第十七話

 コテージで各自のんびりとしていると、時刻は17時を過ぎていた。


「そろそろ火起こしでも始めるか……」

「そうだな……」


 俺はスマホでLINEを開いた。


『なぁ、玲。今から火起こしするんだけど、ここで翔悟と夜空さんを二人にする為に俺たちは食材の準備をするか……』

『わかった(^_^)』


 俺はスマホを切り。


「じゃぁ、俺と玲は食材の準備するからさ。翔悟は夜空さんと火起こし頼んで良いか?」

「まじで!? ありがとよ! じゃぁ、先に火起こししに外に行ってるわ!!」と部屋を出て行った。


 頑張ってくれ。

 きっと、翔悟なら上手くいける……。


 しかし、それとは裏腹にどこか寂しく感じた。


 俺は心の中で翔悟を応援して、部屋の扉を開けた。


 すると、それと同時に隣の玲と夜空さんの部屋の扉が開いた。


「「あ……」」


 そこから出てきたのは夜空さんだった。


 見た感じいつもより少し楽しそうな雰囲気だった。


 ……玲と仲良くしてるな。

 よかった。


「夜空さん? 翔悟と火起こし頼んでも良い?」

「わかりました……」とどこか嫌そうな顔で夜空さんは返事をした。


 やはり、少し恥ずかしいけど俺以外の男に心を許していないからか?

 きっとそうだよな……。


 背中を俺に向けて下を向きながら歩く夜空さん。


「あのさ……夜空さん……」


 夜空さんはピクッとその場で止まった。


「翔悟なんだけどさ……良いやつなんだよ……だからさ……そんなに思わないでくれ……。男はみんな悪いやつばかりじゃないんだ……」


 そう言うと夜空さんは何も言わずに歩いて行った。


 その姿に俺は嫌われたくない。

 そんなことを思ってしまった。


 きっと、俺は夜空さんなんてどうでもいい。

 ただ、嫌われたくない。

 

 そんな俺は"おかしいのだろうか?"

 

「ごめんよ……夜空さん……」


 気づけばそう呟いていた。


 すると、その言葉が聞こえたのか夜空さんの足は止まりこちらを振り向いた。


「うんうん! 謝ることないよ。私わかるもん……優斗が優しい人ってこと……だから、信じる。翔悟さんは良い人って……」


 夜空さんは笑顔でそう言うと火起こしをしに外に出て行った。


 なんだろ……この「どこか行かないで」と言わんばかりの気持ちは……。


 すると、もう一度カチャっと女子部屋の扉が開いた。

 玲だ。


「夜空ちゃんって素直で良い人だよね……私と違って(小声)」


 「私と違って」その言葉に違和感を感じる俺。


「お、玲か。だよな……翔悟と上手くいくかな?」

「いってほしいなぁ……」


 玲も応援してくれているんだ……頑張れよ、翔悟。


 そして、玲はボソッと「私の為にも上手くいってね」


 玲が言っていることが聞こえなかった。


「ん?」

「いや、頑張ってって……」

「そっか……」


 その後は俺と玲は冷蔵庫に入れておいた食材出して、台所で細かく切った。


 カタンカタンとまな板が包丁に当たりその音が、コテージ中に鳴り響く。


「ふふん。こうやって調理してると夫婦みたいだね」と玲は可愛らしく笑顔で言った。

「全くだな……ほんと……」


 とても天国の様な時間だ。

 いっそこのまま時間が止まってほしい。

 そんなことを考えてしまうほどだ。


 いつか、結婚して……毎日のようにこうやっていられたら良いな……。


「私、嬉しいな……優斗とこうやっていられて……これだけで後1000年は生きれそう……」

「それは生きすぎだろ……。でも、俺もそんくらい嬉しい……玲と付き合えてこうやっていられて……」

「ねぇ、キスしよ……」


 俺と玲は熱くキスをした。


「いつか、こうやって一緒に毎日過ごせたらいいなぁ〜」

「ほんとだな」


 そして、俺と玲は材料を切り終えてトレーに移して持って行った。


 持って行く途中に窓越しから二人の様子を見たが、少し夜空さんは緊張しつつも楽しそうにしていた。



「少し雨が降りそうだな……お待たせ……火の方は? ……」

「ん? 無事に着いたぜ……な、夜空さん」

「は、はい!」と少しあわあわとしている夜空さん。


 俺と玲は材料の入ったトレーを置き、夜空さんがバーべキューコンロの上に金属網を置いた。


「じゃぁ、焼くか……」


 こうして、俺たちは夜ご飯を食べた。


 そして、食べている時のことだったーー。


「なぁ、優斗?」と隣にいる翔悟が俺の耳元で。


「この後さ、食器洗いの時に夜空さんに告ろうと思ってんだ」

「はっ!? まじかよ……」


 たしかに、今日の夜が一番良いタイミングだ。


「しっー! 声が大きい……なぁ、だから。食器洗いは俺と夜空さんで頼む……」

「お、おう……それで、さっきのチャンスを活かせたか?」

「ああ、もちろんよ。しっかり、会話したし。夜空さんも笑ってた。あ、夜空さん見て!! 肉を食べる時の口の感じエロ……あれにフ○ラされてぇ〜」

「お、お前なぁ……」


 まぁ、上手く行ってそうだ……。

 それなら、良かった。


「ぁあー、緊張してきたぁー!!」

「頑張れよ!」


 そして、ご飯を食べ終えて片付けとなった。


「じゃぁ、俺と玲はここの片付けするからさ。翔悟と夜空さんは食器洗いをーー」

「え……優斗くん……」とボソッと言う夜空さん。

「じゃぁ、行くか……夜空さん……」

「あ、はい……」と困った顔をする夜空さん。

「じゃぁ……」と二人は食器洗いに行った。


 さっきの夜空さんはなんて言おうとしてたんだ?


「ねぇ、優斗?」

「ん? どうしたんだ?」

「今から、翔悟。告るの?」

「そうらしいぞ……早く片付けて見に行くか?」

「うん!」と玲は笑顔で言った。


 人の告白する時はとてもワクワクする。

 

 頑張れよ!! 翔悟……お前ならいける!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る