた。
「こ、こんにちわ……」と恐る恐る言う玲。
ふーん、ほんとに記憶喪失みたい。
実際のところ、私は玲の母親から記憶喪失と聞いただけだ。
まぁ、一時的な記憶喪失だけど……。
「こんにちは、玲」と私は笑顔でニコッと言った。
そして、私は玲に近づいた。
「あなたは、私の……」
「親友……」
「親友!?」
「うん、大親友だよ。それも、幼馴染だし……忘れてるなんて……」
「ご、ごめんなさい……」
これは、チャンスね……。
今、彼女は優斗の存在も忘れている。
つまり、ここで優斗に悪い印象を与えれば優斗を嫌いになって優斗はそれによって、私を見てくれるはず……。
『なーんだ、こんなに簡単に優斗と付き合えるんだ』
私は玲の顎を右手で掴み……熱くキスをした。
「え………………」と耳まで赤くする玲。
「親友だもん。このくらいはね?」
「そ、そうなに私たちは仲が……」
「うん!」
私は玲のベッドに座り。
「なんで、玲は記憶を失ったか知ってる?」
「うんうん、それが……お母さんとお父さんが教えてくれないんです……」
「ふーん、そうなんだね」
ちょうどいいや、ここで優斗を使って玲から優斗を離れさせよう……。
ほんと、ありがとね玲。
「教えてほしい?」
「そ、それは……」
「なら、教えてあげるよ……もう時期来ると思うけど優斗っていう男子が君を無理矢理犯したんだよ?」
私がそう言うと玲はパッとしない顔で。
「それって……」
「そう、優斗って人が犯人♪」
「じゃぁ……」と震えている玲。
かわいい……ほんと、何も覚えたなくてかわいいなぁ……。
でも、私が優斗くんと付き合うためにはあなたという人間が邪魔なの……。
「そう……」
私は玲の顔を両手で固定して、玲を見つめながら……。
「どう? 優斗に復讐したくない?」
「で、でも、どうやって……」
ちょろいなぁ〜。
どうやら、たった一言でほんとに復讐する気でいるようだ。
まぁ、自分をこんな姿にした犯人だからそうなるのは普通だけど……本当の犯人は翔悟なんだけどね。
「そんなのは簡単。彼は言葉に弱いから強く攻めれば、多分復讐できるよ♪」
「そ、そうなんですか……」
「うん!! だって、彼は私が好きな人だもん。全部、知ってるよ!!」
「す、好き……?」と疑問そうな顔で言う玲。
「うん、私はこれで……じゃぁ」と私は病室を後にした。
あとは、玲が優斗との関係を自分から壊してくれる……。
これで、優斗の眼中から玲を消すことができて……私だけを見てくれるはず……。
そういえば……このLINE。
私はスマホを見ると新しい友達に『葵』という名前の人がいた。
トーク画面を開くと……。
『初めまして。夜空って可愛いよね』
バレバレだよ……つまんないなぁ……。
どうせ、翔悟からの命令でしょ?
考えればわかるよぉ。
『そう!? ありがと』
私はそう送るとLINEを消した。
そして……私の視界には……。
玲の母親がいた。
私は玲の母親に近づいて。
「こんにちは、鈴木さん」
「こんにちは……」と元気なさそうに言う玲の母親。
隈が酷いなぁ……まぁ、それもそうだよね。
「まだ、警察には……」
「言ってないです……言っていいのか、わからなくて……」と声を震わせながら言う玲の母親。
一応、病院側も警察に相談することを望んでいる。
でも、玲の母親はほんとに言うべきか悩んでいるようだ。
「なら、言わないでください。言ったら玲が目を覚ました時にいずらい雰囲気になってしまうので……」
まぁ、もう彼女は救いようがないけどね。
そして……証拠なら完全にあるけど、やっぱり優斗くんが復讐しないとモヤモヤが残るし……。
「親友である夜空さんが言うなら……あの子も……」
「はい♪」と私は笑顔で返事をして病院を出た。
玲だけじゃなくて、母親までバカなんだなぁ〜。
たしかに、玲は真面目でいい子だけど……翔悟とセフレだったもんな〜。
私、悪い子嫌い!!
私が外に出るとそこには、死んだ目をした翔悟が一人しょぼしょぼと歩いていた。
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