第二十一話 ヤらしてください
夜空さんがそう言うと場は凍った。
今、夜空さんは俺のことを「好き」って……。
俺は慌てて玲を見たが、玲も驚きを隠せられていないようだ。
まぁ、当然と言えば当然だ。
なんせ、夜空さんは俺と玲が付き合っていることを知っているのに俺に告白をしたからだ。
そして、凍りついた場で夜空さんの口は動いた。
「知っています……二人が付き合っていることは……でも、翔悟さんにいつ優斗くんに私が優斗くんのことが好きだと言うことを伝えられるのかわからないので、だったら自分で先に伝えておこうと思いまして……」とモジモジしながら言う夜空さん。
でも……ごめんよ、夜空さん。
「ありがとよ……俺も夜空さんみたいな綺麗な人にそう思われて嬉しい」
そう言うと少しぷんぷんとする玲。
「でもさ、俺は世界で一番好きな玲がいるんだ……だから……」
そう言うとニコッとする玲。
ごめんよ……夜空さん。
再度俺は心の中で強く謝った。
「うんうん、はぁ〜スッキリした〜」と両腕を伸ばす夜空さんはどこか寂しそうだった。
はぁ……なんだろ、この胸の痛みは……。
「ごめんね、玲……いきなり告白して……」
「うんうん、大丈夫だよ。こっちこそ、優斗と付き合っててごめんね……」とドヤ顔で言う玲。
「ドヤ顔〜」と笑う夜空さん。
まぁ、時期に止むか……。
それより、夜空……
しかし、さっきから、「良かった」という気持ちと「喪失感」が心の中で混ざって気持ち悪い……。
「じゃぁ、色々とあったけど楽しもうぜ!!」
そうだ、この素敵な時間を今日は楽しもうとしよう。
そして、俺たちは本来は四人用のボードゲームして三人で雑談をした。
一緒この時間が続いてほしい。
そんな気持ちでいっぱいだった。
翔悟には悪いけど……翔悟がいなくてよかった。
そんなことを思ってしまった。
「じゃぁ、優斗。おやすみ……」
「ああ」
「おやすみなさい! 優斗!」
そして、玲と夜空さんは女子部屋の中に消えていった。
今、「優斗」って……。
ぁあああ!! なんなんだよ、この気持ちはよ……。
玲を好きだという気持ちにそっくりな気持ちはよ!!
そんなモヤモヤを描きながら俺はベッドに座った。
はぁ……翔悟……。
なんで俺はあんなこと言っちまったんだろうな……。
あそこで俺が素直に謝ってればお前も一緒に遊べたのに……。
そして、なによりも夜空さんの告白が意外だった。
俺のこと好きなんだ……。
そして、俺は寝た。
○
次の日。
「じゃぁ、夜空さん。気をつけて……」と俺と玲は夜空さんに手を振った。
「はい、さようなら……」
今はキャンプが終わり帰りの途中だ。
「明日から学校やだなぁ……」
「うん……」
なによりも、翔悟と会うことが嫌だった。
なんせ、喧嘩したのだ。
もちろん、謝ってしまえば早い話なのだが……やはり、プライド的に謝りたくない。
「まぁ、玲がいるなら俺は学校好きだ……」
「ありがと!!」と笑顔で言う玲。
やっぱり、俺の彼女が玲でよかった。
そう心から思った。
「私ね……今度は二人でキャンプ行きたいなぁ……」
「ほんとだな!! 二人でキャンプして……そして、二人で旅行も!!」
「なにそれ! 楽しみ!! じゃぁね!」
「おう!」
気づけば玲の家の目の前だった。
「じゃぁね!」
「今度は」か……。
楽しみだな……玲とキャンプとか旅行……。
○
今日は両親が居ないはずなのに鍵が開いていたことを不安に思いながら玲は家の中へ入った。
(お母さん、鍵かけてよ……)
そして、玲はひとつの靴をみて察した。
(あいつなんでいるの?)
玲は急いで階段を駆け上がり自分の部屋のドアを開けた。
そこには、散らばった下着たち。
そして……。
「キャンプは楽しかったか? そりゃー楽しいよな?」と下着を嗅ぎながら言う翔悟。
「なんで……」
その場に両膝をつける玲。
「そりゃー、
「だから、私は……優斗と……」と声を震わせながら言う玲。
しかし、翔悟は玲にスマホの画面を見せた。
「そうか……なら、これを優斗に送っても良いんだな……」
「やめてください……」
「ん? 聞こえねーな……土下座して『やめてください』じゃなくて『ヤらしてくださいだろ?』」
(なんで、なんで……)
そして、玲は土下座をして「ヤらせてください」と玲は泣きながら言った。
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