第十六話

 キャンプ場にて。


 翔悟は地面に両膝をつけた。


(お前のせいだ、お前のせいだ……全部お前のせいだ……。壊してやる、壊してやる……お前の大切なもの。全て壊してやる……)


 そして翔悟はニヤリと笑った。



 時は流れて二週間が経過した。


 そして、今日は……キャンプ当日だ。


 ここで翔悟は夜空さんに告白することになる。

 そのため、俺と玲はなるべく翔吾と夜空さんを二人っきりにさせる予定だ。

 そして、チャンスを作っ告白するそうだ。

 そうすれば、俺も玲と二人っきりになれるし一石二鳥だ。


 俺が駅に着いた頃にはすでに三人はいた。


「ごめんよ……」

「うんうん、私たちが少し早く来ちゃったからさ……」


 そうか、なら良かった。


「おはよ、夜空さん」

「おはようございます」と夜空さんは笑顔でニコッと言った。

「じゃぁ、行くか……」と翔吾はつまらなそうに言った。

「お、おう……」


 俺は視点を変えて玲と夜空さんを見た。


「それでさ………」

「本当ですか!?」と二人は仲良く話していた。


 よかった……正直心配だった。

 でも、玲にも仲良くしてもらうように頼んでおいてよかった。

 夜空さんにもたくさん楽しんでもらいたい。


 俺たちは電車に乗った時だったーー。


 俺は翔悟の耳元で。


「なぁ、翔悟。ほんとに告るのか?」と囁いた。


 すると、ビクッと翔悟は身体を動かした後。


「ああ。絶対に告白するよ。ゴムも持って来たしさあわよくばする予定だ」


 用意がいいというのか。

 とても、自信がある様だ。

 それは良かった。

 しかし……。


「一応言っておくけどさ。夜空さんってちょっと過去に色々とあってさ。少し男が嫌いっつーか……」


 俺なそう言うと翔悟はぶつぶつと。


「そんなの知ってるわ……うるせーな。お前は俺の為にしてれば良いんだよ。必要ねー情報は言うんじゃねぇ……」と言った。


 声が小さすぎて聞き取れなかった。

 少し翔悟はイライラしている。

 そう感じた。


「ん?」

「いや、ありがとよ」

「まぁ、親友だしな!!」

「そっか……」


 翔悟の告白がどうか、成功します様に……。



 キャンプ場に着き、受付に言ってコテージにやって来た。

 

「ちぇ、テントじゃねぇのかよ……使えねぇ(小声)」

「仕方ねーだろ。テントは人気で埋まってんだからよ……」

「もっと早く予約しろや(小声)。なら仕方ねーな……」


 やはり、少し翔悟はイライラしてるな……。

 何にイライラしてんだ……?

 

 俺の頭にはそんな疑問が生まれた。


「なんで、お前……そんなにイライラしてんだよ?」

「ん? そうか? まぁ、ちょっと疲れてんだわ……」と翔悟は首を押さえながら言った。


 なんだ……そう見えたのは勘違いなのか?



「じゃーんけんぽーん!!」と俺はグーを出して玲はパーを出した。

「私の勝ち〜!! じゃぁ、私と夜空さんはこっちの部屋!」とぴょんぴょんと跳ねて可愛らしく言う玲。

「お、おう……」


 そう、俺たちは今、部屋決めジャンケンをしていた。

 そして負けてしまった。


「じゃぁ、支度してくるね!!」と玲と夜空さんは部屋の中へ入っていった。


「俺たちも中に入るか……」

「そうだな」


 ということで、俺たちも中に入った。


 部屋の中は二階建てベッドがひとつ。 

 そして、長机が置かれていた。


 翔悟は荷物を床に置くと、一階のベッドに座った。

 そして。


「なぁ、優斗?」とぶらぶらと足を動かしながら言う翔悟。

「ん?」

「お前さ、玲のこと好きか?」


 なんだその質問は?

 恋人なんだし当たり前だろ?


「そ、そりゃぁ、恋人だし?」と俺は照れながら言った。

「だよな……俺も夜空さんのことが好きだ……」と翔悟は真剣な顔で言う。


 その姿を見て。

 ぁあ〜やっぱり、こいつには夜空さんと付き合って欲しい。

 そんなことを思ってしまった。


「おう、俺も出来るところまでは協力するよ。まぁ、二人になれるきっかけを作るぐらいだからさ……告白するタイミングは自分次第だけどさ」


 大丈夫。

 翔悟なら上手いタイミングで告白できる。

 きっとそうだ。


「ありがとよ」

「俺も、お前には幸せになってもらいてーからよ」

「そっか。ありがとよ」


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